平成27年度末発表会「私の授業の工夫」レジュメ

平成27年度 2016年=平成28年2月6日(土)

私の授業の工夫」 総合教育センター専任講師

題名英訳例 原 田 俊 明

1. “Ingenuity of My Class”(グーグル翻訳=Google Translate)

2. “Invention of My Class”(ヤフー翻訳)

3. “*Laborer of My Class”(Weblio翻訳=誤訳

4. “我的課的聰明才智 (Wǒ de kè de cōngmíng cáizhì.)”(グーグル翻訳中文繁体字)

5. “My Class Wisdom”(上記4番のグーグル翻訳を英語に重訳)

6. “My Teaching Ideas”(無料の翻訳サービス「私は翻訳を愛する=I Love Translation」)

7. “How I Tried To Improve My Teaching—or the Lack Thereof”(原田試訳)

ご指摘を受けた改善すべき点10項目(要旨)

1) 教員(原田)が英文を和訳したり、説明する時間が長すぎる。学生は解答以外の箇所で英語を発していない。教員による和訳や解説は必要最小限に抑え、学生に英語を話す機会を与えるべし。 ⇒ 未達成。次年度の課題。

2) 答え合わせでは教員(原田)が全て解説するのではなく、大事な点に絞るべし。 ⇒ 未達成。次年度の課題。解説しすぎる教員の問題。

3) 学生が英語の意味を自分で理解し、それを使用する機会を与えるべし。 ⇒ 重要なことだと認識しながら未達成。次年度の課題。

4) 学生が覚えるべき単語はその場で発音させるべし。 ⇒ 一応実行しながらも、本当に覚えていない者もいる。本当に覚えさせるのは次年度の課題。

5) 或る単語が出てきたら、学生同士がその単語について英語で話し合う機会を設けるべし。たとえばvegetarianという単語が出てきたら、vegetarianの友達を家に招いたらどんな料理を作るかなどを英語で話し合わせるべし。 ⇒ 未達成。次年度の課題。しかしながら今年度できたこととしては、much (or a lot) + comparative の比較の強調の復習(review)の中で、“I’ve been wearing this jacket for 27 years. That means this is much ( ) than you here.”の中のolderを当てさせた。また、“This tie cost me 105 yen at a Daiso shop. I bought this when the consumption tax was 5%. So this is a lot ( ) than your clothes.”の中のcheaperを当てさせる問題を出して自虐ネタを展開した。自虐を取り入れることに必然性は無いが、教員の性格が出るので致し方ない。

6) 学生のペアワークやグループワークの時間を増やすべし。 ⇒ 2名の専任の先生が見学に来られた11月19日(木)が第7週に当たり、6~8課のreviewに終始したため、そのような活動を端折ってしまったが、普段は実施している。

7) ペアワークでは最後に一部のペアに発表させるべし。 ⇒ 原田の授業ではペアワーク終了時に一部のペアを捉まえるのではなく、個人に訊くことにしている。先程のペアワークをだらだら繰り返すよりも、“What type of music does your partner like?”や“What did you find out about your partner?”という具合にパートナーに関する質問をしている。こうすることで第三者への伝達(reporting to the third party)のスキルを身につけてもらおうと意図している。

8) クラスを2つのチームに分けて競わせるべし。 ⇒ 未達成。次年度の課題。

9) 学生が楽しいと思えるような活動を時には導入すべし。 ⇒ 洋楽の歌詞とユーチューブ動画でお茶を濁す。

10) CDを聞かせる前に教員(原田)が英語でイントロダクションを入れるべし。 ⇒ 未達成。次年度の課題。

【学生からの質問に回答】

一般教養科目「イギリス文化論」の学生からの質問334番「先生は英語が堪能ですが、どのような勉強をされたのですか?」についてウェブ上(https://sites.google.com/site/xapaga/home/igirisubunkaron2015bbb )で長々と回答し、外国語英語の学生にも定期試験の解説をした第15週で内容を紹介。

