前期19「イギリス文化論」(2021/ 6/17 + 6/24) 英国の大学年表と女権(新型コロナ以降)

前の年表( https://sites.google.com/site/xapaga/home/universitytimeline5 )から続く。日本の大学年表についてはウェブページ6種( https://sites.google.com/site/xapaga/home/japanuniversitytimeline1 / https://sites.google.com/site/xapaga/home/japanuniversitytimeline2 / https://sites.google.com/site/xapaga/home/japanuniversitytimeline3 / https://sites.google.com/site/xapaga/home/japanuniversitytimeline4 / https://sites.google.com/site/xapaga/home/japanuniversitytimeline5 / https://sites.google.com/site/xapaga/home/japanuniversitytimeline6 )を参照のこと。

2020年2月20日(木) チュー谷学校(Chew Valley School)という国立中等学校(就学人口の約93%が通う学校)に在学中のバードガール(Birdgirl: 「鳥女子」の意)こと、バングラデシュ系英国人のマイヤ=ローズ・クレイグ(Mya-Rose Craig, b.2002)嬢=17歳がブリストル大学(University of Bristol; 通称 Bristol University)から名誉科学博士号(an honorary doctorate in science (D.Sc.h.c))を授与される。英国史上最年少での博士号の記録となる。(同日付のBBC Newsのオンライン記事と、ガーディアン紙のオンライン記事に依拠)

2020年3月15日(日) 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)への対策として、ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019--; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣が集団免疫策を発表。中国や欧州大陸諸国(スウェーデン王国を除く)が既に実施しているロックダウン(lockdown: 都市封鎖)を実施せず、高齢の家族と同居していない若者の出勤・通学を容認し、高齢者や既往症患者(持病持ち)を守りつつ若者から順番に集団免疫(herd immunity; herd effect; community immunity; population immunity; social immunity)を獲得させて行くという案だったが、批判を受け僅(わず)か八日後の同年(2020年)3月23日(月)には撤回することになる。

2020年3月21日(土) 英国政府(Her Majesty’s Government)が新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)への対策として、パブやナイトクラブを含む飲食店を閉鎖。

2020年3月23日(月) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のパンデミック(pandemic: 世界的流行)が英国でも多数の死者を出していることから、ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣はこれまで採(と)ってきた、緩(ゆる)く広くウイルスに感染させて国民全体で免疫(immunity)を付けていくというスウェーデン式のやり方を大幅に改め、スウェーデン以外の欧州諸国が導入しているロックダウン(lockdown: 都市封鎖)を無期限実施。ジョンソン首相がテレビ演説で不可欠な買い物、1日1度の運動、主要労働者(英 key workers; 米 essential workers)の通勤を除く外出禁止を発令。

2020年3月24日(火) 在ハンガリー共和国英国大使館(British Embassy in Budapest)駐在の次席大使(Deputy Head of Mission)であるスティーヴン・ディック(Steven Dick, 1983-2020; 学歴不詳)氏=37歳が、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)への感染のため死去。英国外務・英連邦省(FCO: Foreign and Commonwealth Office of Her Majesty’s Government)による発表は翌日(2020年3月25日(水))のこと。英国外交官の急死を受け、ドミニク・ラーブ(Dominic Raab, b.1974; オクスフオッド大学貴婦人マーガレット寮卒、ケイムブリヂ大学イエス基督学寮修士)外務大臣は、「スティーヴンは献身的な外交官であり、絶大な手腕と情熱により我が国を代表してきた。彼のことを知る人や仕事を共にした人は全員、その死を惜しむだろう。私はスティーヴンの訃報に絶望的な悲しみを覚え、ご両親の悲しみに寄り添います。(Steven was a dedicated diplomat and represented his country with great skill and passion. He will be missed by all those who knew him and worked with him. I am desperately saddened by the news of Steven’s death and my heart goes out to his parents.)」とコメントし、遺族に弔意を表明する。(2020年3月25日(水)付のBBCニューズのオンライン記事と、同日付のハンガリーのオンライン英字紙 XpatLoop の記事と、2020年3月26日(木)付の米CNNの日本語版オンライン記事に依拠)

2020年3月25日(水) バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)はウェールズ大公チャールズ皇太子(Charles, Prince of Wales, b.1948; ケイムブリヂ大学三位一体学寮卒、同大学同学寮修士)=71歳が、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の軽い症状が表れたので検査を受けたところ、陽性(positive)反応が出たと発表。英王室では初の感染者となる。妻のコーンウォール公爵夫人カミラ(Camilla, Duchess of Cornwall, b.1947)=72歳も大事を取って検査を受けたが陰性(negative)とのこと。皇太子はスコットランド北東部の王室別荘バークホール(Birkhall)にて自己隔離(self-isolate)する。僅か五日後の同年(2020年)3月30日(月)にはクラレンス館(Clarence House: 皇太子夫妻のロンドンでの居宅)の役人が「皇太子はウイルスから恢復済」と発表するも、政府の推奨する七日間の自己隔離(self-isolation)を続けるという。その二日後の2020年4月1日(水)には国民に向けたビデオメッセージの中で、今後とも自己隔離と社会的距離(social distance)を実践するとする。

2020年3月27日(金) ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣=55歳とハンコック(Matt Hancock, b.1978; オクスフオッド大学エクセター学寮卒、ケイムブリヂ大学基督学寮修士)厚生大臣=41歳が、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の軽い症状が表れたので検査を受けたところ、陽性(positive)反応が出たと発表。両大臣は個別に自己隔離(self-isolate)し、公務を一ヶ月休む。首相不在の間は、ドミニク・ラーブ(Dominic Raab, b.1974; オクスフオッド大学貴婦人マーガレット寮卒、ケイムブリヂ大学イエス基督学寮修士)外務大臣兼筆頭国務大臣が首相職を代行。

2020年3月28日(土) 首相上級顧問のドミニック・カミングズ(Dominic Cummings, b.1971; オクスフオッド大学エクセター学寮卒)氏=48歳が体調不良に陥る。

2020年3月30日(月) 二日前の同年(2020年)3月28日(土)から体調不良が続くド首相上級顧問のドミニック・カミングズ(Dominic Cummings, b.1971; オクスフオッド大学エクセター学寮卒)氏=48歳に新型コロナウイルスの症状(symptoms)が表れたため自己隔離中(self-isolating)と首相官邸(10 Downing Street)が発表。

2020年4月3日(金) 最大4千人収容の国民健保(NHS: National Health Service)ナイティンゲイル病院をウォーターフロント再開発地区の国際展示場に開設。

2020年4月5日(日) 英女王エリザベス二世(Elizabeth II, b.1926; 在位1952-)=93歳(十六日後には94歳)が新型コロナウイルスの世界的感染を受けて異例のテレビ演説( https://sites.google.com/site/xapaga/home/queencorona2020 )を実施。

4月最初の2週間でイギリスの100万人近くの成人(nearly a million adults)がユニヴァーサル・クレディット(universal credit: 低所得者向け統合型福祉制度)の利用を申請。危機発生前の申請数の10倍。(2020年11月6日(金)付のジャック・アタリ(Jacques Attali, b.1943)署名コラムプレジデント・オンラインの記事「欧州最高の知性が警告「コロナ前なら死ななかった人がこれから死んでいく」」に依拠)

2020年4月~’21年2月

2020年4月6日(月)、英国陸軍(British Army)退役軍人トマス・モー大尉(Captain Thomas Moore, 1920-2021)が、満百歳の誕生日である同年(2020年)4月30日(木)が目前に迫ったことを記念して、慈善団体「国民健保チャリティー協会」(Association of NHS Charities)=通称「国民健保チャリティーを一緒に」(NHS Charities Together)のために募金活動を開始。新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)と戦っている医療従事者たちを支援するための募金である。歩行器(walking frame; walker)の助けを借りて一周約25メートルの自宅庭を毎日10周(ten laps)ずつ10日続けて計100周(a hundred laps)するという企画であり、「トムの100歳の誕生日に国民健保のための歩き」(Tom’s 100th Birthday Walk For The NHS)と自ら名づけた。当初予定していた募金額1千ポンド(約13万3千円)は五日目の同年(2020年)4月10日(金)に早くも達成されたため、目標額を5千ポンド(約66万5千円)、続いて5万ポンド(約665万円)に設定したが、英マスコミが大きく報道したことにより、ジャストギヴィング(JustGiving: 「単に与える」と「公正なる寄付」の両義)という団体の発表では同年(2020年)4月26日(日) 21:00(日本時間で4月27日(月) 5:00)現在、約2900万ポンド(£29m: 約38億5700万円)が集まったという。130万余りの人々が寄付したとのこと。第二次世界大戦(Second World War; World War II, 1939-45)中のビルマ戦線(Burma Campaign, 1942-45)で日本軍と戦った生き残りである無名な老人が、「キャプテン・トム」(=トム大尉)の愛称で一躍時の人と成る( https://en.wikipedia.org/wiki/Tom_Moore_(fundraiser) )。当初目標にしていた庭の百周は同年(2020年)4月16日(木)午前中に達成したが、その時には地元のヨークシヤ連隊第一大隊(1st Battalion of the Yorkshire Regiment)の儀仗兵(ぎじょうへい: 英 guard of honour; 米 honor guard)が付き、報道陣のカメラが向けられた。

百周達成記念に歌手のマイケル・ボール(Michael Ball, OBE, b.1962)氏=57歳が、英国放送協会テレビ第1放送(BBC One)の「ブレックファスト」(Breakfast: 「朝食」の意)という番組の中で七十五年前の人気ミュージカル挿入歌である “You’ll Never Walk Alone” (1945) =直訳「あなたは決して独りで歩くことはない」=邦題「ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン」=別邦題「人生ひとりではない」のカバーを披露したところ、「国民健保介護合唱の声」(NHS Voices of Care Choir)という合唱団の歌声と、キャプテン・トム自身がマスコミの取材に答える声がミックスされたデジタルシングル盤( https://www.youtube.com/watch?v=LcouA_oWsnU )がチャリティー目的に販売された。このシングル盤はあっという間に売れに売れ、同年(2020年)4月26日(日)には週間ナンバーワンヒットとなる。このナンバーワンの記録は同年(2020年)5月3日(日)まで保持されるため、同年(2020年)4月30日(木)で百歳の誕生日を迎えるキャプテン・トムはヒットチャートの1位を獲得した世界最高齢としてギネスブック(Guinness World Records)に掲載されることになった。

