前期10「イギリス文化論」(2021/ 6/ 3) イングランドの教育制度

はじめに: 連合王国(人口63mから67.8m ≒ 日本の半分強の人口規模)の中でイングランド(人口53mから56m)とウェールズ(人口3.15m)の教育体制はほぼ同じであるが、若干の違いはある。一方でスコットランド(人口5.4m)と北アイルランド(人口1.89m)は独自の教育制度を有している。ここでは連合王国の人口の大部分(八割超)が集中するイングランドのみを採り上げる。

【参考ウェブサイト】

History of English Education (イングランド教育史)

https://www.historylearningsite.co.uk/sociology/education-and-sociology/history-of-english-education/

近現代イングランドに於ける教育行政の歴史的流れ

仏独のような大陸諸国と異なり、イギリスでは国家が積極的に教育に介入することは長らく控(ひか)えられていた。イギリスの教育は、貧者のための慈善事業(charity)か、富裕層のための私学(independent schools)のどちらかに二極分化していた。慈善事業に携(たずさ)わったのはイングランド教会(Church of England)と、非国教会派(Nonconformist)の諸派と、1829年以降はそこにカトリック教会(Roman Catholic Church)が加わり、競って学費無料の小学校を経営していた。資金源は信者たちの寄付だった。しかしながら、産業革命(Industrial Revolution)を経て、特に都市部の人口が急増する中で寄付だけでは立ち行かなくなった。そこで英国政府はヴィクトリア時代(Queen Victoria’s reign, 1837-1901)中期の1870年になって漸(ようや)く初等教育に着手した。

1870年初等教育法(Elementary Education Act 1870)

1870年2月17日(木)、当時二大政党制の一翼を担っていた自由党(Liberal Party; 旧称・蔑称 Whigs)のフォースター(William Forster, 1818-86)議員の主導により、同じ自由党のグラッドストン(William Ewart Gladstone, 1809-98; 首相在任1868-74, 1880-85, 1886 & 1892-94; オクスフオッド大学基督教会学寮卒)内閣の下(もと)で1870年初等教育法(Elementary Education Act 1870)、通称 フォースター法(Forster Act)が導入され、5歳から13歳までのほぼ全児童の教育が始まる。しかし義務教育の導入は、さらに十年後の1880年(下記参照)のことになる。この1870年の法律が制定される前は、教会等が慈善(charity)活動の一環として学校を運営する場合と、富裕層向けの私立学校しか存在しなかったため、貧しい家の子の多くは教育を受ける機会に恵まれなかった。しかしこの法律のお蔭で地方自治体が公的な初等教育を始めることが可能となった。運営資金は国から出たので、国立学校(state schools; state-funded schools)の扱いとなる。学費は1週間9ペンス(当時の貨幣制度で1ポンド=240ペンスの80分の3、つまり1ポンドの3.75%)を上限に定められていたため、無料ではなかったが、貧しい家庭の子には地元の学務委員会(school board)がお金を出した。その財源は現代日本で言う「固定資産税」に相当した救貧税(poor rate)や市税(municipal rate)から賄(まかな)われた。また、学務委員会はボード・スクール(board school: 直訳 「委員会学校」)という名の学校の運営に当たった。

1880年初等教育法(Elementary Education Act 1880)

自由党(Liberal Party; 旧称・蔑称 Whigs)のグラッドストン(William Ewart Gladstone, 1809-98; 首相在任1868-74, 1880-85, 1886 & 1892-94; オクスフオッド大学基督教会学寮卒)内閣の下(もと)で1880年初等教育法(Elementary Education Act 1880)が勅裁・施行される。この法律のお蔭で初めて義務教育(compulsory education)という概念が導入され、その年限を5歳から10歳までとした。十一年後の1891年には私学を除く初等教育が事実上ほぼ無料になった。十三年後に改定された1893年初等教育(学校出席)法(Elementary Education (School Attendance) Act 1893)では義務教育年限を5歳から11歳までとした。

1902年教育法(Education Act 1902)

保守党(Conservative Party; 通称・蔑称 Tories)の初代バルファ伯爵アーサー・バルファ(Arthur James Balfour, 1st Earl of Balfour, 1848-1930; 首相在任1902-05)内閣の下(もと)で1902年教育法(Education Act 1902)、通称 バルファ法(Balfour Act)が勅裁・施行される。なお、日本の歴史資料では発音を誤って「バルフォア法」としている( https://en.oxforddictionaries.com/definition/balfour,_arthur_james )。この法律によって地方自治体が中等学校(secondary school: 直訳「第二学校」)を開学することが可能となる。しかし資金は国から出るので、国立学校(state schools; state-funded schools)の扱いとなる。小学校が従来までの elementary school (直訳「初級学校」)から primary school (直訳「第一学校」)に名称変更となったことで、アメリカ英語との違いが生まれる。また、中等学校が従来までの higher elementary school (直訳「高等初級学校」)から secondary school (直訳「第二学校」)に名称変更となる。このため、primary (第一)から secondary (第二)という具合に分かり易くなった。ちなみに大学教育のことを tertiary education (直訳「第三教育」)または higher education (直訳「より高度な教育」; 通常和訳「高等教育」)と英語(米語を含む)では呼んでいる。1870年にできた従来までのボード・スクール(board school: 直訳 「委員会学校」)は、カウンティ・スクール(county school: 直訳 「州学校」; 国立でありながら地方自治体が雇用と児童・生徒の受け入れに責任を持ち、敷地内の不動産を有する学校)に改名する。

【アメリカの古い漫才ネタ】

“Holmes, which did you attend, Oxford or Cambridge?”

「ホームズ、君はどっちに行ったんだね、オクスフオッドかい、それともケイムブリヂかい?」

“Elementary, my dear Watson, ha ha ha.”

「初級だよ、ワトスン君、ハハハ。」

[ネタの解説]

スコットランドのエディンバラ大学医学部卒の元開業医、コナン・ドイル(Sir Arthur Conan Doyle, 1859-1930)によって作り出された名探偵シャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)は設定上1854年生まれということになっているが、歿年は不明である。ホームズが印刷メディアに初登場したのは1887年のことで、最後に登場したのが1917年なので、ちょうど三十年間に亘(わた)って活字メディアを賑(にぎ)わせたことになる。作品数は短篇×56+長篇×4=計60作である。

ホームズは、著者ドイルの分身とも言える医学博士ワトスン(John H. Watson, M.D.)の親しい友人という設定だが、二人はファーストネームのシャーロックとジョンでお互い同士呼び合うことが皆無(かいむ)で、まるで日本人男性のように苗字のホームズとワトスンで呼び合っている。これはパブリックスクール(public school: 私立名門中高)の出身者の男性にありがちな習慣であるため、ホームズとワトスンの二人がパブリックスクールの出身者である可能性が示唆(しさ)されているが、計60作の原作に、はっきりと書かれているわけではない。また、ホームズがオクスフオッド(牛津)かケイムブリヂ(剣橋)のどちらかの卒業生であることも仄(ほの)めかされてるが、これも原作では不明瞭にされている。

こうした点を踏まえた上での質問が、上記のギャグ(gag)の最初の台詞(セリフ)だが、ホームズの切り替えし「初級だよ、ワトスン君。」は英語圏の人なら誰もが知る名文句である。多くの人はこの台詞がドイルの原作に書かれていると信じ込んでいるが、実は計60作(56の短編と4つの長篇)の原作のどこにも書かれていない( https://www.youtube.com/watch?v=uNBSEFN8KUE )。そして漫才の中のホームズの答えは、「そんなの簡単じゃないか、ワトスン君。」という通常の意味と、「エレメンタリースクール(elementary school)、つまり初級学校しか出てないよ。」という意味を掛け合わせた名回答(或いは迷回答か)となっている。ところが上記にあるように、1902年教育法(Education Act 1902)が施行されたため、イギリスの小学校の名称が初級学校(elementary school)から第一学校(primary school)に変更されてしまい、上記の冗句(joke)はアメリカでしか通用しなくなってしまったのである。

