34「イギリス文化論」(2022/ 2/ 1) 英国大衆文化から見るドイツへのまなざし

【例1: 二十世紀の両次大戦中に多用された、英国政府お墨付きのドイツ人への蔑称 Hun

第一次世界大戦(the Great War; the First World War; World War I, 1914-18)中にイギリスが敵国のドイツ人を指して「フン族」(単数 Hun ハン /hʌn/; 複数 Huns ハン /hʌnz/)と呼んだ。フン族とはアッティラ王(Attila, c.406-453)が率いたアジア系の民族で、現在のハンガリー人(the Hungarians)の祖先とされている。こうした出自のため、ハンガリー語は印欧語族(the Indo-European language family)には属さない。

一方でドイツ人(the Germans)は、イングランド人(the English)の祖先であるアングロ・サクソン人(the Anglo-Saxons)と同様にゲルマン民族(the Germanic peoples)に属しているため、学問的にこの「フン族」なる呼称は誤りである。そうは言っても、その誤りの発端(ほったん)は後述するようにドイツの側にある。

現在でもこの「フン族」という表現は、ドイツ及びドイツ人を敵視する一部の英国人の間で稀(まれ)に使われることがある。歴史を遡(さかのぼ)れば第一次世界大戦中の英米の戦意高揚ポスターで多用され、第二次世界大戦(the Second World War; World War II, 1939-45)でも再利用された。

第一次世界大戦中の英ポスター

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a6/The_Hun_and_the_Home.jpg/350px-The_Hun_and_the_Home.jpg

https://www.casgliadywerin.cymru/sites/pcw/files/styles/item_detail/public/images/2015/April/How%20the%20Hun%20Hates.jpg?itok=JLYSLKnA (リンク切れ)

第一次世界大戦中の米ポスター

https://www.emlii.com/images/article/2014/07/53bd2bab67f26.jpeg (リンク切れ)

https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/736x/67/7e/95/677e95c9b45dc672cf9aaeb2e3ecfda7.jpg

第二次世界大戦中の英ポスター

https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/736x/9b/93/8b/9b938b484b8f8bbb69674d80a10861a1.jpg

研究社の『新英和大辞典 第6版』は Hunハン)という英単語を次のように定義している。

1 フン族の人《4-5世紀に Attila 王に率いられてヨーロッパを侵略したアジアの遊牧民》; (中国史の)匈奴(きょうど).

2 《口語》 [しばしば h-] (文化などの)破壊者, 野蛮人 (vandal).

3 《軽蔑》 ドイツ人, (特に)ドイツ兵《第一次および第二次大戦当時用いられた; cf. Jerry2》.

また、オクスフオッド大学出版局(OUP: Oxford University Press)刊行の『オクスフオッド英語辞典』(OED: Oxford English Dictionary)12巻本による Hunハン)という英単語の4番目の定義は以下のようになっている。

A person of brutal conduct or character; esp. during and since the war of 1914–18 applied, often without animus, to the Germans (or their allies); a German.

粗暴な振る舞いをする人または粗暴な性格の人、特に1914-18年の戦争中とその戦争以来、屡々(しばしば)敵意もなくドイツ人一般(及びその同盟国の人々)を指す。または単独のドイツ人。

一方、英単語 Hunハン)に相当するドイツ語の単語は Hunneフン)だが、ドイツを代表する独独辞典である 『ドゥーデン』(Duden)及びそのウェブサイトはこれを次のように定義している。

https://www.duden.de/rechtschreibung/Hunne_Ostasiat_Reiter_Nomade

1. Angehöriger eines ostasiatischen Nomadenvolks

2. (selten; abwertend) roher, zerstörungswütiger Mensch

1. 東アジアの一遊牧部族の一員

2. (稀・軽蔑的に) 粗野で破壊的な人間

また、日本で最も詳しい独和辞典である小学館の『独和大辞典 第2版』は、この単語を次のように定義している。

1 《ふつう複数で》フン族〔の人〕(カスピ海の北と東に住んだ遊牧民族. 5世紀半ば Attila のときに最盛期をむかえてヨーロッパに大帝国を形成): wie Hunnen hausen さんざんあばれ回る.

2 《軽蔑的に》〔野〕蛮人; 《比》強靭(きょうじん)な人.

当該(とうがい)の単語のイギリスでの軽蔑的な用法・用例は、ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世(Kaiser Wilhelm II., 1859-1941; 在位1888-1918)の1900年の演説に由来する。ヴィルヘルム二世は黄禍論おうか ろん / こうか ろん; 独 gelbe Gefahr ルベゲファー; 仏 Péril jaune ペひルジョヌ; 英 Yellow Peril イェロウりル)という黄色人種警戒論を日清戦争(the First Sino-Japanese War, 1894-95)中の1895年に唱え、図解入りで他国の首脳に説いたことからも分かるように、大の黄色人種嫌い(anti-yellow)で、しかもユダヤ人嫌い(anti-Jew; Antisemitic; Judaeophobe)の人種差別主義者(racist)だった。

自(みずか)らが招いた過(あやま)ちで結果としてドイツ帝国最後の皇帝(独 der letzte deutsche Kaiser; 英 the last German Emperor)となってしまったヴィルヘルム二世は、英国のヴィクトリア女王(Queen Victoria, 1819-1901; 在位1837-1901)の外孫に当たる。しかもヴィルヘルム二世と英国王ジョージ五世(George V, 1865-1936; 在位1910-36)とロシア帝国ロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ二世(Николай II; Nikolai II, 1868-1918; 在位1894-1917)といった二十世紀(1901-2000年)初頭の同時代の君主たちは、3人揃いも揃って従兄弟(いとこ)同士である。

ヴィルヘルム二世は概(おおむ)ね第一次世界大戦(the Great War; the First World War; World War I, 1914-18)を引き起こした張本人として考えられている。ドイツ敗戦直後に戦勝国側が「国際道義と条約に対する最高の罪を犯した」という戦争犯罪(war crime)の廉(かど)で訴追(そつい)しようとしたが、隣国で第一次世界大戦中は中立国(a neutral country)だったオランダ王国へ亡命していた元皇帝ヴィルヘルム二世は、オランダ政府が身柄の引き渡しを拒否してくれたお蔭で訴追を免(まぬが)れた。

オランダは第二次世界大戦(the Second World War; World War II, 1939-45)でも中立(neutral)を宣言したが、今度は相手が悪すぎた。1939年9月初頭の大戦勃発から八ヶ月を経た1940年5月10日(金)、オランダはとうとうドイツ軍の電撃戦(Blitzkrieg リッツクりー)の餌食(えじき)になり、同年5月14日(火)にはオランダ最大の国際貿易港であるロッテルダム(Rotterdam)市がドイツ空軍(Luftwaffe フトヴァッフェ)の空爆によって壊滅し、同年5月15日(水)に早くもオランダ王国は降伏した。以後オランダは1945年5月5日(土)の連合軍による全面解放までほぼ五年に亘ってナチス・ドイツによる軍事占領を受けた。したがって1941年6月4日(水)にヴィルヘルム二世が亡命先のオランダのドールン(Doorn)市内の屋敷にて満82歳で歿したとき、その街もオランダ全土もナチス・ドイツの占領下に置かれていた。ただ、ヒトラー(Adolf Hitler, 1889-1945; 首相在任1933-45; 総統在任1934-45)自身は元皇帝ヴィルヘルム二世を軽蔑していたため、オランダまで表敬訪問するようなことはなかったし、元皇帝の葬儀にも参列しなかった。「王政復古するまではドイツに帰還しない」とした元皇帝本人の遺志を尊重した結果、今でもオランダに埋葬されている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴィルヘルム2世_(ドイツ皇帝)

https://en.wikipedia.org/wiki/Yellow_Peril

https://ja.wikipedia.org/wiki/黄禍論

ヴィルヘルム二世が1895年にドイツの歴史家・藝術評論家・画家のクナックフース(Hermann Knackfuß, 1848-1915)に黄禍の寓話として(独 als allegorisches Gemälde der gelben Gefahr; 英 as an allegorical picture of the Yellow Peril)描かせ、従弟(いとこ)であるロシア皇帝ニコライ二世(Николай II; Nikolai II, 1868-1918; 在位1894-1917)に贈った銅版画「欧州の諸国民よ、自分らの最も神聖なる物を守れ」(独 „Völker Europas, wahrt eure heiligsten Güter“; 英訳 ‘Peoples of Europe, Guard Your Most Sacred Goods’)をネット上で見ることができる。贈呈先のロシア皇帝に込めたメッセージは、「日本によって動員された支那(シナ)人の猛攻の差し迫った危険」(独 die drohende Gefahr eines durch Japan mobilisierten chinesischen Ansturmes; 英 the imminent danger of a Chinese onslaught mobilized by Japan)を回避すべく、東洋からの影響力を抑えておく(独 die Einflüsse aus dem Osten unter Kontrolle zu halten; 英 to keep the influences from the East under controlよう要請する、ということだった。

https://de.wikipedia.org/wiki/Völker_Europas,_wahrt_eure_heiligsten_Güter

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fa/Voelker_Europas.jpg

その白黒の版画を実際に見てみると、左上に十字架が光と共に浮かび、その下では欧州列強を擬人化した7人の女性像(左端のみ不明、次に左から右へ英伊墺露独仏の順が遠方を睨(にら)んで警戒し、それをドイツの守護聖人である大天使聖ミカエル(独 der Erzengel Michael; 英 Archangel Michael)が導くが、右(つまり東)の彼方(かなた)には東洋を表す不吉な仏陀(Buddha)像が雷雲の中に浮かぶ。