同年(2020年)4月27日(月) 10:00には、ちょうど1ヶ月ぶりにダウニング街10番地(10 Downing Street, City of Westminster, Greater London)の首相官邸前に姿を現し、国民へ向けてスピーチ( https://sites.google.com/site/xapaga/home/borisjohnsonspeech27april2020 )を披露したボリス・ジョンソン(Boris Johnson, b.1956; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣が、そのスピーチの最後で、「ですので私が最後にあなた方に言いたいのは、もしあなた方がこれまでのように進んで行けば、もしあなた方が我々の命を救っている国民健保(NHS: National Health Service)を護(まも)るのを手伝ってくれれば、もし我々国民一丸(いちがん)となって、今週にも百歳に成るトム・モー大尉によって示されたのと同じ楽観精神と活力を示すことができれば、もし我々が過去六週間で示したのと同じ団結と決意の精神を示すことができれば、その暁(あかつき)には私は少しの疑念も無く我々がそれ(=新型コロナ)に打ち勝ったことになるということです。一緒に我々は益々(ますます)迅速にこれ(=新型コロナ)を切り抜け、連合王国はこれまで以上に強くなって頭を擡(もた)げてくることでしょう。」(And so I say to you finally if you can keep going in the way that you’ve kept going so far, if you can help protect our NHS to save lives and if we as a country can show the same spirit of optimism and energy shown by Captain Tom Moore, who turns a hundred this week, if we can show the same spirit of unity and determination as we’ve all shown in the past six weeks, then I have absolutely no doubt that we will beat it. Together we will come through this all the faster and the United Kingdom will emerge stronger than ever before.)という具合に「キャプテン・トム」(=トム大尉)に言及した。なお、Mooreという苗字はイギリス発音で「モー」だが、アメリカ発音では「ムーァ」となる。軍人が尊敬されるイギリス社会では退役後も除隊時の階級で(この人の場合はキャプテン=陸軍大尉と)一生呼ばれ続ける。紛らわしいことに、同じキャプテン(Captain)でも海軍のキャプテンは「大佐」という三階級も上のランクになる。更(さら)に紛らわしいことに、キャプテン・トムは名誉大佐(an honorary colonel)の肩書も有している。

同年(2020年)5月20日(水)、ジョンソン首相の強い薦めにより女王から騎士階級(knighthood)が授与されることが決まり( https://www.bbc.com/news/uk-england-beds-bucks-herts-52732300 )、同年(2020年)7月17日(金)にウィンザー城の四角い芝生庭(the quadrangle at Windsor Castle)にて女王による叙勲式が挙行され( https://www.bbc.com/news/uk-england-beds-bucks-herts-53442746 / https://www.bbc.com/japanese/53453741 )、その後は Capt Sir Tom Moore(Captain Sir Thomas Moore)と成る。英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)の報道によると、叙勲式の時点で3249万4701ポンド(£32,794,701)≒約44億900万円(JPY4,409,000,000)を約150万人から集めたという。

そして2021年1月31日(日)、キャプテン・トム(100歳)が新型ウイルスに感染して入院したことが報道される。このニュースを知ったジョンソン首相は、「我が思いはキャプテン・トムとそのご家族と共にあります。あなたは国全体に感化(インスピレーション)を与えてくれました。そして私は知っています、私たち国民全員があなたの完全な快復を願っていることを。」(My thoughts are very much with @CaptainTomMoore and his family. You’ve inspired the whole nation, and I know we are all wishing you a full recovery.)と自身のツイッター(Twitter)にツイート(tweet)した( https://twitter.com/BorisJohnson/status/1355937035362697217 )。その二日後の同年(2021年)2月2日(火)に亡くなったことが翌日(2021年2月3日(水))に伝えられると、ジョンソン首相はツイッターに動画を発表し、「英勲爵士トム・モー大尉は言葉の最も真の意味で英雄でした。第二次世界大戦の暗黒の日々に彼は自由のために戦いました。そしてこの国の戦後最大の危機(=新型コロナのこと)に際して彼は私たち皆を一体化し、皆を元気づけ、人間精神の大勝利を具現化してくれました。驚くべきことに彼は百歳にして3200万ポンド(≒約45億8600万円)の募金を国民健保のために単独で集め、そのことで国民健保以外の人にチャンスを与えてくれたのです。そのチャンスとは、今回のパンデミック(=世界的感染拡大)の中で私たちを護ってくれている尋常ならざる男女たち(=医療従事者たち)に感謝するチャンスなのです。彼は国民的な感化(インスピレーション)だっただけではなく、世界のための希望の光でした。私たちの思いは遺された娘ハナさんとそのご家族と共にあります。そして彼のレガシー(「遺した業績」の意)は、彼が逝()ってしまった後も長らく生き続けます。」(Captain Sir Tom Moore was a hero in the truest sense of the word. In the dark days of the Second World War he fought for freedom and in the face of this country’s deepest post-war crisis he united us all, he cheered us all up, and he embodied the triumph of the human spirit. It’s quite astonishing that at the age of a hundred he raised more than thirty-two million pounds for the NHS on his own and so gave countless others their own chance to thank the extraordinary men and women who have protected us throughout this pandemic. He became not just a national inspiration but a beacon of hope for the world. Our thoughts today are with his daughter Hannah and all his family, and his legacy will long live after him.)とした( https://twitter.com/BorisJohnson/status/1356654437381656581 / https://www.youtube.com/watch?v=Yl_7zQPuiVo )。

2020年4月27日(月) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の症状が表れたため公務を休み、しかも一時は集中治療室(ICU: intensive care unit)で治療を受けるほど容体が悪化していたジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣=55歳が、実に1ヶ月ぶりに職務に復帰。ダウニング街10番地(10 Downing Street, City of Westminster, London)の首相官邸前に姿を現し、国民へ向けてスピーチを披露( https://sites.google.com/site/xapaga/home/borisjohnsonspeech27april2020 )。

2020年5月10日(日) それまでの英国政府(Her Majesty’s Government)の国民向けキャッチフレーズは STAY HOME (自宅を出るな)を、この日から STAY ALERT (警戒を怠(おこた)るな)に変更。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドは変更せず。

2020年5月16日(土) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のパンデミックにより、英国でも死者数が3万5千人(35,000)を超えている中で(ほぼ倍の人口を抱える日本の死者数はこの時点で600強)、ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-)内閣が二ヶ月近く前の同年(2020年)3月23日(月)から無期限で続けているロックダウン(lockdown: 都市封鎖)を部分的に緩(ゆる)めることを発表。学校の再開は、同年(2020年)6月1日(月)から小学校(primary school)を皮切りに段階的に再開するとのこと。

2020年5月19日(火) ケイムブリヂ大学(University of Cambridge; 通称 Cambridge University)は対面式の講義(face-to-face lectures)を次年度=2020-21年度(2020年10月~2021年9月)実施しないと発表。同大学は声明を出し、講義をオンラインで行なう方針を表明するも、社会的距離の制限(social distancing requirements)を守れる場合は、「少人数のグループ授業の開催が可能になるかもしれない」(it may be possible to host smaller teaching groups in person)とする。同大学は新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のパンデミック(pandemic: 世界的流行)を受け、既に2019-20年度(2019年10月~2020年9月)の3月以降の授業を休講とし、大学を閉鎖している。イングランド北部のマンチェスター大学(University of Manchester; 通称 Manchester University)も既に次年度の講義はオンラインのみにすると発表している。(同日付のBBC Newsのオンライン記事と2020年5月20日(水)付のヤフーニュースに転載されたBBC日本語版のオンライン記事に依拠)

2020年5月22日(金) 首相上級顧問のドミニック・カミングズ(Dominic Cummings, b.1971; オクスフオッド大学エクセター学寮卒)氏=48歳が、英国全土のロックダウン(lockdown: 都市封鎖)実施中の同年(2020年)3月27日(金)=ジョンソン首相とハンコック厚生相に新型コロナ陽性反応が出た日、家族と共に首都ロンドンからイングランド北部のダラム(Durham)まで約264マイル≒425キロも移動していたことと、同年(2020年)4月中旬に妻子を自家用車に乗せてダラム近郊の城まで約30マイル≒50キロの距離をドライブしたことを日刊ミラー紙(Daily Mirror)とガーディアン紙(The Guardian)の合同調査報道がスクープ記事として報じる。政府が国民に不要不急の外出を避けるよう(to remain at home unless absolutely necessary)指示している最中(さなか)の出来事に国民の怒りが爆発。

2020年5月25日(月) 週明けのこの日、首相官邸庭園(the garden of 10 Downing Street)にて首相上級顧問のドミニック・カミングズ(Dominic Cummings, b.1971; オクスフオッド大学エクセター学寮卒)氏が三日前の同年(2020年)5月22日(金)付の日刊ミラー紙(Daily Mirror)とガーディアン紙(The Guardian)の調査報道に関して記者会見を開く。ロックダウン(lockdown: 都市封鎖)中の国内移動を釈明。妻に新型コロナ感染の疑いが生じたため、自分も感染すると4才の一人息子の面倒を見る者がいなくなるため、親族を頼って国内移動したとのこと。ロックダウン中であっても小さな子供の世話に関する移動は不要不急にカウントされないとする条項(proviso)があるため、この国内移動は全く問題なく、自分は行動を後悔していないし、辞任するつもりもないと語る。また、妻子を自家用車に乗せて約30マイル≒50キロの距離をドライブしたことについては、新型コロナ感染後の病み上がりの体で「自分の視力を試したかったから」と釈明。この会見の最中にも「辞任すべきだ」とする国民の声が高まる。

2020年6月1日(月) この日を皮切りに、新型コロナウイルスのパンデミックにより閉鎖されていた小学校(primary school)段階的に再開。6人までなら屋外での会合可能に。2メートルの安全距離は維持。

2020年6月4日(木) シャップス(Grant Shapps, b.1968; マンチェスター総合技術専門学校=現マンチェスター・メトロポリタン大学卒)運輸大臣が定例記者会見の中で、英国政府(Her Majesty’s Government)が同年6月15日(月)からイングランドの公共交通機関(public transport)で「顔への覆い」(face coverings)を義務(mandatory)とすると発表。医療用のマスク(face maasks; surgical masks)ではなく、単なる「顔への覆い」である。顔を覆っていない場合は公共交通機関の利用は認められず、罰金が科される可能性がある。ウェールズは義務でなく推奨(recommended)であり、イングランドでも幼い子供と身障者と呼吸困難者は例外とされる。(同日付のBBC Newsのオンライン記事と、2020年6月5日(金)付のロイター通信社の日本語版オンライン記事に依拠)

2020年6月5日(金) 英国政府(Her Majesty’s Government)は、新型コロナウイルスによる連合王国(人口67.8m)内の死者数が4万人(0.04m)を超えたと発表。これまでに新型ウイルス陽性患者40,261人が病院や介護施設や自宅などで死亡。死者数は前日からの一日で357人増加。死者数世界第1位のアメリカ合衆国(人口328m)の約10万8000人に次ぐ世界第2位の死者数だが、人口規模に換算するため、人口10万人(0.1m)あたりの死者数(deaths/100k pop.; deaths per one hundred thousand population)を計算すると連合王国は60.14人で世界第4位となっている。なお、世界第1位はサンマリノ共和国(人口0.033m)=周囲をイタリアに囲まれた小国、2位はベルギー王国(人口11.5m)=周囲を北海とオランダとドイツとルクセンブルクとフランスに囲まれた欧州連合の事実上の首都を擁する国、3位はアンドラ公国(人口0.077m)=周囲をフランスとスペインに囲まれた小国、という欧州大陸諸国である。アメリカ合衆国は33.08人で世界第11位。日本国(人口126m)はこの時点で死者数911人で、人口10万人あたりの死者数は0.72人。英国は日本の約83.5倍の死亡率(mortality rate)という計算になる。