1918年教育法(Education Act 1918)

自由党(Liberal Party; 旧称・蔑称 Whigs)の初代ドワイフォー伯爵ロイド・ジョージ(David Lloyd George, 1st Earl Lloyd-George of Dwyfor, 1863-1945; 首相在任1916-22)内閣の下(もと)で1918年教育法(Education Act 1918)、通称 フィッシャー法(Fisher Act)が勅裁・施行される。この法律によって、1891年以来事実上無料も同然だったが、5歳から11歳までの小学校(primary school)の学費が完全無料となり(但し、私学は該当しない)、義務教育年限は5歳から14歳までとなる。

1944-76年の国立中等学校

1944年、第二次世界大戦(the Second World War; World War II, 1939-45)中の挙国一致内閣(national government)だったチャーチル(Sir Winston Churchill, 1874-1965; 首相在任1940-45 & 1951-55; 王立サンドハースト陸軍士官学校卒)内閣の下(もと)で1944年教育法(Education Act 1944)、通称 バトラー法(Butler Act)が勅裁・施行される。この法律を改定した1947年から義務教育の年限は5歳から15歳までとなる。この法律のお蔭で5歳から15歳まで(1973年の法改正で5歳から16歳まで、2008年の法改正を受けて2013年秋からは暫定的に5歳から17歳まで、2015年秋からは5歳から18歳まで)をカバーする初等教育と中等教育の全体が初めて義務化された。これに伴い国民の大多数が通う国立中等学校は学費が無料となった(国立小学校は1891年から原則無料、1918年からは完全無料)。日本の公立中学・高校に相当する国立中等学校(state secondary schools)と、一部の富裕層(上流階級及び上層中産階級)のための私学(independent schools)とが共存したが、国立学校では三分割制度(Tripartite System トゥらイパータイト・スィステム)の下(もと)で11歳児は十一プラス試験(the Eleven Plus examinations; the eleven-plus exams)の受験が義務づけられた。その試験結果に基(もと)づき、11歳児は3種類の国立学校に振り分けられた。

・ 上位15~20%程度が文法学校(grammar schools)という名の進学校に入り、中産階級としての学術的知識を修得した。かつて学問研究に欠かせなかった羅典(ラテン)語の文法を叩き込んだ学校だったので、今でもこの名で呼ばれる。1976年以降に数を減らすが、今日でも辛うじて存続している。ドイツのギュムナージウム(Gymnasium; 複数形は Gymnasien ギュムナージエン)や、フランスの前期中等教育を担(にな)うコレージュ(collège; 複数形は des collèges デコレージュ)と後期中等教育を担うリセ(lycée; 複数形は des lycées デリセ)にほぼ相当する。

・中位10%未満が中等技術学校(secondary technical schools)に入り、「中の下」階級または熟練労働者階級としての技術的知識を修得した。現在は存在しない。

・下位70%以上が中等近代学校(secondary modern schools)に入り、非熟練(下層)労働者階級としての日常的知識を修得した。現在は存在しない。

1973年、義務教育の年限が5歳から16歳までに拡大。

1976年以降、現在に至る国立中等学校

労働党(Labour Party; 通称 Labour)のキャラハン(James Callaghan, Baron Callaghan of Cardiff, 1912-2005; 首相在任1976-79; 旧ポーツマス北中等学校、現メイフィールド学校の出)内閣が、「階級を固定化するもの」として上記の三分割制度(Tripartite System)を1976年に廃止した。しかしながら英国的な妥協(だきょう: compromise コンプロマイス)の産物として保守党(Conservative Party; 通称・蔑称 Tories)支持者の多い一部地域でのみ旧来の文法学校(grammar schools)を残し、その他の全ての国立中等学校を総合学校(comprehensive schools)に変える改革を断行した。しかし或()る程度の資産や地位を有する家庭の子が国立を避けて私学に流れたため、労働党の理念とは裏腹に、 結果として皮肉なことだが却(かえ)って格差社会が進行してしまった。それでも就学人口の実に86.8%もが二十一世紀の現在も総合学校に通っている。

なお、総合学校(comprehensive schools)自体は、第二次世界大戦(1939-45年)後まもなく一部の自治体で試験的に開学し、1965年以降にその数を増やした。意外なことに保守党のヒース(Sir Edward Heath, 1916-2005; 首相在任 1970-74; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣のサッチャー(Margaret Thatcher; Baroness Thatcher, 1925-2013; 首相在任1979-90; オクスフオッド大学サマヴィル学寮卒)文部科学大臣(Secretary of State for Education and Science)によって、その数が増やされた。

ちなみに日本ではイギリスよりやや早く昭和四十年代(1960年代後半から’70年代前半)に社会党(現在は立憲民主党と国民民主党と民進党と社民党に分裂)主導で地方議会や地方首長が「階級格差をなくす」という理念の下(もと)に、公立高校に小学区制度を導入した。しかしその理念とは裏腹に或る程度の資産や地位を有する家庭の子が公立を避けて私学に流れたため、結果として皮肉なことだが却って格差社会が進行してしまい、たとえば東京では名門都立高校の凋落(ちょうらく)が以後四半世紀ほど続くことになった。

1988年教育改革法(The Education Reform Act of 1988)

サッチャー(Margaret Thatcher; Baroness Thatcher, 1925-2013; 首相在任1979-90; オクスフオッド大学サマヴィル学寮卒)内閣第三期(the third government of Margaret Thatcher, 1987-90)が1988年に抜本的な教育改革を断行。公教育に統一学力テストを導入し、テスト結果を公表させることで学校間の競争(competition)を生み出し、親に好きな学校を選ばせる市場経済(market economy: 「市場原理」の訳語もあり)を導入した。これは地方分権(local autonomy)型から中央集権(centralism)型への大変革でもあった。戦後英国の公教育は良くも悪くもサッチャーによって根幹から変えられた。この改革の柱は端的に言えば競争と選択の自由(competition and freedom of choice)だが、より細かくは下記の通りである。

1)全国共通カリキュラム(National Curriculum: 日本の「学習指導要領」に相当)と、7・11・14歳児の全国統一学力テスト(National Test)を導入する。

2)上記の全国統一学力テスト(National Test)の結果を公表し、親に学校選択権を付与する。

3)学校自治(school autonomy)の保障のためだとして、サッチャーと敵対する労働党(Labour Party; 略称 Labour)の影響力が強すぎる地方教育当局(LEAs: local education authorities)の権限を極力縮小化し、実際には国による中央集権化(centralisation)を進める。

4)従来までの大学進学希望者向け義務教育修了試験と、就職希望者向け義務教育修了試験を一本化し、16歳(または15歳)時点で GCSE (General Certificate of Secondary Education: 中等教育一般修了証) examinations を全員に国家資格試験として受験させる。

5)大学をも含めた学校の査察機関である「教育水準局(フステッド)」(Ofsted: Office for Standards in Education)の設置を約束。これを実際に設置できたのはサッチャーの後継である同じ保守党のメイジャー(John Major, b.1943; 首相在任1990-97; 旧ラトリッシュ文法学校、現ラトリッシュ中等学校の出)=後の英勲爵士ジョン・メイジャー(Sir John Major, b.1943)=内閣の時代であり、1992年のこと。

6)自虐的偏向教育(左翼教育)をやめさせ、歴史教育でナポレオン戦争(Napoleonic Wars, 1803-15)中の栄光や、1833年奴隷制廃止法(Slavery Abolition Act 1833)など英国史の光の部分に焦点を当てることによって、自国への誇りを取り戻す。現にサッチャー改革前の歴史教科書では、おどろおどろしいドクロで埋め尽くされたイギリスの地図や、アフリカを殖民地支配するイギリスを醜いブタに喩(たと)えたイラストが載せられていた。このままでは自国に対して誇りが持てないとサッチャーは考えた。イギリスの教科書は自由発行であるが、上述した全国共通テストの結果公表システムが導入されたことによって、日本のような教科書検定制度がなくても全国共通カリキュラム(National Curriculum)に基づいた教科書がつくられている。しかしこのサッチャー改革によってインド独立の父ガンディー(Mahatma Gandhi, 1869-1948)を授業で扱わないなどの弊害が出る。

