21「イギリス文化論」(2021/12/21) 生物多様性の日英比較

生物多様性の日英比較

(附録として旧英領・現英連邦国家のニュージーランドを含む)

日本: 国土面積377,906km2 首都東京の緯度 北緯35度40分

NZ: 国土面積271,000km2 首都ウェリントンの緯度 南緯42度41分

英国: 国土面積243,000km2 首都ロンドンの緯度 北緯51度30分

日本に住んでいる生き物たち

日本には多くの生物種が生息し、また日本でしか見ら

れない固有種も多い。大陸との位置関係や気候、島の

大きさが類似したイギリスやニュージーランドと比較

すると、総種数や固有種数が多く、日本列島は生き物

たちの多様性が高いことがわかる。

(国立科学博物館の展示文書)

生物の個体数(カッコ内は固有種)

植物 魚類 鳥類 哺乳類

日本: c.5,300* (c.1,800) 3,850 (419) 542 (10) 107 (48)*

NZ: 2,089 (1,654) 1,010 (110) 295 (56) 3 (3)

英国: 1,623 (c.160) 315 (0) 542 (1) 42 (0)

註: 近年では日本の植物の種数は約7,000種とする説が有力になりつつある。日本の哺乳類の種数は陸生哺乳類のみの数で、海生哺乳類20種は含まない。

東京都台東区上野公園に在る独立行政法人国立科学博物館(略称 科博(かはく); 英称 National Museum of Nature and Science)の展示内容に依拠

http://www.kahaku.go.jp/

https://yahoo.jp/box/7vOxFW (リンク切れ)

森林(forest)とは、

高さ5メートル以上の樹木で覆われた0.5ヘクタール以上の土地で,林地に対する樹冠面積が10パーセント以上のもの(現在幼木であっても,将来樹冠面積10パーセント,高さ5メートルに達すると予想されるものを含む。)。人工林を含む。国立公園,自然保護地域,各種保護地域,防風林,ゴム園などを含み,果樹林などのように,農林業としての利用目的が明確なものを除く。

https://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.html

(日本国総務省統計局 / Statistics Bureau of MIC, or the Ministry of Internal Affairs and Communications of the Government of Japan)

国連FAO(食糧農業機関)による森林率(proportion of forested land)の比較

国際連合食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization of the United Nations)によると、世界全体の陸地の約3分の1が森林である( http://www.fao.org/forest-resources-assessment/2020/en/ )。これらに対して、

国連FAO最新データ(2020年)によるフィンランド共和国

http://www.fao.org/3/ca9995en/ca9995en.pdf (p.10 of 58 pages / 全58頁中の10頁)

陸地面積(主要な河川及び湖沼を除いた総土地面積)30,391km2中で22,409km2(73.7%)が森林面積。

国連FAO最新データ(2020年)によるスウェーデン王国

http://www.fao.org/3/cb0063en/cb0063en.pdf (p.10 of 57 pages / 全57頁中の10頁)

陸地面積(主要な河川及び湖沼を除いた総土地面積)40,731km2中で27,980km2(68.7%)が森林面積。

国連FAO最新データ(2020年)による日本国

http://www.fao.org/3/cb0016en/cb0016en.pdf (p.8 of 61 pages / 全61頁中の8頁)

陸地面積(主要な河川及び湖沼を除いた総土地面積)36,456km2中で24,935km268.4%)が森林面積。先進国ではフィンランドとスウェーデンに次ぐ第3位の森林国となっている。

国連FAO最新データ(2020年)によるニュージーランド

http://www.fao.org/3/cb0040en/cb0040en.pdf (p.14 of 89 pages / 全89頁中の14頁)

陸地面積(主要な河川及び湖沼を除いた総土地面積)26,331km2中で9,892.59km2(37.6%)が森林面積。

国連FAO最新データ(2020年)による連合王国

http://www.fao.org/3/cb0082en/cb0082en.pdf (p.7 of 58 pages / 全58頁中の7頁)

陸地面積(主要な河川及び湖沼を除いた総土地面積)24,193km2中で3,190km213.2%)が森林面積。

ウィキペディアの「森林率」(Forest area)の項目はアメリカ中央情報局(CIA: Central Intelligence Agency)の『CIA世界事実帳』(CIA’s World Factbook)の2011年推定データに依拠していたが、近頃は国連FAO最新データ(2020年)に依拠している。

https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_forest_area

https://ja.wikipedia.org/wiki/森林率

https://www.cia.gov/the-world-factbook/

https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/288.html (リンク切れ)

しかしながら、日本の現状は手放しでは喜べない。安価な輸入材に日本の林業が完敗してしまい、日本の森林は整備・間伐されず荒廃した儘(まま)である。

歴史を振り返ると、昭和十年代(1930年後半~’40年代前半)に軍国主義へと大きく舵(かじ)を切った結果として軍艦の建造や木炭燃料などのために多くの森林を伐採したため、日本には禿山(はげやま)が続出した。昭和二十年(1945年)の敗戦を機に、それまでの反動として当時は「カネの成る木」と考えられていた杉(スギ: 羅 Cryptomeria japonica; 英 Japanese cedar tree)ばかりを植林した。それが戦後半世紀が経過した1990年代中盤にはスギ花粉症(cedar pollinosis; sugi pollinosis)に罹患(りかん)する者が続出し、今日(こんにち)に至っている。尤(もっと)も花粉症は大気汚染(air pollution)やストレス(stress)とも連動した複合的な要因が考えられるため、杉の木だけに罪を被(かぶ)せるのも酷ではある。

令和元年(2019年)9月9日(月)未明には令和元年台風第15号(国際名称 Typhoon Faxai (2019))が観測史上最強(最凶)規模(但し、関東地方に上陸した台風に限る)で東京湾上を北上する進路で上陸し、千葉県を中心に大きな被害を出した(但し、総務省消防庁によると、台風被害による直接の死者は強風で壁に叩きつけられた東京都世田谷区在住の五十代女性1人のみとされる)。千葉県で停電が長期化した地域の多くは山間部だった。そこでは倒木が電柱に倒れかかり、事故現場への道を塞(ふさ)ぐなどした。