2020年6月8日(月) イギリスに入国、帰国した者は2週間の自己隔離。

2020年6月10日(水) ケイムブリヂ大学(University of Cambridge; 通称 Cambridge University)とグリニッヂ(University of Greenwich; 通称 Greenwich University)は、マスク着用の普及が新型コロナウイルスの伝播を制御可能な水準に抑制し、外出制限との併用で感染拡大の第2波を防止できる可能性があるとする調査結果を発表。(同日付の英ロイター通信の日本語版オンライン記事に依拠)

2020年6月15日(月) 商業店、動物園、礼拝所が再開。十一日前の同年(2020年)6月4日(木)に政府が発表していた通り、イングランドの公共交通機関(public transport)での「顔への覆い」(face coverings)が義務(mandatory)となる。医療用のマスク(face masks; surgical masks)ではなく、単なる「顔への覆い」である。顔を覆っていない場合は公共交通機関の利用は認められず、罰金が科される可能性がある。ウェールズは義務でなく推奨(recommended)であり、イングランドでも幼い子供と身障者と呼吸困難者は例外とされる。(2020年6月4日(木)付のBBC Newsのオンライン記事と、2020年6月5日(金)付のロイター通信社の日本語版オンライン記事に依拠)

2020年6月17日(水) サッカー(イギリス発音でソッカー)のイングランド・プレミアリーグが無観客で100日ぶりに試合再開。

2020年同月同日(水) オクスフオッド大学オリエル学寮(Oriel College, Oxford)は、殖民地主義者・帝国主義者セシル・ローヅ(Cecil Rhodes, 1853-1902; ケープ殖民地=現南ア=首相在任1890-96; オクスフオッド大学オリエル学寮卒)の白い石像(a stone statue)を学寮の建物正面中央から撤去する意向を発表(後に2021年1月まで結論を引き伸ばしとする)。アメリカから欧州にも波及してきた反人種差別運動「黒人の生命は大切だ(#BlackLivesMatter)」キャンペーンの一環で、同大学学生やその他の活動家らからの批判を受けての措置だが、五年前の2015年3月9日(月)に英連邦南アフリカ共和国(南ア)のケープタウン大学(UCT: University of Cape Town)で始まった #RhodesMustFall(ローヅは倒れねばならない)運動とも呼応している。ローヅ像は帝国主義(imperialism)や人種差別(racism)の象徴(symbol)だとする活動家たちは、同学寮による撤去の発表は「期待できる」(hopeful)としたものの、実際に撤去されるまでは注視を続けると声明を出す。加えてローヅ像がオックスフォードの中央通りに面するオリエル学寮の正面を飾らなくなるまで、大学の建物を彩る「帝国主義と殖民地主義の図像」(imperial and colonial iconography)に対する抗議は続くと主張。ローヅは同大学に対し多額の寄付を行ない、ローヅ歿直後の1902年に遺産を元手に始まったローヅ奨学金(Rhodes Scholarship)はイギリスへの留学生向け奨学金として名高く、クリントン(Bill Clinton, b.1946-; 大統領在任1993-2001; 私立ジョージタウン大学卒、英オクスフオッド大学ユーネヴアセティ学寮留学、私立イェイル大学大学院修了)米元大統領・法学博士(イェイル大学)ら各界の大物リーダーを多数輩出している。なお、南アフリカ共和国(南ア)のケープタウン大学(UCT: University of Cape Town)では、学生らの抗議の声を受け、構内に立っていたローヅ像が五年前の2015年に撤去されている。イギリス国内ではオクスフオッド大学のローヅ像撤去に先立つ十日前の同年(2020年)6月7日(日)にイングランド西部ブリストル市内に立っていた十七世紀の奴隷商人エドワード・コウルストン(Edward Colston, 1636-1721)の像が引きずり下ろされ、拍手喝采と共にエイヴォン川(the River Avon)の河口湾内に投げ入れられている。ロンドンのウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)=英国議会(Houses of Parliament)前に立つチャーチル(Sir Winston Churchill, 1874-1965; 首相在任1940-45 & 1951-55; 王立サンドハースト陸軍士官学校卒)像の台座の CHURCHILL と彫られた文字の下には「は、人種差別主義者だった」(Was a Racist)と落書きされ、銅像が一時防護壁で囲まれる事態となった。これに対して、オクスフオッド大学副学長(Vice-Chancellor: イギリスの大学の「副学長」は事実上のトップ)のルイーズ・リチャードソン(Louise Richardson, b.1958; ダブリン大学三位一体学寮卒、カリフォルニア大学ロサンジェルス校大学院修士課程修了、ハーヴァード大学大学院修士・博士課程修了)女史は前週(2020年6月7日(日)~13日(土))、過去を「隠す」ことは問題だと警告し、ローズ像撤去を支持しなかった。「自分たちの歴史を隠してしまっては英知を得られないというのが、私自身の意見だ。」(My own view on this is that hiding our history is not the route to enlightenment.)とリチャードソン女史はBBCの取材に語る。「この歴史を理解し、この石像が作られた文脈を理解し、なぜ当時の人がそのように考えたのかを理解する必要がある。」(We need to understand this history and understand the context in which it was made and why it was that people believed then as they did.)「この大学は九百年前から続いている。そのうち八百年もの間、大学の幹部たちは女性を教育する価値などないと考えていた。その人たちも非難すべきだろうか。私自身はそう思わない。女性の教育を否定した人たちは間違っていると思うが、その人たちの時代背景をもとに判断しなくては。」(This university has been around for 900 years. For 800 of those years the people who ran the university didn't think women were worthy of an education. Should we denounce those people? Personally, no - I think they were wrong, but they have to be judged by the context of their time.)と語る。英領香港最後の総督として著名な元下院議員パッテン男爵(Chris Patten, Baron Patten of Barnes, b.1944; 英領香港総督在任1992-97; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)は、「ちょっと偽善の匂いがする、、、オクスフオッドが毎年百人の奨学金受給学生のために(ローヅ奨学金から)カネを取ってやり、そのうち約5分の1はアフリカ出身者でオクスフオッドに来られるようにしてやっているのに、ローヅ像を投げ捨てたいと、、、テムズ川に。」(There is a bit of hypocrisy... in Oxford taking money for 100 scholars a year, about a fifth of them from Africa, to come to Oxford, and then saying we want to throw the Rhodes statue... in the Thames.)と語り、石像撤去に反対の立場を表明している。同様にハナン(Daniel Hannan, b.1971; オクスフオッド大学オリエル学寮卒)元欧州議会議員(英国のEU離脱により2020年1月末で議員資格喪失)は、「ローヅの気前の良さのお蔭で何千という若者が本来なら不可能な筈(はず)の教育が受けられた。最初の黒人学生がローヅ奨学金を受けたのは、ローヅの死後たったの五年後のことだ。恩人をこのように扱う教育機関にどうして寄付などする人がいるものか。」(Rhodes’s generosity allowed thousands of young people to enjoy an education they could not otherwise have had. The first black student won a scholarship 5 years after his death. Why would anyone give to an institution that treats its benefactors this way?)とツイッター(Twitter)に痛烈にツイート(tweet)する( https://twitter.com/DanielJHannan/status/1273344875631644673?s=20 )。同大学オリエル学寮の卒業生として看過できなかった模様である。同大学オリエル学寮は2020年7月21日(火)の時点でローヅ像撤去の是非は一旦保留とし、翌年(2021年)1月に結論を出すとする。(2020年6月10日(水)付のBBC Newsのオンライン記事と、2020年6月18日(木)付のBBC NewsとBBC日本語版のオンライン記事と、2020年6月19日(金付の米NBC Newsのオンライン記事と、2020年6月20日(土)付のヤフーニュースに転載された毎日新聞の服部正法ロンド特派員署名オンライン記事と、2020年7月21日(火)のBBC Radio 4のニュースに依拠)

2020年6月24日(水) 英国政府(Her Majesty’s Government)は、新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)に伴うロックダウン(lockdown: 都市封鎖)を更に緩和。

2020年6月22日(月) 男子専用パブリックスクール(私立名門校)であるイートン校(Eton College)は、五十一年前の1969年に黒人として初めて同校の課程を修了した元生徒(日本的に訳せば「卒業生」だが、イギリスでは学位授与機関としての大学にのみ「卒業」の概念があるため「卒業生」とは訳せない)で、ナイジェリアの作家として大成したディリベ・オンエアマ(Dillibe Onyeama, b.1951)氏に対する人種差別について謝罪。修了証明書を取得したオンエアマ氏は、イートン校で受けた差別について著書Nigger at Eton (直訳 『イートンに於けるクロンボ』)に書き、1972年に刊行したが、そのことで当時の校長(Head Master)マイケル・マクラム(Michael McCrum, 1924-2005; ケイムブリヂ大学基督遺体学寮)氏から学校訪問を禁止するという正式な書簡が届いたのだった。現在の校長サイモン・ヘンダーソン(Simon Henderson, b.1975?; オクスフオッド大学ブレイズノウズ学寮卒)氏は、当時の状況に愕然(がくぜん)としているが、「あれから私たちは相当に進歩してきた」(we have made significant strides since)とした上で、もっとやるべきことがあると認める。イートン校は1440年に国王ヘンリー六世(Henry VI, 1421-71; 在位1422-61 & 1470-71)によって創設された全寮制の私立校で、日本の中高一貫校に相当する。建学当時は貧しい家庭の子供の教育を行なっていたが、途中から金持ち専用の学校に変化し、現在の学費は年間4万ポンド≒約530万円以上だが、奨学金制度もある。これまで20人の英国首相を輩出しており、現首相のボリス・ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-)氏もその一人。英国王室ケイムブリヂ公ウィリアム王子(Prince William, Duke of Cambridge, b.1982)、サセックス公ハリー王子(Prince Harry, Duke of Sussex, b.1984; 陸具にs官学校出)、イングランド教会(Church of England)の最高指導者であるカンタベリー大主教(Archbishop of Canterbury)のジャスティン・ウェルビー(Justin Welby, b.1956; ケイムブリヂ大学三位一体学寮卒)氏など、英国社会の要職に就く男性の多くがイートン校出身。また現在、黒人の生徒は7%、アジア系は8%、複数人種(混血)の生徒は5%ほどだという。ヘンダーソン校長はBBCの取材に対し、「オンエアマ氏のイートン在校時以降、私たちは相当に進歩してきた。しかし、世界中で何百万もの人が人種差別と不平等に抗議の声をあげている今、学校として、そして個人として、もっとやるべきことがあると認める謙虚さを持たなくてはならない。」(We have made significant strides since Mr Onyeama was at Eton but — as millions of people around the world rightly raise their voices in protest against racial discrimination and inequality — we have to have the institutional and personal humility to acknowledge that we still have more to do.)と話し、オンエアマ氏をイートン校に招いて直接謝罪をし、「いつでも歓迎するという意思をはっきり示したい。」(to make it clear that he will always be welcome at Eton)と述べる。加えて、「私たちは誰もが声を上げて、今後ずっと、もっときちんと行動すると約束しなくてはならない。本物で持続的な改善のきっかけになるよう、今のこの時をなんとしてもつかまなくてはならないと、私は意を強くしている。」(We must all speak out and commit to doing better — permanently — and I am determined that we seize this moment as a catalyst for real and sustained change for the better.)とする。一方のオンエアマ氏はBBCの取材に対し、イートン校に対する自分の評価は総じて前向き(positive)なもので、謝罪の必要は無いと述べるも、イートン校からの謝罪によって「他の偏見と違い、肌の色や人種に基づく偏見は被害者を人間扱いしないものだと、認識せざるを得なくなる。」((the apology) compels the recognition that prejudice on the grounds of colour or race dehumanises its victims in a way that ordinary forms of prejudice do not.)とも話す。オンエアマ氏は過去のBBCの取材にも、イートン校で同級生たちから毎日のように差別されたと話していて、その中には、「何で黒いの?」「髪の中に何匹虫がいるの?」「お母さんは鼻に骨を刺してるの?」という質問もあったという。そして学業の成績が悪かったり、スポーツで高得点を取ると、それは人種の為せる技だと言われた一方で、7科目でオーレヴェル(O Levels, or the GCE Ordinary Level examinations)=現在の中等教育修了一般資格(GCSE: General Certificate for Secondary Education)に相当=を取得した時は、学校中が混乱し、「どうやったんだ? 不正行為をしたんだろう?」と言われたという。(2020年6月23日(火)付のBBC Newsのオンライン記事と、ヤフーニュースに転載されたBBC日本語版のオンライン記事に依拠)

