2022年10月、宇佐市安心院を訪ねました。三女神社の参道の石段は、支那事変(日本側呼称)に絡んでの奉納石段です。これは昭和13年(1938)の建立です。前年は盧溝橋事件が起きた年。中国との戦争が本格化する時期です。国家総動員法が施行され、ヒトラーユーゲントが来日するなど、世界戦争への道を大きく進み始めたころです。軍部は神社を利用し、地域住民の戦意高揚を狙います。そのような時代を語る貴重な石段と紀念碑です。
関連資料
鳥居
碑
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碑文
献納
本組合ハ大正七年ノ設立ニシテ爾来年ヲ閲スル事満貮拾年也此間幾多経〇〇〇〇アリ経営上傾ル難関ニ遭遇セルモ組合貟一致偲戮團浩〇カニヨリ常ニ之ヲ克服シ組合ノ〇神タル共存共栄ノ實ヲ挙ゲ毎年変剰餘金ノ如キモ全部準備金トシテ蓄積シ組合ノ基礎逐年鞏固トナリ今日ニ及ブ偶今次志那事〇勃發シ非常時為對米ノ一端トシテ其筋ノ慫慂 ニ應ジ本組合ヲ改組シ瑞穂農事實行組合ト命名シ更生一心ノ歩ヲ踏出ス〇當リ 時恰モ 三女神社神苑大改築工事造営中ナルニ依リ宏大無辺ノ御神德ニ即報恩ノ誠ヲ捧〇〇ラント本石段ヲ献納シ将来ノ発展ヲ祈願シ以テ紀念トスルモノ也
昭和十三年十一月吉日
下毛信用購買販売組合
解説
献納
本組合は大正7年(1918年) の設立にして 爾来 年を閲する(1) 事満貮拾年 也 此間 幾多経〇〇〇〇あり 経営上傾る(なだる) 難関に遭遇せるも 組合員一致偲戮(2)団浩〇かにより 常に之を克服し 組合の〇神たる共存共栄の實(まこと) を挙げ 毎年変剰余金 の如きも全部準備金として蓄積し 組合の基礎逐年(3) 強固 となり今日に及ぶ
偶今次(4) 志那事〇勃発し 非常時為対米の一端として其筋の慫慂(5) に応じ本組合を改組し 瑞穂農事実行組合と命名し 更生一心の歩を踏出す〇当り 時恰も(あたかも) 三女神社神苑 大改築工事造営中なるに依り 宏大無辺(6) の御神德に即報恩の誠を捧〇〇らんと 本石段を献納し将来の発展を祈願し 以て紀念とするもの也
昭和13年(1938年) 11月吉日
下毛信用購買販売組合
(1)えっする。年月が経つ
(2)詳細不明だが、戮(ち)は(力などを)あわせるの意味があることから、全体として一致団 結して~のような意味合いかと推測される
(3)ちくねん。年々
(4)今次はこんじ。この度
(5)しょうよう。はたらきかけること。すすめること
(6)こうだいむへん。限りなく広いようす
戦跡写真部
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