今回は、質的研究法を用いて研究するやり方を解説します。データを集める研究には、人と会ってインタビューしたり、アンケート調査や観察をしたりする研究があります。心理学や社会学というあたりの学問領域がそれに該当します。それは文献や理論だけで研究するものと違い、現代の歴史的研究とは一部重なるところがあります。
データを集める研究というのはおおざっぱにいうと、数量的な方法や統計的手法を使う方法が主ですが、同時に、そこには質的研究が含まれます。質的研究というときには主には言語的な記述のことを指しており、研究領域によって、どちらの手法が多いかはさまざまです。子ども学や保育学では量的研究だけでなく質的研究も多いのですが、今回は、質的研究についての概論や定義を扱います。
以下の解説では、テキストに用いるものの要点と補足を述べます。様々な例を挙げているものの多くはテキストにないものが多いでしょう。テキストを参照しつつ、お読みください。
無藤隆(まとめ:白川佳子・和田美香)
SAGE質的研究キット(ウヴェ・フリック監修)のシリーズは8冊ありますが、そのうちすでに出版されている1、2、3、5、6、8を用います。
第1巻『質的研究のデザイン』 ウヴェ・フリック 著/鈴木聡志 訳
第2巻『質的研究のための「インター・ビュー」』 スタイナー・クヴァール 著/能智正博・徳田治子訳
第3巻『質的研究のためのエスノグラフィーと観察』 マイケル・アングロシーノ 著/柴山真琴 訳
第4巻『フォーカスグループの実践』 R・バーバー 著/大橋靖史他 訳
第5巻『質的研究におけるビジュアルデータの使用』 マーカス・バンクス/石黒広昭 監訳
第6巻『質的データの分析』 G・R・ギブズ 著/砂上史子・一柳智紀・一柳梢 訳
第7巻『会話分析・ディスコース分析・資料分析』 T・ラプリー 著/大橋靖史 訳
質的研究方法のより詳細な方法については、本授業の中で扱うことはできないので、以下の参考文献を参照してください。