2023年4月、佐伯市の大入島を訪ねました。佐伯港から船で10分程度です。大入島は国木田独歩の作品「源叔父」の舞台となった島。その石間地区、遠見山には、大正天皇が皇太子時代の明治 44 年、島に立ち寄り(これを駐蹕 といいます)、海軍を視察を記念した碑があるのです。ここから、佐伯湾が一望できたそうです。現在はしげった樹木で一望とはいきません。豊後水道海域で明治44年10月、一等戦艦「薩摩」をはじめとする55隻の艦隊による海軍大演習が行われました。その際、東宮殿下(当時32歳、後の大正天皇)は海軍中将の資格で戦艦「富士」に乗って統覧したのです。皇太子は10月23日に遠見山に登り20分ほど上陸したそうです。翌日10月24日午前7時に艦隊は出港をはじめ、戦艦「富士」は8時25分に佐伯湾を出港しました。駐蹕記念碑は大正 3年10月23日にこの場所に建てられました。フェリー乗り場から、登山口まで15分。そこから先が大変な山道でしたが、地元の方が張ってくれているロープを頼りに上ることおよそ40分。山の中腹にあたるのでしょうか、やっと、たどり着きました。
関連資料
遠見山
険しい山道
碑と私
案内板
案内板
大正天皇佐伯湾行啓
大正天皇駐蹕(ちゅうひつ)記念碑
東宮殿下(のちの大正天皇)は明治44年(1911)10月、豊後水道で行われた日本海軍の大演習に海軍中将として御召艦「富士」から親閲された。演習を終えて佐伯湾に戦艦「満州・薩摩」など55隻が10月22日から24日にかけて仮泊した。
郡長は事前に入港の通達をうけ、各町村長を集めて奉迎について協議、石間山に「奉迎」の二大文字の作成、花火の打上げ、献納品などの準備を整えた。
23日午前8時10分ら花火を打上げ奉迎した。郡民(佐伯町・南海部郡)の誠意が届いたのか9時ごろ予告なく中将旗をあげた短艇が近付き12名が上陸した。
狭い段々畑の道を登って来るので、途中まで佐伯町助役・松本谷次郎が出迎えて、約80mの尾根に到着。数十人の見物人が東宮殿下とわかり最敬礼して迎えた。殿下は約2mのそばまで来て玉手を上げられ、約20分ほど眺望されて下山した。
郡長は行啓を記念するため、佐伯町長・小田部隣を代表に記念碑の建設に取り組み、高さ3.3mの台の上に1.5mの銅製の碑を、郡内有志の寄付や郡費により建之した。
大正3年10月23日、県知事、郡長ほか多数出席して除幕式を盛大に行う。
関連地図