投稿日: Sep 19, 2016 2:38:30 AM
著者は臨床心理学で、ポジティブ心理学の創設者であり、中心。「学習性無力感」の研究で有名になり、その後、ポジティブ心理学の理論、実証と実践法の構築を続ける。本書はその最新版でその達成を明快に示す。
ウェルビーイング理論と著者が呼ぶのはいわば積極的で持続的な幸福(フローリッシング)を求めるものだ。
その要素は5つある。
P:ポジティブ感情(幸福感と人生の満足感)
E:エンゲージメント(強い関わり)
R:関係性。 ...
M:意味・意義
A:達成
これらは自己報告で主観的に測定される面と客観的に測定される面とがある。 強さと徳(親切心、社会的知能、ユーモア、勇気、正直さなど24ある)が5つの要素を支える。その強みを活用する。
持続的幸福を実現するために基本的特徴のすべてと付加的特徴の少なくとも3つを備えること。
1)基本的特徴
ポジティブ感情
エンゲージメント
興味関心
意味、意義
目的
2)付加的特徴の要素がある。
自尊心(自尊感情)
楽観性
レジリエンス(弾力性)
活力(バイタリティ)
自己決定感
ポジティブな関係性
ウェルビーイング度が向上し、抑うつが減少するいくつかのエクササイズの例(10ほどが今まで効果が見付かっているそうだ)。すべてエビデンスがある。いずれも6ヶ月ほど続ければ抑うつが減少する。
1)感謝の訪問
感謝したい相手に感謝の手紙を書き、実際に訪問し、感謝の言葉を述べる。
2)うまくいったことエキササイズ(よいこと日記)
毎晩寝る前に10分、うまくいったことを3つ書き出し、どうしてうまくいったかを記す。
3)持続的強みエクササイズ
特徴的な強みを見つけ、頻繁に活用する。VIA・強みテストを受ける。(本書の付録に簡易版がある。)自分の上位5つの強みを見て、それが「特徴的強み」か、つまり自分らしくて、是非活用したくなるものかを問う。次に、スケジュールの中で特徴的強みを活用する機会を新たに設ける。
4)許しの手紙(相手には送らない)
5)満足者(「これで十分」といいう最低限の条件を満たすものを選ぶ。満足向上の計画を立てる)。
6)説明スタイル
自分の前でしまった「三つのドア}(逃してしまったチャンス)について考える、その後、どんなドア(新しい可能性)が開けただろうか?
7)他の人の強み
自分の大切な人(家族一人一人など)の強みを発見し、それをたたえる。
8)深く味わう
ポジティブ感情の強度と持続時間を増やすために、楽しい活動を計画し実行して、深く味わうようにする。
9)時間の贈り物
時間が掛かり、自分の強みが求められることを実行し、時間の贈り物をする。
10)十全な人生
快、エンゲージメント、意味・意義を統合する十全な人生について考える。
抑うつ軽減のためのポジティブ心理学のエクササイズ
1)積極的ー建設的反応(ACR)
相手へ積極的に表現し、建設的に応答する。(ポジティブ対ネガティブを3対1以上にする。)
2)ネガティブな感情と付き合う
苦しみを緩和しつつ、その中にあっても、ポジティブな感情、意味・意義、達成、ポジティブな関係性を持つようにする。
学校でウェルビーイングを指導できる。
知性とは何か
スピード(速さ)
スローネス(遅さ)。熟慮し計画する。
学習率。ゆっくりした実行機能に時間を割り当てる。
努力。それは自己コントールと根気(グリット)による。
(紹介:無藤 隆,2014年12月28日)