投稿日: Feb 06, 2021 8:55:15 AM
大好き!な絵本、
子どもたちと一緒に読みたくなる絵本、
思い浮かぶ誰彼に勧めたくてたまらなくなる絵本、
そんな絵本の数々を、
テーマに沿って毎回2冊~3冊一緒にご紹介していく
<「絵本大好き!」“番外編”>をお届けします。
読者のみなさんからの
「このテーマだったら…こういう絵本もありますよ!!」
というようなコメントも大歓迎です。
絵本大好き!のひと時をぜひご一緒に…。
上見れば 虫コ
中見れば 綿コ下見れば 雪コ……。
“雪、雪、ゆき…”の絵本
降っても降らなくても、
積もっても積もらなくても、
神秘的で、不思議で、なによりこんなにも冷たい…
子どもたちの心に残したい“ゆき”がテーマの絵本
ゆき
きくちちき 作
ほるぷ出版
2015年11月10日初版
雪が舞っている。目の前にはにぎやかに思われるほどの景色が広がっているのに、音がないあの感じを見事に表現した絵本がある。
大きなちょっとしめった雪が降った後、この本のページを3歳の子と一緒にめくる。「みっくん、朝これあった!」という。やっぱり、とわたしはうれしくなる。この絵本に描かれている“雪が降っている”感じは、子どもの目に映る雪と同じではないかと思っていた。「つめたかった」「なくなちゃった」と感じたことをこの本を見ながら言葉にしていく。そして森の中の動物たちのことに思いを馳せることができる。熊の親子が寄り添う感じがなんとも優しい。
雪にはしゃぐ子どもたち、窓から静かに雪を眺める家族の姿…。どのページもそこに“ゆき”がある。“みみをすませても、もうしろいおとだけ”。ページをめくるとその世界が広がっている……。
きらきら
谷川俊太郎 文
吉田六郎 写真
アリス館
2008年11月20日初版
雪を顕微鏡で見ると、雪の結晶が見える。保育室の飾りに雪の結晶を飾ったりするけれど、子どもたちは雪の結晶の存在をしらない。
北海道・大雪山にふる雪をひとひらひとひらうけとめて顕微鏡撮影した雪の結晶は正に神秘的としか言いようがない。そこに谷川俊太郎の実に素直な言葉が並ぶ。“きれいだね”“たべたいな”“ふしぎだな”と。同じものは二つとしてないというこの美しい結晶を子どもたちと一緒に楽しんで欲しい。大人のわたしが見ても飽きない雪の形。「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残した「中谷宇吉郎 雪の科学館」が石川県加賀市にある。また行ってみたいと思う。
(出版社サイト http://www.alicekan.com/books/978-4-7520-0421-9.html)
ゆき
ユリ・シュルヴィッツ 作・絵
さくまゆみこ 訳
あすなろ書房
1998年11月15日初版
ゆきが降っても寒くなんてない子どもと、ゆきが降っても楽しくない大人たちの姿が見事に描かれている絵本。この本を見ると作者のユリ・シュルヴィッツという人の“子ども観”に興味がわく。
はいいろのそらからひとひらのゆきがまいおりてくる。そのほんのひとひらのゆきを男の子が見つけたところからはじまる。見ている子どもたちはゆきを「ほんとだ!」とひとひらずつ指さしていく。ゆきがあとからあとから降ってくると、マザーグースを思わせるハンプティ・ダンプティと魔女と白鳥が一緒に踊り出す。「ここから、でてきちゃったね」という。ほんとだ。町の本屋さんの「MOTHARGOOS BOOKS」の看板のキャラクターたち。それは表紙の絵にもちゃんと描かれているその街の本屋さん。
最後のページの「わーい ゆきだよ!」って男の子声が本当に聞こえるような気がします。
(出版社サイト http://www.asunaroshobo.co.jp/home/search/info.php?isbn=9784751519721)
(絵本紹介:安井素子, リード:木村明子, 2021年1月15日)