英語圏では最も定番とされる質的研究のハンドブック(The SAGE Handbook of Qualitative Research)を元にした講義の要点をまとめました。 このハンドブックからいくつかの章を選んで解説をしていますが、元の章の忠実・正確な紹介ではありません。かなり要約し、日本の事情に合わせ、とりわけ保育・教育などの研究を想定して話しています。 また、マニュアルというより考え方を説明しています。本格的に学びたい方は、この原著を読むか、あるいは以下の「参考文献」に示すような何冊かの本を読んでください。
使用文献
N.K.Denzin,& Y.S.Lincoln (Eds.), (2011). The SAGE Handbook of Qualitative Research, 4th ed. Sage.
無藤隆(協力:木村明子・白川佳子)
第 1章・第 3章 子ども学研究における質的方法論の概要と歴史
第 4章・第 5章 倫理の問題
第 6章 質的研究の理論的枠組みの各種と論争
第 9章 批判的教育学
第15章・16章 混合法
第17章 事例法(ケーススタディ)
第19章 ナラティブ・エスノグラフィー
第20章 解釈的実践
第21章 グラウンディッド・セオリー
第23章 参与型アクション・リサーチ
第24章 質的健康研究
第25章 ナラティブ・インクワイアリー
第28章 観察法
第32章 会話とテキストの分析
第37章 質的研究の今後
質的心理学―創造的に活用するコツー
無藤隆・南博文・麻生武・やまだようこ・サトウタツヤ:編著 新曜社 2004年
※初心者向け
質的研究入門―“人間の科学”のための方法論― <新版>
ウヴェ・フリック:著 小田博志・山本則子・春日常・宮地尚子:訳 春秋社 2011年
※ドイツ。オーソドックスなテキスト
現代の医学的研究方法:質的・量的方法、ミクストメソッド、EBP
プラニー・リィアムプットーン:編 木原雅子・木原正博:訳 メディカルサイエンスインターナショナル 2012年
※質的方法と量的方法の双方の解説。医学に限られない。
質的研究ハンドブック<全3巻>
ノーマン・K・デンジン イヴォンナ・リンカン:編 平山満義・古賀正義・岡野一郎:訳 北大路書房 2006年
※米国。やや古くなったが、最も詳しい。
質的心理学ハンドブック
やまだようこ・麻生武・サトウタツヤ・能智正博・秋田喜代美・矢守克也:編 新曜社 2013年
※かなり新しい。
上記以外に、質的研究法をめぐって、入門や専門書、またその中の特定の手法についての解説が数多く出版されている。さらに、実際の研究に適応した手本となる研究を集めた本も何冊も出ているので、図書館などで探してほしい。(無藤)