停電被害拡大の背景には林業の衰退によるスギ非赤枯性溝腐病(すぎ ひ あかがれ せい みぞ ぐされ びょう; 羅 Cercospora sequoiae; 英 blight and canker of Cryptomeria japonica)の蔓延(まんえん)が原因で倒木が相次いだことがあると指摘されている。これは菌により幹の外側が腐る病気である。かつては建材などに使われた地域特産のブランド杉「山武杉(サンブスギ)」だが、戦後に安い海外産の木材が大量に供給されると、杉(スギ)の市場価格が暴落した。こうして日本の林業は衰退し、杉林が放置されて荒廃し、病気が拡がったという。国立大学法人千葉大学(本部在千葉県千葉市稲毛区)大学院園芸学研究科の小林達明(こばやし たつあき, 生年非公開)教授・農学博士によると、「南房総市では、林業の常識では倒れないとされる広葉樹も倒れていました。千葉に限らず、林業の衰退で所有者不明の森林が増え、管理が行き届いていない。気候変動で毎年のようにくる強い台風に適応する戦略を考えていかなければなりません。」とのこと( https://dot.asahi.com/aera/2019093000068.html?page=2 )。

【参考書】

河合雅司(かわい まさし, b.1963)人口減少対策総合研究所理事長 『全予測 2020年代の日本 図解・未来の年表』(講談社, 2020年3月)より p.64

近年、各地で大規模災害が相次いでいるが、2017年の九州北部豪雨では、流木が民家を直撃したり、木々が川をせき止め溢れた濁流が建物を飲み込んだりする様子が衝撃的だった。過去の豪雨災害の20倍近くの流木が住民を襲った河川もあった。

なぜ、これほどまで被害が拡大したのか?

そもそも戦後の日本では、建築資材として有用な人工林の植樹が国策として進められてきた。森林面積は日本の国土の3分の2を占めるが、そのうち41%が人工林である。

被害を受けた地域には、大量の水を含むと崩れやすい火山性の地層が多く、その上に人工林がつくられていた。人工林では定期的に間伐を行って、木々の生長をコントロールする必要がある。間伐が行われずに放置された人工林では、下草が育たず土壌が貧弱になり、土砂崩れが起きやすくなる。そこに激しい雨が降った結果、至る所で土砂が木々とともに崩れ落ち、大量の流木が集落を直撃したのだ。

要するに、林業従事者の不足などにより山林が放置されたことで被害が拡大したのである。

1980年に14万6000人を数えた林業従事者は、2015年には4万5000人にまで減少した。このままでは人工林を満足に手入れするなど不可能となる。一方で十分に育った使い頃の人工林は、2017年時点で全体の65%を占めていたが、2020年度末には70%に達する

先人が将来世代を思って植えた人工林が収穫期を迎え、私たちに襲いかかる脅威となっているのだ。

【参考】

「ヨーロッパにおける森林資源の現状と人々のかかわり」

勝田健彦(かつた たけひこ, 生年非公開)在ベルギー王国ブラッセル(ブリュッセル)日本人学校元教諭・香川県綾歌郡宇多津町立宇多津小学校教諭

国立大学法人東京学芸大学(英称 Tokyo Gakugei University)国際教育センター『在外教育施設における指導実践記録集』第34集

2012年1月

http://crie.u-gakugei.ac.jp/pub/34report/47.pdf

http://crie.u-gakugei.ac.jp/report/pdf34/34_47.pdf

緑被率(りょくひ りつ: green space ratio; green covering ratio; ratio of green coverage; vegetation covered land ratio)という指標

ウィキペディア日本語版( https://ja.wikipedia.org/wiki/緑被率 )によると、「東京都23区内の区域の緑被率は平均で約20パーセント台であり、樹木で覆われている割合となると10パーセントを切るくらいである。砧地域などは東京都特別区内でも緑被率は首都圏トップクラスの地域であるが、世田谷区全体の緑被率は30パーセント台に減少」(2019年10月6日(日)閲覧)とあるが、これには誤りがある。平成29年(2017年)6月30日(金)更新の世田谷区公式ウェブサイト( https://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/102/126/419/409/d00014048.html )によると、同区内の緑被率は僅(わず)か22.89%(平成23年度=2011年調査)とある。また、皇居(Imperial Palace)を擁する千代田区ですら似たり寄ったりで、平成30年(2018年)の緑被率は23.22%に過ぎない( https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/machizukuri/kankyo/ryokuka/heat-island.html )。

これに対して、2014年9月26日(金)付の英インデペンデント紙(The Independent)のオンライン記事( https://www.independent.co.uk/environment/47-per-cent-of-london-is-green-space-is-it-time-for-our-capital-to-become-a-national-park-9756470.html )によると、大ロンドン市(Greater London)の全32区+シティ特別区(the City of London)の緑被率は、なんと47%もある。東京都区内と較べて如何(いか)に緑が多いかが分かる。

結論: 英国の国土は首都ロンドンを含め草地が非常に広範囲に拡がるが、樹木は極度に少ない。日本は国土の実に3分の2が樹木に覆われているが、首都東京都区部(東京23区)や、そこに隣接する埼玉県南部や千葉県西部や神奈川県北部や東部は緑が少ない。

コンクリート地獄だと思ったら大間違い! 東京の「緑地面積」は全国3位だった

Urban Life Metro (アーバン ライフ メトロ)

ライター業 タキダカケル(漢字名・生年ともに不詳)

2021年8月23日(月)

https://urbanlife.tokyo/post/64924/

https://urbanlife.tokyo/post/64924/2/

https://urbanlife.tokyo/post/64924/3/

https://urbanlife.tokyo/post/64924/4/

https://urbanlife.tokyo/photo/64924/

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb0887ff95d5ffdc4b7947ae55c9138715e876d3

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb0887ff95d5ffdc4b7947ae55c9138715e876d3?page=2

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb0887ff95d5ffdc4b7947ae55c9138715e876d3/comments

ウィキペディア日本語版「ロンドンの気候」

https://ja.wikipedia.org/wiki/ロンドン#.E6.B0.97.E5.80.99

雨が多い都市という評判がロンドンにあるが、実際にはロンドンの年間降水量601.5mmは、イタリアの首都ローマの834mmやフランス南西部のボルドーの923mmより、そして東京の1,529mmよりずっと少ない。つまりロンドンの年間降水量は東京の39.3%しかない。東京の降水量が如何(いか)に多量であるかが分かる。

(語句を加筆改変)

旅行.info( https://www.ryoko.info/

によるロンドンと東京の気温と降水量の比較グラフ

https://www.ryoko.info/Temperature/uk/london.htm

【参考書1】

秋場龍一(あきば りゅういち, b.1952)著 『天皇家の食卓 和食が育てた日本人の心』(角川書店 角川ソフィア文庫, 2000年)=その三年前の1997年にDHC出版より刊行された単行本に基づく加筆修正済文庫版から pp.74-75

https://www.amazon.co.jp/product-reviews/B00J4KD3LA/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

科学史・科学哲学者である村上陽一郎氏は、日本人の「自然観」についてこのように述べている。[註7: 村上陽一郎「自然・人為・時間」『図書 No.557 1995・11』岩波書店 三七頁]