第一次世界大戦よりも十年以上前、十九世紀から二十世紀の世紀変わり目に(英 at the turn of the century; 仏 à la fin de siècle; 独 an der Jahrhundertwende)、露日英米仏独墺伊から成る八ヶ国大連合と大清帝国(現在の中国)の間で戦われた義和團事件、別名 北淸事變(英 Boxer Rebellion; 仏 Révolte des Boxers; 独 Boxeraufstand, 1899-1901)中の1900年7月27日(金)、ドイツ北西部のブレーマーハーフェン(Bremer Hafen: 「ブレーメンの港」の意)にて、ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世は獨逸(ドイツ)東亞派遣軍(独 das deutsche Ostasiatische Expeditionskorps; 英 the German East Asia Expedition Corps)に向けて所謂(いわゆる) Hunnenrede (フンネンれー: 「フン族演説」の意)を行なった。それは、「支那(シナ)人=中国人を皆殺しにせよ!」というに等しい衝撃的な内容の演説だった。

ドイツ語原文の最終部

https://www.wilhelm-der-zweite.de/kaiser/kritik_hunnenrede.php

„Pardon wird nicht gegeben. Gefangene werden nicht gemacht. Führt eure Waffen so, daß auf tausend Jahre hinaus kein Chinese mehr es wagt, einen Deutschen scheel anzusehen. Wahrt Manneszucht. Der Segen Gottes sei mit euch, die Gebete eines ganzen Volkes. Meine Wünsche begleiten euch, jeden einzelnen. Öffnet der Kultur den Weg ein für allemal! Nun könnt ihr reisen! Adieu Kameraden!“[訳註1]

「助命嘆願など許されぬ。捕虜も取らぬ。向う一千年は支那(シナ)人が獨逸(ドイツ)人を橫目でちらりと見ることもできぬ程(ほど)に、お前たちの武力を行使せよ。眞の男の規律だ。神の惠みはお前たちに存る。全國民の祈(いの)りも同樣だ。我が願ひはお前たちと共に在る。一人一人にだ。これを最後に文化への道を開け。今やお前たちは旅立つのだ! さらば戰友たちよ!」[訳註1](ドイツ語からの直接訳: 原田俊明)

訳註1: なぜかこの演説には「フン族」を意味する言葉が全然言及されていない。

当時の録音をデジタル処理したもの(信憑性には疑義もあり)

https://www.youtube.com/watch?v=tpzGGFIKEdo (1:46-2:14end)

上記とは別バージョンのドイツ語原文(録音は残ってないがフン族への言及あり)

https://de.wikipedia.org/wiki/Hunnenrede

„Pardon wird nicht gegeben! Gefangene werden nicht gemacht! Wer euch in die Hände fällt, sei euch verfallen! Wie vor tausend Jahren[訳註2] die Hunnen unter ihrem König Etzel sich einen Namen gemacht, der sie noch jetzt in Überlieferung und Märchen gewaltig erscheinen läßt, so möge der Name Deutscher in China auf tausend Jahre durch euch in einer Weise bestätigt werden, daß es niemals wieder ein Chinese wagt, einen Deutschen scheel anzusehen!“

「助命嘆願など許されぬ! 捕虜も取らぬ! 我が軍の手に落ちた者(もの)はお前たちの爲()すが儘(まゝ)にせよ! 一千年前に[訳註2]エッツェル(=アッティラ)王の率いたフン族が現代でも傳承と物語の中で强大に見せてゐる名を爲()した如(ごと)くに、獨逸(ドイツ)人の名を支那(シナ)に於(おひ)て向う千年間は知らしめよ、もう二度と支那(シナ)人が獨逸(ドイツ)人を橫目でちらりと見ることもできぬ程(ほど)にだ。」(ドイツ語からの直接訳: 原田俊明)

訳註2: アッティラ王(Attila, c.406-453)は西暦453年に歿しているのだから、1900年の時点で「千年前」(vor tausend Jahren)と言うのはあまりにも厳密さを欠いている。須(すべか)らく「千四百年以上前」(vor mehr als tausend vier hundert Jahren od. vor mehr als vierzehn hundert Jaheren)とするか、「千年以上前」(vor mehr als tausend Jahren)とするか、または「一つ前の千年紀に」(im vorigen Jahrtausend)とすべきである。

1900年7月30日(月)付のタイムズ紙(The Times)がイギリスの読者に伝えた英訳

https://www.oed.com/view/Entry/89450?redirectedFrom=Hun#eid

‘‥No quarter will be given, no prisoners will be taken. Let all who fall into your hands be at your mercy. Just as the Huns a thousand years ago, under the leadership of Etzel (Attila) gained a reputation in virtue of which they still live in historical tradition, so may the name of Germany become known in such a manner in China that no Chinaman will ever again even dare to look askance at a German.’

「助命嘆願など許されぬ! 捕虜も取らぬ! 我が軍の手に落ちた者(もの)はお前たちの爲()すが儘(まゝ)にせよ! 一千年前に[訳註3]エッツェル(=アッティラ)王の率いたフン族が現代でも歷史的傳統の中で生きてゐる美德の評判を取つた如(ごと)くに、獨逸(ドイツ)の名を支那(シナ)に於(おひ)て知らしめよ、支那(シナ)人がもう二度と獨逸(ドイツ)人を橫目でちらりと見ることもできぬ程(ほど)にだ。」(ドイツ語から英語を間に挟んだ重訳: 原田俊明)

訳註3: アッティラ王(Attila, c.406-453)は西暦453年に歿しているのだから、1900年の時点で「千年前」(a thousand years ago)と言うのはあまりにも厳密さを欠いている。須(すべか)らく「千四百年以上前」(over a thousand four hundred years ago or over fourteen hundred years ago)とするか、「千年以上前」(over a thousand years ago)とするか、または「一つ前の千年紀に」(in the previous millennium)とすべきである。

【例2: 二十世紀の両次大戦中に多用されたドイツ人への蔑称 kraut と、 ドイツ語から入って来た英単語 strafe】

もう一つ、第一次世界大戦(the Great War; the First World War; World War I, 1914-18)末期の1918年から使われ出したドイツ人への蔑称 krautらウ)は、ドイツ人の大好物である塩漬けキャベツ「ザウアークラウト(Sauerkraut)」に因(ちな)んでいる。そのため「ドイツのキャベツ野郎」という訳語が最適であろう。ただ、これは口語表現であるため、上記の Hun とは異なり、戦意高揚ポスターで取り上げられることはなかった。

第一次世界大戦(the Great War; the First World War; World War I, 1914-18)中には、ドイツ帝国の側が „Gott strafe England. Er strafe es.“ (ゴットシュトらーフェエングラント。エァシュトらーフェエス。: 「神よイングランドを罰したまえ。彼(=神)はそれ(=イングランド)を罰したえ。」の意; 英訳 God punish England. He punish it.)と書いた戦争ポスターやバッジをばら撒いた。イギリスではドイツ軍が低空飛行で英本土に対して機銃掃射してくるイメージと重なって、ドイツ語の動詞 strafen (シュトらーフェン: 「罰する」の意)の三人称単数接続法一式(独 3. Person Singular Konjunktiv I; 英 third person singular, present subjunctive, active voice)である strafe (シュトらーフェ: 「罰したまえ」の意)が「低空飛行で機銃掃射する」(to attack with automatic gunfire from a low-flying aircraft)の意味に曲解され、おまけに発音までイギリス式に「ストゥれイフ」に転じてしまい、それが現在に至っている。「上空から機銃掃射する」の意味での活字の初出(しょしゅつ)は『オクスフオッド英語辞典』(OED: Oxford English Dictionary)12巻本によれば、第一次世界大戦中の1915年のことである。

https://www.oed.com/view/Entry/191122?result=2&rskey=yQdBiu&

https://en.wiktionary.org/wiki/strafe

第一次世界大戦中の独ポスター

https://www.veikkos.com/bilder/8/gott_strafe_england_w0287908.jpg (リンク切れ)

https://i.redd.it/o5yc3ugd6arx.jpg (リンク切れ)

https://spd-hassberge.de/image/2/513/567/5/media/galeriebilder/gott-strafe-engl-540b7aca922dc.jpg

http://austria-forum.org/attach/Bilder_und_Videos/Historische_Bilder_IMAGNO/Weltkrieg,_Erster/00637385/00637385.jpg

https://www.philatelicdatabase.com/wp-content/uploads/2012/01/World-War-I-German-propaganda-stamp.jpg (リンク切れ)

https://www.veikkos.com/bilder/8/gott_strafe_england_w0329018.jpg (リンク切れ)

第一次世界大戦中の独雑誌表紙

http://www.antiquaria.se/net/6601.jpg

第一次世界大戦中の独バッジ

http://www.psywarrior.com/GottStrafe2.gif

https://i.ebayimg.com/images/g/GnwAAOSwHMJYJgMM/s-l400.jpg

https://www.warrelics.eu/forum/attachments/imperial-germany-austro-hungary/315504d1330895646-gott-strafe-england-enamel-badge-gott-strafe-england.jpg

https://www.sixbid.com/images/auction_images/1354/1243842l.jpg (リンク切れ)

【ロンドン初空襲に関する動画】

The Making of Modern Britain (Part 3 of 6)

Written & produced by Andrew Marr (b.1959)

BBC 2009

https://www.youtube.com/watch?v=UVOII0j_x64 (17:42-20:45)

1915年5月30日(日)夜~31日(月)未明 ドイツ帝国航空隊がツェッペリン(Zeppelin)飛行船を用いて首都ロンドンに最初の空爆を敢行し、ロンドン市民から7名の死者と35名の負傷者を出した。これ以降、ツェッペリン飛行船は赤ん坊殺し(baby killer)と呼ばれることになった。

1916年9月2日(土)夜~3日(日)未明 英軍の飛行機がロンドン上空で独軍ツェッペリン(Zeppelin)飛行船に対して新兵器である焼夷弾(しょういだん; incendiary)を打ち込むことで撃墜に成功。ツェッペリン飛行船は火を噴いてロンドン郊外(現大ロンドン市内)のカフリー(Cuffley)村の鋤宿(the Plough Inn ザプラウイン)という名のパブ(英国居酒屋)の近くに墜落。ツェッペリン飛行船炎上の様子にロンドン市民は拍手喝采。9月3日(日)は日曜ということもあり、自転車や手押し車や徒歩で約一万人の野次馬がパブに詰めかけたという。