2020年6月30日(火) 同年(2020年)6月10日(水)から23日(火)にかけての二週間にイングランド東中国地方(East Midlands)のレスター市(Leicester)で944人もの新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染者が再び急増したこと(英国全体の実に16分の1)を受け、レスター市に地域ロックダウン(local lockdown)が発令される。レスター市内の店舗はこの日から生活必需品を扱う店を除き再び閉店し、同市内の学校は二日後の同年(2020年)7月2日(木)から再び休校。この措置は少なくとも向こう二週間は続くとされる。(同日付のBBCニューズのオンライン記事に依拠)

2020年同月同日(火) 23:00 英国から中国への香港返還式典が挙行されてからちょうど二十三年のこの日、中華人民共和國香港特別行政區國家安全維持法(Law of the People’s Republic of China on Safeguarding National Security in the Hong Kong Special Administrative Region)が施行される。旧宗主国の英国と約束した「一国二制度」(One Country, Two Systems)を反故(ほご)にする暴挙であるとして、英米等の国際社会からの抗議(日本国政府は弱々しい憂慮のみ)に加えて香港市民の猛反撥も虚(むな)しく中共による独裁が既成事実(仏 fait accompli)として着々と進められる。

2020年7月3日(金) チューダー朝(Tudor dynasty; House of Tudor)の政治についての著作やドキュメンタリー映像や討論番組への出演で人気を博し、その歯に衣(きぬ)着せぬ物言いから「英国一無礼な男」(the rudest man in Britain)や「無礼博士」(Dr Rude)の異名(いみょう)を取っていた保守系同性愛者の憲政史家(a conservative gay constitutional historian)デイヴィッド・スターキー(David Starkey, b.1945; ケイムブリヂ大学フィッツウィリアム学寮卒)博士が、三日前の2020年6月30日(火)にネット上でライブ配信された右派の政治活動家ダレン・グライムズ(Darren Grimes, b.1993; ブライトン大学中退)氏の主宰するポッドキャスト(podcast)の中で、#BlackLivesMatter (黒人の命は大切)運動について、「米国の黒人文化の最悪な側面」を象徴していると発言し、「奴隷制はジェノサイド(genocide: 国民的、人種的、民族的、宗教的な集団の全部または一部を破壊する意図をもって行なわれる集団殺害行為)ではなかった。もしそうだったならアフリカにも英国にもこれほど多くの忌々(いまいま)しい黒人どもが居ることはないだろうから。そうだろ? あのねぇ、ものすごい数の連中が生き残ったんだ。」(Slavery was not genocide; otherwise there wouldn’t be so many damn blacks in Africa or in Britain, would there? You know, an awful lot of them survived.)という発言( https://www.youtube.com/watch?v=Ku4JmCpxgDo )で物議を醸(かも)す。そして「英国では1830年代に奴隷制を廃止したが、ほぼ同時にカトリック教徒解放(Catholic emancipation)が起きた。われわれは、それについてわめき散らしたりしない。歴史の一部であり、もう解決された問題だからだ。」と続ける。そこで主宰者のグライムズ氏はこの箇所を「うん、もちろんそのことで人は問題に直面することになるのだが、奴隷制は(ナチスの)ホロコーストと同等の物ではなかった。」(Well, of course that brings you up to confronting is of course slavery was not equivalent of the Holocaust.)という穏当な発言( https://www.youtube.com/watch?v=2tVjZ9hA4SQ 21:15-21:22 of 53:17)に差し変えてしまう。しかし穏当な発言に変えたのも、もはや手遅れで、学界や出版業界が舌禍(ぜっか)のスターキー博士追放に動く。ケイムブリヂ大学フィッツウィリアム学寮(Fitzwilliam College, Cambridge)は同博士の名誉研究員(honorary fellow)の称号を剝奪しようとしたところ、スターキー博士から辞任の申し出があり、希望通り辞任を認め、その時点で効力発揮(称号剝奪が成立)とする( https://www.fitz.cam.ac.uk/news/update-dr-david-starkey )。同学寮は人種差別を容認しない立場から、スターキー博士の発言は弁護できない(indefensible)としている。スターキー博士は既にメアリー・ローズ信託(Mary Rose Trust)の理事会も辞任している。また、カンタベリー基督教会大学(Canterbury Christ Church University; 略称 Canterbury CCU)はスターキー博士の客員教授(visiting professor)の肩書を剝奪。スターキー博士を客員教授とする私立バッキンガム大学(University of Buckingham)も同博士の扱いを「見直し中」(under review)とし、名誉卒業生(an honorary alumnus)としているケント大学(University of Kent at Canterbury)とランカスター大学(University of Lancaster; 通称 Lancaster University)も見直しを検討中という。また、これまでスターキー博士の著書を出版してきたホダー&ストウトン社(Hodder & Stoughton)をはじめとした大手出版社が今後は同博士の著書を世に出さないと発表し、年内にスターキー博士の著書を2冊出版予定だったハーパーコリンズ英国法人(HarperCollins UK)に至っては出版中止を発表。言論の自由(freedom of speech)や学問の自由(freedom of science)を謳歌したイギリスは過去へと遠のく。(同日付の英ガーディアン紙の Alison Flood 記者署名オンライン記事と、BBC Newsのオンライン記事と、英メトロ紙の Zoe Drewett 記者署名オンライン記事と、2020年7月4日(土)付のヤフーニュース個人の小林恭子署名コラムと、2020年7月6日(月)付のヤフーニュースに転載されたAFP日本語版のオンライン記事に依拠)

2020年7月4日(土) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)に伴うロックダウン(lockdown: 都市封鎖)で営業を禁止されていたイングランド(レスター市を除く)&ウェールズの飲食店、映画館、美容室が三ヶ月半ぶりに営業再開。安全距離を2メートルから1メートルに緩和。逆にレスター市(City of Leicester)は地域ロックダウン(local lockdown)を断行。

2020年7月5日(日) 英国政府(Her Majesty’s Government)は新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の影響で再開のめどが立たないまま休業の続く劇場や演奏会場や美術館など文化施設を救済するため、約15億7000ポンド(£1,570,000,000; one point five seven billion pounds; one billion five hundred and seventy million pounds)≒約2100億円(JPY210,000,000,000; two hundred and ten billion yen)の包括的支援策を発表。藝術文化評議会イングランド(Arts Council England)、王立歌劇場(ROH: Royal Opera House)、音楽会場信託(Music Venue Trust)、ロンドン劇場協会(SOLT: Society of London Theatre)、UK劇場(UK Theatre)などの関連団体はいずれも英国政府の支援策を歓迎。(2020年7月6日(月)付のBBC日本語版のオンライン記事と、2020年7月7日(火)付で更新されたBBC Newsのオンライン記事に依拠)

2020年7月7日(火) 中東ヨルダン王国のラーイヤ・ビント・アル=フセイン王女(Princess Raiyah bint Hussein; راية بنت الحسين‎, b.1986; エディンバラ大学卒、立命館大学交換留学、米私立コロンビア大学大学院修士課程修了、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校博士課程在学中)=34歳がロンドンで結婚式を挙げたことが明らかになる。お相手は『おばけ桃の冒険』(James and the Giant Peach, 1961)や『チョコレート工場の秘密』(Charlie and the Chocolate Factory, 1964)で知られるノルウェー系英国作家ローアルド・ダール(Roald Dahl, 1916-90)の孫に当たる英人ジャーナリストのネッド・ドノヴァン(Ned Donovan, b.1994; ロンドン大学ユーネヴアセティ学寮卒)氏=26歳。ラーイヤ王女の父親は故フセイン国王(King Hussein bin Talal of Jordan; الحسين بن طلال‎, 1935-99; 在位1952-99)で、母親はシリア系米人のヌール・アル=フセイン王妃(Queen Noor al-Hussein; نور الحسين, b.1951)。もともと結婚式は同年(2020年)4月にヨルダンで挙げる予定だったが、新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のパンデミック(pandemic: 世界的流行)の影響で延期になり、新郎の親族の安全を考慮してロンドンで挙式したとのこと。ラーイヤ王女は大の親日家(Japanophile)として知られ、スコットランドのエディンバラ大学(University of Edinburgh; 通称 Edinburgh University)と米私立コロンビア大学(Columbia University)大学院修士課程で日本学(Japanese studies; Japanology)を専攻し、現在は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA: University of California Los Angeles)で「日本とアラブ世界に於ける中世代戦記物の受容と、それらの国民アイデンティティー構築へのインパクト」(the reception of medieval warrior narratives in Japan and the Arab World and their impact upon the construction of national identities)をテーマにした博士論文(米 a doctorate dissertation; 英 a doctorate thesis)を執筆中とのこと。(2020年7月8日(水)付のヤフーニュースに転載されたELLEgirlのオンライン記事に依拠した上で加筆)

2020年7月8日(水) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)感染症のため閉館していたロンドンの国民絵画館(National Gallery)が100日ぶりに開館。(2020年7月7日(火)付のBBC Newsのオンライン記事に依拠)

【動画ニュース】(日本語字幕付)

https://www.bbc.com/japanese/video-53316348

2020年同月同日(水) 財務大臣(Chancellor of Exchequer)のスゥナク(Rishi Sunak, b.1980; オクスフオッド大学リンカン学寮卒、米私立スタンフオッド大学大学院経営学修士)氏が英国議会下院(the Lower House of Parliament)=庶民院(the House of Commons)で演説し、日本で言う消費税(consumption tax)に似た付加価値税(VAT: value added tax)に関し、飲食店での外食(アルコール飲料は対象外)や、宿泊施設での滞在や、動物園への入場にかかる税率を同年(2020年)7月15日(水)から翌年(2021年)1月12日(火)までの約半年間、現行の20%から5%に引き下げると発表。英国経済が新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)感染症で大きく落ち込む中、消費を刺激して景気回復を狙う。なお、生鮮食料品(野菜や食肉等)や書籍や子供服はもともと無税(税率ゼロ%)。英国政府(Her Majesty’s Government)が雇用救済のために用意した最大300億ポンド(£30,000,000,000; thirty billion pounds)≒約4兆円(JPY4,000,000,000,000; four trillion yen)規模の景気対策の一環とのこと。飲食店や宿泊施設や映画館などを対象とする。付加価値税の引き下げは既にドイツでも実施している。また、スゥナク財相は同年(2020年)8月の月・火・水に限り、一人当たり10ポンド≒約1,350円引きを上限とする半額券を発行し、英国全土の飲食店で使えるものとする計画を発表し、「助けるために外食」(Eat out to help out: 日本ではイギリス版「Go to イート」キャンペーンと報道)と名づける。なお、スゥナク氏の両親はインド系(ヒンドゥー教徒)のアフリカ人(ケニア生とタンザニア生)である。(同日付のBBC Newsのオンライン記事と、ヤフーニュースに転載された共同通信社のオンライン記事に依拠)