上記1番は教育内容が地域や学校によってバラバラだったことへの反省から導入された。生徒数に応じて国の教育予算が配分されるため、各学校は親の人気を集めるためにも自校の生徒に良い成績を取ってもらう必要が生じた。成績の悪い学校は親に選んでもらえず、生徒数は減り、予算も大してつかないので、悪循環 (vicious circle ヴィッシャススァークゥ)に陥(おちい)るという恐ろしい制度でもある。上記3番にある学校自治の保障では学校に説明責任(accountability アカウンタリティ: 質の高いサービスを提供する責任と義務)を与えた。

サッチャーの後を継いだ同じ保守党(Conservative Party)のメイジャー内閣(Sir John Major, b.1943; 首相在任1990-97; 旧ラトリッシュ文法学校、現ラトリッシュ中等学校の出)も、それを選挙で倒した労働党(Labour Party)のブレア(Tony Blair, b.1953; 首相在任1997-2007; オクスフオッド大学聖ヨハネ学寮卒)内閣も教育に関してはサッチャー路線を引き継いだ。

この改革で良かった点は、全国統一学力テストの結果が数値で一目瞭然となり、親たちは「教育の透明度が増した(There’s been more transparency in education.)」として歓迎した。また、労働党のブレア内閣の場合は成績低迷校への支援も開始したので、「市場経済」一辺倒だった保守党の政策とは一線を画(かく)したと言える。

しかしどんな改革にも欠点はある。学校が明確に勝ち組(winners)と負け組(losers)とに分かれてしまい、格差社会・二極分化社会(polarised society)が益々(ますます)進行してしまった。つまり金持ちの住む瀟洒(しょうしゃ)な住宅街の学校は成績優秀なため予算配分もたくさんある。他方、公営団地(council blocks; council tower blocks)が立ち並ぶ危険で貧しい地域の学校は益々荒廃し、希望を失った子供たちや元子供たちが犯罪に手を染めるようになる。また、教員に対する社会的な締め付けや、教員が頭に抱く「成績を上げなければ」という心的圧力(pressure)は激しいものがあり、「学校と教員は窒息しそうだ! (Schools and teachers are being suffocated!)」という声も聞かれる。教員は給与収入が低く抑えられ、昔のような敬意も払ってもらえないため、成り手が少ない状態が続いてい る。こうなると子供のために本当に良い改革だったの否か疑問が生じる。

1997年5月2日(金)~2010年5月11日(火)、ブレアとブラウンの労働党政権による教育改革

1997年5月2日(金)に十八年ぶりの労働党政権(Labour government)としてブレア(Tony Blair, b.1953; 首相在任1997-2007; オクスフオッド大学聖ヨハネ学寮卒)内閣が、首相満43歳(但し、44歳の誕生日の4日前)の若さで組閣するが、ブレア氏は政権に就く約半年前の1996年10月に最大野党の党首の肩書で選挙キャンペーンの一環で行なったスピーチの中で ‘Ask me my three main priorities for Government and I tell you: Education, education and education.’ (政府にとっての私の3つの優先事項を訊()かれたら、こう言います。教育、教育、教育とね。 https://www.youtube.com/watch?v=yRloeL9Zpt8 )と述べていた。この標語(slogan)を敢えて日本的に訳せば、「一に教育、二に教育、三四が無くて五に教育。」とでもなるだろう。ブレアは政権に就くと同時に教育改革に着手し、児童・生徒一人当たりに費やす国家予算を50%(厳密には48~55%)増額し、教員数を約3万5千(35,000)人増やし、しかも給与を18%も引き上げた。さらには17万2千(172,000)人の教育助手を新規雇用することで、落ちこぼれ(school dropouts)や、いじめ(school bullying)の根絶に取り掛かった。

1998年学校基準・構成法(School Standards and Framework Act 1998)が勅裁・施行され、1902年から続いた従来のカウンティ・スクール(county school: 直訳 「州学校」; 国立でありながら地方自治体が雇用と児童・生徒の受け入れに責任を持ち、敷地内の不動産を有する学校)は、1998年に廃止され、コミュニティ・スクール(community school)に改名する。また、同法によって、1988年から続いた従来までのグラント・メインテインド・スクール(grant-maintained school: 直訳 「補助金で維持される学校」、通常訳 「政府資金運営校」; 学校・教育機関が地方当局の管轄を離れ中央政府=国からの直接の助成金で運営される小・中学校)がファウンデイション・スクール(foundation school: 直訳 「維持基金学校」)に拡大発展する。

ブレア内閣は、すべての国立総合中等学校(comprehensive schools: 国民の大多数が通う学校)を専門系学校(specialist schools)にすると宣言した。工学、科学、コンピュータ、藝術、スポーツなど十分野のいずれかに特化することで11万ポンド(当時のレートで約2180万円)の追加予算を得られるようになるとのことで、最終的に全体の約90%に相当する約三千校の国立総合中等学校が専門系学校になった。

労働党のブレア内閣も党派こそ違えど上記の保守党サッチャー(Margaret Thatcher; Baroness Thatcher, 1925-2013; 首相在任1979-90; オクスフオッド大学サマヴィル学寮卒)内閣とその後継のメイジャー(Sir John Major, b.1943; 首相在任1990-97; 旧ラトリッシュ文法学校、現ラトリッシュ中等学校の出)内閣が着手した教育政策路線を継承し、学力強化政策、学校間の競争激化、親による選択の自由という市場原理を推進した。2000年には弱い学校に支援の手を差し伸べるべく、業績の上がらない国立総合中等学校を地方教育委員会(LEA: Local Education Authority)から切り離し、大学やエリート私立学校や慈善団体や一般企業などの支援で運営するアカデミー(academy)という新種の学校に生まれ変わらせる。結果としてイングランドの国立総合中等学校の約3分の1がアカデミーになった。

ブレア内閣のもう一つの特色は、1997年の選挙キャンペーンの中でマニフェストォ(manifesto: 語源的には羅典(ラテン)語で「我は公(おほやけ)にす」から転じた「(政治的な)宣言文」の意)として打ち出した通り、イングランドを除く「他の3つの国」(the other three countries)=ウェールズ、スコットランド、北アイルランド(Wales, Scotland and Northern Ireland)=に出来うる限り最大の分権(devolution ディーヴォリューシュン)を与えたことである。ここで言う「分権」とは政治にとどまらず教育分野にも及び、イングランド以外の地域は従来以上に独自色を増して行った。

しかしながら、ブレア内閣の教育政策も学校現場での評判は芳(かんば)しくなかった。テストの成績で学校が序列化されて地域による階層化を招いたことや、学校でテスト科目以外の科目が軽視されたことが原因である。こうして7・11・14歳児の全国統一学力テスト(National Test)の廃止を求める声が高まった。ブレア内閣が政権に就くとすぐにウェールズとスコットランドと北アイルランドに独自の政府と議会を認める分権化(devolution ディーヴォリューシュン)を推進したことが功を奏し(見方によっては仇(あだ)となり)、統一テストはまずこれらの地域(イングランドを除く連合王国の全地域)で廃止された。その後はイングランドでも小学校最終学年の11歳児テストを残すのみとなった。

イギリスの教員も日本同様に多忙感を募らせている。そこで2005年9月にブレア内閣は「計画立案と準備と査定」(PPA: Planning, Preparation and Assessment)と称する時間を教員たちに提供した。これは教員の労働時間の10%を占めている。授業や会議や生徒指導や保護者対応から離れて文字通り「計画立案と準備と査定」に時間を有効利用してもらおうという施策である。ブレア内閣はそのための財源を確保し、教員を補助する職員も雇用した。ところがOECD等の調査結果( https://sites.google.com/site/xapaga/home/oecd2013 )によると、ブレア内閣とその後継であるブラウン(Gordon Brown, b.1951; 首相在任2007-10; エディンバラ大学歴史学博士)内閣の労働党政権による一連の改革はイギリス人児童生徒の学力向上には全く効果がなかった。そのため2010年5月11日(火)に十三年ぶりに政権に就いた保守党(Conservative Party; 蔑称 Tories)のキャメロン(David Cameron, b.1966; 首相在任2010-16; オクスフオッド大学ブレイズノウズ学寮卒)内閣は、専門系学校のプログラムを廃止した。