なお、授業資料08番( https://sites.google.com/site/xapaga/home/historicrulers )にも書いたが、第一次世界大戦(the Great War; the First World War; World War I, 1914-18)中の1917年7月17日(火)、時の国王ジョージ五世(George V, 1865-1936; 在位1910-36)は英国民に燻(くすぶ)る反独感情(anti-German sentiments; Germanophobia)を考慮して、王室の家名をドイツ的なサックス・コーバーグ・アンド・ゴーサ家(the House of Saxe-Coburg and Gotha)から、王室所有の城の名をとってウィンザー家(the House of Windsor)に改名し、現在に至っている。

【例3: 英国政府が民間に委託し第二次世界大戦中に流行させた下品な替え歌】

日本では「サル、ゴリラ、チンパンジー」の替え歌で知られるオルフオッド(Kenneth J. Alford, 1881-1945)、別名 リケッツ(Frederick Joseph Ricketts, 1881-1945)作曲の「ボウギー大佐行進曲」(“Colonel Bogey March”, 1914)、邦題 「ボギー大佐」の旋律(melody)に合わせて歌い、交戦相手国ナチス・ドイツの首脳陣を笑い飛ばす。あまりにも下品な内容のため歌詞の入った録音は作成されなかったが、1939年に英国政府(当時は His Majesty’s Government; 現在は Her Majesty’s Government)が当初計画した通り、英国全土へ(from shore to shore; from Land’s End to John o’ Groats)口コミ(クチコミ)で伝播(でんぱ)していった

https://en.wikipedia.org/wiki/Hitler_Has_Only_Got_One_Ball

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒトラーのキンタマ

1938年当時の録音(楽器演奏のみ)

https://www.youtube.com/watch?v=jmmnoVUht1s

[歌詞開始]

Hitler has only got one ball,

ヒトラー[訳註1]にはキンタマが一つっきゃないんだ、

The other is in the Albert Hall,

もう片っぽはアルバートホール[訳註2]にあるからね、[訳註3]

Himmler is [rather] sim’lar,

ヒムラー[訳註4]も(まあ)似たり寄ったりで、[訳註5]

But poor old Goebbels has no balls at all.

だけど気の毒にゲッベルス[訳註6]なんかタマがまったくない。

(原田俊明訳)

訳註1: ヒトラーとは、ドイツの独裁者で第二次世界大戦(the Second World War; World War II, 1939-45)を引き起こしたが、大戦末期の1945年4月29日(日)、ソ連軍が首都ベルリンに迫る中で愛人のエーヴァ・ブラウン(Eva Braun, 1912-45)と簡素な結婚式を挙げ、その翌日(4月30日(月))にはシアン化物と拳銃の併用によって新妻エーヴァと心中自殺したアードルフ・ヒトラー(Adolf Hitler, 1889-1945; 首相在任1933-45; 総統在任1934-45)のこと。

訳註2: ロンドンのケンジントン庭園(Kensington Gardens)のすぐ南に位置する王立アルバート講堂(RAH: Royal Albert Hall)のこと。その名はヴィクトリア女王(Queen Victoria, 1819-1901; 在位1837-1901)の王婿(おうせい: Prince Consort)だったが満42歳の若さで病歿したアルバート公(Prince Albert, 1819-61)に因(ちな)む。各種コンサートや毎年11月の戦歿者追悼祭(Remembrance Festival)で使用される大きな講堂で、その存在意義は日本で言えば東京都千代田区北の丸公園内に在る日本武道館(にっぽん ぶどうかん: 英称 Nippon Budokan)に相当するが、建物はもっと豪華な造りである。

訳註3: Göring has two but very small, (ゲーリングのは二つあるがすごく小さい)とする別バージョンも存在した。なお、ゲーリングとはナチス・ドイツの帝国議会議長や空軍大臣や副首相を務めたヘルマン・ゲーリング(Hermann Göring, 1893-1946)のこと。第二次大戦直後に勝者である連合国側が戦争犯罪人(戦犯)を裁いたニュルンベルク裁判中に服毒自殺した。本当は第一音節を「ゲー」と「ゴー」の中間音で発音せねばならないが、英語圏では「ゴウ」の音で代用され、日本語では「ゲー」の音で代用されてしまっている。

訳註4: ヒムラーとは、ナチス・ドイツの親衛隊(SS: Schutzstaffel シュッツシュタッフェル)隊長や秘密国家警察(Gestapo ゲスターポまたはゲシュターポ; 日本では誤って「ゲシュタポ」の表記)長官を務め、第二次世界大戦後半には内務大臣も務めたものの、敗戦直前にヒトラーを裏切って米英軍との講和を模索し、敗戦直後には偽名を使って英軍に投降したが身元がバレた際に服毒自殺したハインリッヒ・ヒムラー(Heinrich Himmler, 1900-45)のこと。

訳註5: Himmler has something sim’lar, (ヒムラーが持ってるのも似たようなもの)とする別バージョンも存在した。

訳註6: ゲッベルスとは、ナチス・ドイツの宣伝大臣で、第二次大戦末期の首都ベルリン陥落に際して妻と子供たち6人(一男五女)と共に一家心中したヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels, 1897-1945)のこと。本当は第一音節を「ゲッ」と「ゴッ」の中間音で発音せねばならないが、英語圏では「ゴッ」の音で代用され、日本語では「ゲッ」の音で代用されてしまっている。

【例4: ドイツの聴衆に向けてドイツ語で歌うビートルズ】

The Beatles (John Lennon, Paul McCartney, George Harrison and Ringo Starr)

“She Loves You” (1963)

Written by Lennon–McCartney (i.e. John Lennon, 1940-80 & Paul McCartney, b.1942)

Sung by John Lennon (1940-80)

ビートルズ

直訳「あの娘()は君を愛してる」

邦題「シー・ラヴズ・ユー」

1963年発表・発売

作詞作曲: レノン&マッカートニー

歌唱: ジョン・レノン

https://ja.wikipedia.org/wiki/シー・ラヴズ・ユー

https://en.wikipedia.org/wiki/She_Loves_You

動画

ライブ映像(白黒)

https://www.youtube.com/watch?v=BOuu88OwdK8

ライブ映像(カラー)

https://www.youtube.com/watch?v=QoF-7VMMihA (リンク切れ)

[歌詞開始]

She loves you, yeah, yeah, yeah.

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

She loves you, yeah, yeah, yeah.

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

She loves you, yeah, yeah, yeah, yeah.

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェーイェー。

You think you lost your love,

君は失恋したと思ってるね、

Well, I saw her yesterday.

うん、僕は昨日(きのう)あの娘()を見たよ。

It’s you she’s thinking of

あの娘()が想(おも)ってるのは君のことだよ、

And she told me what to say.

それにあの娘()は僕になんて言うべきか教えてくれた。

She says she loves you

あの娘()は君を愛してると言っている、

And you know that can’t be bad.

それに分かるだろ、悪い筈(はず)がないんだよ。

Yes, she loves you

そうさ、あの娘()は君を愛してる、

And you know you should be glad.

それに分かるだろ、喜ぶべきだぞ。

She said you hurt her so

あの娘()は君に心を傷つけられたと言ってるよ、

She almost lost her mind.

相当へこんだって。

But now she said she knows

でも今では分かるって言ってたね、

You’re not the hurting kind.

君が人を傷つけるような類(たぐ)いじゃないってさ。

She says she loves you

あの娘()は君を愛してるって言っている、

And you know that can’t be bad.

それに分かるだろ、悪い筈(はず)がないんだよ、

Yes, she loves you

そうさ、あの娘()は君を愛してる、

And you know you should be glad. Ooh!

それに分かるだろ、喜ぶべきだぞ。ウー!

She loves you, yeah, yeah, yeah.

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

She loves you, yeah, yeah, yeah.

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

And with a love like that

それにそんな具合の愛があるなんて、

You know you should be glad.

君は喜ぶべきだぞ。

You know it’s up to you,

分かるだろ、君次第なんだよ、

I think it’s only fair,

なかなか順調じゃないか、

Pride can hurt you, too,

自尊心で君も傷つくぞ、

Apologize to her

あの娘()に謝(あやま)っちゃえよ。

Because she loves you

というのもあの娘()は君を愛してるんだから、

And you know that can’t be bad.

それに分かるだろ、悪い筈(はず)がないんだよ、

Yes, she loves you

そうさ、あの娘()は君を愛してる、

And you know you should be glad. Ooh!

それに分かるだろ、喜ぶべきだぞ。ウー!

She loves you, yeah, yeah, yeah.

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

She loves you, yeah, yeah, yeah.

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

With a love like that

そんな具合の愛があるなんて、

You know you should be glad!

君は喜ぶべきだぞ。

With a love like that

そんな具合の愛があるなんて、

You know you should be glad!

君は喜ぶべきだぞ。

With a love like that

そんな具合の愛があるなんて、

You know you should be glad!

君は喜ぶべきだぞ。

Yeah, yeah, yeah.

イェーイェーイェー。

Yeah, yeah, yeah, yeah.

イェーイェーイェーイェー。

(原田俊明訳)

上記のドイツ語版

„Sie liebt dich“ (1964)

German lyrics by Camillo Felgen (1920-2005)

Music by Lennon–McCartney (i.e. John Lennon, 1940-80 & Paul McCartney, b.1942)

Sung by John Lennon (1940-80)

「ズィー・リープト・ディッヒ」(但し、ビートルズの英国訛りでは「ズィー・リープト・ディック」)

直訳「あの娘()は君を愛してる」

邦題「シー・ラヴズ・ユー」(ドイツ語版)

1964年発表・発売

訳詞: カミーリョ・フェルゲン

作曲: レノン&マッカートニー

歌唱: ジョン・レノン

https://ja.wikipedia.org/wiki/シー・ラヴズ・ユー#.E3.82.B7.E3.83.BC.E3.83.BB.E3.83.A9.E3.83.B4.E3.82.BA.E3.83.BB.E3.83.A6.E3.83.BC.EF.BC.88.E3.83.89.E3.82.A4.E3.83.84.E8.AA.9E.EF.BC.89

https://en.wikipedia.org/wiki/Sie_Liebt_Dich

動画

スタジオ録音、歌詞付

https://www.youtube.com/watch?v=tPh2L2ZUXVo

ライブ映像(白黒)に音声シンクロ

https://www.youtube.com/watch?v=HG_pEanMkMM (リンク切れ)

[歌詞開始]

Sie liebt dich, yeah, yeah, yeah.

