投稿日: Sep 19, 2016 5:14:46 AM
この本は、自分を、人を、組織を変えていきたいときのアプローチについて豊かな示唆を与えてくれます。
まずは目次を。
第1章 「変化」の三つの意外な事実
象使いに方向を教える
第2章 ブライト・スポットを見つける
第3章 大事な一歩の台本を書く
第4章 目的地を指し示す
象にやる気を与える
第5章 感情を芽生えさせる
第6章 変化を細かくする
第7章 人を育てる
道筋を定める
第8章 環境を変える
第9章 習慣を生み出す
第10章 仲間を集める
第11章 変化を継続する
この本では、感情を「象」、理性を「象使い」に例えて、人が変わるには感情を動かす方がより有効であること、感情を動かすには環境が重要であることが、様々な事例を織り込みながら語られています。ダイエットには器を小さくすることだとか。
イントロ(第1章)では、
「人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い」
「相手の行動を変えるには、その人の環境を変えなければならない」
「怠けているように見えても、実は疲れ切っている場合が多い」
「抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い」
といった、本書のキーになるフレーズが紹介されています。
「もっと健康的に行動しよう」と言うより「次にスーパーの乳製品コーナーに立ち寄ったら、ホールミルクではなく低脂肪乳に手を伸ばしなさい」と言うことで地域の健康を向上させた町の事例に始まり、いろいろな実例をもとに話が展開されるので、読み物としても楽しい本です。
ちなみに私は園内研修などで、「一人一人をしっかり観察しよう」よりも「1日5人ほめるという行動指針を実行してみましょう」といった方法(その指針も保育者さんたちに作っていただきますが)を推奨していて、その方が結局一人一人の子どもをしっかり観察して理解することにつながるということを、経験的に確かめています。
多くのアイデアを本書から得ました。
第2章から具体的な方法について述べられています。
変化へのブレイクスルーを、人の性格や意識の問題でなく技術的な課題としてその方法を与えてくれるところがこの本のよいところで、読者にもきっと変化へのスイッチが入るはずです。
(紹介:矢藤 誠慈郎,2015年1月28日)