2008年教育・技能法(Education and Skills Act 2008)

2008年11月26日(水)、労働党(Labour Party; 通称 Labour)のブレア(Tony Blair, b.1953; 首相在任1997-2007; オクスフオッド大学聖ヨハネ学寮卒)内閣の後を継いだ同じ労働党のブラウン(Gordon Brown, b.1951; 首相在任2007-10; エディンバラ大学歴史学博士)内閣が導入した2008年教育・技能法(Education and Skills Act 2008)に勅裁(Royal Assent)が下りて発効する。この新法では1997年9月1日(月)以降に生まれた者は義務教育期間が5歳から18歳まで(この法律の施行前は5歳から16歳まで)となった。したがって実際に18歳まで義務教育を受けさせられるようになったのは2015年のことであるが、2013年には移行期間として義務教育期間を5歳から17歳までとした。義務教育(compulsory education)といっても就学だけでなく、職業訓練(job training; occupational training)も認められている。

2010年5月11日(火)には保守党(Conservative Party; 通称・蔑称 Tories)のキャメロン(David Cameron, b.1966; 首相在任2010-16; オクスフオッド大学ブレイズノウズ学寮卒)内閣に政権交代したが、ライバルの労働党が通した2008年教育・技能法をそのまま踏襲(とうしゅう)し、義務教育年限拡大の教育政策を進めた。2016年7月13日(水)に組閣したメイ(Theresa May, b.1956; 首相在任2016-19; オクスフオッド大学聖ヒュー学寮卒)内閣も同様である。

2010年5月11日(火)~’15年5月8日(金)の第一次キャメロン内閣の改革

上述した労働党政権による二十世紀(1901-2000年)末から二十一世紀(2001-2100年)初頭にかけての一連の改革は、イギリス人児童生徒の学力向上には全く効果がなく、OECD等の国際比較( https://sites.google.com/site/xapaga/home/oecd2013 )で日本やフィンランドなどに大きく水を開()けられ、惨憺(さんたん)たる結果を出した。

2010年5月11日(火)に十三年ぶりの保守党政権(Conservative government; 通称・蔑称 Tory government; 但し、自由民主党との連立内閣)としてキャメロン(David Cameron, b.1966; 首相在任2010-16; オクスフオッド大学ブレイズノウズ学寮卒)内閣が、首相就任時満43歳7ヶ月の若さで組閣した。キャメロン氏の連立内閣が組閣して最初に着手したのは、2010年アカデミー法(Academies Act 2010)の施行である。この法律により、ブレア内閣(1997-2007年)の遺産(legacy)とも言える専門系学校プログラム(specialist school programme)は廃止され、従来までのアカデミー(academy)はフリースクール(free school: 直訳 「自由学校」とも「無償学校」とも解釈可能)と名を変えて拡大発展させている。フリースクールとは、税金で賄(まかな)っていて、入試などの選抜が無く、誰でも入れるという意味で「フリー」であり、親や教員や慈善団体や企業が希望すれば自由に設立できるという意味でも「フリー」である背景にはキャメロン内閣が当時肩入れしていた「大社会」(Big Society)という政治的イデオロギー(political ideology プァテクゥアイデルァヂィ)が在()り、「位階制(ヒエラルキー)と自由志願制に基づく社会的連帯の理論と自由市場=市場経済を一体化する」(integrating the free market with a theory of social solidarity based on hierarchy and voluntarism)という考え方である。なお、「ヒエラルキー」とは和製カタカナ語であり、ドイツ語の女性名詞 Hierarchie (/hi̯eʀaʁˈçiː/ ヒェらふヒー)と英単語の hierarchy (/ˈhʌɪərɑːki/ ハイァらーキー)がごちゃ混ぜになった語である。

また、上述したように、2015年のキャメロン政権下で、前政権のブラウン(Gordon Brown, b.1951; 首相在任2007-10; エディンバラ大学歴史学博士)内閣が導入していた2008年教育・技能法(Education and Skills Act 2008)の実質的な効力が生じた(1997年生まれの子が満18歳に達した)ため、イングランドに於()ける義務教育の年限が下は5歳から上は18歳という具合に英国史上最長の計13年もの長さになり、今日に至っている

2016年7月13日(水)に組閣した保守党(Conservative Party; 通称・蔑称 Tories)のメイ(Theresa May, b.1956; 首相在任2016-19; オクスフオッド大学聖ヒュー学寮卒)内閣も、それに現在のジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣も、今のところキャメロン内閣の教育政策を踏襲(とうしゅう)している。2020年現在も保守党政権によって推進されているフリースクール政策は、教職員組合が強く反対している。資金提供者の意向が授業内容に強く反映されてカリキュラムが偏った内容になってしまうことや、資金提供を約束した企業が途中で資金を払えなくなってしまう危険性(リスク)があるからだ。日本同様にイギリスの教職員も左翼的・反体制的な傾向が強く、保守党(日本で言えば自由民主党に相当)の推し進める大企業に寄り沿った、金持ち優遇的な政策には強いアレルギーがある。

児童・生徒の93%以上が通う国立学校の歴史的変遷(まとめ)

https://en.wikipedia.org/wiki/State-funded_schools_(England)#History

イギリスの教育制度 ~その歴史と改革の動向~

大阪教育法研究会

大阪高法研ニュース 第121号

伊藤靖幸(いとう やすゆき, 生年非公開)

1992年8月

http://kohoken.chobi.net/cgi-bin/folio.cgi?index=cnt&query=/lib/khk121a1.htm

イングランドの教育システム(大部分はウェールズを含む)

(太字で表わした5歳から18歳までが義務教育期間)

21

20 JYA (Junior Year Abroad)

19 JYA (Junior Year Abroad) University [註1]

18 university [註1](国立) university [註1] Gap Year college of higher education

17

16 sixth form or sixth form college [註2] college of further education

15

14

13 public school

12

11 (public school) comprehensive school grammar school

10

09

08 junior school

07 preparatory school

06

05 primary school infant school

04

03

02 pre-prep school nursery school

年 私学 [註3] 国立

齢 independent state

・ 5歳から7歳までの Year 1 と Year 2 を Key Stage 1 (KS1)とする。

・ 7歳から11歳までの Year 3 と Year 4 と Year 5 と Year 6 を Key Stage 2 (KS2)とする。

・ 11歳から14歳までの Year 7 (1st form secondary)と Year 8 (2nd form secondary)と Year 9 (3rd form secondary)を Key Stage 3 (KS3)とする。

・ 14歳から16歳までの Year 10 (4th form secondary)と Year 11 (5th form secondary)を Key Stage 4 (KS4)とする。

・ 16歳から18歳までの Year 12 と Year 13 (ともに 6th form secondary)を Key Stage 5 (KS5)とする。

註1: イングランド&ウェールズの大学は原則三年制(スコットランドや米国や日本は四年制)だが、医学部は五年制(日米は六年制)。イングランド&ウェールズでも学修に時間を要するアラビア学や日本研究・日本文学や化学などは四年制。

註2: 上記の sixth form (第六年級)とは、戦前の日本で言う大學預備門(だいがく よびもん)や大學預科(だいがく よか)に近い。自分が11歳から通っている中等学校に sixth form (第六年級)が存在する場合は、その学校に(まるで大学院修士課程のように)2年間残って勉強する。しかしながら、sixth form (第六年級)が存在しない場合は外部の sixth form college (第六年級コレッヂ)に入学する必要がある。