334)[個人的な質問] 先生は英語が堪能ですが、どのような勉強をされたのですか? ⇒ 話が少し長くなりますが、私(原田)の語学遍歴を述べます。中学2年から大学3年ぐらいまでの8年間は、家に居るときは常に在日米軍のラジオ放送であるAM 810キロヘルツ(810kHz)の極東放送網(FEN: Far East Network)、現在の軍隊ラジオ「鷲810」(AFR: Armed Forces Radio, “Eagle 810”)を聞き流していました。「睡眠学習」と称して夜中に寝ている時もラジオを付けっぱなしにしました。最初の3年間はマシンガントークのようで、何を言っているのか皆目わからなかったのですが、それでも気にしませんでした。単に「カッコいい」とか「英語のシャワーを浴びたい」という理由で聞き続けました。そして遂に高校2年生のとき、“American Top 40”という大衆音楽ヒットチャート番組の中で当時の人気DJ、故ケイシー・ケイサム(Casey Kasem, 1932-2014)氏が読み上げるリスナーからの感動的なリクエストの手紙、題して「長距離の捧げもの(A Long Distance Dedication)」の内容がほぼ完全に聴き取れるようになりました。或(あ)る日突然に聴き取れるようになっていて、その時は本当に嬉しかったです。そして大学に入った頃には努力もせずにアメリカ英語の聴き取りテストで満点が取れました。ところが1990年代に入ると米軍放送は予算不足のために、どうでもいい音楽を解説もなく垂れ流すだけの放送局に成り下がりました。[改行] もちろん英語はリスニング(listening)だけでは不充分ですが、私の場合は今は亡き父が偶々(たまたま)同窓会の席で旧友に英字新聞を定期購読するように頼まれて応じたこと、そして親兄弟だれひとりとして英字新聞に触ろうともしなかったお蔭で英字新聞を毎日独り占めでき、英語の読解力がつきました。実は最初の3ヶ月は辞書ばかり引いていて、読むのにとてつもない時間がかかりました。しかしいつも似たような表現が出てくることに気づき、あとは偶(たま)にしか辞書の世話にならずに済みました。私が大学に入った頃、夏目漱石(なつめ そうせき, 1867-1916)や森鷗外(もり おうがい, 1862-1922)の文体が自分にとって日本語の文章のお手本と考えていました。そのため生意気にも日本語新聞の陳腐(ちんぷ)な紋切型(もんきりがた)表現、今で言う「ベタな表現」に嫌気がさしていたので、英字新聞が毎朝届いたのは丁度良いタイミングでした。それ以後10年程は新聞といえば英字新聞しか読まなくなりました。[改行] 英語の作文能力については、高校時代は日本人の英語教員に和文英訳をいろいろ添削していただき、大学では英語母語話者の教員に自分で書いた自由英作文を見ていただきました。他に「独作文」と「仏作文」(ともに通年科目)という授業をそれぞれ週3コマ・週1コマ入れて、自分で書いたドイツ語やフランス語の文章をドイツ人やフランス人の教員に直していただきました。[改行] 大学4年生ぐらいから私はイギリス英語に憧れましたが、家でBBCのラジオ国際放送(BBC World Service)を聴くには高感度の短波ラジオ受信機を買う必要があり、当時予算の限られていた私は困り果てました。そこで年会費3,500円を払って飯田橋駅近くの英国大使館文化部図書室(The British Council Tokyo Library)に通うことにしました。図書室では会員の特権としてヘッドフォンを借りてBBCの国際放送を聴きまくりました。月遅れのイギリスの雑誌や十日ほど遅れたイギリスの新聞を読み漁(あさ)ってイギリス社会の輪郭を摑(つか)みました。また、月に1度ほど開催されたカチャカチャ音が鳴る映写機による字幕なしのイギリス映画上映会も毎回500円で視せてもらいました。図書室なので図書やビデオやCDをどんどん借りて家でもイギリス英語に触れました。また、年に数回はイギリスの一流大学の先生が来日して英語で特別講演をしてくれました。当初は内容について行くだけで精一杯でしたが、イギリスでは講演者と聞き手との対話(dialogue)が大切なのだと分かってきて、挙手して質問するようになりました。その際に知り合ったノッティンガム大学(University of Nottingham)教授(現名誉教授)とは四半世紀以上を経た今でも親しくしています。私はまだ若かったこともあって、遊び感覚でイギリス英語を頭脳にどんどん吸収していきました。お蔭で海外体験がまだ合計2ヶ月未満の段階で晴れて英検1級に合格しました。二次試験では1分間だけ考える時間を与えられ、即興で2分間の英語スピーチをさせられましたが、英国大使館文化部図書室で身に着けたイヤミなほど綺麗な中産階級風イギリス英語で難なく合格を取りつけました。したがって私はイギリスに留学する前から既にイギリス英語の使い手に成っていました。ところが1990年代中盤にイギリスの大学院に入ってからは周囲に影響されて中産階級崩れのやや汚い発音で話すようになりました。それでも英語の本を朗読するときや、英語でスピーチするとき(英国ではロータリー財団奨学生だったのでロータリークラブの会合でスピーチする機会が度々ありました)は、中産階級の発音で発声しています。現地のロータリアン(ロータリークラブ会員)にも「他の留学生とは違う本物の英語」と、お墨付きをいただくことができました。[改行] 私がかつてお世話になった英国大使館文化部図書室は二十一世紀になって閉室し、その場所は日本の小学校お受験の塾になってしまいました。ブリティッシュカウンシル(The British Council)としては小さな英会話学校として同じ建物の二階で細々と事業を続けていますが、私は英会話学校に用がないので行かなくなりました。代わりにその近所にフランス政府が設置したアンスティチュ・フランセ(l’Institut français du Japon - Tokyo)と、恵比寿駅近くに実業家の澁澤榮一(しぶさわ えいいち, 1840-1931)と詩人・外交官のポール・クローデル(Paul Claudel, 1868-1955)が設置した日仏会館(la Maison franco-japonaise)と、東京メトロ青山一丁目駅近くにドイツ政府が設置した東京ドイツ文化センター(Goethe-Institut Tokyo, od. Deutsches Kulturzentrum Tokyo)と、東京メトロ麹町駅と市ヶ谷駅の中間辺りにスペイン政府が設置したセルバンテス文化センター(Instituto Cervantes Tokio)にはよく出入りしています。特に東京ドイツ文化センターには月に3~5回の頻度で入(い)り浸(びた)り、無料の自由会話や文学作品の輪読会に参加しています。[改行] このように私は飽(あ)くまでも遊び感覚で楽しみながら欧州言語を少しずつ覚えています。無理に勉強した積りはまるでありません。