ズィー・リープト・ディッヒ[訳註]、イェーイェーイェー。

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

Sie liebt dich, yeah, yeah, yeah.

ズィー・リープト・ディッヒ、イェーイェーイェー。

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

Sie liebt dich, yeah, yeah, yeah, yeah.

ズィー・リープト・ディッヒ、イェーイェーイェーイェー。

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェーイェー。

訳註: 一般に英米人は「ディッヒ」の発音が出来ず、「ディック」で代用してしまうが、困ったことに dick (ディッ)という単語は英米共通の俗語で「男根」「男性器」を指すため、インターネット上の一部動画サイトには、そのことを揶揄(やゆ)するコメントが散見される。

Du glaubst sie liebt nur mich?

ドゥーグラウプスト・ズィーリープト・ヌアミッヒ?

君はあの娘()が僕だけを愛してると思ってるのかい?

Gestern hab’ ich sie gesehen.

ゲシュテふン・ハープィッヒズィー・ゲゼーェン。

昨日(きのう)僕はあの娘()を見たよ。

Sie denkt ja nur an dich,

ズィーデンクト・ヤー・ヌーァアンディッヒ

あの娘()は確かに君のことだけを考えてるよ、

Und du solltest zu ihr gehen.

ウントドゥーゾルテスツーイァゲーェン。

だから君はあの娘()のとこへ行くべきさ。

Oh, ja sie liebt dich.

オーヤ・ズィーリープトディッヒ。

あーそうさ、あの娘()は君を愛してる。

Schöner kann es gar nicht sein.

ショェーナーカンエス・ガふニヒトザイン。

事態がこの上もなく上々だ。

Ja, sie liebt dich,

ヤー・ズィーリープトディッヒ、

そうさ、あの娘()は君を愛してるんだ、

Und da solltest du dich freu’n.

ウンダー・ゾルテスドゥーディッヒ・フろイン。

だから君は喜ぶべきだ。

Du hast ihr weh getan,

ドゥーハスティーア・ヴェーゲターン、

君はあの娘()を悲しませたね、

Sie wußte nicht warum.

ズィーヴストニヒト・ヴァるーム。

あの娘()にはその理由が分からなかったんだ。

Du warst nicht schuld daran,

ドゥーヴァふストニヒト・シュルトダらーン、

それは君のせいじゃなかったし、

Und drehtest dich nicht um.

ウンドゥードれーテスト・ディッヒ・ニヒトウム。

君は振り返りもしなかった。

Oh, ja sie liebt dich.

オーヤ・ズィーリープトディッヒ。

あーそうさ、あの娘()は君を愛してる。

Schöner kann es gar nicht sein.

ショェーナーカンエス・ガふニヒトザイン。

事態がこの上もなく上々だ。

Ja, sie liebt dich,

ヤー・ズィーリープトディッヒ、

そうさ、あの娘()は君を愛してるんだ、

Und da solltest du dich freu’n.

ウンダー・ゾルテスドゥーディッヒ・フろイン。

だから君は喜ぶべきだ。

Sie liebt dich, yeah, yeah, yeah.

ズィー・リープト・ディッヒ、イェーイェーイェー。

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

Sie liebt dich, yeah, yeah, yeah.

ズィー・リープト・ディッヒ、イェーイェーイェー。

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

Denn mit dir allein

デンミッディーァ・アライン

というのも君と二人きりでいると、

kann sie nur glücklich sein.

カンズィーヌーァ・グリュックリヒザイン。

あの娘()は幸せだけになれるんだ。

Du mußt jetzt zu ihr gehen,

ドゥームスイェッツト・ツーイーァゲーェン

君は今あの娘()のとこに行けよ、

Entschuldigst dich bei ihr.

エントシュルディクスト・ディッヒバイイーァ。

あの娘()に詫()びるんだ。

Ja, das wird sie verstehen,

ヤー・ダスヴィふトズィーフェアシュテーェン

そうさ、あの娘()は分かってくれるさ

Und dann verzeiht sie dir.

ウントダン・フェアツァイトディーァ。

そして君を許してくれる。

Oh, ja sie liebt dich.

オーヤ・ズィーリープトディッヒ。

あーそうさ、あの娘()は君を愛してる。

Schöner kann es gar nicht sein.

ショェーナーカンエス・ガふニヒトザイン。

事態がこの上もなく上々だ。

Ja, sie liebt dich,

ヤー・ズィーリープトディッヒ、

そうさ、あの娘()は君を愛してるんだ、

Und da solltest du dich freu’n.

ウンダー・ゾルテスドゥーディッヒ・フろイン。

だから君は喜ぶべきだ。

Sie liebt dich, yeah, yeah, yeah.

ズィー・リープト・ディッヒ、イェーイェーイェー。

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

Sie liebt dich, yeah, yeah, yeah.

ズィー・リープト・ディッヒ、イェーイェーイェー。

あの娘()は君を愛してる、イェーイェーイェー。

Denn mit dir allein

デンミッディーァアライン、

というのも君と二人きりでいると、

kann sie nur glücklich sein.

カンズィーヌーァ・グリュックリヒザイン。

あの娘()は幸せだけになれるんだ。

Denn mit dir allein

デンミッディーァアライン、

というのも君と二人きりでいると

kann sie nur glücklich sein.

カンズィーヌーァ・グリュックリヒザイン。

あの娘()は幸せだけになれるんだ。

Denn mit dir allein

デンミッディーァアライン、

というのも君と二人きりでいると

kann sie nur glücklich sein.

カンズィーヌーァ・グリュックリヒザイン。

あの娘()は幸せだけになれるんだ。

(原田俊明訳)

【例5: イギリス人コメディアンが冗談で勝手に禁句と決めつけた表現】

ドイツ人の面前では禁句(a forbidden word; a taboo word)とされる言葉:

戦争(the war ウォー)及びその関連単語やナチス関連の固有名詞

イギリス人の誰もが知るセリフ(1975年のテレビ喜劇から):

Don’t mention the war.’ 「戦争のことを言ってはだめ」

【例5a】

ITV, Spitting Image (1984-96) - ‘Royal Family Breakfast’

民放最大手ITV制作・放映の諷刺人形劇 『うりふたつ』から「王室の朝食」

https://en.wikipedia.org/wiki/Spitting_image

https://en.wikipedia.org/wiki/Princess_Michael_of_Kent

https://ja.wikipedia.org/wiki/マリー=クリスティーヌ_(マイケル王子夫人)

ドイツ出身のケント公マイケル王子妃(Princess Michael of Kent, b.1945)が王室の朝食に初めて招待されるが、、、(1985年)

動画

https://www.youtube.com/watch?v=boLAQqEC_jU (リンク切れ)

【例5b】

BBC, Fawlty Towers (1975-79) – ‘The Germans’

(First aired on BBC on Friday 24th October 1975)

BBC 『フォールティー・タワーズ』から「ドイツ人たち」のエピソード

1975年10月24日(金) 初放映

Directed by John Howard Davies (1939-2011)

監督: ジョン・ハワード・デイヴィーズ

Written by John Cleese (b.1939) & Connie Booth (b.1944)

脚本: ジョン・クリーズ&コニー・ブース[訳註1]

The main character of Basil Fawlty played by John Cleese

主役のバジル・フォルティ役: ジョン・クリーズ

訳註1: 喜劇シリーズ 『フォールティー・タワーズ』では夫婦で脚本を書いて演じていた。夫のジョン・クリーズ(John Cleese, b.1939)は1960年代終盤から’70年代にかけて喜劇集団モンティ・パイソン(Monty Python)で活躍したケイムブリヂ大学ダウニング学寮(Downing College, Cambridge)卒の喜劇役者である。この喜劇シリーズでは非常に性格の悪いホテル経営者バジル・フォールティー(Basil Fawlty)の役を演じ続けた。クリーズの当時の妻コニー・ブース(Connie Booth, b.1944)も脚本を共作し、尚(なお)且()つフォールティーのパワハラを受ける従業員ポリー・シャーマン(Polly Sherman)の役を演じた。役の中では米国出身とは思えないほど完璧なイギリス英語を操っている。『フォールティー・タワーズ』では、クリーズ演じるところのホテル経営者バジル・フォールティーの妻役には、実生活での妻ではなく、別の女優が起用された。この放送の三年後にジョン・クリーズとコニー・ブースの二人は十年に及ぶ結婚生活を解消し、当人たち曰(いわ)く「円満に離婚」した。コニー・ブースは五十歳を超えた1995年に女優業を引退し、ロンドン大学(University of London)で大学院レベルまで5年間かけて心理学を学び、現在では英国心理分析委員会(British Psychoanalytic Council)に籍を置く心理療法士(psychotherapist)としてロンドンを拠点に活躍している。

https://ja.wikipedia.org/wiki/フォルティ・タワーズ

https://en.wikipedia.org/wiki/Fawlty_Towers

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Germans

https://www.bbc.co.uk/programmes/b0074nwy

https://www.imdb.com/title/tt0578590/

https://www.theguardian.com/culture/2015/sep/18/the-10-best-fawlty-towers-moments-40th-anniversary

https://www.springfieldspringfield.co.uk/view_episode_scripts.php?tv-show=fawlty-towers&episode=s01e06 (リンク切れ)

https://en.wikiquote.org/wiki/Fawlty_Towers#The_Germans

動画全編

https://www.dailymotion.com/video/x6hg0uv (リンク切れ 11:10-12:47 & 28:30-36:46end)

https://www.dailymotion.com/search/Fawlty%20Towers%20Germans/videos (6件の中から選ぶ)

https://www.dailymotion.com/video/x274l1t (リンク切れ)

https://www.dailymotion.com/video/x6te9be (リンク切れ)

https://vimeo.com/135257996 (リンク切れ)

ユーチューブ(YouTube)に辛うじて残っているごく短い動画

https://www.youtube.com/watch?v=S0dyNnWJJUQ

https://www.youtube.com/watch?v=yfl6Lu3xQW0

台詞(セリフ)の一部を抜粋

[前略 11:10-]

Manuel: How are you, sir? You see, I speak English well. I learn it from a book. Hello. I am English. [From under the front desk] Hello. How are you, sir? I can speak English. [To Major Gowen, who enters] Oh, hello, Major. [From under the front desk again] How are you to-day?

