西曆2020年秋の3展覧会のご案内

益子陶芸美術館/陶芸メッセ・益子

Mashiko Museum of Ceramic Art / Ceramic Art Messe Mashiko

住所: 栃木県芳賀郡益子町大字益子3021(3021 Larger Section Mashiko, Mashiko Town, Haga County, Tochigi Prefecture, Japan)

電話: 0285-72-7555

http://www.mashiko-museum.jp/

https://twitter.com/mashiko_museum?lang=ja

http://www.town.mashiko.tochigi.jp/sp/page/page000672.html

http://www.mashiko-kankou.org/shop/?shop=00471

https://www.museum.or.jp/museum/1509

https://www.tochigiji.or.jp/spot/4294/

企画展「英国で始まり ―濱田・リーチ 二つの道―」

Temporary Exhibition: “Started it in England: Hamada and Leach, in Two Ways”

2020年6月28日(日)~11月8日(日)(10月31日(土)迄は16:30迄に入館、11月1日(日)以降は15:30迄に入館、月曜日と11月5日(木)休館)

入場料 600円(学割なし)

http://www.mashiko-museum.jp/museum/ex200628/index.html (リンク切れ)

http://www.mashiko-museum.jp/en/museum/ex200628/index.html (リンク切れ)

http://www.mashiko-museum.jp/museum/publish.html (リンク切れ)

公式ウェブサイト日本語版文面

「英国で始まり」とは、濱田庄司 (1894~1978) が自身の半生を回顧した有名な言葉「私の陶器の仕事は、京都で道を見つけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った」の一節です。

濱田は今から100年前の1920年、バーナード・リーチ (1887~1979) とともにイギリスに渡り、南西端の港町セントアイヴスに東洋風の登り窯を築きました。そこから、イギリス近代陶芸の礎となったリーチ派の作家たちが生まれます。濱田の「英国で始まり」という言葉は、濱田自身の陶芸家としてのキャリアの第一歩ばかりでなく、イギリスにおけるリーチ派の始まりにも繋がっているのです。

本展では、リーチ派をはじめとする近現代イギリスの個人陶芸 (スタジオ・ポタリー) の系譜に焦点を当てます。イギリスでは、長い歴史の中で工芸的な用のものを制作するのは“職人”であると意識づけられてきました。濱田とリーチがセントアイヴスで陶芸を始めたことで、いかに“陶芸家”という意識が育ち展開してきたのか、作品を通して見つめます。

一方で、日本において陶芸は、桃山陶の時代からただの“モノ”ではない、ある種の美意識をもって実用品以上の評価をされてきました。そのような日本人としてのバックボーンを持ちながらもイギリスで始まった濱田の陶芸が、日本でいかなる影響を与えたのか、本展では、濱田以降の益子の近代陶芸の一端を紹介します。

イギリスと益子、二つの地で切り拓かれた陶芸の醍醐味を同時にみせる初めての展覧会です。現代イギリスを代表する作家から、益子の礎を築いた作家まで、60名による作品約170点が一堂に会します。

公式ウェブサイト英語版文面

The exhibition, celebrating the 100th anniversary of the Leach Pottery, introduces the development of British studio pottery from around 1920 to the present and that of Mashiko’s studio pottery starting from Hamada.

There will be three sections: 1. The Dawn of Studio Pottery (featuring the early period of the Leach Pottery) / 2. The Attraction of British Studio Pottery (from 1920s to the present) / 3. Studio Pottery in Mashiko (unknown aspects of Mashiko pottery). It will be a kind of culmination of what Mashiko Museum of Ceramic Art did in these 25 years and probably will be a first show in Japan focusing on how the consciousness of studio potters grew up.

We are going to show Japanese and British 170 pieces of 60 artists together mainly from our collection and add some from other museums in Japan. One of the highlights is early pieces from Hamada's first solo exhibition in 1923, from the ceramics collection of Aberystwyth University.