……かつて、日本社会でのアンケートのなかに面白い結果があったのを思い出す。あ

なたが最も好きな自然の風景を挙げて下さいという設問への答えとして、圧倒的に一

位を占めたのは、「秋風のわたる水田に黄金色の稲穂が揺れる」だったのだ。こ

れが「自然」とは。誰でも、少し考えれば、この風景がおよそ「人為の入らない状

態」から遠いことは判るはずである。

水田がひろがってゆくことは、森林が伐採され原生域が失われることであり、いわば日本列島で史上初の大規模な自然破壊がおこなわれたのである。ところが、 現代の日本人の目には、水田は人工的な環境としてではなく、あたかも原初から存在した「自然」のように映っているのだ。生まれたばかりの動物は、はじめて目にしたものを「母」と認識するといわれるように、ヒトにとって、生まれてものごごろつくまでに見る水田風景は、「自然」なのかもしれない。

前掲書から pp.96-97

水稲は連作しても、陸稲や麦類のように極端に収量が落ちず、それらより二倍以上の収穫がある。また、米はまいた種の量に対する収穫率がずばぬけて高く、小麦を圧倒している。米の収穫率は、江戸時代で約四十倍、現在では百倍にもなるが、小麦となるとヨーロッパでは現在でもせいぜい約二十倍程度である。これは、他の穀物にはない米(水稲)の最大の特徴であり、水田は世界で最高の食糧生産システムといわれるゆえんだ。

原田註: 日本では既に江戸期(1603-1868年)に水稲が播種量(はしゅ りょう: 種蒔(ま)きした量のこと)の30~40倍(時期によって異なる)もの収穫高を得ていたのに対し、西洋の大麦(barley)・小麦(wheat)・ライ麦(rye)・カラス麦(oat)等は播種量のせいぜい5~6倍しか収穫できず、農業革命(のうぎょう かくめい; 英 Agricultural Revolution; Agrarian Revolution: 十八世紀のイギリスで開放耕地・共同地の囲い込み = enclosure や、耕作法・農具の改良などにより農業の資本主義化が顕著となった変革)が本格的に普及した十九世紀までは連作もできなかった。しかしながら、二十一世紀の現在は様々な技術革新により播種量の20倍程度の収穫が可能となった。それでも水稲の齎(もたら)す100倍という収穫高には遠く及ばない。

前掲書から pp.104-105

[前略] 稲作水田は文字通り「水」が必要だ。水を供給するのは「川」であり、川の水は「森」でたくわえられる。だから、水田の背後には大きな森が鎮座し、「山」がひかえていなくてはならない。

たしかに水田をつくるためには、日本列島史はじまって以来の大規模な自然破壊がおこなわれたけれど、水稲は「水」を必要としたため、「森」が温存されることになった。

一方、小麦を選択しなければならなかったヨーロッパでは、自然環境を破壊する規模は、水田稲作とは比較できないほど大きかった。収穫率が低い小麦は、ヨーロッパの人口を充分にまかなう食糧エネルギーになりえず、その不足した分を牛や羊の乳や肉を摂取することで補おうとした。そうしてはじまったのが牧畜である。

大規模に牛や羊などの家畜を飼うには、広大な牧草地・牧場が必要であり、その用地獲得のためには森を切り開かなくてはならない。この自然破壊の規模は、水田開発の比ではない。[後略]

上記と関連してヨーロッパ中世のゴシック建築に関する本ホームページの該当ページ( https://sites.google.com/site/xapaga/home/bunkaisan05 )を参照されたし。但し、酒井健(さかい たけし, b.1954) 『ゴシックとは何か 大聖堂の精神史』(講談社現代新書, 2000年; 筑摩書店 ちくま学芸文庫, 2006年)に多くを依拠している。

【関連記事】

外国人が心底驚く日本人の特異な「自然観」

なぜ「整った自然」をこんなにも愛でるのか

東洋経済オンライン

真木鳩陸(まき ぱとりく; Patrick Mackey, 生年非公開)米国出身帰化日本人署名記事

2017年9月16日(土)

https://toyokeizai.net/articles/-/188765

https://toyokeizai.net/articles/-/188765?page=2

https://toyokeizai.net/articles/-/188765?page=3

https://toyokeizai.net/articles/-/188765?page=4

https://toyokeizai.net/articles/comment/188765

【参考書2】

農畜産物流通コンサルタントの「やまけん」こと、山本謙治(やまもと けんじ, b.1971)著 『激安食品の落とし穴』(株式会社KADOKAWA 角川学芸出版, 2015年)から pp.105-6

http://www.goodtables.jp/profile/profile1.html (リンク切れ)

https://www.yamaken.org/mt/kuidaore/

https://ja.wikipedia.org/wiki/山本謙治

https://www.amazon.co.jp/product-reviews/4046533390/ref=acr_offerlistingpage_text?ie=UTF8&showViewpoints=1

この日本には、素晴らしい食文化と郷土のたべものがある一方で、非常に残念なたべものも多く存在する。その一つがハムやベーコン、ソーセージといった豚肉加工品である。日本の食肉業界ではこれらを「ハムソー」と呼ぶ。

[改行・中略]

フランスやイギリスのハムやベーコンは、豚肉を塩漬けし、適度な味になるまで塩を抜き、それを燻製(くんせい)にしたりボイルしたりしたもの、というのがはっきりわかる。それと比べると日本のベーコンはカマボコか? と思ってしまうものが多い。これは気のせいではないようだ。古くから肉を長期間保存し、おいしく食べるための知恵を蓄えてきたヨーロピアンのハムソー文化は、やはりいまもその美学を持ち続けているのだろう。何より、それを食べる生活者の舌がきちんとしていて、ヘンな製品が出回ることを嫌うのではないだろうか。

対して日本でホンモノのハム、ベーコン、ソーセージに出合うことのなんと少ないことか。スーパーで売られているペラリと薄いハムをサンドイッチにしても、肉を食べているという感覚をあまり感じられない。カリカリのベーコンを焼こうとフライパンで時間をかけて焼いても、縮んでいくばかりでいっこうにカリカリにならない。ウィンナーからは、どうにも肉以外の味が強くする。日本のハムソーは何か変な味と食感がするのだ。

上掲書から pp.176-194

ご存じとは思うが、日本は食料自給率が低いといわれている国だ。食料自給率とは、「国内で消費された食料」を「国内で生産された食料」で割ったものだ。

これを、国内の生産量の統計や輸入・輸出統計などを組み合わせながら数字を求めていく。平成26年度の食料自給率は以下の通りである。

カロリーベース:39%

生産額ベース:64%(農林水産省「日本の食料自給率」より)

[p.176/p.177]