2020年7月10日(金) ホリデー解禁。スペイン、フランス、ドイツ、イタリア、日本など59ヶ国から帰国しても2週間の自己隔離が必要でなくなる。

2020年7月13日(月) 英国政府(Her Majesty’s Government)が同年7月24日(金)からイングランドのスーパーマーケット(supermarkets)での「顔への覆い」(face coverings)を義務(mandatory)とすると発表。医療用のマスク(face masks; surgical masks)ではなく、単なる「顔への覆い」である。顔を覆っていない場合はスーパーマーケットへの入店は認められず、無理に入ろうとすれば警察が介入し、100ポンド(£100: one hundred pounds)≒約13,500円の罰金が科される。ウェールズは義務でなく推奨(recommended)であり、イングランドでも幼い子供と身障者と呼吸困難者は例外とされる。(同日付のBBC Newsのオンライン記事に依拠)

2020年同月同日(月) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の影響で経済格差の拡大が懸念される中、世界の大富豪83人が、自分らのような富裕層を対象に大幅に増税し、格差の是正などに充てるべきだと各国政府に訴えるキャンペーンを開始。世界の富豪でつくる団体「ミリオネアズ・フォー・ヒューマニティ」(Millionaires for Humanity: 「人類・人道のための億万長者」の意)が、起業家や投資家ら計83人が署名した書簡をウェブ公開( https://www.millionairesforhumanity.com/ )。この中で、新型コロナウイルスが世界に貧困や雇用悪化などを齎(もたら)しているとした上で、自分らは病院の仕事も配達の仕事もしておらず、自分らのような裕福な者たちが増税されるべきだとし、「ですのでお願いです。私どもに課税してください。私どもに課税してください。私どもに課税してください。それが正しい選択です。それが唯一の選択です。[改行] 人類・人道の方が私どものお金よりも重要です。」(So please. Tax us. Tax us. Tax us. It is the right choice. It is the only choice. [改行] Humanity is more important than our money.)と結んでいる。大部分はアメリカ人だが、脚本家・映画プロデューサーのリチャード・カーティス(Richard Curtis, b.1956)氏、元サッカー選手のトマス・ファーガソン(Thomas Ferguson, b.1955)氏、起業家のグレイアム・ホブソン(Graham Hobson, 1964?)氏、起業家のクリスティーナ・ヨハンソン(Kristina Johansson, 生年非公開)女史、起業家のジェマ・マッガフ(Gemma McGough, 生年非公開)女史、職業不詳のジェフ・フィリップス(Geoff Phillips, 生年非公開)氏、経済学者で元トレーダーのゲァリー・スティーヴンソン(Gary Stevenson, 生年非公開)氏の7人は英国籍またはイギリスを拠点としているとされる。なお、日本人または日本を拠点としている富豪の名前の記載は見当たらない。(2020年7月14日(火)付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年7月14日(火) センタンドルーズ大学(University of St Andrews: 「聖アンデレ大学」の意)構内で性的暴行や強姦(rape)の被害に遭ったという告発の声が、数十人の女性から上がっていて、同大学は警察と連携してこれらの内容を調査する意向を表明。米国型の社交団体のメンバーによる犯行とされる。なお、この大学は英国内でオクスブリヂ(Oxbridge = Oxford + Cambridge)両大学に次ぐ三番目の古さを誇り、スコットランドでは最古の名門大学である。十五世紀の1413年の創立であり、七年前の2013年には創立六百周年を祝っていた。卒業生には将来の英国王、ケイムブリヂ公ウィリアム王子(Prince William, Duke of Cambridge, b.1982)と、その妃であるケイムブリヂ公爵夫人キャサリン(Catherine, Duchess of Cambridge, b.1982)も名を連ねている。実際、同公爵夫妻は同大学の学生として出会ったことから交際を始め、結婚に至ったのである。また、アメリカ独立戦争(American War of Independence. 1775-83)より前からアメリカと深い関係があることでも知られている。(同日付のヤフーニュースに転載された米CNN日本語版のオンライン記事に依拠)

2020年7月19日(日) 米東部時間3:00、世界標準時7:00、日本時間16:00更新の米ジョンズ・ホプキンズ大学(JHU: Johns Hopkins University)によるCovid-19死亡率データ( https://coronavirus.jhu.edu/data/mortality )によると、連合王国(人口67.8m)の新型コロナ死者数は45,358人で、人口10万人(0.1m)あたりの死者数(deaths/100k pop.; deaths per one hundred thousand population)を計算すると68.22人で世界第3位となっている(第1位はサンマリノ共和国で、第2位はベルギー王国)。日本国(人口126m)はこの時点で死者数986人で、人口10万人あたりの死者数は0.78人。英国は日本の約87.46倍の死亡率(mortality rate)という計算になる。

2020年7月21日(火) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)に伴うロックダウン(lockdown: 都市封鎖)で営業を禁止されていたスコットランドの飲食店が営業再開。

2020年7月24日(金) 十一日前の同年(2020年)7月13日(月)に政府が発表していた通り、イングランドのスーパーマーケット(supermarkets)での「顔への覆い」(face coverings)が義務(mandatory)となる。医療用のマスク(face masks; surgical masks)ではなく、単なる「顔への覆い」である。顔を覆っていない場合はスーパーマーケットへの入店は認められず、無理に入ろうとすれば警察が介入し、100ポンド(£100: one hundred pounds)≒約13,500円の罰金が科される。ウェールズは義務でなく推奨(recommended)であり、イングランドでも幼い子供と身障者と呼吸困難者は例外とされる。(2020年7月13日(月)付のBBC Newsのオンライン記事に依拠)

2020年7月30日(木) 英国で3番目に大きなイングランドの大マンチェスター市(Greater Manchester)で新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染者が再び急増したことを受け、同市内に地域ロックダウン(local lockdown)が発令される。

2020年8月5日(水) スコットランド北東部の港湾都市アバディーン(Aberdeen)で新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染者が再び急増したことを受け、同市内に地域ロックダウン(local lockdown)が発令される。

2020年8月13日(木) 英国政府(Her Majesty’s Government)は二日後の2020年8月15日(土)午前4時以降に新型ウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染率が高いフランス、オランダ、モナコ、マルタ、英領タークス・カイコス諸島、蘭領アルバ島から英国に到着(帰国を含む)する旅行者に対し、14日間の隔離を義務づけると発表。突然の発表を受けて、旅行中の英国人が一斉に予定を変更。帰りの列車や飛行機を確保しようと競ってチケットを予約したため、英仏海峡トンネルを通る国際列車ユーロスター(Eurostar)のチケットは350ポンド≒約49,000円まで跳ね上がり、即時完売となる。シャップス(Grant Shapps, b.1968; マンチェスター総合技術専門学校=現マンチェスター・メトロポリタン大学卒)運輸大臣は、新型ウイルス感染状況の最新データに基づいて決断を下したとする。2020年8月14日(金)時点での人口10万人当たりの感染者数は英国の17.3人に対し、フランスが34.0人、オランダが41.6人。これらの隔離対象国・対象地域に加えて、スペインも既に対象国に指定されている。イングランドでは隔離措置に違反した者に1,000ポンド≒約14万円の罰金が科せられる。(2020年8月16日(日)付の米CNN日本語版のオンライン記事に依拠)

2020年8月15日(土) 中華人民共和國香港特別行政區(Hong Kong Special Administrative Region of the People’s Republic of China)政府トップの林鄭月娥(りんてい げつが; Carrie Lam, b.1957; 香港大学卒、ケイムブリヂ大学ウルフソン学寮大学院ディプロマ修了)行政長官は、かつて在籍したケイムブリヂ大学ウルフソン学寮(Wolfson College, Cambridge)から授与された名誉フェローの称号(honorary fellowship)を自ら返上したことを明らかにする。同学寮の理事会は翌月(2020年9月)にも林鄭氏の名誉フェローとしての称号について審議することになっていたが、同氏が返上した今となっては、その必要は無くなったとする。なお、林鄭長官は香港の自治侵害などを理由に、約一週間前の2020年8月7日(金)の時点で米財務省(US Department of the Treasury)による制裁対象に指定されている。(2020年8月16日(月)付のフランス通信社(AFP: Agence France-Presse)の日本語版記事に依拠)

2020年8月24日(月) 英クラシック音楽界の毎年恒例の夏の風物詩「プロムス」(BBC Proms)の2020年千秋楽(Last Night of the Proms 2020)で、定番となっている愛国歌(patriotic songs)が歌詞なしで演奏されると主催者の英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)が発表。人種差別に抗議する「黒人の命は大切だ」(#BlackLivesMatter)運動が欧米社会に拡散する中、愛国歌には帝国主義と殖民地主義(imperialism and colonialism)の誹(そし)りが出ていることに配慮したとのこと。歌詞なしで演奏される愛国歌は「ルール・ブリタニア」(“Rule Britannia”)と「希望と栄光の国」(“Land of Hope and Glory”)。いずれも例年は千秋楽にロンドンの王立アルバート講堂(RAH: Royal Albert Hall)で演奏され、観客も国旗を振りながら合唱するのが定番となっていた。2020年は新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の影響で無観客で9月12日(土)に開催し、テレビなどで放送する。BBCは声明で「イベントの伝統や精神を尊重しながら、非常に異例な現下の状況に適応する」と説明。愛国歌は歌詞なしとする一方、新たに医療関係者への応援歌として2020年前半にリバイバルヒットした「ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン」(“You’ll Never Walk Alone”)を演目に加えるという。「ルール・ブリタニア」は「統べよ、ブリタニア。ブリタニアよ、波また波をを統べよ。英国民は断じて断じて断じて奴隷にはならない。」などと歌われている。「希望と栄光の国」は著名な作曲家エルガー(Sir Edward Elgar, 1857-1934)の「威風堂々」行進曲第一番(“Pomp and Circumstance” March No.1)のサビ(trio)の部分に歌詞を付けたもので、愛国的な内容となっている。一方でジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣はこの決定に「もしそれ(=その報道)が本当なら、それが本当だと私は信じられないが、もし本当にBBCが「希望と栄光の国」や「ルール・ブリタニア」の歌詞を歌わないと言っているだとすれば、我々が自らの歴史・伝統・文化に対して恥じらうのをもうやめるべき時だし、自虐史観やお涙頂戴をめぐるこの戦い全体をやめるべき時と私は思う。私は胸のつかえを取り除きたい。」(If it is correct, which I cannot believe that it really is, but if it is correct, that the BBC is saying that they will not sing the words of “Land of Hope and Glory” or “Rule, Britannia!” as they traditionally do at the end of The Last Night of The Proms, I think it’s time we stopped our cringing embarrassment about our history, about our traditions, and about our culture, and we stopped this general fight of self-recrimination and wetness. I wanna get that off my chest.)と批判している( https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-53902065 )。(2020年8月25日(火)付のBBCのオンライン記事と、ガーディアン紙のオンライン記事と、2020年8月26日(水)付のヤフーニュースに転載された時事通信社のオンライン記事に依拠した上で改変)