バナード・リーチ(Bernard Leach, 1887-1979)

https://ja.wikipedia.org/wiki/バーナード・リーチ

https://en.wikipedia.org/wiki/Bernard_Leach

濱田庄司(はまだ しやぅじ; はまだ しょうじ; Shōji Hamada, 1894-1978)

https://ja.wikipedia.org/wiki/濱田庄司

https://en.wikipedia.org/wiki/Shōji_Hamada

コーンウォール州センタイヴズ町(St Ives, Cornwall, England)

https://ja.wikipedia.org/wiki/セント・アイヴス

https://en.wikipedia.org/wiki/St_Ives,_Cornwall

https://www.stives-cornwall.co.uk/

ワグナー・ナンドール アートギャラリー

Wagner Nándor Art Gallery

住所: 栃木県芳賀郡益子町大字益子4338(4338 Larger Section Mashiko, Mashiko Town, Haga County, Tochigi Prefecture, Japan)

電話: 0285-72-9866

http://wagnernandor.jp/

http://wagnernandor.jp/mobile/wnag.html

http://www.mashiko-kankou.org/shop/?shop=00509

https://www.tochinavi.net/spot/home/?id=16691

ワグナー・ナンドール秋季展

Wagner Nándor Autumn Exhibition

2020年10月15日(木)~11月15日(日)(15:30迄に入館、月曜日休館)

入場料 1,500円(学割1,000円)

http://kankou.4-seasons.jp/asobu/509.shtml

ヴァーグネル・ナーンドル(Wagner Nándor; 和久奈南都留, 1922-97)

https://ja.wikipedia.org/wiki/ワグナー・ナンドール

https://en.wikipedia.org/wiki/Nándor_Wagner

上野の森美術館

The Ueno Royal Museum

住所: 東京都台東区上野公園1-2(2-1 Ueno Koen, Taito-ku, Tokyo, Japan)

電話: 03-5777-8600

https://www.ueno-mori.org/about/#infomation

企画展「ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING&QUEEN展―名画で読み解く 英国王室物語―」

Temporary Exhibition: “King & Queen from the National Portrait Gallery, London”

2020年10月10日(土)~2021年1月11日(月・祝)(16:30迄に入館、不定休)

平日入場料 1,800円(学割1,600円)

土日祝入場料 2,000円(学割1,800円)

https://www.kingandqueen.jp/ (リンク切れ)

https://www.kingandqueen.jp/flyer.pdf (リンク切れ)

https://www.kingandqueen.jp/list.pdf (リンク切れ)

https://www.kingandqueen.jp/family-tree.pdf (リンク切れ)

https://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=974794

https://www.ueno-mori.org/

https://eplus.jp/sf/word/0000144265

https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/22838

名画は語る! 王と女王の英国史

新潮社 フォーサイト(Foresight)

君塚直隆(きみづか なおたか, b.1967)関東学院大学教授

2020年10月11日(日)

https://www.fsight.jp/articles/-/47406

https://news.yahoo.co.jp/articles/f323d89d67e3c7061dc861f81d4887abaec6fbfc (リンク切れ)

英国王室の物語を、ポートレートで紐解く展覧会。

肖像画で紐解く英国王室のお騒がせな綺談。 『ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING&QUEEN展』

フィガロジャポン(Figaro Japon)

2020年12月16日(水)

https://madamefigaro.jp/culture/feature/art-201213.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/666b99b3c9c79abb012ab9fdb958095ed306d644 (リンク切れ)

ナショナル・ポートレート・ギャラリー(National Portrait Gallery, London)

https://ja.wikipedia.org/wiki/ナショナル・ポートレート・ギャラリー

https://en.wikipedia.org/wiki/National_Portrait_Gallery,_London

都心から現地までの交通費

往路A(東京駅~益子駅)所要2時間33分

JR新幹線なすの257号・郡山行 上野駅~小山駅(クレカ利用)乗車時間41分 自由席特別料金1,870円

JR水戸線・友部行 小山駅~下館駅(クレカ利用)乗車時間23分 運賃1,690円(但し、上野駅からの通し)