註3: 私学在学者の割合は就学人口の7%未満(約6.5%と言われるが、私立学校の数は約2,600校もある)なのに対して、国立(但し、個々の学寮は私立の扱い)オクスフオッド大学在学者の私学出身者の割合は約43%。私学から同大学への進学が如何(いか)に有利かを如実(にょじつ)に示していると言える。また、私学の中でもトップレベルの学校は、パブリックスクール(public school: 幕末期・明治期の訳語として「義塾」や「共立學校」 https://www.keio.ac.jp/ja/about/history/encyclopedia/7.html / https://www.keio.ac.jp/ja/about/history/encyclopedia/8.html / https://kaiseigakuen.jp/about/history/ )と呼ばれている。これらはかつて学費が無料で誰でも入学できたので、「パブリック」と呼称しているが、時代と共に金持ちの溜まり場と化していき、現在に至っている。

【関連サイト】

英国政府(GOV.UK = Her Majesty’s Government)公式ウェブサイト

Schools and education

(学校と教育)

https://www.gov.uk/browse/childcare-parenting/schools-education

日本国文部科学省(MEXT: Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology)公式ウェブサイト

総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室

イギリスの学校系統図

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/015/siryo/attach/1374963.htm

【個人ブログ】

バイリンガル子育て

イギリス移住で感じるイギリス義務教育制度がややこしやの件(小学校から中学校)

在英ブロガー アルノ(本名・生年ともに非公開)

2021年3月31日(水)

https://everydayuk.xyz/post-0-4

* 但し、「日本より2年長い義務教育」という記述は情報が古すぎて誤りなので注意!

【インタビュー記事】

「イギリス人として軍事訓練をした」。日本人が受け入れられない学校で“人種差別の残酷さ”を知った女性|イギリスで“日本人”として生きることとは

NEUT

谷村リサ(たにむら りさ; Lisa Tanimura, 生年非公開)

2017年10月26日(木)

https://neutmagazine.com/Interview-Lisa-Tanimura

https://www.neol.jp/blog/lisatanimura/62068/

【参考動画】

Boarding Schools - what are they like?

(寄宿学校ってどんな感じ?)

Lindybeige (ベージュ色のリンディ)

2016年10月16日(日) 公開

https://www.youtube.com/watch?v=sBOlVTSiOEs (5:23-6:02 & 7:10-8:06 of 8:23)

【参考資料】

苅谷剛彦、志水宏吉 「第4回プロジェクト研究会 イギリスにおける教育改革と学力問題—現地調査から—」(東京大学学術機関リポジトリー、2000年10月28日(土))

https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/1481/1/KJ00000051368.pdf

国立国会図書館(英称 NDL: National Diet Library)文教科学技術課 吉田多美子 「イギリス教育改革の変遷—ナショナルカリキュラムを中心に—」(国立国会図書館 『レファレンス』平成17年=2005年11月号

https://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/refer/200511_658/065805.pdf

「教育指標の国際比較(平成20年=2008年)」他を参考にして作成された日本国文部科学省(英称 MEXT: Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology) 「就学前教育・保育制度の国際比較(未定稿)」

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/049/shiryo/attach/1376406.htm

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomoen/k_2/pdf/s2.pdf

独立行政法人労働政策研究・研修機構(英称 JIL: The Japan Institute for Labour Policy and Training)によるイギリスの学校系統図

(但し、上記の「2008年教育・技能法」を反映していない古い資料のため取扱注意)

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2011/08/p234_t8-2-3.pdf

城西大学の新井浅浩(あらい あさひろ, b.1961?)教授が国立教育政策研究所(NIER: National Institute of Educational Policy Research)で発表した成果報告書「II.教科書制度と教育事情: 5. イギリス」(2009年3月)

https://www.nier.go.jp/seika_kaihatsu_2/

https://www.nier.go.jp/seika_kaihatsu_2/risu-2-205_kingdom.pdf

東京都議会民主党議員団が文責 馬場裕子(ばば ゆうこ, b.1946)都議会議員で発表した海外視察報告書「第4章 イギリスの教育行政について」(2010年)

https://www.gikai.metro.tokyo.jp/images/pdf/oversea/2101_4.pdf

【参考】

英名門女子校で英私立中等学校ランキング第3位の聖パウロ女子校(SPGS: St Paul’s Girls’ School)が11歳女児に課す入試問題見本

https://www.spgs.org/admissions/entry-at-11/academic-preparation/

https://spgs.org/wp-content/uploads/2018/01/Sample-English-Paper-1-2016.pdf 英語1(日本で言う「国語」に相当するが、より文学的)・制限時間は1時間15分(読みの時間10分を含む)

https://spgs.org/wp-content/uploads/2014/08/Sample-English-Paper-2.pdf 英語2(日本で言う「国語」に相当するが、より文学的)・制限時間は1時間15分(読みの時間10分を含む)

https://spgs.org/wp-content/uploads/2014/08/Sample-Maths-Paper-1-2017.pdf 数学1(実際には算数)・制限時間は25分×3=1時間15分

https://spgs.org/wp-content/uploads/2014/08/Sample-Maths-Paper-2-2017.pdf 数学2(実際には算数)・制限時間は25分×3=1時間15分

https://spgs.org/wp-content/uploads/2014/08/Sample-Comprehension-Paper-2.pdf 読解力1(日本で言う「国語」に近く、論説文に比重)・制限時間は1時間15分

https://spgs.org/wp-content/uploads/2014/08/Sample-Comprehension-Paper-3.pdf 読解力2(日本で言う「国語」に近く、論説文に比重)・制限時間は1時間15分

【比較参考】

灘中学校が12歳男児に課した2013年算数入試問題

https://togetter.com/li/442322

2つの重要な国家資格試験、GCSEA Levels (一部マスコミでは A-Levels とハイフン付きで表記されることもあり)

16歳(または15歳)で GCSE (General Certificate of Secondary Education: 中等教育一般修了証) examinations を全員が国家資格試験として受験する。筆記試験の一本勝負のみならず、得点の10~60%までを個人研究のコースワーク(一種の卒論)で代用する権利もある。英語(英国人にとっての国語)と数学と理系の科目1つがどの学校でも必修だが、多くの学校では他に英文学、近代外国語の中か ら最低1言語(多くの生徒はフランス語またはドイツ語、或いはその両方を選択)、技術家庭、宗教学を必修にしている。生徒の中には10科目もGCSEを受 験する者もいる。A* (A-star), A, B, C, D, E, F, Gまでが合格だが、大抵の会社はCまでが事実上の許容範囲。不合格には U (ungraded: グレード化されない)と X (no mark given: 評価すること自体が不可能) がある。上の sixth form (直訳「第六学年」)やさらに上の university などに進むには5科目で合格点を取る必要がある。

しかし国立校の約半数の生徒がGCSEの国語(英語)や数学といった主要教科で合格点を取れないまま学校を出ていくことが特にイングランドで問題になっていたが、政府は2015年、イングランドの義務教育修了年齢を18歳に引き上げた。GCSEで合格点が取れていないと、まともな職に就くことができない。

GCSE試験問題の例: 科目「英文学(English Literature)」

・シェイクスピア(William Shakespeare, 1564-1616)の『マクベス』第2幕(Macbeth, Act II)について論じなさい。

GCSEコースワークの例: 科目「経済学(Economics)」

・地域のデータを用いて家の販売価格を調査し、どのような要因が価格に影響しているかを論じなさい。

・区市町村の一部を調査し、どのようなビジネスがあるか分類し、地域社会にとっての重要性について論じなさい。

・あなたの居住地域の失業の原因を論じなさい。

・あなたの居住地域の貯金の方法を調査し、学生、年金生活者、新婚夫婦のそれぞれにとってどのような貯金方法がもっともよいかについて説明しなさい。

・10個の有名ブランド商品を選び、小売店、チェーン店、全国的なスーパーマーケットで値段を調査し、その結果についてコメントしなさい。

(竹内洋『パブリック・スクール』講談社現代新書, 1993から抜粋、一部語句を改変)

GCSEコースワークの例: 科目「化学(Chemistry)」

・アスピリンは今でも夢の薬だろうか、それとも過大評価だろうか。(Is Aspirin still a wonder drug, or is it over-rated?)