スペイン人料理人マヌエル: 旦那、ゴ機嫌イッカーガデスカ。オッワカリデスネー、ワターシワ、ジョーズニ英語ヲ話シマース。本一冊デ英語ヲ学ビマース。ワターシワ、イングランド人デス。[ホテル・フロントの机の下から] コンチニワ。旦那、ゴー機嫌イッカガデスカ。ワターシワ、英語ガ話セマース。[入ってきたガウエン少佐に向かって] アッ、コンチニワ、少佐。[再度ホテル・フロントの机の下から] キョーォワ、ゴ機嫌イッカーガデスカ。

Major Gowen: I’m, I’m, I’m fine, thank you.

ガウエン少佐: わしは、わしは、わしは元気じゃ。どうも。

Manuel: Is a beautiful day to-day. [訳註2]

マヌエル: キョーォワ、良イ、オォ天気ノ日ダッスネ。

訳註2: 正しくは、It’s a beautiful day today. だが、スペイン人のマヌエルは、Es un día hermoso hoy. (エス・ウンディーアエるモソ・オイ。)というスペイン語を脳内で英語に直訳して喋っているという設定のため、文頭の It が欠落してしまっている。しかしながら、これを演じている喜劇俳優アンドルー・サックス(Andrew Sachs, 1930-2016)はナチス時代(独 NS-Zeit od. Nazi-Zeit; 英 Nazi era, 1933-45)の1938年に8才で家族と共にドイツからイギリスへ逃げのびたユダヤ難民(厳密には父方だけユダヤ系で、母方はドイツ人カトリック信徒)である。2016年11月23日(水)に惜しまれながら満86歳で歿している。

Major Gowen: Is it? Yes, yes, I suppose it is.

ガウエン少佐: そうかい。うん、うん、そうだと思うよ。

Manuel: Yes, I can speak English. I learn it from a book.

マヌエル: ソォデース。ワターシワ、英語ガ話セマース。本一冊デ英語ヲ学ビマース。

Major Gowen: Did you? Did you really? [To Basil, who returns] There you are, Fawlty.

ガウエン少佐: そうなのか。ホントにそうなのか。[戻ってきたバジルに向かって] おう、来たか、フォールティー。

Basil Fawlty: Yes, I’m just gonna open up, Major.

バジル・フォールティー: はい。これから店を開けますよ、少佐。

Major Gowen: Oh, fine. [Pointing at the moose Basil is holding] I say, that’s a remarkable animal you have there, Fawlty. Where did you get it?

ガウエン少佐: あー、良かった。[バジルの抱えているヘラジカを指して] こりゃ素晴らしい動物だな、そこにあるのは、フォールティー。どこで手に入れたね?

Basil: Samson’s in the town.

バジル: 街中のサムソンズですよ。

Major Gowen: Really? Was it expensive?

ガウエン少佐: ホントか。高かったか?

Basil: Twelve pounds, I think.

バジル: 12ポンド[訳註3]だったと思います。

訳註3: 放送当時の為替レートで約7,400円。

Major Gowen: Good Lord. Japanese, was it?

ガウエン少佐: たまげたね。日本製かね?

Basil: Canadian, I think, major.

バジル: カナダだと思いますけど、少佐。

Major Gowen: I didn’t know the Canadians were as clever as that. My God.

ガウエン少佐: 知らなかったなぁカナダ人がそんなに賢いとは。まいったな。

Basil: [To himself] He started early.

バジル: [独り言で] 朝早くからやってくれてるわ。

[-12:47 中略 28:30-]

German husband: Sprechen Sie Deutsch?

ドイツ人亭主: シュプレッヘンズィー・ドイチュ?(ドイツ語を話しますか?)

Basil: Beg your pardon?

バジル: 何ですと?

German husband: Entschuldigen Sie, bitte. Können Sie Deutsch sprechen?

ドイツ人亭主: エントシュールディゲンズィー・ビッテ。キョェネン・ズィー・ドイチュ・シュプレッヘン?(すいませんが、ドイツ語を話せますか?)

Basil: I’m sorry. Could you say that again?

バジル: すいませんが、もう一度言っていただけますか。

German wife: You speak German?

ドイツ人妻: ドイツ語を話しますか?

Basil: Oh, German! I’m sorry. I thought there was something wrong with you. Ha ha ha, German.

バジル: あー、ドイツ語ですか。すいませんねぇ。具合でも悪いのかと思いましたよ。ハハハ、ドイツ語ですか。

German wife: You speak German?

ドイツ人妻: ドイツ語を話しますか?

Basil: Well, a little. I get by.

バジル: ええ。まぁ、少しだけ。何とかなります。

German wife: Ein bißchen.

ドイツ人妻: アインスヘン(少しだけね)。

German husband: Ah, wir wollen ein Auto mieten. (English subtitle: “We want to hire a car.”)

ドイツ人亭主: アー、ヴィアヴォレン・アインアウトー・ミーテン(英語字幕: “We want to hire a car.” 私たちは車を一台借りたいです。)

Basil: Well, why not.

バジル: ふん。宜しいですよ。

German husband: Bitte.

ドイツ人亭主: ビッテ(お願いします)。

Basil: A little bit tricky. Would you mind saying it again?

バジル: ちょっとトリッキーだな。もう一度言っていただけますか。

German wife: Please.

ドイツ人妻: お願いします。

Basil: Could you repeat, amplify? Reiterate? Yes, yes.

バジル: もう一度繰り返して、音を大きくしていただけますか。繰り返し。そうそう。

German husband: Ja.

ドイツ人亭主: ヤー(はい)。

Basil: We come back then.

バジル: また話を戻して。

German husband: Wir...

ドイツ人亭主: ヴィア(私たちは)、、、

Basil: Here.

バジル: ここ(ヒァー)。

German husband: Wollen...

ドイツ人亭主: ヴォレン(~したいです)、、、

Basil: Voluntary.

バジル: 志願制の(ヴォランタりー)。

German husband: Ein Auto mieten.

ドイツ人亭主: アインアウトー・ミーテン(車を一台借りることを)。

Basil: Auto, Auto, oh, I see! You’re volunteering to go out to get some meat. Not necessary. We have meat here. Vee haff meat hier in ze building![訳註4] Hmm.... Ah, Polly, just explaining about the meat.

バジル: アウトー、アウトー。あー、分かった。志願して肉(ミート)の買出しに行ってくださると。不必要でーす。ここに肉ならありまーす。コーノ、タテモーノ、肉アッリマース。ふむ。あー、ポリー、ちょうど肉について説明してたんだよ。

訳註4: We を「ヴィー」と発音し、have を「ハフ」と発音し、here を「ヒーァ」と発音し、the を「ゼ」と発音することで強いドイツ語訛(なま)りの英語になっている。ところがドイツ語訛りで喋ったところで、この年配ドイツ人夫婦には通じていない。本来のドイツ語なら、Wir haben in diesem Gebäude Fleisch. (ヴィアハーベン・インディーゼムゲボイデ・フライシュ)または In diesem Gebäude haben wir Fleisch. (インディーゼムゲボイデ・ハーベンヴィア・フライシュ)または Fleisch haben wir in diesem Gebäude. (フライシュ・ハーベンヴィア・インディーゼムゲボイデ)となる。ドイツ語には格変化があるため、英語よりは語順が自由である。

Polly Sherman: We weren’t expecting you.

従業員のポリー・シャーマン: あなたがここに居るとは思いませんでした。

Basil: Oh, weren’t you? They’re Germans. Don’t mention the war.

バジル: 居ちゃダメなの? あれはドイツ人の御一行(ごいっこう)だよ。戦争のことを言ってはダメ。

Polly: I see. Well, Mrs Fawlty said you were going to have a rest for a couple of days, you know, in the hospital.

ポリー: わかりました。奥さんが仰(おっしゃ)るには、バジルさんは、あのー、2~3日入院することになっていた筈ですわ。

Basil: Idle hands get in the way of the devil’s work, Fawlty! Now…

バジル: フォールティー曰く、「小人(しょうじん)閑居(かんきょ)して不善(ふぜん)を為()す」って言うからね。さてと、、、

Polly: Right, why don’t you have a lie down for a while, and I can deal with this.

ポリー: あの、少しの間、横になってらしたらどうですか。私が仕事を片付けますから。

Basil: Yes, yes. Good idea. Good idea, Elsie. Bit of a headache actually.

バジル: そうそう。いい考えだ。いい考えだ、エルシー[訳註5]。実はちょっと頭痛がするんだ。

訳註5: 本当はポリーでありながら、わざとからかって勝手にエルシーと呼んでいるところにバジルの嫌な性格が表出されている。

Miss Tibbs: We don’t think you’re well, Mr Fawlty.

ティッブズ老嬢: 具合が悪そうに見えますわ、フォールティーさん。

Basil: Well, perhaps not, but I’ll live longer than you.

バジル: うん、ひょっとしたらそうかも知れませんね。でもあなたよりはまだ寿命がありますよ。

Miss Gatsby: You must have hurt yourself.

ギャッツビー老嬢: お怪我(けが)されたんですね。

Basil: My dear woman, a blow on the head...like that... is worth two in the bush![訳註6]

バジル: 奥さん、こんな感じに頭に一発喰らったんですけど、、、これは藪(やぶ)の中の二発分の価値がありますよ。[訳註6]

訳註6: A bird in the hand is worth two in the bush. (捕えている一羽の鳥は、まだ藪(やぶ)の中に居る二羽の価値がある。)というイギリスの古い諺(ことわざ)で、日本の「明日(あす)の百(ひやく)より今日(けふ)の五十(ごじふ)。」に相当する諺(ことわざ)を捩(もじ)ったバジル流のパロディー。

Miss Gatsby: Oh, we know, but it was a nasty knock.