2020年8月26日(水) ロンドンの英国博物館(British Museum; 漢字文化圏では大英博物館)が創設者ハンス・スローン(Sir Hans Sloane, 1st Baronet PRS FRS, 1660-1753)の胸像(bust)を展示台から撤去。スローンが奴隷にかかわっていたことを認めた措置で、胸像は別の陳列棚に移され、植民地活動を反映した展示品や説明を添えて陳列される。同博物館は、スローンが保有していた膨大な数の収集品を基(もと)に二世紀半余り前の1753年に設立され、その六年後の1759年に開館した。グレートブリテン王国の歴代国王の主治医だったスローンは、ジャマイカの砂糖黍プランテーションの跡継ぎの女性と結婚し、奴隷労働で得た収入の相当額を収集品に注ぎ込んでいた。ドイツ生まれの同博物館館長ハルトヴィッヒ・フィッシャー(Hartwig Fischer, b.1962; ミュンヘン応用科学大学卒、ボン大学大学院修了)博士(ボン大学)は、創設当時の収集品は奴隷労働や奴隷経済によって一部が賄(まかな)われていたことを認め、胸像の展示場所を変更したと説明する。(同日付のヤフーニュースに転載された米CNN日本語版のオンライン記事に依拠した上で加筆)

2020年8月28日(金) ロンドンの英国博物館(British Museum; 漢字文化圏では大英博物館)が163日ぶりに一般公開を再開。通常なら一日平均一万七千(17,000)人が訪れるが、ソーシャル・ディスタンス(social disctance: 「社会的距離」の意)を保つため予約制で一日二千(2,000)人に限定し、時間を決めての入館であり、主に一階部分のみの公開。

2020年9月 翌年(2021年)秋から男子学生の受け入れを開始し、共学化することになっているケイムブリヂ大学ルーシー・カヴェンディッシュ学寮(Lucy Cavendish College, Cambridge)が願書の受け入れを開始( https://www.lucy.cam.ac.uk/college-community/making-difference/history )。

2020年9月9日(水) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)感染者が再び増加傾向にあることを理由に、ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣が同年(2020年)9月14日(月)からイングランドで7人以上の集まりを禁止する新たな制限措置、所謂(いわゆる)「六人ルール」(rule of six)を発表。6人までは合法だが、7人となると親族の集まりでも違反とされる(但し、結婚式と葬式は一定の条件で7人以上も許可)。学校や職場は対象外だが、違反すれば100ポンド(£100)≒約1万4千円(JPY14,000)の罰金が科され、違反を繰り返すと最大で3,200ポンド(£3,200)≒約44万8千円(JPY448,000)が科される。コロナ巡回員(Covid marshals)の配属も検討しているという。

2020年9月第四週(9月20日(日)~26日(土)) イギリス各地の大学では新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の集団感染が相次ぎ、多くの学生が自己隔離を余儀なくされる。スコットランドのグラーズゴウ大学(University of Glasgow; 通称 Glasgow University)では、学生ら172人が新型コロナウイルスに感染し、約600人の学生が自己隔離となる。同大学は寮生に対して、1ヶ月分の家賃の返金と食事の補助金として一人50ポンド(£50.00)≒約6,800円(JPY6,800)を支給することを決める。イギリス全土で少なくとも32の大学で感染者が出て自己隔離の措置を取っているという。授業の中断などが余儀なくされ、学費の一部返還などを求める声も高まる。(2020年9月29日(火)付のヤフーニュースに転載されたテレビ朝日系ANNニュースのオンライン記事に依拠)

2020年10月14日(水) 英国政府(Her Majesty’s Government)は新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染が再び拡大している現状を鑑(かんが)みて、イングランドの各自治体が課していた地域ロックダウン(local lockdown)を見直し、イングランド全土に三段階方式(three-tier approach)を導入。同日(2020年10月14日(水))中に首都ロンドンやイングランド北東部や中部地方(English Midlands)に課す第2層(Tier 2)=高い(high)、三日後の同年(2020年)2020年10月17日(土)にイングランド北西部に課すことになる第3層(Tier 3)=非常に高い(very high)以外のイングランド全土は第1層(Tier )=中程度(medium)とされる。第1層だけは6人を超える(日本語で7人以上)の集まりが禁止され、第2層と第3層は家庭外での人の集まりは一切禁止となる。

2020年10月21日(水) 英国政府(Her Majesty’s Government)はロンドン帝国大学(Imperial College London)などが新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のワクチン(vaccine)開発を加速させるためとして、健康な人に開発中のワクチンを投与し、人為的にウイルスに感染させてワクチンの効果などを調べる研究に対し、3360万ポンド(£33.6 million; thirty-three point six million pounds)≒約46億円(JPY4.6 billion; four point six billion yen)の支援を行なうと発表。研究では初めに18歳から30歳までの心臓病や糖尿病など基礎疾患の無い健康な人を対象にどれ程の量のウイルス(virus)で感染が起こるのかを調べる。次に、別の健康な人を対象に開発中のワクチンを投与し、人為的に新型コロナウイルスに感染させて、ワクチンの効果や副作用を調べる。人為的にウイルスに感染させるのは90人までが対象で、約50万円の謝礼金が出るため、既に枠は埋まっているという。被験者は医師や科学者が24時間態勢で健康状態を観察し、研究に参加した後も最大1年間は異常がないか経過を見るとしている。研究に用いるワクチンはまだ決まっていないが、イギリスの規制当局や倫理委員会の承認を受ければ、翌年(2021年)1月にも研究を開始する見通しとのこと。(同日付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年11月1日(日) ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)首相は四日後の同年(2020年)11月5日(木)から同年(2020年)12月2日(水)までの四週間を大ロンドン市(Greater London)を含むイングランドの全域で外出制限などの措置に踏み切ると発表。スーパーマーケットを除く一部小売店や飲食店は原則として営業を禁止するなど、同年(2020年)春以来の厳しいコロナ感染症対策となる。しかしながら、春の措置とは異なり、学校や大学については休校にしないとする。イギリスでは一日に新たに新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)に感染する人の数が2万(20,000)人を超える日が続き、コロナ死者数が一日300人を超える日があるなど深刻な状況が続いていて、しかも前日(2020年10月31日(土))には累計のコロナ感染者数が100万(1 million)人を超えており、英国政府(Her Majesty’s Government)はこのままでは死亡する人が翌月(2020年12月)上旬にも一日800人近くに達する虞(おそれ)があると見ている。(同日付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年11月2日(月) 米ジョンズ・ホプキンズ大学(JHU: Johns Hopkins University)が纏(まと)めたところによると、世界全体で新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)感染が確認された人数は、世界標準時2020年11月1日(日) 18:00(日本時間では2020年11月2日(月) 3:00)の時点で4631万2467(46,312,467)人となり、死者数は119万8000(1,198,000)人に上っているとのこと。感染者が多い順に米印伯露仏となっており、死者数では米伯印墨英の順。英国では4万6645(46,645)人が死亡しており、英国の2020年推定人口が6788万6004(67,886,004)と、日本の半分強しかいないことを考え合わせると、異様に多い死者数である。(同日付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年同月同日(月) 英国王室のケイムブリヂ公ウィリアム王子(Prince William, Duke of Cambridge, b.1982; センタンドルーズ大学卒)=38歳が同年(2020年)4月(この時点では満37歳)に新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)に感染していたと、英国最大の発行部数を誇る大衆紙ザ・サン(The Sun)など複数の現地メディアが報じる( https://www.thesun.co.uk/news/13080634/prince-william-secret-covid-battle/ )。それぞれ同年(2020年)3月25日(水)と27日(金)に父親のウェールズ大公チャールズ皇太子(Charles, Prince of Wales, b.1948; ケイムブリヂ大学三位一体学寮卒、同大学同学寮修士)とジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)首相の感染が大きく伝えられていたことから、ウィリアム王子は「重要なことが起こっている中、誰にも心配をかけたくなかった。」(There were important things going on and I didn’t want to worry anyone.)として、自(みずか)らの感染は公表しなかったとのこと。一時は呼吸をするのも困難な状況に陥り、周囲(側近等)はパニックになったとも伝えられる。(同日付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年11月5日(木) 四日前の同年(2020年)11月1日(日)にジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)首相が発表したように、この日から同年(2020年)12月2日(水)までの四週間を大ロンドン市(Greater London)を含むイングランドの全域で外出制限などの措置が開始される。事実上の二度目のロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)となる。春の第一回ロックダウンに比べ、市民は非常にリラックスした様子。今回は集まる人数や屋内会食などは制限されるも街に出ること自体は許可され、人々の接触の機会も見られる。