多くの人はこの二つの数字を並べられると、どっちが何を表してるの? と戸惑うだろう。

一つめのカロリーベース自給率というのは、人間の活動に使われるカロリー、すなわち熱量で考える自給率ということ。たべものはそれぞれ大きさや重量、含まれる栄養価が違うので、重量ベースで計算してもあまり意味がない。そこで、たべものの評価軸として汎用的に使える「カロリー」に換算して表すものだ。対して生産額ベース自給率というのは、そのたべものが流通する価格で計算された自給率だ。

こう書いても、多くの人は「よくわからないんだけど?」となるだろう。簡単に言えば、カロリーベースは、”消費者の側の自給率”といってよい。消費者が食べたものの何%が国産かということ。対して生産額ベースというのは、”生産者の側の自給率”。食料の販売額の中で国内生産者の取り分が何パーセント(原文の儘(ママ): 表記の首尾一貫性を持たせるためにも%の記号表記にすべし)かということ。確かに現在、消費者が食べているものの39%が国産で、その国産品は輸入品よりは高いのが普通だから、生産者の取り分はわりと高めで64%になっている。そう考えるとなんとなく納得がいくだろう。

この二つの食料自給率のうち、数字が大きくとりあげられるのは前者のカロリーベースであることがほとんどだ。人間活動に重要なのはカロリーであって、その自給がどの程度できているのかという指標として、カロリーベース自給率が使われることが多いわけだ。これに対して「生産額ベースでみれば食料自給率は高[p.177/p.178]いのだから、日本の農業は大丈夫」と結びつける人もいるが、そう簡単な話ではない。もちろん生産額ベースが重要な場面もある。例えば日本では野菜の自給率はかなり高いが、野菜のカロリーは非常に低いので、カロリーベース自給率の上昇には寄与しない。こうした品目はカロリーベースでは評価しづらいので、生産額ベースで経済価値を表現することになるのである。

さて、このカロリーベースの自給率39%という数字だが、これは高いのか低いのか。問うまでもなく低い数字であることはご存じだろう。これも農林水産省が公表している13カ国の数字(2011年の試算)を別表で見てほしい。

各国のカロリーベース自給率 (p.179)

カナダ 258%

オーストラリア 205%

フランス 129%

アメリカ 127%

スペイン 96%

ドイツ 92%

イギリス 72%

スウェーデン 71%

オランダ 66%

イタリア 61%

スイス 57%

韓国 39%

日本 39%

ご覧のようにカナダ、オーストラリアという麦類の二大産地の自給率は200%を超えている。トウモロコシ生産のトップであるアメリカも127%と高く、EUの農業国であるフランスやスペイン、ドイツも非常に高い。下位を見ると日本の39%は断然最下位、お隣韓国も39%、日本より耕地面積の少ないスイスは57%。そして日本と同じく島国であるイギリスは72%と高い。このような状況がここ20年以上続いているのである。

[改行・中略]

では同じように島国で、それほど耕地面積が大きいわけではないイギリスが、なぜ72%もの自給率を達成しているのか。皮肉なことに、日本の食糧事情と正反対なのである。

イギリスで重要視されているたべものといえば、いまも昔も麦類と酪農製品(牛乳やチーズ)、ジャガイモ、そして食肉である。これらは基本的に国内で生産される率が高い。また畜産の飼料に穀物を大量に使用する日本と違い、基本的に粗飼料と呼ばれる草資源と、国内でまかなえる穀物を使用している。だからイギリスで霜降り肉に出合うことはほとんどない。イギリスでは食習慣が昔からほとんど変化していないので、国内で生産されている、イギリスの気候風土に合った農畜産物がそのまま受け入れられているのだ。

もう一つは、第一次大戦・第二次大戦でイギリスは深刻な食料危機を体験したことで、国内世論が「最低限度の自給率は確保しておくべき」という方向に固まったということらしい。[p.181/p.182] 2014年10月に僕がイギリスを取材旅行した際、ヒアリングした農畜産物の関係者に食料問題の質問をすると、ほぼ全員が自国の自給率の数字を踏まえた話で答えてくれた。つまり自給率を意識しているということだ。

このように、日本の食料自給率が低い一番の理由は、日本で生産しやすい食料を日本人自身が選んでいないということだといえるのである。乱暴ないい方かもしれないが、バブル的な食料消費、つまり「消費者が食べたいものを食べる」という傾向がまだ続いているということだと思う。農林水産省からすれば「頼むからもっと米を食べてほしい」というところだろうが、深刻な食料危機にならない限り、いまの日本人がそちら側に振れることはないかもしれない。

[改行・中略]

実際、ヨーロッパの各国はいまでこそ問題のない食料自給率を達成しているものの、第一次大戦の後に深刻な食料難を経験している。そこで、自給率を向上させる政策を打ち出し、また[p.183/p.184]隣国や友好国との通商条約等で食料安全保障体制を徹底的に構築したという経緯がある。それがあってのイギリスの食料自給率72%なのである。[中略]

そして当たり前の話だが、「食料自給率」を示す英語は存在する。「food self-sufficiency ratio」である。この単語(原文の儘(ママ): 厳密には単語でなく熟語)で検索をすればFAO(国連食糧農業機関)などの公式文書で普通に使われていることがわかるだろう。食料自給率という問題が、海外では存在していないという認識はいったいどこから出てきたのだろうか、と思わざるを得ない。

ただし一点だけ付け加えると、食料自給率上位の国では、カロリーベース自給率ではなく金額または重量ベースの自給率を話題にしていることが多い。では先の数字は誰が計算したの?というと、これは日本の農林水産省が各国の統計数値を使って導き出したものである。[後略]

[改行・中略]

同じように戦後に食料難に遭遇したイギリスなどでは、自国の食文化がかなり保守的で大きく変わることがなく、カロリーベース自給率に寄与する穀物や、自国内で生産される飼料を与[p.186/p.187]えた乳製品・肉・卵を食べるという生活スタイルを保持し続けることができた。そのこともあって70%台を達成している。しかし、日本人の食生活は多様に花開いてしまったのだし、それがこの国の一つの価値ともいえる状況だ。

[改行・中略]

食料の潜在的な生産力がどの程度あるのか、という意味で、食料自給力という言葉はこれまでも農業白書などで使われてきた。しかしその「力」に具体的な数値設定などは存在していなかった。それをきちん指標化していこうというのが、食料自給率目標の議論とともに出てきた。

食料自給率目標を高いところに掲げたとしても、消費者が好き放題に現状のような食料消費を続ける限り、達成は難しい。しかし一方で、消費者は「自給率が低いのは不安だ」とも言う。それならば、いまの日本で潜在的に食料生産をできる土地やリソースをすべて活用した場合、どれくらいの食料生産ができるのか、仮定の数字を出してみてはどうか、というのがこの「食料自給力の指標化」の狙いだと思う。