ギャッツビー老嬢: ああ、分かりますわ。でもひどい一撃だったんでしょう。

Basil: Hmm, would you like one? Next please! Ah, Polly, are these Germans too?

バジル: ふむ。あなたも一撃いかがです? 次の方(かた)どうぞ! あー、ポリー、あの一行(いっこう)もドイツ人だろうか?

Polly: Oh, yes, but I can deal with it.

ポリー: ええ。そうです。でも私にお任せを。

Basil: Right, right. Here’s the plan. I’ll stand there and ask them if they want something to drink, before the war. Before their lunch! Don’t mention the war.

バジル: 分かった。分かった。これが計画だ。僕はあそこに立って、飲み物はいかがですかと訊()こう。戦争の前に、じゃなかった、昼食の前にだっけ! 戦争のことを言ってはダメ。

German guest: Can we help you?

ドイツ人客: どうかされましたか?

Basil: Ah, you speak English!

バジル: あっ、英語を話すんですか!

German guest: Of course.

ドイツ人客: もちろんです。

Basil: Ah, wonderful! Wunderbar! Ahh! Please allow me to introduce myself, I am the owner of Fawlty Towers. And may I welcome your war... your war... you all... and hope that your stay will be a happy one. Now, would you like to eat first, or would you like a drink before the war... Ahh! Er... trespassers will be tied up with piano wire... Sorry, Sorry! Bit of trouble with the old leg ... got a touch of shrapnel in the war... Korean, Korean War, sorry, Korean....

バジル: あー、すばらしい。ヴンダバールだ。あー! どうか自己紹介させてください。私がここフォールティー・タワーズのオーナーです。皆様の戦争(ユァウォー)を、皆様の戦争(ユァウォー)を、じゃなくて皆様全員(ユーオール)を歓迎いたします。そして素敵な滞在になりますように。さてと、先に食事になさりたいですか。それとも先にお飲み物など戦争の前に、、、あー! あ、侵入者はピアノ線で縛り上げて見せしめに、、、じゃなくて、すいません。すいません。ちょっと脚(あし)に痛みがありまして、戦時中に榴散弾(りゅうさんだん)の破片が入ってしまって、、、朝鮮、朝鮮戦争[訳註7]ですけどね。すいませんね。朝鮮、、、

訳註7: 第二次世界大戦(World War II, 1939-45)の戦勝国イギリスは、朝鮮戦争(Korean War, 1950-53)で劣勢だった大韓民國(韓国)を助けるため、連合国(UN: United Nations; 日本では「国際連合」=「国連」と意図的に誤訳)軍の一員として米軍と一緒に参戦し、北朝鮮軍や背後で糸を引いていた中共軍(中国人民解放軍)を相手に戦った。

German guest: Thank you. We will eat now.

ドイツ人客: では、先に食べることにします。

Basil: Oh, good. Please do allow me. May I say how pleased we are to have some Europeans here now that we are on the Continent.

バジル: ああ、それはいい。失礼しますね。今や我々も欧州大陸の側に居るので[訳註8]、欧州人のお客さんは大歓迎です。

訳註8: 1973年1月1日(月・祝)に、英国が現在の欧州共同体(EU: European Union)の前身に当たる当時の欧州共同体(EC: European Community)に加盟したことに言及。

Polly: [on the phone] Can I speak to Dr Fin, please?

ポリー: [電話で] フィン先生をお願いします。

Basil: [to the Germans] Didn’t vote for it myself quite honestly, but now that we’re in, I’m determined to make it work, so I’d like to welcome you all to Britain. The plaice is grilled, but that doesn’t matter. There’s life in the old thing yet.[訳註9] Wait a moment, got a bit confused there. Oh, yes, the plaice is grilled, the whole room’s warm, isn’t it? I’ll open a window, have a look. And the veal chop is done with rosemary. That’s funny, I thought she’d gone to Canada and is delicious and nutritious, in fact, it’s veally[訳註10] good. Veally good, ha ha! The veal is good? Yes, doesn’t matter, never mind.

バジル: [ドイツ人の一行に向かって] それ[訳註11]には投票しなかったんです、正直言いますとね。でも今や我々も欧州の中に居る[訳註12]ので、それ[訳註13]がうまく機能するようにしようと決意したんです。ですので皆様を英国にお迎えします。鰈(カレイ)が焼けてしまってますが、問題ないです。年は取ってもまだね。いや、ちと待てよ。ちょっと混乱してきたな。ああ、そうだ。鰈(カレイ)が焼けてしまっていて、この部屋全体が少し暑いですよね。ひとつ窓を開けてみることにします。それで仔牛肉には仕上げでローズマリーを使ってます。ヘンだな、ローズマリーって娘()はカナダに行ってしまったと思ったけど、おいしくて栄養もあります。実は、ホーントにおいしい。ホーントにおいしいんです、ハッハ。仔牛肉はおいしいでしょ。そうですね。問題ない。気にしない。

訳註9: There is life in the old dog yet. (直訳すると「老いた犬にもまだ生気がある。」だが、意訳すると「老いてもまだ盛ん。」「年は取ってもまだ若い者には負けない。」)という慣用句を言い換えたもの。

訳註10: 「仔牛肉」を意味する veal (ヴィー)と「本当に」を意味する really (アリー)を一緒くたにしてしまった造語だが、I will (アイウィル)を I villアイヴィル)と発音してしまうドイツ人の訛(なま)りをからかってもいる。

訳註11: 欧州共同体(EC: European Communities)加盟の是非を巡る国民投票(EC Referendum)での賛成票(yes vote)のこと。

訳註12: 英国人は伝統的に自国が欧州の外に在ると考えてきたので、二十一世紀(2001-2100年)の現在になっても「休暇にヨーロッパへ行く。」などと言ってしまう。それはちょうど日本人が「休暇でアジアへ行く。」などと言ってしまう姿に似ている。日英ともに島国根性(insular mentality)の為()せるわざである。

訳註13: 英国加盟以降の欧州共同体(EC: European Communities)のこと。

German guest: May we have two eggs mayonnaise, please?

ドイツ人客: 卵のマヨネーズ和()えを2つお願いします。

Basil: Certainly. Why not? Why not, indeed? We are all friends now, eh?

バジル: かしこまりました。そうしましょう。ええ、そうしましょう。今では私たちは友人[註14]ですね。

訳註14: 英独両国が和解したことを言いたい。

German guest: A prawn cocktail.

ドイツ人客: プローン・カクテル[訳註15]を1つ。

訳註15: 「カクテル」はイギリス英語でもドイツ人の発音でも「クテイル」となり、原義は「雄鶏(オンドリ)のような尻尾」(a tail like that of a cock)や「ぴんと立った尻尾」(a tail that cocks up)の意。「プローン・カクテル」といっても、アルコールが入っているわけでも、液体でもない。蒸したプローン(手長海老(テナガエビ)や車海老(クルマエビ))をマヨネーズで和()えてワイングラスに詰めた料理で、イギリスの飲食店では前菜としてよく供される。このような簡素な前菜にも千円前後の値が付くが、グラスに付着した脂分を後で落とすのに少々手間がかかるため値が張るのだろう。

Basil: All in the Market together, old differences forgotten, and no need at all to mention the war. Sorry, sorry, sorry, what was it again?

バジル: 皆一緒に市場(しじょう)[訳註16]に居て、昔の違いも忘れて、戦争について言う必要はまったくありません。すいません、すいません、すいません。なんでしたっけ。

訳註16: この場合の「市場」とは、欧州共通市場、つまり現在の欧州連合(EU: European Union)の前身に当たる欧州共同体(EC: European Community)のことを指す。

German guest: A prawn cocktail.

ドイツ人客: プローン・カクテルを1つ。

Basil: Prawn, that was it. When you said prawn, I thought you said war. Oh, the war, oh, yes, completely slipped my mind, yes. I’d forgotten all about it. Hitler, Himmler and all that lot, yes, completely forgotten it, just like that. Sorry, what was it again?

バジル: プローン、そうでした。プローンと言われたとき、私は戦争って言われたかと思ってました。あー、戦争、あ、そうだ。完全に頭から抜けてました。はい。それ(=戦争)について全部忘れてました。ヒトラー[訳註17]だの、ヒムラー[訳註18]だの、そんな連中全員。そうです、完全に忘れてましたよ。そんな感じで。すいません。何でしたっけ。

訳註17: ヒトラーとは、ドイツの独裁者で第二次世界大戦(the Second World War; World War II, 1939-45)を引き起こしたが、大戦末期の1945年4月29日(日)、ソ連軍が首都ベルリンに迫る中で愛人のエーファ・ブラウン(Eva Braun, 1912-45)と簡素な結婚式を挙げ、その翌日(4月30日(月))にはシアン化物と拳銃の併用によって新妻エーファと心中自殺したアードルフ・ヒトラー(Adolf Hitler, 1889-1945; 首相在任1933-45; 総統在任1934-45)のこと。

訳註18: ヒムラーとは、ナチス・ドイツの親衛隊(SS: Schutzstaffel)隊長や秘密国家警察(Gestapo ゲスターポまたはゲシュターポ; 日本では誤って「ゲシュタポ」の表記)長官を務め、第二次世界大戦後半には内務大臣も務めたものの、敗戦直前にヒトラーを裏切って米英軍との講和を模索し、敗戦直後には偽名を使って英軍に投降したが身元がバレた際に服毒自殺したハインリッヒ・ヒムラー(Heinrich Himmler, 1900-45)のこと。

German guest: A prawn cocktail!

ドイツ人客: プローン・カクテル!

Basil: Oh, yes, Eva Prawn, yes, and Goebbels too. Another one I can hardly remember.