2020年11月7日(土) 前年(2019年)9月17日(火) マリア・ベアトリーチェ・ジョヴァナルディ(Maria Beatrice Giovanardi, 生年不詳)なるイタリア系女性が請願サイトであるchange.org(チェインヂ・ドット・オーグ)で署名を呼び掛け( https://www.change.org/p/change-oxford-dictionary-s-sexist-definition-of-woman?recruiter=234306796 )、三万人近い人々の署名を以(もっ)てオクスフオッド大学出版局(OUP: Oxford University Press)に対し、性差別的な定義を削除するよう要求するも、同出版局は拒否していた問題で、同大学出版局側が辞書のいくつかを改訂したことが判明。問題となっていたのは、女(woman)という単語の類語(synonyms)に「あばずれ女」や「売春婦」といった意味の英単語 bitch, besom, piece, bit, mare, baggage, wench, petticoat, frail, bird, bint, biddy, filly が列挙( https://www.lexico.com/synonyms/woman )されていたことである。英語には女性に対する蔑称がこれほど多いことにハッとさせられる一方で、「バカ、うっとうしい、または滑稽な男」(A stupid, irritating, or ridiculous man.)という定義(definition)の dickhead (直訳「チンコ頭」)という単語は、男(man)の類語( https://www.lexico.com/synonyms/man )には入っていない。また、女性に関する例文には以下のように「女は男の所有物である」や「女は男を刺激するモノ」であると示唆(しさ)する表現が含まれ、批判されていた。「セプテンバー女史はプロであり尚且(なおか)つセクシーなキャリアウーマン像を体現している。」(Ms September will embody the professional yet sexy career woman)、「これが上手く行かなければ、連中は路上の女(=売春婦)に成り得る。」(If that does not work, they can become women of the streets.)、「自分の嫁に捌(さば)かせるために釣った魚を家に持って帰る男性漁師たち。」(Male fisherfolk who take their catch home for the little woman to gut.)、「嫁よ、俺が家に帰る時には家に居るよう言ったではないか。」(I told you to be home when I get home, little woman.)である。女性の援助(Women’s Aid)と女性の平等党( Women’s Equality Party)の代表たちは、2020年の国際女性の日(International Women’s Day 2020)である2020年3月8日(日)に同大学出版局に向けて変更を求める公開書簡(an open letter)を公開していた。そして遂(つい)に同大学出版局は妥協(だきょう: compromise コンプろマイス)に転じ、差別的な内容を変更するとともに、ジェンダー(gender: 社会的性別)に括られないよう定義を変更した。たとえば家事(housework)の例文は、従来の「彼女はまだすべての家事をやっている。」(She still does all her housework.)から、「玄関のチャイムが鳴ったとき私は家事に忙しかった。」(I was busy doing housework when the doorbell rang.)に変更された。しかしながら、署名の発案者は同大学出版局の前向きな改訂(revision)に喜ぶ一方で、女性の類語から bitch(あばずれ女)という単語は取り除かれなかったことには落胆しているという。これに対し同大学出版局は、「この独立した編集方針は、私たちの辞書群が言葉の正しい表象を提供していることを意味します。そこでは不快で侮蔑的な語義や単語使用の例を記録することをも意味します。そしてそれらを私たちが必ずしも(賛同して)採り入れているわけではありません。」(This independent editorial approach means that our dictionaries provide an accurate representation of language, even where it means recording senses and example uses of words that are offensive or derogatory, and which we wouldn’t necessarily employ ourselves.)とコメントしている。(2019年9月17日(火)付の英ガーディアン紙のオンライン記事と、2020年11月7日(土)付の英ガーディアン紙のエアロン・ワラウォーカー(Aaron Walawalkar)記者署名記事と、2020年11月8日(日)付のインド英字紙インディア・タイムズのクリシュナ・プリヤ・パッラヴィ(Krishna Priya Pallavi)記者署名記事と、2020年11月10日(火)付の米CNNのクリスティーナ・ズダノヴィッチ(Christina Zdanowicz)記者署名記事と、2020年11月10日(火)付の米USAトゥデイ紙のンディア・ヤンシー=ブラグ(N’dea Yancey-Bragg)記者署名記事と、2020年11月16日(月)付の Frontrow(フロントロウ)のオンライン記事に依拠)

2020年11月10日(火) 英国フェミニズム思想の先駆者で『女性の権利の擁護』(A Vindication of the Rights of Woman, 1792)の著者であるメアリー・ウルストンクラフト(Mary Wollstonecraft, 1759-97)を顕彰する彫刻作品を英帝国勲章(Order of the British Empire)勲三等(CBE)叙勲者、マギ・ハンブリング(Maggi Hambling, b.1945)女史が手掛け、大ロンドン市(Greater London)内北部のハックニー区(London Borough of Hackney)とイズリントン区(London Borough of Islington)に跨(またが)る公有地ニューイントン緑地(Newington Green, London)にお披露目される。しかしながら、小さなヌード像が上部に置かれたデザインが物議を醸(かも)す。ハンブリング女史はイーヴニング・スタンダード(Evening Standard: 直訳「夕刻標準」)紙の取材に対し、「要するに彼女(=ウルストンクラフト)は裸でなければならなかった。というのも、衣服を着せるとその人の定義を限定してしまうから。私たちは皆知っている、衣服が人を制限してしまうと。そして彼女(=ウルストンクラフト)はすべての女性を体現している。」(The point is that she has to be naked because clothes define people. We all know that clothes are limiting and she is everywoman.)と説明。(2020年11月11日(水)付のイーヴニング・スタンダード紙のオンライン記事2種と、ヤフーニュースに転載されたフランス通信社(AFP: Agence France-Presse)日本語版に依拠)

2020年11月24日(火) 連合王国(UK: United Kingdom)を構成するイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド(England, Wales, Scotland and Northern Ireland)は、同年(2020年)12月25日(金・祝)の聖誕祭日(Christmas Day)を挟(はさ)む同年(2020年)12月23日(水)から27日(日)までの5日間に限り新型コロナウイルス感染(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)拡大抑制策を緩和することで合意。3世帯が自宅や宗教施設のほか、屋外の公共の場で集うことを許可することが許可されるが、屋内の飲食店や行楽施設などで集まることはできない。ジョンソン首相は前日(2020年11月23日(月))、感染拡大を受けて再導入したロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)を終了し、感染率が低い地域で経済を再開させる従来の措置に同年(2020年)12月2日(水)から戻る方針を発表していた。(2020年11月25日(水)付のヤフーニュースに転載された英ロイター通信のオンライン記事に依拠)

2020年同月同日(火) ケイムブリヂ大学(University of Cambridge; 通称 Cambridge University)が進化論(evolution theory)を発表した科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin, 1809-82; エディンバラ大学中退、ケイムブリヂ大学基督学寮卒)の帳面2冊(two notebooks)が盗まれた可能性が高いと発表。帳面は非常に貴重なもので、金銭的価値は「恐らく数百万ポンド(several million pounds ≒日本円にして数億円)」に上るという。帳面は二十年前の2000年9月、写真撮影のために保管されていた特別室から持ち出され、それを最後に行方が分からなくなっている。翌年(2001年)1月の定期点検で見当たらなかったが、館内のどこかに間違って置かれたものと考えられていたが、捜索しても所在が分からず、最終的に「盗難の可能性が高い」と判断したという。(2020年11月25日(水)付のヤフーニュースに転載された共同通信社のオンライン記事と、同転載の時事通信社のオンライン記事に依拠)

2020年11月25日(水) 五百八十年前の1440年にヘンリー六世(Henry VI of England, 1421-71; 在位1422-61)によって創設された全寮制のパブリックスクール(public school: 「私立名門校」の意)イートン校(Eton College; 在英国バークシヤ州)で寮の寝室に「夜這い」(nocturnal visits)し、生徒に性暴力を働いていたとして、レディング王冠裁判所(Reading Crown Court: 通常訳は「レディング刑事法院」)が地理学(geography)の元教師マシュー・モーブレイ(Matthew Mowbray, b.1971?)被告=49歳に有罪判決を下す。同裁判所によると、同被告は宿題について相談があるとして生徒の部屋を訪ねていたという。判決では、未成年に対する性暴力事件8件で有罪となった一方、少女1人に対する疑惑では無罪となる。被害を受けた一人の生徒は、「強い力で抱きしめられ」(forceful squeeze)て下半身を触られたと証言し、別の生徒は、教師から性的な接触を受け「とても不快で、固まるしかなかった」(felt really uncomfortable and just froze)と語っている。サイモン・ヘンダースン(Simon Henderson, b.1976; ウィンチェスター校の出、オクスフオッド大学ブレイズノウズ学寮卒)校長は、被害を受けた生徒に「全面的な謝罪」(unreserved apologies)表明し、「(被害者たちの)卓越した勇気と尊厳」(extraordinary courage and dignity)に敬意を払うと述べる。なお、イートン校はボリス・ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; オクスフオッド大学ベアリオル学寮卒)内閣総理大臣や、ケイムブリヂ公ウィリアム王子(Prince William, Duke of Cambridge, b.1982; センタンドルーズ大学=聖アンデレ大学卒)とサセックス公ハリー王子(Prince Harry, b.1984; 陸軍士官学校の出)の兄弟を輩出している。(2020年11月25日(水)付の日刊メイル紙のイーマー・スカリー(Emer Scully)記者・トム・パイマン(Tom Pyman)記者共同署名オンライン記事と、2020年11月26日(木)付の BBC News のオンライン記事と、ヤフーニュースに転載されたBBC日本語版のオンライン記事に依拠)

2020年12月2日(水) 0:00 連合王国(UK: United Kingdom)を構成する四つの国(four countries; four nations)の中で最も人口規模の大きなイングランドが、四週間ぶりにロックダウン(lockdown: 都市封鎖)を解除。街にはクリスマス商戦の買い物客が詰めかける。クリスマス商戦を前に足元の経済活動を優先させたことで、後に禍根を残すことになる。なお、前日(2020年12月1日(火))には英ファストファッション大手のトップショップ(Topshop: 傘下のブランドに Topman や Topwoman)を運営するアーケイディア・グループ(Arcadia Group: 「アルカディア集団」の意)が倒産し、同日(2020年12月2日(水))には大手百貨店チェーンのデヴェナムズ(Devenhams)も倒産している。

2020年同月同日(水) 米ファイザー社(Pfizer)と独バイオンテック社(BioNTech: 一部の英マスコミと日本では誤って「ビオンテック」だが独本国ではバイオンテック)が共同開発した新型コロナウイルス感染(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)への新ワクチン(the new vaccine)が安全と品質と有効性についての厳しい基準を満たしたと医薬品・医療製品規制庁(MHRA: Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)が判断を示したことを受け、英国政府(Her Majesty’s Government)は世界に先駆けて当該ワクチンを承認。一週間以内に(翌週初頭には)接種できるようになるという。通常なら十年を要するところ、僅か十ヶ月のスピード承認。今回承認されたワクチンの他に、英オクスフオッド大学(University of Oxford; 通称 Oxford University or Oxford Uni)と英アストラゼネカ(AstraZeneca)社が共同開発を急ぐワクチン、米モダナ(Moderna: 日本では誤って「モデルナ」)社が単独で開発を急ぐワクチンと、露国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所(Национальный исследовательский центр эпидемиологии и микробиологии имени почётного академика Н. Ф. Гамалеи = Natsional’nyy isslyedovatyel’skiy tsentr epidyemiologii i mikrobiologii imyeni pochetnogo akadyemika N. F. Gamalyei; 英訳 National Research Centre for Epidemiology and Microbiology named after Honorary Academician N.F. Gamaleya; 英通称 Gamaleya Research Institute of Epidemiology and Microbiology)が単独で開発を急ぐワクチンが世界的に知られている。(同日付のBBC Newsのオンライン記事と、同日付のヤフーニュースに転載された米ブルームバーグ日本語版のオンライン記事に依拠)

2020年12月8日(火) 六日前の同年(2020年)12月2日(水)に発表されたように、新型コロナウイルス感染(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)への新ワクチン(the new vaccine)の接種(injection; jab)が世界に先駆けて英国で開始される。このワクチンの保存にはマイナス70度前後の低温管理を要する。イングランドでは設備の整った50の病院で当面の接種が実施され、80歳以上の高齢者が優先的に接種を受ける。接種第1号は、ウォリック州コヴェントリー市(Coventry, Warwickshire, England)在住のマーガレット・キーナン(Margaret Keenan, b.1929)女史=90歳(但し、翌週には91歳)とのことで、その様子が世界のマスコミに報道される。そして接種第2号はウォリック州(Warwickshire, England)在住で四百年以上昔の劇作家・詩人・俳優のウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare, 1564-1616)と同姓同名のウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare, b.1939)氏=81歳である。なお、文豪もウォリック州ストラトフォド・アポン・エイヴォン市(Stratford-upon-Avon, Warwickshire, England)の出身である。そんなこともありSNS(social networking service の略だが、英語圏では通常 social media ソウショオミーディア)上では文豪シェイクスピアの作品名や名セリフに絡(から)めた冗句(joke)が駆け巡ったという。なお、日本では翌年(2021年)2月17日(水)になって全国100ヶ所の病院で同意を得た医療従事者4万人への先行接種が始まることになる。世界では少なくとも70ヶ国が日本に先行して接種を始めており、日本はイギリスに比べて2ヶ月余り遅れての開始となる。(同日付のNHKオンラインの記事と、BBC Newsのオンライン記事と、2020年12月9日(水)付のヤフーニュースに転載された BBC News 日本語版のオンライン記事に依拠)