[p.188/p.189]

現在ある田畑だけでなく、再生可能な荒廃農地や水資源をフルに活用することを想定する。そうなると、消費者の欲望の結果である現状の自給率とはまったく違う値が出てくるはず、というわけだ。

実はこの潜在的な食料自給力という指標については、イギリスがすでに導入している。イギリスでは、1日一人あたり必要な供給熱量を2236kcalと仮定し、いくつかのケースに分けて試算をしている。面白いのは、日本ではまず米が想定されるところが、イギリスでは小麦だということだ。

例えば、現在の穀類・園芸作物・畜産物の生産を継続した場合は2793kcalになるという。次に、潜在的に耕作可能なすべての農地に小麦を生産した場合どれくらいの食料が確保できるか。なんと7009kcalを自給できる。最後に、潜在的に耕作可能なすべての農地で有機農法で小麦を生産した場合。それでも2799kcalを生産できる(データはイギリスの環境・食料・農村地域省 (Department for Environment, Food & Rural Affairs) による2010年の試算例)。

イギリスは、日本と同じ島国ではあるが、国土面積における平地の割合が日本より高い。食料生産に関して同じ条件ではないので、「イギリスができるから日本も可能」とはならない。[後略]

[改行・中略]

食料自給力を指標化するにあたり、農水省はイギリスの食料自給力指標をお手本にしているようだ。[後略]

[改行・中略]

[前略] まず知っておいてほしいのが、日本がお手本にするイギリスの場合、彼らが想定している生産パターンすべてにおいて、エネルギー必要量を超える自給力があるという結果だということだ。つまりイギリスは、なにかあったとしても十分な潜在的生産能力がある状態である。日本は世界に誇る美食の国といってよいと思うが、それゆえ、現状の贅沢(ぜいたく)な食事内容をすべて生産することは到底できないという結果なのかもしれない。

【関連資料】

英国の農林水産概況(2020年度更新)

日本国農林水産省(英称 MAFF: Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries)

https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/

https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/attach/pdf/index-152.pdf

「現代イギリス農業の形成と展開—イギリス農業の復活とその課題」

道重一郎(みちしげ いちろう, 生年非公開)東洋大学教授

JA共済総合研究所 『共済総合研究』第53号

2008年10月

https://www.jkri.or.jp/PDF/archives/sogo_53_kiko2.pdf

肉食について考える

“自給的”肉食を2年間続けた女性が発見したこと

JB Press (Japan Business Press)

漆原次郎(うるしばら じろう, b.1975)署名記事

2018年1月12日(金) 6:15

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52054

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52054?page=2

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52054?page=3

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180112-00052054-jbpressz-life (リンク切れ)

(前略・改行)

『生き物を殺して食べる』は、英国人の環境ジャーナリストであるルイーズ・グレイが、2014年7月から2年間、ほぼ自分で鳥獣や魚を屠ることで肉食を貫いた経験をまとめたもの。彼女はその動機を<平気な顔でぱくぱく肉を食べるような無神経な人間にはなりたくなかった><自分で殺した動物だけを食べるというのがいちばんまっとうなやり方に思えた>と述べる。

ウサギ、ハト、キジ、ニジマス、そしてまたウサギ・・・著者は自身での狩りの成果を綴っていく。狩りから食までの生き生きとした描写で、読者は自給による肉食を疑似体験できる。

だが、それだけではない。豚や牛の屠畜場、養鶏場、サケの養殖場などを取材し、動物たちが解体されていく様子を目の当たりにし、それらも描写する。(中略・改行)

筆者もそうだが、肉食について深く考えることなく生活を送っている人は多いだろう。読者に立ち止まって考えてもらうため、著者はいくつかの論点を提示する。

1つは、肉食の効率の悪さ。たとえば牛肉は、おなじ熱量のベジタリアン食を作るのに使うエネルギーの10倍を要するという。また、豚の飼料要求率(体重1キログラム増に必要な飼料量)は4、鶏は2.2といった数値も示す。簡単には行かないだろうが、穀物を飼料用でなく食用にすれば、より効率よく人はエネルギーを得られることになるというわけだ。

また、口から出すメタンガスなどにより、家畜が温室効果ガスの大きな原因になっているという話も持ち出す。英国の王立国際問題研究所が2015年に公表した報告書『Changing Climate, Changing Diets』(気候を変えたいなら食事を変えよう)を紹介し、家畜の温室効果ガス排出量は「全世界の飛行機、車、列車をひっくるめた数値より高い」と述べる(ただし報告書では「同等(equivalent)」との表現も見られる)。

こうした情報は、たしかに肉を食べる人々の手を、少しだけ止めるかもしれない。

(改行・中略)

だが、本書における著者の主張としてもっと大きいのは、そしてこれは最も言葉で説明しづらい主張でもあるのだが、今の人間がしている肉食の方法が、あまりに自然の状態から乖離してしまっている、というものだ。それは理論的に導かれる主張というより、人として抱く違和感からくる主張と取れる。

たとえば、養殖場のサケは、川を遡上することなく陸に上げられ、打撃で気絶させられ、エラを取られる。これを知った著者は「わたしが問題視するのは、このみごとな生き物たちの殺し方だけでなく、野生を剥奪していることなのだ」と嘆く。

けっして、ベジタリアンでも、より厳格なビーガン(完全菜食主義者)でもない。自分が狩りで獣を仕留めたときには、自分に誇りを感じ、死んだ獣に感謝し、そしてその肉を食べて味わう。それを基準だとすれば、人間の作ったシステムのなかで屠られていく生き物たちの姿は、あまりに不自然と感じたのだろう。

(改行・後略)

The Ethical Carnivore by Louise Gray review – one way to stop us eating so much meat

(ルイーズ・グレイ著『倫理的肉食者』書評 我々が多量の肉を食べるのをやめさせる一つの方法)

英ガーディアン紙(The Guardian

スティーヴン・プール(Steven Poole)記者署名記事

2016年9月23日(金)

https://www.theguardian.com/books/2016/sep/23/ethical-carnivore-year-killing-eat-louise-gray-review

ルイーズ・グレイ(Louise Gray, 生年非公開)女史の公式ウェブサイト

https://www.louisebgray.com/

日本人だけが知らない「食用卵」のアブない実態

ヨーロッパならほとんど「違法レベル」

講談社現代メディア

岡田千尋(おかだ ちひろ, b.1978)NPO法人アニマルライツセンター代表理事

2018年2月9日(金)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54355

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54355?page=2

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54355?page=3

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54355?page=4

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54355?page=5

https://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1518163855/

小見出し1: EUだったら9割が違法業者?

