講読文献の紹介では,研究会などで講読してきた保育に関連する海外の文献や,研究レビューなどをご紹介します。
海外の発達心理学研究のレビュー(ハンドブック)である"The Oxford Handbook of Developmental Psychology" (vol.1&vol.2) を取り上げます。各原稿は、「発達研究勉強会」において、毎月担当者が発表したレジュメを元に、白川佳子と伊藤理絵が要約および編集しました。
以下の、英語圏では最も定番とされる質的研究のハンドブックを元にした講義の要点をまとめました。このハンドブックからいくつかの章を選んで解説をしていますが、元の章の忠実・正確な紹介ではありません。かなり要約し、日本の事情に合わせ、とりわけ保育・教育などの研究を想定して話しています。また、マニュアルというより考え方を説明しています。
無藤隆(協力:木村明子・白川佳子)
『The SAGE Handbook of Qualitative Research,4th ed.』N.K.Denzin,& Y.S.Lincoln (Eds.), Sage, 2011.
今回は、質的研究法を用いて研究するやり方を解説します。データを集める研究には、人と会ってインタビューしたり、アンケート調査や観察をしたりする研究があります。心理学や社会学というあたりの学問領域がそれに該当します。それは文献や理論だけで研究するものと違い、現代の歴史的研究とは一部重なるところがあります。
解説では、以下のテキストに用いるものの要点と補足を述べます。様々な例を挙げているものの多くはテキストにないものが多いでしょう。テキストを参照しつつ、お読みください。
使用文献
SAGE質的研究キット(ウヴェ・フリック監修)のシリーズは8冊ありますが、そのうちすでに出版されている1、2、3、5、6、8を用います。
第1巻『質的研究のデザイン』 ウヴェ・フリック 著/鈴木聡志 訳
第2巻『質的研究のための「インター・ビュー」』 スタイナー・クヴァール 著/能智正博・徳田治子訳
第3巻『質的研究のためのエスノグラフィーと観察』 マイケル・アングロシーノ 著/柴山真琴 訳
第4巻『フォーカスグループの実践』 R・バーバー 著/大橋靖史他 訳
第5巻『質的研究におけるビジュアルデータの使用』 マーカス・バンクス/石黒広昭 監訳
第6巻『質的データの分析』 G・R・ギブズ 著/砂上史子・一柳智紀・一柳梢 訳
第7巻『会分析・ディスコース分析・資料分析』 T・ラプリー 著/大橋靖史 訳
第8巻『質的研究の「質」管理』 U・フリック 著/上淵寿 訳
無藤隆(まとめ:白川佳子・和田美香)
本講義録は、次の英文の幼児期の教育の方法と展望のレビュー論文のいくつかの章を元に、15回に渡り紹介しつつ、日本の実情や無藤の考えを加えたものです。幼児教育(保育)を含めた乳幼児期の心理学・教育学・社会学等の研究の最近の動向について、特に、その基本的枠組みや質的・量的な方法論などを知ることが出来ます。マニュアルというより考え方を説明しています。本格的に学びたい方は、この原著を読むか、あるいは今後紹介する「参考文献」を読んでください。
使用文献
Ann Farrrell, Sharon L. Kagan, E. Kay M. Tisdall (Eds).The SAGE Handbook of Early Childhood Research. Sage, 2016
無藤隆(まとめ:白川佳子・木村明子)