GCSEコースワークの例: 科目「物理学(Physics)」

・英国には原子力発電所(原発)が必要か。(Does the UK need nuclear power stations?)

【GCSEを巡る事件簿】

GCSE exam error: Board accidentally rewrites Shakespeare

(GCSEで出題ミス: 試験実施委員会が、うっかりミスでシェイクスピアの文を書き換える)

By Hannah Richardson BBC News education reporter

(ハナ・リチャードソン教育問題担当記者署名記事)

英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)

2017年5月26日(金)

https://www.bbc.com/news/education-40059967

この日(金曜)約14,000人のティーン(13~19歳に限定する英語表現だが、実際には15~16歳)の子が受験した「英文学」(English Literature)のGCSE試験で、出題ミスがあったことを試験実施委員会最大手の OCR が認めた。

そのミスとは、シェイクスピア(William Shakespeare, 1564-1616)の『ロミオとジュリエット』(Romeo and Juliet)に関する問題で、重要な脇役であるティボルト(Tybalt)の家系(family background)について他との混同があったことを指す。

試験問題はティボルトがモンタギュー家の一員(a Montague)としていたが、正しくはキャピュレット家の一員(a Capulet)だった。

同委員会は謝罪するとともに、この出題ミスで不利益を受けた受験生は一人もいないとしたが、中等学校の校長たち(head teachers)は問題ミスが「深刻」(serious)だとしている。

試験内容規制監督団体(exams regulator)である Ofqual (ヴクウォー)こと、資格及び試験規制監督局(Office of Qualifications and Examinations Regulation)の話では、今回の問題は受け入れ難(がた)い(unacceptable)ため、今後 OCR の原因究明調査を細かく監視して行くとのこと。

学校・学院指導者協会事務局長(general secretary of the Association of School and College Leaders)のジェフ・バートン(Geoff Barton)氏は言う、「誤った内容が試験問題として印刷されているのを見ると、受験生は自信を削(そ)がれてしまう可能性がある。」(When candidates see errors in a paper it can undermine their confidence.)と。

(改行・後略)

2018/19年度(Academic Year 2018/19)の GCSE の日程(2019年5月6日(月)から6月28日(金)まで)

https://filestore.aqa.org.uk/admin/t_table_pdf/AQA-TT-GCSE-JUN19-CONFIRMED.PDF (リンク切れ)

https://filestore.aqa.org.uk/admin/t_table_pdf/AQA-TT-GCSE-JUN19-CHANGELOG-CONFIRMED.PDF (リンク切れ)

2019/20年度(Academic Year 2019/20)の GCSE (2020年5月~6月)は新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の影響により中止(① 無試験によるアルゴリズム評価、② 同年=2020年の秋まで受験を延期、③ 翌年=2021年の5月~6月まで受験を延期、の3つの中から選択可)

https://www.aqa.org.uk/coronavirus

無試験による成績評価法

https://www.aqa.org.uk/coronavirus/how-grades-will-be-awarded-without-exams

イングランド&ウェールズ、そして北アイルランドでは、18歳(または17歳)で A Levels (正式には GCE Advanced Level examinations: 教育一般修了証上級水準試験)を一部の学生が国家資格試験として受験する。この試験の前半部分を AS Level(Advanced Subsidiary Level: 上級副次的水準)と言い、sixth form (第六年級)の1年目に受験する。その際、多くの子は3~5科目を受験する。また、後半部分を A2 Level と言い、sixth form (第六年級)の2年目=最終年度に受験する。その際、多くの子は3科目に絞って受験する。非常に専門的な論述(エッセイ)試験であり、多くは日本の大学3年生程度のレベルに相当する。しかも英文学に至っては日本の英文科系大学院生が受けても難しい。大学進学のためには欠かせない試験だが、海外在住者(たとえば本学のブリティッシュ・スクールの生徒たち)は6科目制の国際バカロレア資格(International Baccalaureate)や10科目制の欧州バカロレア資格(European Baccalaureate)で代用がきく。A水準(A Levels)試験では A* (A-star), A, B, C, D, E までが合格だが、上位校では事実上Cまでが許容範囲。大学は個々の志願者にA-B-BやB-B-Cなどの条件を提示する。「惜しくも不合格 (nearly)」を表す N は2000年に廃止され、不合格は全員 U (ungraded) という評価に統一された。A Levels の水準が非常に高いた め、イングランド&ウェールズの大学は三年制である(但し、イングランド&ウェールズでも医学部だけは五年制で、難解言語や化学は四年制。ちなみに日本の医学部は六年制)。

2018/19年度(Academic Year 2018/19)の A Levels の日程(2019年5月13日(月)から6月28日(金)まで)

https://filestore.aqa.org.uk/admin/t_table_pdf/AQA-TT-GCE-JUN19-CONFIRMED.PDF (リンク切れ)

https://filestore.aqa.org.uk/admin/t_table_pdf/AQA-TT-GCE-JUN19-CHANGELOG-CONFIRMED.PDF (リンク切れ)

2019/20年度(Academic Year 2019/20)の A Levels (2020年5月~6月)は新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の影響により中止(① 無試験によるアルゴリズム評価、② 同年=2020年の秋まで受験を延期、③ 翌年=2021年の5月~6月まで受験を延期、の3つの中から選択可)

https://www.aqa.org.uk/coronavirus

無試験による成績評価法

https://www.aqa.org.uk/coronavirus/how-grades-will-be-awarded-without-exams

A Levels 試験問題の例: 科目「社会学(Sociology)」

・「社会学者が社会学が科学であるかどうかを論じる前に、科学とは何かを明確にしなければならない」。この論拠について説明し、論じなさい。

・「社会統制の機関は、法律がそうであるように、成功した利害集団の思惑を強化するだけである」とするオードンネル(O’Donnell)の主張について論じなさい。

(竹内洋『パブリック・スクール』講談社現代新書, 1993から抜粋、一部語句を改変)

A Levels 試験問題の例: 科目「国語(English)」

・ジョン・ファウルズ(John Fowles, 1926-2005; オクスフオッド大学新学寮卒)の小説『コレクター(The Collector)』(1963年)の女性主人公ミランダ(Miranda)は「お高くとまった、リベラルなヒューマニストのスノッブ(上流気取りの俗物)」だと作者自ら評している。作品中のミランダの日記から彼女のこの要素がどのように読み取れるか論じなさい。

(新井潤美『不機嫌なメアリー・ポピンズ―イギリス小説と映画から読む「階級」 』平凡社新書, 2005から抜粋、一部語句を加筆改変)

A Levels の問題点

英国の著名詩人であり、1955-57年と1985年に計3年間も東京大学(東大)で教鞭(きょうべん)を執()ったアントニー・スウェイト(Anthony Thwaite, b.1930; オクスフオッド大学基督教会学寮卒)がマスコミに唆(そそのか)されて、自分の詩が使われた国語(English)の A Level の試験問題を解いてみたが、合格点が取れ なかったという。これは1990年代前半にこのウェブサイトの管理人 xapaga が、在京英国大使館文化部(The British Council Tokyo)にて本人から直接聞いた話である。

似たような話として、日本のカトリック作家・ユーモア作家であり、英国でも『沈黙』(1966年; 英訳本 Silence, 1969)や『侍』(1980年; 英訳本 The Samurai, 1982)などの切支丹(キリシタン)物の長篇小説が高く評価されている故遠藤周作(えんどう しゅうさく, 1923-96; 旧制灘中学校=現在の灘高等学校卒、上智大学予科中退、慶應義塾大学卒、仏リヨン大学留学)がマスコミに唆(そそのか)されて、自分の小説が使われた共通一次試験(現在の大学入試センター試験の前身)の国語の問題を解いてみたが、合格点が取れな かった。「このとき主人公はどう思ったか」などという愚問は作者にも解けないとのこと。