小見出し2: 鶏の「すべてを奪う」場所

小見出し3: バタリーケージでの衝撃の生活実態

小見出し4: 砂浴びができないから殺虫剤

小見出し5: いくらなんでも卵を産ませすぎ

小見出し6: 日本は完全に取り残されている…

小見出し7: 実は投資にも影響している

小見出し8: 生産者だけ負担を強いるのは間違い

小見出し9: 長距離のトラック移動と長時間放置

小見出し10: 私たちは何を食べているのか

日本で「ニワトリ」はこんな風に殺されている…知られざる現実

そもそも「国産」は安全なのだろうか

講談社現代メディア

NPO法人アニマルライツセンター代表理事 岡田千尋(おかだ ちひろ, b.1978)

2019年12月12日(木)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68975

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68975?page=2

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68975?page=3

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68975?page=4

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68975?page=5

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68975?page=6

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68975?page=7

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191212-00068975-gendaibiz-life (リンク切れ)

https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1576139642/-100

小見出し1: 自然の姿からかけ離れた鶏たち

小見出し2: 日本はブラジルの1.8倍詰め込む

小見出し3: 薬剤耐性菌保有率は日本が高い

小見出し4: ベターチキンの流れ

ポール・マッカートニー、78歳の誕生日の願いとしてファンに食肉をやめてほしいと訴える

ビルボード日本版(Billboard Japan)

2020年6月12日(金)

http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/88933/2

https://news.yahoo.co.jp/articles/6c7afb910cdf6511614c256fa0a41aa0a2411571 (リンク切れ)

https://www.peta.org/blog/paul-mccartney-ten-year-anniversary-glass-walls/

https://www.youtube.com/watch?v=ql8xkSYvwJs (閲覧注意!)

専門家は「中年期のヴィーガニズム」に警告

ヴィーガンフード雑誌の編集者が「ヴィーガンであること」をあきらめた理由

クーリエ日本版(Courrier Japon)

フリック・エヴァレット(Flic Everett)記者署名記事

日本語訳: Yuko Higuchi (漢字名不詳)

2020年12月28日(月)

https://courrier.jp/news/archives/225869/

https://news.yahoo.co.jp/articles/948642006dbf8859f4558da8f1f3efcf26c2bfb8 (リンク切れ)

抗生物質にまみれ…日本のニワトリが辿る「悲劇」をご存知ですか?

目を背けてはならない

現代ビジネス

講談社『週刊現代』2021年3月13日(土)号より

2021年3月20日(土)ウェブ公開

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81209

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81209?page=2

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81209?page=3

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81209?page=4

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81209?page=5

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81209?page=6

https://news.yahoo.co.jp/articles/4f6bdbce94356f60d4a4aa53e5d18d16543a7893 (リンク切れ)

https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1616431152/

小見出し1: 白かった羽も黒ずんでいく

小見出し2: 抗生物質まみれ

小見出し3: オスは即、ゴミ箱行き

小見出し4: 悲惨な「廃鶏」の最期

多くの日本人がまだまだ知らない…格安卵のウラにある「深刻すぎる実態」

現代ビジネス

日本女子大学教授 細川幸一(ほそかわ こういち, b.1961)署名コラム

2021年3月29日(月)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81463

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81463?page=2

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81463?page=3

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81463?page=4

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81463?page=5

https://news.yahoo.co.jp/articles/0b5798b27924c70a9ed532c6ffda8e270d64c039 (リンク切れ)

小見出し1: 年300個の卵を産んで「廃鶏」になり…

小見出し2: オスのヒヨコはすぐに殺処分

小見出し3: 私たちに何ができるのか?

小見出し4: 世界に遅れる「日本の現実」

雄のひよこ殺処分禁止に ドイツで22年から

時事通信社

2021年5月30日(日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021052900353&g=int

https://news.yahoo.co.jp/articles/d2c840b88964e051079ab81e63f263f640dc5488 (リンク切れ)

【フランクフルト時事】養鶏業界で広く行われている雄のひよこの大量殺処分が、ドイツでは2022年から禁止されることになった。卵を産まず、食肉としても劣るとされるため、採算面から日本を含む各国で業者による大量殺処分が常態化する中、「動物福祉の向上」の観点から禁止に踏み切るのは異例だ。(改行・後略)

「卵を食べないで!」動物愛護団体が五輪関係者に訴え

英ロイター通信(Reuters)日本語版

2021年7月21日(水)

https://www.reuters.com/video/watch/idOWjpvCMBY03OWOIGT9Q89L495U8GK1

https://jp.reuters.com/video/watch/idOWjpvCMBY03OWOIGT9Q89L495U8GK1

https://news.yahoo.co.jp/articles/5eb828571cf2cf3ce156ed0a256ae538b4efb4c3

https://news.yahoo.co.jp/articles/5eb828571cf2cf3ce156ed0a256ae538b4efb4c3/comments

https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1626854114/l50

https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1626859007/

【参考】

英国で消費されるサンドイッチのCO2排出量、車860万台分に相当

フランス通信社(AFP: Agence France-Presse)日本語版

2018年1月26日(金) 14:14

発信地:ロンドン/英国

https://www.afpbb.com/articles/-/3160047

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180126-00000029-jij_afp-sctch (リンク切れ)

https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1516972092/

【1月26日 AFP】英国で1年間に消費されるサンドイッチの二酸化炭素(CO2)排出量は、自動車800万台分の年間CO2排出量を上回るとする研究結果が25日、発表された。

英国サンドイッチ協会(BSA)によれば、英国では毎年約115億個のサンドイッチが消費され、自家製と店売りが半々だという。このデータに基づくと、サンドイッチの消費に伴うCO2排出量は年間平均950万トンとなり、自動車860万台を1年間使用したときの排出量に相当すると、研究を行った英マンチェスター大学(University of Manchester)のアディサ・アザパギッチ(Adisa Azapagic)教授は指摘している。

研究チームでは、サンドイッチの具材40種類について、原材料調達から廃棄・リサイクルまでに排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算した「カーボンフットプリント(CFP)」を調べた。

最もCO2排出量が多かったサンドイッチは、ベーコンやハム、ソーセージなど豚肉を使った工場生産品で、2番目はチーズやエビを挟んだ店売りのサンドイッチだった。

(改行後略)

[上記記事の英語版]

UK sandwich eating produces same CO2 as ‘millions of cars’

(英国のサンドイッチ摂食が数百台の車と同じだけの二酸化炭素を生成)

フランス通信社(AFP: Agence France-Presse)

2018年1月25日(木)

https://www.afp.com/en/news/2265/uk-sandwich-eating-produces-same-co2-millions-cars-doc-xt1oo1 (リンク切れ)