真岡鐵道・茂木行 下館駅~益子駅(現金利用)乗車時間40分 運賃780円

小計4,340円(新幹線自由席利用の場合)

往路B(東京駅~益子駅)所要2時間58分

JR宇都宮線・小金井行 上野駅~小山駅(Suica利用)乗車時間82分

JR水戸線・友部行 小山駅~下館駅(Suica利用)乗車時間23分 運賃1,694円(但し、上野駅からの通し)

真岡鐵道・茂木行 下館駅~益子駅(現金利用)乗車時間40分 運賃780円

小計2,474円(在来線利用の場合)

現地での往路タクシー代(益子駅前 ~ ワグナー・ナンドール アートギャラリー)所要12分 運賃830円

現地での往路徒歩(ワグナー・ナンドール アートギャラリー ~ 益子陶芸美術館/陶芸メッセ・益子)所要10分

現地での復路徒歩(益子陶芸美術館/陶芸メッセ・益子 ~ 益子駅前)所要30分

小計830円

復路(益子駅~秋葉原駅)所要2時間30分~2時間54分

真岡鐵道・下館行 益子駅~下館駅(現金利用)乗車時間40分 運賃780円

関東鉄道常総線・守谷行 下館駅~守谷駅(Suica利用)乗車時間79分 運賃1,304円

つくばエクスプレス・秋葉原行 守谷駅~秋葉原駅(Suica利用)乗車時間40分 運賃838円

小計2,922円(JR在来線利用と比べて448円高、新幹線利用と比べて1,418円安)

計8,092円(往路新幹線利用の場合)

計6,226円(往路在来線利用の場合)

【比較参考】

過去の展覧会の記録1

栃木県立美術館

Tochigi Prefectural Museum of Fine Arts, Utsunomiya City, Tochigi Prefecture, Japan

企画展「旅するイギリス美術」

Temporary Exhibition: “British Art and Travels”

2016年10月29日(土)~12月25日(日)

https://sites.google.com/site/xapaga/home/tochigiexhibition2016

過去の展覧会の記録2

上野の森美術館

The Ueno Royal Museum

企画展「怖い絵展」

Temporary Exhibition: “Fear in Painting”

2017年10月7日(土)~12月17日(日)

https://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=226

http://www.kowaie.com/ (リンク切れ)

目隠しをされた16歳の少女は――想像すると「怖い絵」5選

朝日新聞 AERAdot.

2017年9月16日(土)

https://dot.asahi.com/wa/2017091400024.html?page=1

https://dot.asahi.com/wa/2017091400024.html?page=2

https://dot.asahi.com/photogallery/archives/2017091400077.html

https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2017091400024_1

https://dot.asahi.com/photogallery/archives/2017091400077/1/

〝ブラッディ・マリー〟が最初に処刑した「イングランド初の女王」

劇的、謎深まる悲劇のヒロイン…「レディ・ジェーン・グレイの処刑」

産経ニュース

2017年10月5日(木) 8:48

https://www.sankei.com/life/news/171005/lif1710050015-n1.html

https://www.sankei.com/life/news/171005/lif1710050015-n2.html

https://www.sankei.com/life/news/171005/lif1710050015-n3.html

話題の「怖い絵展」。ほとんどの人が音声ガイド(有料)を使う理由

【のぞき見!リアルとくキュウ】「恐怖」をテーマに約80点が展示

ホウドウキョク

2017年10月28日(土)

https://www.houdoukyoku.jp/posts/20421 (リンク切れ)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171028-00010002-houdouk-cul (リンク切れ)

「怖い絵展」空前人気3時間半待ち 30代以下多数

日刊スポーツ

2017年11月20日(月) 9:51配信

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201711200000146.html

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171120-00057366-nksports-soci (リンク切れ)