バジル: ああ、そうですね、イーヴァ・プローン[訳註19]と、はい、ゲッベルス[訳註20]も。もう一つはどうも思い出せません。

訳註19: バジルはここで注文のプローン(手長海老(テナガエビ)や車海老(クルマエビ))とエーファ・ブラウン(Eva Braun, 1912-45)=33歳とを混同している。エーファ・ブラウンはヒトラー(Adolf Hitler, 1889-1945; 首相在任1933-45; 総統在任1934-45)=56歳の愛人で、第二次大戦末期の1945年4月29日(日)、ソ連軍が首都ベルリンに迫る中でヒトラーと簡素な結婚式を挙げ、その翌日(4月30日(月))にはシアン化物と拳銃の併用によって新郎ヒトラーとともに満33歳の若さで心中自殺した。

訳註20: ゲッベルスとは、ナチス・ドイツの宣伝大臣で、第二次大戦末期の首都ベルリン陥落に際して妻と子供たち6人(一男五女)と共に一家心中したヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels, 1897-1945)のこと。本当は第一音節を「ゲッ」と「ゴッ」の中間音で発音せねばならないが、英語圏では「ゴッ」の音で代用され、日本語では「ゲッ」の音で代用されてしまっている。

German guest: And a pickled herring.

ドイツ人客: それと酢漬け鰊(ニシン)を1つ。

Basil: Hermann Goering, yes, yes. And von Ribbentrop, that was another one.

バジル: ヘルマン・ゲーリング[訳註21]ですね。はい、はい。それにフォン・リッベントロップ[訳註22]も別に注文ですね。

訳註21: ヘルマン・ゲーリング(Hermann Göring, 1893-1946)とは、ナチス・ドイツの帝国議会議長や空軍大臣や副首相を務めた人物。第二次大戦直後に勝者である連合国側が戦争犯罪人(戦犯)を裁いたニュルンベルク裁判中に服毒自殺した。バジルは注文のへリング(ニシン)とゲーリングの名とを混同している。本当は第一音節を「ゲー」と「ゴー」の中間音で発音せねばならないが、英語圏では「ゴウ」の音で代用され、日本語では「ゲー」の音で代用されてしまっている。

訳註22: フォン・リッベントロップとは、ナチス・ドイツの外務大臣で、第二次大戦直後のニュルンベルク裁判で有罪となり処刑されたヨアヒム・フォン・リッベントロップ(Joachim von Ribbentrop, 1893-1946)のこと。

German guest: And four cold meat salads, please.

ドイツ人客: それと冷製肉入りのサラダを4つお願いします。

Basil: Certainly, I'll just get your hors d’oeuvres, hors d’oeuvres which must be obeyed at all times without question. Sorry, sorry, sorry.

バジル: かしこまりました。前菜(オードブル)をお持ちします。その前菜(オードブル)[訳註23]には、どんな時も何の疑いも持たずに従わねばなりません。すいません、すいません、すいません。

訳註23: 「前菜」を意味するフランス語 hors d’oeuvres (オふデゥヴふ)と、「命令」や「注文」を意味する英単語 order (オーダー)とを混同している。

Polly: Mr Fawlty, would you please call your wife immediately?

ポリー: フォールティーさん、今すぐ奥さんに電話していただけますか?

Basil: Sybil, Sybil! She’s in the hospital, you silly girl.

バジル: シビル、シビル! あれは病院に居る。あのおバカな娘()。

Polly: Yes, call her there.

ポリー: そうです、そこ(=病院)まで奥さんに電話するのです。

Basil: I can’t, I’ve got too much to do. Listen, don’t mention the war! I mentioned it once, but I think I got away with it all right. [returns to the Germans] So! It’s all forgotten now, and let’s hear no more about it. So, that’s two eggs mayonnaise, a prawn Goebbels, a Hermann Goering, and four Colditz salads. Now wait a minute. I’ve got a bit confused, ’cause everyone keeps mentioning the war. Oh, what’s the matter?

バジル: 無理だね。やることがあまりも沢山あるから。ねぇ、戦争のことを言ってはダメだよ! 僕は一度それを口に出してしまったけど、何とかお咎(とが)めなしで済んだと思うんだ。 [ドイツ人の一行の方に向き直って] 今では忘れたことですから昔のことは水に流しましょう。それでは卵のマヨネーズ和()えを2つと、クルマエビのゲッベルス[訳註24]を1つと、ヘルマン・ゲーリング[訳註25]を1つと、コルディッツ・サラダ[訳註26]を4つですね。あっ、ちょっと待て よ。混乱してきた。って言うのも皆さんが戦争のことを言い続けるから。あ、どうしました?

訳註24: 上記の註20を再読されたし。

訳註25: 上記の註21を再読されたし。

訳註26: コルディッツ・サラダとは、注文の冷製サラダ(コゥルド・サラッド)と、戦時中に連合軍将校を収監したナチス・ドイツのコルディッツ捕虜収容所を混同。

German guest: It’s all right.

ドイツ人客: 大丈夫ですよ。

Basil: Is there something wrong?

バジル: どうかしましたか?

German guest: Will you stop talking about the war?

ドイツ人客: 戦争のことを話題にするのはやめてくれないか?

Basil: Me? You started it!

バジル: わたしがだって? あなたたちが始めたんでしょ。

German guest: We did not start it!

ドイツ人客: 我々は戦争の話題なんか始めていない。

Basil: Yes, you did. You invaded Poland.

バジル: いや、戦争始めたでしょ。ポーランドを侵略[訳註27]して。

訳註27: 1939年9月1日(金)にナチス・ドイツが突如としてポーランドに侵攻し、ポーランドと協定を結んでいた英仏が二日後の同年9月3日(日)に対独宣戦布告したことで第二次世界大戦が勃発した。

Basil: Here, blow, here, this’ll cheer you up. You’ll like this one: There’s this woman, she’s completely stupid, she’d never remember anything, and her husband’s in a bomber over Berlin.... Oh, sorry. Sorry. She’ll love this one, she’ll laugh.

バジル: ほら、これを鳴らせよ。元気が出るよ。こんな話があってさ。こんな女がいてね、完全にバカでさ、何も思い出せないんだ。それでその夫は首都ベルリン上空で爆撃機に乗っててね、、、 あー、すいません。すいません。この娘()はこの話が気に入って笑うよ。

German guest: Leave her alone.

ドイツ人客: この娘(こ)をほっといてくれ。

Basil: No, this is a scream. I have never seen anyone not laugh at this.

バジル: いや、これは爆笑ものだ。この話を聞いて笑わなかった人を見たことがない。

German guest: Go away!

ドイツ人客: あっちへ行け!

Basil: Look, she’ll love it, she’s German.

バジル: ほら、この娘()、気に入るよ。ドイツ人だもん。

Polly: No, Mr Fawlty!

ポリー: ダメです、フォールティーさん!

Basil: What?

バジル: 何だよ。

Polly: Do Jimmy Cagney instead.

ポリー: それはやめて、ジミー・キャグニー[訳註28]をやって。

訳註28: アメリカの俳優兼ダンサーのジェイムズ・キャグニー(James Cagney, 1899-1986)のこと。この放送時点では存命中だった。

Basil: What?

バジル: 何だよ。

Polly: Jimmy Cagney.

ポリー: ジミー・キャグニーよ。

Basil: Jimmy Cagney?

バジル: ジミー・キャグニーだ?

Polly: You know, “You dirty rat.”

ポリー: ほら、あれよ、「この汚いドブネズミめ」って。

Basil: I can’t do Jimmy Cagney.

バジル: ジミー・キャグニーなんて無理だ。

Polly: Please try, “I’m going to get you.”

ポリー: どうかやってみて、「つまえてやるぞ」って。

Basil: Shut up. Here, watch. Who’s this then? [gestures Hitler’s moustache] Stark über....! I’ll do the funny walk. [takes his signature goose steps] Ich kann laufen....!

バジル: 黙れ。ほれ、見ろよ。それじゃこれは誰だ。[ヒトラーの口髭をジェスチャーで示す] (ドイツ語もどきで)シュるクユーバー[訳註29]! 変てこな歩きをやってやるぞ。[自分の得意技であるナチス流の鵞鳥(ガチョウ)歩行[訳註30]をする] (ドイツ語もどきで)イッヒカンラォフェン…[訳註31]

訳註29: 「...の上で強く!」の意。

訳註30: ナチス・ドイツ軍や旧東ドイツ軍などの閲兵式・観閲式で、膝(ひざ)を曲げないで足を伸ばして高く跳ね上げる歩調のこと。ドイツ語の Gänseschritt (ゲンゼシュりッ)を英語に直訳したのが goose steps (グースステップス)で、日本語直訳が「鵞鳥(ガチョウ)歩行」。

訳註31: 「私は歩ける!」の意。

German guest: Stop it!

ドイツ人客: やめてくれ!

Basil: What?

バジル: 何だって?

German guest: Stop it!

ドイツ人客: やめてくれ!

Basil: I’m trying to cheer her up, you stupid kraut!

バジル: 僕はこの娘()を元気づけようとしてるんだ、このバカなドイツのキャベツ野郎

German guest: It’s not funny for her!

ドイツ人客: この娘()にとっては面白くない!

Basil: Not funny? Not funny? You’re joking!

バジル: 面白くないだと? 面白くないだと? 冗談だろ!

German guest: Not for her, not for us, not for any German people!

ドイツ人客: この娘()にとっても、僕らにとっても、どんなドイツ人にも面白くない!

Basil: You have absolutely no sense of humour, do you?

バジル: 君らドイツ人にはユーモア感覚ってもんが全然ない[訳註32]んだよな。

訳註32: 多くの英国人がドイツ人に対して抱いている偏見・紋切型(ステレオタイプ)をバジルが上から目線で遂(つい)に口にする。

German guest: This is not funny!

ドイツ人客: こんなの面白くない!

Basil: Who won the bloody war anyway?

バジル: それじゃあの忌々(いまいま)しい戦争に勝ったのはどっちだね。

Dr Fin: Mr Fawlty, you’ll be all right. Come with me. [tries to inject Basil]

フィン医師: フォールティーさん、もう大丈夫ですよ。一緒に行きましょう。[バジルに注射しようとする]

Basil: Fine. [runs away and hits Manuel on the head]

バジル: よーし。[逃げて料理人マヌエルの頭を叩く]

Manuel: Oh, he hit me on the head!