[関連記事]

Scientists calculate carbon emissions of your sandwich

(科学者たちがあなたのサンドイッチの炭素放出を計算)

All-day breakfast filling identified as worst offender

(一日中朝食メニューが最悪の犯人と特定される)

英ガーディアン紙(The Guardian

レベッカ・スミザーズ(Rebecca Smithers)消費者事項特派員(Consumer affairs correspondent)署名記事

2018年1月25日(木) 06:00 GMT

https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2018/jan/25/scientists-calculate-carbon-emissions-of-your-sandwich

Climate change: Sandwiches eaten in UK ‘have same environmental impact as eight million cars’

(気候変動: 英国で消費されるサンドイッチは八百万台の車と同じだけの環境への衝撃を与えている)

英インデペンデント紙(The Independent

クリス・ベインズ(Chris Baynes)記者署名記事

2018年1月25日(木) 12:19 GMT

https://www.independent.co.uk/news/science/uks-consumption-of-sandwiches-has-same-environmental-impact-as-eight-million-cars-a8176936.html

【参考】

日本の食料廃棄率は世界一

http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/food_crisis.html (リンク切れ)

食肉1キロ確保のために「16キロの穀類、1万5000リットルの水が使われる」と多大な資源やコストが消費される

https://mainichi.jp/feature/news/20130820k0000m030017000c.html (リンク切れ)

【参考附録1】

以下は、

昭和女子大学近代文化研究所発行『學苑』2008年11月/第817号文化創造紀要(ISSN1348-0103)所収

原田俊明(はらだ としあき, b.1968) 「訪日・滞日イギリス人のカルチャーショック」

https://ci.nii.ac.jp/naid/110007041829

https://swu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=4748&item_no=1&page_id=30&block_id=97

から「3. 日本の自然に関すること」と「9. 日本人の英語に関すること」

事例59) 地震,台風,火山の噴火など日本の荒々しい自然災害には目を見張る。それに雨季(梅雨のこと)や集中豪雨や暑苦しい夏や毒蛇や,毒がなくても恐ろしい蛇や,東京首都圏の冬のカラっ風や日本海側の豪雪も恐ろしい。これに比べれば,イギリスの自然のなんと御しやすいことか。

事例60)東京から至近距離の所に高尾山という大自然が残っているのは素晴らしい。一歩足を踏み外せば命を落とすような恐ろしい山だ。東京近辺の小学生が遠足であんな怖い所を訪れるなんて信じられない。

事例61) 日本の6月を彩る紫陽花(アジサイ; hydrangea)は青みがかっていて実に美しい。イギリスの hydrangea は夏の間中咲いているが,くすんだピンク色で,日本のものと比べるとあまり美しくない31

事例62) 日本の夜空の月はなぜ汚らしい黄色なのか。大気汚染のせいか32

事例63) 日本人は「自然を愛する」と口では言うが,口先とは裏腹に彼らは自然を憎んでいる印象を受ける。首都圏の緑地の乏しさは異常だし,河川や海岸線の多くは護岸工事で無残なコンクリートの姿を晒している。商店街の街灯や電柱などで見かける安っぽくてケバケバしいプラスチック製の植物(春の桜や秋のもみじの類い)も何とかならないのか。富士山頂の自販機をテレビで見たが,便利さを追い求め過ぎて自然破壊にならないのか。それに何と言っても興が醒める。

事例134) 日本では urban (都会的な)という英単語を電車の車内広告や集合住宅の名前などでよく目にする。きっと日本人の好きな単語なのだろう。一方,イギリスではこのラテン語起源の単語は不人気だ。外来語だから不人気というよりは,この単語の持つネガティヴな語感(貧困,移民,最下層,少年犯罪,麻薬汚染,アルコール依存,暴力行為,家庭崩壊,爆弾テロのイメージ)が主因である68

31 土壌の影響で,同じ種類のアジサイを植えても日英で異なった発色になる。

32 確かにイギリスで見る月は全体的にもっと青白い。他方,日本の黄色い月は東南アジアで見る月に似ている。これはヨーロッパに比べて赤道に近いから黄色く見えるのであり,大気汚染とは関係ないだろう,と筆者は反論してみたが確信はもてない。面白いことに,日本人の子供はお絵かきで太陽を赤く塗るが,西洋人の子供は黄色く塗る。

68 イギリス人は日本人とは反対で,rural (農村の)や countryside (いなか)や meadow (牧草地)や pasture (放牧地)や footpath (いなかの遊歩道)という単語が好きだ。

【参考附録2】歩くことが大好きなイギリス人

日本語の動詞、「歩く」「歩行する」「徒歩で行く」「散歩する」「散歩に出かける」「散策する」「遊歩する」「歩き回る」「ぶらつく」「ぶらぶらする」「ぶらぶら歩く」「てくてく歩く」「てくてく行く」「うろつく」「逍遥する」「徘徊する」「ウォーキングする」「ウォーキングに行く」「ウォーキングに出かける」「ハイキングする」「ハイキングに行く」「ハイキングに出かける」に相当する英単語・熟語20種を下記に列挙する。

to walk (トゥウォーク): 「歩く」。古英語 tō wealcan (トーウェアルカン)に由来。現代ドイツ語 zu walken (ツーヴァルケン)=「(革を)鞣(なめ)す」「(パン生地を)捏(こ)ねる」と同語源。

to take a walk (トゥテイウォーク): 「散歩に行く」「散策に行く」。上記の動詞 walk (ウォーク)の名詞的使用。前半部の to take は、古ノース語 at taka (アッターカ)=「触る」「摑(つか)む」に由来。

to go for a walk (トゥゴウフらウォーク): 「散歩に行く」「散策に行く」。上記の動詞 walk (ウォーク)の名詞的使用。前半部の to go は、古英語 tō gān (トーガーン)に由来。

to go on foot (トゥゴウオンフット): 「徒歩で行く」。古英語 tō gān on fōt (トーガーンオンフォート)に由来。現代‎ドイツ語 zu Fuß zu gehen (ツーフースツーゲーエン)に相当。

to hike (トゥハイク): 「ハイキングする」。原義は「足を引きずる」。英語の動詞 to hitch (トゥヒッチ)=「引き上げる」の方言的用法に由来。ドイツ語方言の動詞 zu hicken (ツーヒッケン)=「足を引きずって歩く」と同語源。

to go on a hike (トゥゴウオナハイク): 「ハイキングに行く」。上記の動詞 hike (ハイク)の名詞的使用。前半部の to go は、古英語 tō gān (トーガーン)に由来。