夏目金之助(なつめ きんのすけ, 1867-1916)=後の作家、夏目漱石(なつめ そうせき, 1867-1916)=は、文部省(現在の文部科学省の前身)の命令で英語教育法研究のため派遣されていた英国留学中に(1900年9月8日(土)橫濱(横浜)港を出港、同年=1900年10月28日(日)英国着、1902年12月5日(金)英国出国、1903年1月下旬帰国)、英京倫敦(えいきょう ロンドン)にて国民絵画館(National Gallery)を訪れ、フランス画家ポール・ドゥラロシュ(Paul Delaroche, 1797-1856)による縦246cm×橫297cmの大作油彩画 『ジェイン・グレイの処刑』(The Execution of Lady Jane Grey, 1833)を見て大きな衝撃を受けた。その時の衝撃に基(もと)づいて書かれた短篇小説が、帰国後の1905年に発表した夏目漱石(なつめ そうせき, b.1867-1916)名義の「倫敦(ロンドン)塔(たふ)」である。その中に下記のような一段落がある。ちなみにドゥラロシュは恰(あたか)も処刑現場を見てきたかのように描いているが、ジェイン・グレイの処刑から二百四十三年後の生まれであり、この絵画の完成は実際の処刑から二百七十九年後のことである。したがって画家の創造の産物であり、個々の描写には様々な嘘(ウソ)が混じっている。