マヌエル: あー、バジルに頭を叩かれた!

Major Gowen: No, you hit him on the head, you naughty moose!

ガウエン少佐: 違うだろ。君こそバジルの頭を叩いたろ、このいたずら者のヘラジカ君!

German guest: How ever did they win?

ドイツ人客: 奴ら一体どうやって戦争に勝ったんだろう?

[A Schubertian chamber music piece composed by Dennis Wilson (1920-89) is heard and the episode abruptly ends]

[英作曲家デニス・ウィルソンがシューベルト風に作った室内楽曲[訳註33]が流れて挿話が突如完結]

訳註33: その音楽に特化したウェブページがいくつか存在する。

https://www.bbc.co.uk/music/artists/17b7be06-cca7-4274-9c2f-7e14878f6c51 (リンク切れ)

https://www.youtube.com/watch?v=TZ36oZuuoYk

https://www.musicnotes.com/sheetmusic/mtd.asp?ppn=MN0110792

(英独文書き取り・日本語訳: 原田俊明)

脚本・主演のジョン・クリーズ(John Cleese, b.1939)自身による三十三年後の回想:

John Cleese’s fling with a blonde HALF his age

(ジョン・クリーズ、自分の半分の年齢の金髪女性と火遊び)

日刊メイル紙(Daily Mail)電子版

米ロサンゼルスのキャロライン・グレイアム(Caroline Graham)特派員の署名記事

2008年7月19日(土)

https://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-1036560/John-Cleeses-fling-blonde-HALF-age.html

‘Everybody thinks that was a joke about the Germans but they missed it. It was a joke about British attitudes to the war and the fact that some people were still hanging on to that rubbish. I happen to much prefer the German culture to the French culture. And that is considered odd. My problem is that I have a very good German accent so everybody thinks I speak it better than I do. But it’s great fun.’

「皆は(あのエピソードが)ドイツ人をからかった冗句(ジョーク)だと思ってるけど、それは的(まと)外(はず)れだよ。あれは戦争に対する英国人の態度と、そんなバカげたことにいつまでも拘泥(こうでい)する人がいる事実をからかった冗句(ジョーク)なんだ。僕は偶々(たまたま)フランス文化よりドイツ文化の方がずっと好きでね。それでそのことは奇妙に思われてしまう。困ったことに僕はドイツ語訛(なま)りで英語を話すのが得意なばっかりに、皆は僕のドイツ語が実際以上に上手(じょうず)なのだろうと想像してしまう。でもすごく楽しいよ。」(原田俊明訳)

参考: 現代英国人の対独観

英国放送協会ラジオ国際放送(BBC World Service)が世界24ヶ国で実施し、世界標準時で2014年6月3日(火) 23:01 GMT (英国夏時間では2014年6月4日(水) 0:01 BST、日本標準時では2014年6月4日(水) 8:01 JST)に発表したアンケート調査によると、ドイツが世界に良い影響を与えていると考える英国人の割合は86%で、悪い影響を与えていると考える英国人の9%を圧倒的に上回った(プラス77)。参考までに、同調査で分かった英国人の自己評価(英国が世界に良い影響を与えているか、悪い影響を与えているか)は肯定的71%・否定的23%(プラス48)で、対日観は肯定的65%・否定的24%(プラス41)、対仏観は肯定的61%・否定的32%(プラス29)だった。それらも決して悪い数値ではないが、英国人の抱くドイツへの好感は突出している。

面白いことに、ドイツ人自身の考えでは、ドイツが世界に良い影響を与えているとする意見は68%にとどまり、悪い影響を与えていると自虐的に考えるドイツ人が19%いた(プラス49)。また、ドイツ人の対英観はかなり厳しく肯定的51%・否定的34%(プラス17)という結果だった。これは英国が欧州連合(EU: European Union)内で独自路線を採りがちで、ドイツが国是(こくぜ)として懸命に推進している欧州統合の足並みを乱す元凶と考えられていることが大きい。実際この調査から二年後の2016年6月23日(木)の国民投票で、英国のEUからの離脱(Brexit)の方向が決定した。他にも第二次世界大戦(the Second World War; World War II, 1939-45)末期に英国空軍(RAF: Royal Air Force)が、弱りきっているドイツに対して戦略的には無意味な空爆を強行し、多数の人命や文化遺産を破壊したこと(特にドレースデン爆撃)が赦(ゆる)せないドイツ人がいることも確かである。

英国人の対独観は世界でも飛びぬけて肯定的であるが、他に同様にドイツを好意的に見ているのは豪州人の肯定的86%・否定的7%(プラス79)、そして韓国人の肯定的84%・否定的6%(プラス78)ぐらいなものである。余談ながら、これは韓国の片想いであり、世界一の嫌韓国はドイツである。BBCの同調査でドイツ人の対韓国意識は、肯定的24%・否定的59%(マイナス35)という結果だった。日本人の対韓国意識が肯定的13%・否定的37%(マイナス24)だったことと比較しても、ドイツは反韓感情が強いことが分かる。これは2002年FIFAワールドカップでの韓国側のドイツに対する非礼な行ない(ドイツのゴールキーパーの偽装葬儀写真や「ヒトラーの子孫は出て行け!」等のプラカード)や、2012年ロンドンオリンピックの女子フェンシング競技で韓国人の対戦選手であったドイツ人選手のSNSに対するサイバー攻撃に起因するものと考えられる。

日本人の対独観は肯定的46%・否定的3%(プラス43)だった。ここからから分かるように、そもそも日本人はドイツに対して関心が薄い。一方、ドイツ人は日本に対して「過去の戦争犯罪について謝罪していない」「福島原発への対応がひどすぎる!」という厳しい見方をしており、中韓二国に次ぐ世界で3番目に反日的な肯定的28%・否定的46%(マイナス18)となった。日本人自身は自国について、肯定的50%・否定的6%(プラス44)という自己評価になった。

世界の人々から見た良い評価のトップ5は、独加英仏日の順だった。日本はかつて世界2位だったことがありながら、この調査の時(2014年)は振るわず5位に順位を落としている。これは中韓二国による反日プロパガンダ(韓国の告げ口外交や、慰安婦少女像の海外設置建立や、中国が「南京大屠殺」と呼ぶ事件のユネスコ世界記憶遺産への登録等)の効果や、中国の軍事的挑発によって極東アジアで緊張が高まっていることや、福島原発問題の未処理・未解決が評価を下げた原因として考えられる。

http://downloads.bbc.co.uk/mediacentre/country-rating-poll.pdf

https://en.wikipedia.org/wiki/Anti-German_sentiment#Contemporary_Europe

https://en.wikipedia.org/wiki/Francophobia

https://en.wikipedia.org/wiki/Anti-Japanese_sentiment

独ルフトハンザ航空が特別便、国境混乱の英国へ生鮮品送る

米CNN(Cable News Network)日本語版

https://www.cnn.co.jp/business/35164346.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/84a0266af23ed23452f76d1141b02708c7513863

https://news.yahoo.co.jp/articles/84a0266af23ed23452f76d1141b02708c7513863/comments

韓国否定派が65%!! なぜドイツは世界一の“嫌韓国家”なのか

S Korea

吳承鎬(오 승호; O Seung-ho, 生年不詳)記者署名記事

2016年3月23日(水)

http://s-korea.jp/archives/4255

http://s-korea.jp/archives/4255/2

http://s-korea.jp/archives/4255/3

http://s-korea.jp/archives/4255/4

http://s-korea.jp/archives/4255/5

【悲報】韓国最愛のドイツからG7参加を反対された。BBCが調査「嫌いな国ランキング」韓国がダントツ!

フィフィ(Fifi, b.1976)

2020年8月6日(木)

https://www.youtube.com/watch?v=Nnt1AsLzew0

日本のアメリカ合衆国への親近感84.0%…日本の諸外国への親近感の実情をさぐる(2020年調査版)

ヤフーニュース(Yahoo! Japan News)個人

不破雷蔵(ふわ らいぞう)=本名・生年ともに非公開

2021年3月5日(金)

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20210305-00225165/

Top 10 Most Hated Countries in the World

(世界で最も嫌われる国々)

World According To Briggs

(ブリッグズによる世界)

2021年6月27(日)

https://www.youtube.com/watch?v=Ig0E9myWKG0&t=625s

No.10: Saudi Arabia

No.9: Turkey

No.8: Iran

No.7: India

No.6: UK

No.5: China

No.4: Israel

No.3: Russia

No.2: USA

No.1: North Korea

Top 10 Most Loved Countries in the World

(世界で最も愛される国々)

World According To Briggs

(ブリッグズによる世界)

2021年6月30日(水)

https://www.youtube.com/watch?v=a2rHwN6ceU0

No.10: Norway

No.9: Denmark

No.8: Netherlands

No.7: New Zealand

No.6: Sweden

No.5: Australia

No.4: Switzerland

No.3: Germany

No.2: Japan

No.1: Canada

ドイツサッカー代表「さよなら日本」イラストを投稿「温かいおもてなしをありがとう」【画像】

ハフポスト(HuffPost)日本版

2021年8月1日(日)

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_610610fce4b00fa7af8368fb

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_610623b0e4b0d3b5897e6338

https://news.yahoo.co.jp/articles/bc77c98bcf304315997c500ee3a4d23002b7ff4b

https://news.yahoo.co.jp/articles/bc77c98bcf304315997c500ee3a4d23002b7ff4b/comments

イギリス人はなぜドイツが好きなのか EU離脱しても変わらぬ愛情

朝日新聞社 Globe+

在英翻訳家 園部哲(そのべ さとし, b.1956)

2021年8月1日(日)

https://globe.asahi.com/article/14406246

https://news.yahoo.co.jp/articles/1cb628d903d8405915690e963a868ba6d5e9869a

https://news.yahoo.co.jp/articles/1cb628d903d8405915690e963a868ba6d5e9869a?page=2

https://news.yahoo.co.jp/articles/1cb628d903d8405915690e963a868ba6d5e9869a?page=3

https://news.yahoo.co.jp/articles/1cb628d903d8405915690e963a868ba6d5e9869a/comments