to go hiking (トゥゴウハイキング): 「ハイキングに行く」。上記の動詞 hike (ハイク)の動名詞(gerund)的使用という見方がある一方で、英国で1920年代に流行した hill walking (ウォーキング)=「丘陵歩き」が短くなった言い回しという説を採る学者もいる。前半部の to go は、古英語 tō gān (トーガーン)に由来。

to march (トゥマーチ): 「行進する」「行軍する」「悠々(ゆうゆう)と歩く」「粛々(しゅくしゅく)と歩く」。中世フランス語 marcher (マふシェー)=「行進する」「歩く」に由来。現代フランス語 marcher (マふシェー)=「行進する」「歩く」と同じ。古フランス語では marchier (マふシエ)=「行進する」「歩く」。

to meander (トゥミアンダー): 「(当てもなく)ぶらつく」。小アジア(現トルコ共和国)を流れる希臘(ギリシア)語のマイアンドろス川(Μαίανδρος = Maíandros)が、羅典(ラテン)語の名詞 maeander (マェアンデる)=「曲がりくねり」になったことに由来。希臘(ギリシア)彫刻や陶器や中華麺の丼(どんぶり)の内側に描かれた雷文(らいもん)も、英語では meander (ミアンダー)と呼ぶ。

to parade (トゥプァれイド): 「行進する」「練り歩く」「整列行進する」。フランス語 parader (パはデー)=「ひけらかす」に由来。更(さら)に遡(さかのぼ)ると羅典(ラテン)語 parāre (パらーれ)=「準備する」に由来。

to promenade (英 トゥプろムナード; 米 トゥプろムネイド): 「散歩する」「散策する」「遊歩する」。フランス語 promenade (プほムナッド)=「遊歩道」、またはフランス語 promener (プほムネー)=「散歩する」「散策する」「遊歩する」に由来。

to ramble (トゥらェンブル): 「散歩する」「ぶらつく」。中英語 ramelen (らーメレン)より。古スウェーデン語 at rambla (アトらンブラ)=「音を出す」や、現代デンマーク語 at ramle (アトらムレ)「躓(つまづ)く」 「倒れる」と同語源。

to range (トゥれインヂ): 「歩き回る」「捜(さが)し回る」。古フランス語 rangier (はォンジエー)=「整列させる」に由来。

to roam (トゥろウム): 「歩き回る」「ぶらつく」「徘徊する」。古英語 tō rāmian (トーらーミアン)より。古フランス語 romier (ほミエー)=「羅馬(ローマ)へ巡礼に行く」に由来するとした説もあり。英国人は歩き回る権利(right to roam or roaming right)や歩き回る自由(freedom to roam)を非常に重視する。

to rove (トゥろウヴ): 「(当てもなく)うろつく」。古フランス語 rouer (ふゥエー)または roer (ほエー)=「うろつく」に由来。

to stride (トゥストらイド): 「大股で歩く」。古英語 tō stridan (トーストダン)より。現代ドイツ語 zu streiten (ツーシュトらイテン)=「争う」と同語源。

to stroll (トゥストろウル): 「ぶらつく」「ぶらぶらする」「ぶらぶら歩く」。語源不明。ドイツ語方言の動詞 zu strollen (ツーシュトレン)や zu strolchen (ツーシュトルヒェン)との関連性が一部の学者から指摘されている。

to tread (トゥートゥれっど): 「強く踏む」「踏み入る」「足を踏み入れる」「歩く」「行く」「進む」。古英語 tō tredan (トートゥダン)より。現代ドイツ語 zu treten (ツートゥれーテン)=「踏み入る」と同語源。

to trot (トゥートゥろット): 「せかせか歩く」「(馬などが)速足で駆ける」。古フランス語 trotter (トゥほテー)=「馬などが速足で駆ける」、または古フランス語 troter (トゥほテー)=「(馬などが)速足で駆ける」「行く」に由来。派生語に、globe-trotter (グロウブトゥろッター)、またはハイフン無しの globetrotter (グロウブトゥろッター)=「世界漫遊家」「世界各国を飛び回る人」があり、昭和五十四年=西暦1979年に創刊されたダイヤモンド社 『地球の歩き方』の表紙上部には、英語の大文字で、GLOBE-TROTTER TRAVEL GUIDEBOOK とある。

to wander (英 トゥウォンダー; 米 トゥワンダー): 「(当てもなく)歩き回る」。古英語 tō wandrian (トーワンドりアン)より。現代ドイツ語 zu wandern (ツーヴァンデるン)= 「(当てもなく)歩き回る」「ハイキングする」と同語源。

(参考資料)

竹林滋[編集代表] 『新英和大辞典 第6版』(研究社, 2002年)

國廣哲彌[他編] 『プログレッシブ英和中辞典 第4版』(小学館, 2002年)

コトバンク(朝日新聞、朝日新聞出版、講談社、小学館、三省堂)

https://kotobank.jp/

Wiktionary, the free dictionary (無料辞典ウィクショナリー英語版)

https://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Main_Page

Wiktionary, das freie Wörterbuch (無料辞典ウィクショナリー独語版)

https://de.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Hauptseite

Wiktionnaire, dictionnaire universel libre (無料辞典ウィクショネール仏語版)

https://fr.wiktionary.org/wiki/Wiktionnaire:Page_d'accueil

Oxford English Dictionary (OEDこと、牛津英語辞典)

https://www.oed.com/

*上記の世界最大の英英辞典は本来有料だが、本学図書館( https://lib.swu.ac.jp/ )サイト画面右上の「利用者ログイン」ボタンをクリックしてログインし、学内で利用するぶんには無料。

The Old English Translator (古英語翻訳者)

https://www.oldenglishtranslator.co.uk/

University of Glasgow: A Thesaurus of Old English (グラーズゴウ大学古英語類語辞典)

https://oldenglishthesaurus.arts.gla.ac.uk/

中産階級の間で散歩の人気が高い。特に田舎(いなか)の地主の私有地を合法的に歩くことに根強い人気がある。彼らは「歩き回る自由(freedom to roam)」(https://en.wikipedia.org/wiki/Freedom_to_roam )と「通行権(RoW: right of way)」( https://en.wikipedia.org/wiki/Rights_of_way_in_England_and_Wales / https://ja.wikipedia.org/wiki/イギリスの通行権 )という概念に強い思い入れがある。こうした権利・自由の思想を体現したのが、public footpath(ブリックフットゥパース゜: 直訳「公共足径」「公(おおや)けの遊歩道」)という私有地内の通り道である。地主が公(おおやけ)に許可しているので、外国人を含む一般人は自由に散策できる。ただ、あまりにも道を逸(そ)れて地主一家のプライバシー(privacy: イギリス発音でプヴスィー)を侵害するようなことがあると起訴(きそ: prosecute)される可能性がある。