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Execution_of_Lady_Jane_Grey

始(はじめ)は兩方(りやぅほぅ)の眼()が霞(かす)んで物(もの)が見()えなくなる。やがて暗(くら)い中(なか)の一點(いつてん)にパツと火()が點(てん)ぜられる。其(その)火()が次第(しだい)/\に大(おほ)きくなつて內(うち)に人(ひと)が動(うご)いてゐる樣(やぅ)な心持(こゝろも)ちがする。次にそれが漸々(ぜん/\)(=徐々に)明(あか)るくなつて丁度(ちやぅど)雙眼鏡(さぅがんきやぅ)の度()を合(あは)せる樣(やぅ)に判然(はんぜん)と眼()に映(えい)じて來()る。次(つぎ)に其(その)景色(けしき)が段々(だん/\)大(おほ)きくなつて遠方(ゑんぽぅ)から近(ちか)づいて來()る。氣()がついて見()ると眞中(まなか)(=真ん中)に若(わか)い女(おんな)が坐(すわ)つて居()る、右(みぎ)の端()には男(おとこ)が立()つて居()る樣(やぅ)だ。兩方(りやぅほぅ)共(とも)どこかで見()た樣(やぅ)だなと考(かんが)へるうち瞬(また)たく間()にズツと近(ちか)づいて余()(=私)から五六間(ごろつけん)(=約9~10メートル)先(さき)で果(はた)と停(とま)る。男(おとこ)は前(まへ)に穴倉(あなぐら)の裏(うら)で歌(うた)をうたつて居()た眼()の凹(くぼ)んだ煤色(すゝいろ)をした、脊(せい)の低(ひく)い奴(やつ)だ。磨()ぎすました斧(おの)を左手(ひだりて)に突()いて腰(こし)に八寸(はつすん)(=約24センチ)程(ほど)の短刀(たんたぅ)をぶら下()げて身構(みがま)へて立()つて居()る。余()は覺(おぼ)えず(=思わず)ギヨツとする。女(おんな)は白(しろ)き手巾(しゆきん)(=ハンカチ)で目隱(めかく)しをして兩(りやぅ)の手()で首(くび)を載()せる臺(だい)を探(さが)す樣(やぅ)な風情(ふぜい)に見()える。首(くび)を載()せる臺(だい)は日本(につぽん)の薪割臺(まきわりだい)位(ぐらい)の大(おほ)きさで前(まへ)に鐵(てつ)の環()が着()いて居()る。臺(だい)の前部(ぜんぶ)に藁(わら)が散()らしてあるのは流(なが)れる血()を防(ふせ)ぐ要愼(よぅじん)(=用心)と見()えた。背後(はいご)の壁(かべ)にもたれて二三人(にさんにん)の女(おんな)が泣()き崩(くず)れて居()る、侍女(じじよ)でゞもあらうか。白(しろ)い毛裏(けうら)を折()り返(かへ)した法衣(ほふえ)を裾(すそ)長(なが)く引()く坊(ぼぅ)さんが、うつ向()いて女(おんな)の手()を臺(だい)の方角(ほぅがく)へ導(みちび)いてやる。女(おんな)は雪(ゆき)の如(ごと)く白(しろ)い服(ふく)を着()けて、肩(かた)にあまる金色(こんじき)の髪(かみ)を時々(とき/\゛)雲(くも)の樣(やぅ)に搖()らす。ふと其(その)顏(かほ)を見()ると驚(おどろ)いた。眼()こそ見()えぬ、眉(まゆ)の形(かたち)、細(ほそ)き面(おもて)、なよやかなる頸(くび)の邊(あた)りに至(いたる)迄(まで)、先刻(せんこく)見()た女(おんな)其儘(そのまゝ)である。思(おも)はず馳()け寄()らうとしたが足(あし)が縮(ちゞ)んで一歩(いつぽ)も前(まへ)へ出()る事(こと)が出來(でき)ぬ。女(おんな)は漸(よぅや)く首斬(くびき)り臺(だい)を探(さぐ)り當()てゝ兩(りやぅ)の手()をかける。唇(くちびる)がむつ/\と動(うご)く。最前(さいぜん)男(おとこ)の子()にダツドレー(= Dudley ダドリー)の紋章(もんしやぅ)を說明(せつめい)した時(とき)と寸分(すんぶん)違(たが)はぬ。やがて首(くび)を少(すこ)し傾(かたむ)けて「わが夫(おつと)ギルドフオード、ダツドレー(= Guildford Dudley ギルドフオッド・ダドリー)は旣(すで)に神(かみ)の國(くに)に行()つてか」と聞()く。肩(かた)を搖()り越(おこ)した一握(ひとにぎ)りの髪(かみ)が輕(かる)くうねりを打()つ。坊(ぼぅ)さんは「知()り申(まぅ)さぬ」と答(こた)へて「まだ眞(まこ)との道(みち)に入(いり)玉(たま)ふ(=給(たま)う)心(こゝろ)はなきか」と問()ふ。女(おんな)屹(きつ)として「まことゝは吾(われ)と吾夫(わがおつと)の信(しん)ずる道(みち)をこそ言()へ。御身達(おんみたち)の道(みち)は迷(まよ)ひの道(みち)、誤(あやま)りの道(みち)よ」と返(かへ)す。坊(ぼぅ)さんは何(なん)にも言()はずに居()る。女(おんな)は稍(やゝ)落()ち付()いた調子(てうし)で「吾夫(わがおつと)が先(さき)なら追付(おひつか)う、後(あと)ならば誘(いざな)ふて行()かう。正(たゞ)しき神(かみ)の國(くに)に、正(たゞ)しき道(みち)を踏()んで行()かう」と云(いひ)終(をは)つて落()つるが如(ごと)く首(くび)を臺(だい)の上(うへ)に投()げかける。眼()の凹(くぼ)んだ、煤色(すゝいろ)の、脊(せい)の低(ひく)い首斬(くびき)り役(やく)が重(おも)た氣()に斧(おの)をエイと取()り直(なほ)す。余()の洋袴(ズボン)の膝(ひざ)に二三(にさん)點(てん)の血()が迸(ほとば)しると思(おも)つたら、凡(すべ)ての光景(くゎうけい)が忽然(こつぜん)と消()え失()せた。

夏目漱石(なつめ そうせき, b.1867-1916)「倫敦塔」(1905年)国立国会図書館(NDL: National Diet Gallery)デジタルコレクション(Digital Collection)より

(一部ルビを追加)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/889302

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/936189