遠藤周作については別の未確認の逸話(いつわ)もある。遠藤に或()る大学から小説の一部を入試問題に使わせてほしいと事前に依頼が来て、遠藤は承諾した。入試が無事に終わり、合否判定が出た後、その大学の担当者が遠藤にお礼の挨拶に行った。「先生、今回は先生の小説のこの部分を抜粋して、このような問題を作成しました。」と本人に見せた。文中に傍線が引かれ主人公が傍線の行動に出た理由を次の中から選びなさいという選択肢記号の問題だった。しかし原作者の遠藤はその選択肢を暫(しばら)く一つひとつ読みながら唸(うな)り出した。大学の担当者は当惑し、「正解が無いと言われるのでは?」とやきもきしたが、その瞬間、「すんばらしい! 全部正解!」と遠藤は言明したという。「これはこれで不味(マズ)い!」と大学の担当者は慌てふためき、その場を去って行ったという話がある。上記の共通一次試験の件とともに遠藤の真面目なのかふざけているのかよく分からないお茶目な振舞いではあった。

仮説としての結論: 入試問題には問題作成者の自己満足の要素がある。

【GCSE と A Levels 試験を巡る2020年特有の事件簿】

アルゴリズムの成績判定に不満噴出、大学入学資格めぐり混乱 英

米CNN(Cable News Network)日本語版

2020年8月24日(月)

https://www.cnn.co.jp/world/35158586.html

https://www.cnn.co.jp/world/35158586-2.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/b8e84a2bbd5cadb7f62f0db0100bd4a161a4096e (リンク切れ)

註: 本文中最終段落の「州立学校」は、イギリスの就学児童・生徒の9割以上が通う「国立学校」の誤り。アメリカ英語に毒されて、イギリス英語のことを知らない日本人が state schools という用語を訳すことで生じる誤訳である。

英国「大学合否判定コンピュータ」に生徒と保護者がブチ切れた理由

現代ビジネス

作家・ジャーナリスト 小林雅一(こばやし まさかず, b.1963)KDDI総合研究所・リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授署名記事

2020年8月26日(水)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75128

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75128?page=2

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75128?page=3

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75128?page=4

https://news.yahoo.co.jp/articles/32c28a54da77e3c4d1700f035236a28963804964 (リンク切れ)

【参考書】

ファーンドン(John Farndon, b.1960)[著]、小田島恒志(おだしま こうし, b.1962)・小田島則子(おだしま のりこ, b.1962)訳 『あなたは自分を利口だと思いますか?―オックスフォード大学・ケンブリッジ大学の入試問題』(河出書房新社, 2011年)の巻末

ロンドン在住ジャーナリスト 秋島百合子(あきしま ゆりこ, b.1950)女史による「解説」抜粋(pp.265-8)

(前略)イギリスの大学入試に一律の規定はなく、特に近年はさまざまな変化が見られるが、基本的に審査の「骨」となるのは、十五、六歳で受ける 「GCSE(General Certificate of Secondary Education)」と十七、八歳で受ける「Aレベル(Advanced Level)」という二段階の全国共通試験だ。多くの場合、入学には三科目以上のAレベル取得が必要になる。

先ずは高校にあたる中等学校の最終学年の十一月までに、大学等の高等教育機関への入試を管理する公的機関「大学・カレッジ入学サービス」(UCAS—Universities and Colleges Admission Service)を通して、全国共通の願書を複数の志望校に提出する。願書にはGCSE試験の結果と共に自己評価や志望分野の知識や抱負等を綴った論文、 内申書、さらにAレベル数科目の「予測グレード」が含まれる。Aレベル試験はまだ行われていないので、あくまでも予測である。これは中等学校の最終二学年を通して行われるAレベル・コースがかなり専門的な学習なので、専門教師の予測はほぼ正確だという前提に基づいている。結果はAからEまで五段階の「グレード」、または不合格として示される。オックスブリッジなら、おそらく三科目以上のストレートAのクレードが必要だろう。

[pp.265/266]

願書提出の後、オックスブリッジ等、場合によっては十一月に適性テストや論文の提出があり、すべての書類審査が通ると十二月にインタビューに招かれる。こ れらを総合した審査結果が翌年の四月までに通知される。ただしAレベル試験はまだ行われていないので、合格はAレベルの「予測グレード」を取った場合とい う条件付になる。試験が実施されるのは五月か六月だ。

Aレベルの結果は毎年八月の第三木曜日に発表され、取得グレードによって大学の合否がわか る。この日の新聞は抱き合って合格を喜ぶ生徒の写真や、教育関連の記事を掲載するのが恒例となっている。このAレベルの取得グレードが、最近は全国的に高 くなってきた。イギリスの生徒が急に頭がよくなったのか、試験がやさしくなったのかは知らないが、さかんに議論されている。

とにかく現実として、三、四科目、あるいは五科目ものストレートAがざらにいるのだから、オックスブリッジも選抜に困る。そこでインタビューによる篩い分けがものをいうのだ。

ではさぞかし質問の「ひねくれ度」が高まってむずかしくなったと思うかもしれないが、実はその逆の状況が起きている。

「三十年も前は変な質問がたくさんあったらしいけれど、今は専攻分野に関するものが多いよ。それに対するパッションがあるか、適応性があるかを知りたいんじゃない?」

という現場の声はケンブリッジに入ったばかりのロバートだ。

これを裏づけてくれたのは、マーティンの母親で、ロンドンの名門私立の中等学級キングズ・[pp.266/267]カレッジの英語主任を定年退職したばかりのベテラン教師ジャクリーン・ウィタカーだ。

「最近の質問が専攻科目にかかわるものが多くなったのは、公立校の受験生を考慮してのことなのよ」

実はこの一言は重い。二十一世紀になっても階級社会から抜けられないイギリスの姿が見えてくるからだ。いや、今や階級社会でなく格差社会というべきか。

イギリスの私立高といえばイートンなどのパブリック・スクールが世界的に有名だが、寄宿舎学校だろうと進学校だろうと、一般に学力は私立の方が公立よりは るかに高い。さらに私立は勉強だけでなく、音楽、スポーツなどを通して「全人教育」に力を注ぎ、その一環として公開討論やさまざまな自己表現の場を与えて いる。正式な弁論大会でなくても、論理を組み立てて発表する機会は十分にある。(中略・改行)

これではとても教育予算の限られる公立校の生徒 は、学力と情操の両方を磨き上げられた私立校の生徒に太刀打ちできない。イギリス的討論の伝統に慣れていない公立校の受験生に、オックスブリッジのエキセ ントリックな質問を押し付けるのはフェアでない、せめて優秀な生徒なら勉強しているはずの専攻科目を題材にすべきだ、というのが近年の風潮なのである。

オックスフォード大学の公式サイトによると、二〇〇九年の合格者のうち、公立校出身者が五十三・九%、私立高出身者が四十六・一%となっている。ケンブリッジ大学の方が公立校出身者[pp.267/268]が少し多いが、両大学それぞれの比率は毎年ほぼ変わらない。

しかし私立高の生徒は、中等学校までの就学人口の約七%にすぎないのだ。それなのにオックスブリッジ合格者の半数近くが私立高出身ということは、いかに私立高が有利であるかを物語っている。

そこで政府はオックスブリッジをはじめとする一流大学に、「荒廃した地域」からの受験生の合格基準を引き下げるよう指導した。いわゆる「ポジティブ・アク ション」というものだ。大学側は基本的にはすでにその体制で応じているが、それがハイ・レベルを保つべき高等教育機関に対して、または高い授業料を払う私 立高の生徒に対して公平か不公平か、立場によって主張は異なるのである。

傍目からは、中流階級と労働者階級の大きな格差を歴史的に作り上げたイギリスという国の、教育問題以前の社会問題ではないかと思えるのだが、現実にはなんとしても教育の機会均等を実現させなければならないのだろう。

(後略)

【日本語で読めるウェブページ】

日経ビジネス

池上彰(いけがみ あきら, b.1950)の「学問のススメ」

「教養? 大学で教えるわけないよ」

英国名門大、教養教育の秘密【前】

2014年6月24日(火)

https://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20140612/266762/?P=1&rt=nocnt

日経ビジネス

池上彰(いけがみ あきら, b.1950)の「学問のススメ」

理系、恋愛音痴、コミュ障を「教養豊か」に変えるには

英国名門大、教養教育の秘密【後】

2014年7月1日(火)

https://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20140613/266809/?n_cid=nbpnbo_mlt

東洋経済オンライン

英国名門大生の知性は「共同生活」で磨かれる

日本の忍者マンガやラーメンも「創造」の材料に

物理学者・社会起業家 岡本尚也(おかもと たくや, 生年非公開)署名記事

2014年11月28日(金)

https://toyokeizai.net/articles/-/53481

https://toyokeizai.net/articles/-/53481?page=2

https://toyokeizai.net/articles/-/53481?page=3

https://toyokeizai.net/articles/-/53481?page=4

東洋経済オンライン

英国名門研究所の教え「17時には家に帰れ!」

思考のない“作業”は、研究ではない!