付記: 外国語の習得は、11~14歳時を中核(core)にした前後の数年間に国外に居住し、その国の言語を自然に身につけるのが理想的だとされている。それが真実だとすると、既に19歳前後になっている本学1年生には手遅れ感がある。これは頭脳の優劣の問題ではなく、始める時期の問題である。私(原田)は14歳の誕生日を迎える少し前に在日米軍放送を聴き始めたが、米語が聴き取れるようになるのに3年を要した。19歳の学生がインターネットラジオなどを在宅中は四六時中かけっぱなしにしたところで、聴き取れるようになるには恐らく倍程度(6年ほど)を要することだろう。株式会社エスプリライン(本社所在地: 埼玉県川越市)の登録商標「スピードラーニング」の効果を全否定する人が世間にはいる。私は否定しないが、残念ながら中高年には効果がないだろうと考えている(否定している人も大方は中高年である)。現在はインターネット上に良質な無料語学教材がいくらでも転がっているので、営利企業に金を払う必要はないと考える。

【附録】

(学生に聞かれた時に備えて)

大学1号館入口の羅典(ラテン)語標語

AETERNITATEM COGITA (Æternitātem cōgitā. アェテるニターテム・コーギター); 英訳 Think about eternity; 和訳「永遠について考えよ。」。

80年館入口の羅典(ラテン)語標語2種

AEQUABILITER ET DILIGENTER (Æquābiliter et dīligenter. アェクアービリテる・エット・ディーリゲンテる); 英訳 Equally and carefully; 和訳「均等に且つ入念に。」。

FIAT LUX (Fīat lūx. フィーアト・ルークス); 英訳 Let there be light; 和訳「光あれ。」。『旧約聖書』「創世記」1章3節の羅典(ラテン)語訳より。 ヘブライ語の原文では יְהִי אוֹר (yehi 'or イェヒ・オる)。古典希臘(こてんギリシア)語訳では γενηθήτω φῶς (genēthētō phōs ゲネートゥヘートー・プホース)。

【参照ウェブサイト】

グーグル翻訳=Google Translate

https://translate.google.com/

ヤフー翻訳

http://honyaku.yahoo.co.jp/

Weblio翻訳

http://ejje.weblio.jp/

私は翻訳を愛する

http://ja.ilovetranslation.com/

I Love Translation

http://www.ilovetranslation.com/

FINIS / 完