物理学者・社会起業家 岡本尚也(おかもと たくや, 生年非公開)署名記事

2015年1月23日(金)

https://toyokeizai.net/articles/-/58014

https://toyokeizai.net/articles/-/58014?page=2

https://toyokeizai.net/articles/-/58014?page=3

https://toyokeizai.net/articles/-/58014?page=4

https://toyokeizai.net/articles/-/58014?page=5

学費は年500万「英国超名門校」の価値

富裕層なら通わせるのが当たり前

プレジデント・オンライン

石井理恵子(いしい りえこ, 生年非公開)署名記事

2018年10月22日(月)

https://president.jp/articles/-/26471

https://president.jp/articles/-/26471?page=2

https://president.jp/articles/-/26471?page=3

https://president.jp/articles/-/26471?page=4

https://president.jp/articles/-/26471?page=5

英エリート校に子供2人合格した家の教育

なぜ難関イートン校を突破できたか

プレジデント・オンライン

加藤紀子(かとう のりこ, 生年非公開)署名記事

2019年4月12日(金)

https://president.jp/articles/-/28316

https://president.jp/articles/-/28316?page=2

https://president.jp/articles/-/28316?page=3

https://president.jp/articles/-/28316?page=4

イギリスの名門校が「中国人だらけ」になっていた…その凄すぎる現場

世界トップの教育と人脈をわが子へ

S&S investments CEO 岡村聡(おかむら さとし, 生年非公開)署名記事

講談社 現代メディア

2019年6月11日(火)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64137

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64137?page=2

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64137?page=3

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64137?page=4

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190611-00064137-gendaibiz-bus_all (リンク切れ)

小見出し1: イギリスの名門校に中国人が殺到中…

小見出し2: 旧正月は中国人向けの説明会が目白押し

小見出し3: 「テスト結果1位」の学校を選好する中国人

小見出し4: 年間の学費が400万~500万円程度

日本と真逆、英名門校の知られざる教育の中身

エリート輩出校の誰の目にも見える「賞と罰」

東洋経済オンライン

英ハーロウ校元日本語非常勤講師 松原直美(まつばら なおみ, b.1968)署名コラム

同著者『英国名門校の流儀 一流の人材をどう育てるか』(新潮社 新潮新書, 2019年)の宣伝

2019年8月20日(火)

ハーロウ校はハロウ校の誤り

https://toyokeizai.net/articles/-/297753

https://toyokeizai.net/articles/-/297753?page=2

https://toyokeizai.net/articles/-/297753?page=3

https://toyokeizai.net/articles/-/297753?page=4

https://toyokeizai.net/articles/-/297753?page=5

https://toyokeizai.net/articles/photo/297753?pn=1

https://toyokeizai.net/articles/photo/297753?pn=2

https://toyokeizai.net/articles/photo/297753?pn=3

https://toyokeizai.net/articles/comment/297753

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190820-00297753-toyo-bus_all (リンク切れ)

英国の超名門校トップが語る「日本の学校では創造性が育たないたった一つの理由」

プレジデント・オンライン

リトルエンジェルス・インターナショナルスクール理事長 宇野令一郎(うの れいいちろう, 生年非公開)署名インタビュー記事

2020年11月21日(土)

https://president.jp/articles/-/40686?page=1

https://president.jp/articles/-/40686?page=2

https://president.jp/articles/-/40686?page=3

https://president.jp/articles/-/40686?page=4

https://news.yahoo.co.jp/articles/7a8df29c0f95a1c1606a294a53a8ca3daccb5c94 (リンク切れ)

コロナで「留学の道」閉ざされ、国内の“英国式国際学校”が「人気」=中国

Wow! Korea

2020年12月18日(金)

https://www.wowkorea.jp/news/korea/2020/1218/10281218.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/d3f2db3e8920e12567e198535201d245dd52c9c1 (リンク切れ)

中国人インフルエンサーによる「日本の美談でっち上げ」が横行する理由

ダイヤモンド・オンライン

在日華人作家・ジャーナリスト 莫邦富(ばく ほうふ; Mò Bāngfù, b.1953)

2020年12月31日木)

https://diamond.jp/articles/-/258258

https://news.yahoo.co.jp/articles/02b9c34af49a1ce9add2a98a34e2eede91ce456e (リンク切れ)

● 英国の「変異種」、中国から特に注目される理由

間もなく2021年になるというのに、我々はコロナ禍の脅威に翻弄されている。感染力が従来のものより高いとみられる変異種の新型コロナウイルスが英国で急速に広がっているという。2020年12月19日、首都ロンドンなどで3度目のロックダウンが公表されるやいなや、市民の大脱出が起きた。その騒ぎは世界的な注目を浴び、欧州諸国の対応策も素早かった。

ロンドンを脱出しなかった市民もたいへんだ。スーパーマーケットの食品コーナーはもちろん、他の商品棚も空っぽ状態だ。商品がまだあるスーパーの外は人々が長蛇の列を作って入店の順番を待っている。

英国の情報は、もちろん、どの国の人間にとっても必要なものだが、中国での需要はさらに高い。英国留学に子供を出した家庭がたくさんあるからだ。英国高等教育統計機構(HESA)の統計によると、2019年に英国に留学した中国本土出身の学生は前年度より13%増の12万385人で、その規模は他の国をはるかに上回り、英国大学の非EU出身学生総数の3分の1を占め、過去最高を記録した。したがって、3度目のロックダウンに突入した英国の情勢に、数え切れないほどの中国人家庭が大きな関心を払っている。

(改行・後略)

「ハリポタ的」ブランド価値は健在だが

石油王のドラ息子に親からの贈り物攻撃…アジア・中東に進出する「英国名門校の苦悩」

米ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌(Bloomberg Business Week

クーリエ日本版(Courrier Japon)転載

サイモン・エイカム(Simon Akam, 生年非公開)記者署名記事

2020年6月30日(水)

https://courrier.jp/amp/203911/

文化の違いや有力者からの干渉で板挟み…

海外進出に活路を見出す英国名門校は「伝統とブランド」を守れるのか?

米ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌(Bloomberg Business Week

クーリエ日本版(Courrier Japon)転載

サイモン・エイカム(Simon Akam, 生年非公開)記者署名記事

2020年6月30日(水)

https://courrier.jp/news/archives/203923/

中高一貫校を中退、高校でイギリス留学したYouTuberの勉強論 大人200人に「勉強する意味」調査

withnews

編集部 橋本佳奈(はしもと かな, 生年非公開)記者署名記事

2021年8月3日(火)

https://withnews.jp/article/f0210803001qq000000000000000W0b810101qq000023378A

https://news.yahoo.co.jp/articles/3195c027635509cb928016d6a27609642567414d

https://news.yahoo.co.jp/articles/3195c027635509cb928016d6a27609642567414d?page=2

https://news.yahoo.co.jp/articles/3195c027635509cb928016d6a27609642567414d?page=3

https://news.yahoo.co.jp/articles/3195c027635509cb928016d6a27609642567414d/comments

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