2020年同月同日(火) 六日前の同年(2020年)12月2日(水)に約半年ぶりに再開館したテイト美術館全4館(首都の Tate Britain と Tate Modern、イングランド北西部の Tate Liverpool、イングランド南西部の Tate St Ives)が、全スタッフの約12%に相当する約120人を自発的退職によって解雇すると発表。新型コロナウイルス感染(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染拡大の影響で2020年は大幅な減収となり、今回の解雇により約480万ポンド(£4.8m; four point eight million pounds sterling)≒約6億7千万円を賄(まかな)う計画という。しかしながら、目標が達成できなかった場合には翌年(2021年)に強制的な解雇に移行する可能性もあるとする。(2020年12月9日(水)付のヤフーニュースに転載された美術手帖のオンライン記事に依拠)

2020年12月11日(金) イギリスの製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)のロシア法人が、オクスフオッド大学(University of Oxford; Oxford University)と共同で開発を進めている新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のワクチン(vaccine)と、ロシア国産のスプートニクV(Спутник В; Sputnik V; ロシア語で「衛星、配偶者、旅の同伴者」の意)ワクチンを組み合わせて臨床試験を行なうと発表。英露いずれのワクチンも2回接種する型(type)で、臨床試験はそれぞれを組み合わせて行われ、同年(2020年)12月にも始まるという。臨床試験はロシア側の提案で実施するもので、アストラゼネカ側もより高い予防効果が期待できる可能性があるとする。(同日付のBBC Newsのオンライン記事と、2020年12月12日(土)付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年12月14日(月) ハンコック(Matt Hancock, b.1978; オクスフオッド大学エクセター学寮卒、ケイムブリヂ大学基督学寮大学院修士)厚生大臣(Secretary of State for Health and Social Care)が、新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)感染者が急増する中、首都ロンドンが最も厳格な制限段階に移行すると議会下院(the Lower House of Parliament)=庶民院(the House of Commons)で発表( https://www.gov.uk/government/speeches/sharp-rise-in-coronavirus-numbers-and-a-new-variant )し、新型コロナウイルスの突然変異体(mutant)である新変異種ウイルス(the new variant virus; the new coronavirus variant)が見つかり、その変異種では感染率が七割上昇した(seventy per cent more transmissible)と明かす。イングランドでは同年(2020年)12月初旬から感染の警戒度に応じて地域ごとに3段階(three tiers)の制限措置が導入され、人口の40%超が最も厳しい制限である第三段階(Tier 3)の対象となったが、人口900万超の大ロンドン市の全32区及びシティ特別区(all 32 boroughs and the City of London)は二番目に厳しい第二段階(Tier 2)の制限下に置かれていた。今回の制限措置は二日後の同年(2020年)12月16日(水)から施行される。人の集まりが制限されるほか、バーやレストランの営業は持ち帰りサービス以外は禁止となる。スタジアムでのスポーツ観戦もできなくなり、劇場や映画館も再び閉鎖される。しかしながら、クリスマス期間の同年(2020年)12月23日(水)から27日(日)迄の五日間については、同居していない家族と会うことを可能とするなど制限を緩和するという。ハンコック大臣は、過去一週間にロンドンを中心に非常に急速なペースで感染が拡大する中、イングランド南東部を中心に千人超が新型コロナの変異種に感染したことが確認されたと明らかにし、迅速かつ断固とした行動を取る必要があると述べる。(2020年12月15日(火)付のヤフーニュースに転載された英ロイター通信のオンライン記事と、同転載の朝日新聞デジタルの下司佳代子ロンドン特派員署名記事に依拠)

2020年12月19日(土)夕方、与党保守党(Conservative Party; 通称・別称・蔑称 Tories)のジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣が首相官邸(10 Downing Street)で緊急記者会見を開き( https://www.gov.uk/government/speeches/prime-ministers-statement-on-coronavirus-covid-19-19-december-2020 )、首都ロンドンを含むイングランド南東部の新型コロナウイルス感染(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)拡大防止のための制限に関する階層をこれまでの第三段階(Tier 3)=非常に高い警戒(Very high alert)から第四段階(Tier 4)=自宅待機(Stay at Home)に引き上げること、つまり僅(わず)か数時間後の同年(2020年)12月20日(日) 0:01から封鎖すると発表( https://www.gov.uk/government/news/prime-minister-announces-tier-4-stay-at-home-alert-level-in-response-to-new-covid-variant / https://www.youtube.com/watch?v=w4FyXuCi-r 2:56-6:00 of 39:20)。これにより、地域ごとの全3段階(three tiers)の制限措置が全4段階(four tiers)に増幅されて設定されたことになる。今回の措置の見直しは、同年(2020年)12月30日(水)の予定。この際に聖誕祭規則(Christmas rule)が発表され、(1)第四段階(Tier 4)地域の居住者は、家族以外の人と交流すべきではない。但し、孤立のリスクが高い人々に対するサポート・バブル(support bubble: 直訳「支援泡」)はその儘(まま)とする。(2)イングランドでも南東部以外の地域では、3世帯の交流が許される聖誕祭規則(Christmas rule)は先般設定した5日間(12月23日(水)~27日(日))ではなく、聖誕祭祝日(Christmas Day)の12月25日(金・祝)のみに限定される。イングランドの人口の3分の1に当たる1640万(16.4m; sixteen point four million)人が対象となる。不要不急の外出は制限され、必需品を売る商店以外は営業が認められない。屋外で会うのは1人に限定される。大晦日(New Year’s Eve)から元旦(New Year Day morning)にかけての新年カウントダウン・イベントについては従来から言われていたように禁止続行となる。イングランド以外の地域も厳格な措置を導入し、スコットランドは他地域への移動を禁止し、クリスマスの特別な規制緩和は12月25日(金・祝)の聖誕祭祝日(Christmas Day)のみとしている。ウェールズは全4段階でも最も厳格な規制を敷くが、12月25日(金・祝)の聖誕祭祝日のみは2世帯が集まることを認める。官邸記者会見に同席した首席医務官(Chief Medical Adviser)のウィッティー(Chris Whitty, b.1966; オクスフオッド大学ペンブルック学寮卒、同大学ウルフスン学寮卒、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院修了、ノーサンバランド大学大学院修了、ヘリオット=ワット大学大学院修了、オープン大学=英国版放送大学=大学院修了)博士は、「この地域で旅行を計画中の人は、荷を解き、家にいてほしい」と呼び掛ける。一般市民の駆け込み脱出を受け、ハンコック(Matt Hancock, b.1978; オクスフオッド大学エクセター学寮卒、ケイムブリヂ大学基督学寮大学院修士)厚生大臣は、「非常に無責任な行動だ」と非難。シャップス(Grant Shapps, b.1968; マンチェスター総合技術専門学校=現在のマンチェスター・メトロポリタン大学卒)運輸大臣は、駅に警察官を増員し、監視を強化すると表明。しかしながら、ジョンソン首相は直前まで、科学者や最大野党労働党(Labour Party; 通称 Labour)からクリスマス期間中の帰省や旅行を制限するよう再三要求されたにも拘(かか)わらず、クリスマスを中止するのは非人道的(inhuman)だとして突っぱねていた。大ロンドン市(Greater London Council)のカーン(Sadiq Khan, b.1970; 北ロンドン大学=現在のロンドン・メトロポリタン大学卒)市長=パキススタン移民二世の労働党党員=は、「この駅の混雑は、政府の渾沌(こんとん)とした発表のやり方が招いた直接的な結果だ」と政府を批判。(在英国日本国大使館の2020年12月20日(日)付のメールと、2020年12月21日(月)付のヤフーニュースに転載された時事通信社のオンライン記事と、同転載の英ロイター通信の日本語版オンライン記事に依拠した上で加筆)

2020年12月19日(土)~20日(日) イングランド南東部のケント州(Kent, England)で約三ヶ月前の同年(2020年)9月下旬頃に初めて発見され、11月には首都ロンドンに於ける新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の症例の4分の1に見つかり、12月には3分の2に見つかっている新変異種ウイルス(the new variant virus; the new coronavirus variant)について、英国政府(Her Majesty’s Government)の保険担当官たちが声明を出し、今回の新株(the new strain)が以前に比べて致死性が高い(more deadly)という証拠(evidence)は無いとしながらも、感染率が七割上昇した(seventy per cent more transmissible)とする。一方、世界保健機関(WHO: World Health Organization; 中文簡体字 世界卫生组织; 中文繁體字 世界衛生組織; 本部在スイス連邦ジュネーヴ市)の感染症専門家はこの新変異種がオランダとデンマークと豪州でも確認されたと明らかにする。これについて欧州諸国が極度に警戒し、まずはオランダ政府が英国との行き来を禁止。フランス政府は英国時間の20日(土) 23:00(フランス時間=中央欧州時間で21日(月) 0:00、日本標準時で21日(月) 8:00)に向こう48時間の貨物(freight)を含む英国とのあらゆる行き来を禁止と発表。フランスの禁止策に呼応して英仏間の海底トンネルを運営するユーロトンネル(Eurotunnel ユァロゥヌル)社はフォークストン(Folkestone, Kent, England)のターミナルを禁止1時間前の22:00(フランス時間=中央欧州時間で同日23:00)にフランスのカレー港(Calais port)への出国出口を閉鎖。そのため閉鎖される前にギリギリのタイミングで英国を脱出しようとする群衆がロンドン聖パンクラス国際駅(London St Pancras International station)に殺到する( https://www.youtube.com/watch?v=YJtNgtu0mOc / https://www.youtube.com/watch?v=oEw74Ypvkxw / https://www.youtube.com/watch?v=SU6nyXj9zYg )。また、ロンドンから上記のフォークストン・ターミナルや近在のドーヴァー港(Dover, Kent, England)へ続く高速道路20号線(M20)には自家用車やトラック(cars and lorries)の渋滞が発生する( https://www.youtube.com/watch?v=B-YU-Ka0L0M )。隣国のアイルランド共和国政府は、イングランドとウェールズとスコットランドからの航空便を少なくとも48時間は禁止すると発表。つまり陸続きの英領北アイルランドは禁止の対象ではないし、国境が入り組んでいるため禁止は事実上ほぼ不可能。船による貨物便のみ許可するとのこと。ドイツ政府も英国と結ぶ航空便を一時的に禁止し、ベルギー政府も少なくとも向こう24時間の航空便と鉄道の行き来を禁止。イタリア政府は2021年1月6日(水)が来るまで(until 6 January)の英国との航空便を禁止。墺太利政府も英国との航空便を禁止。ブルガリア政府は更に極端で、2021年1月31日(日)が来るまで(until 31 January)の英国との航空便を禁止。EU域外ではスイス政府とトルコ政府とチュニジア政府も英国との航空便を禁止。その後、ハンガリー政府も同年(2020年)12月22日(火) 0:00から英国との航空便を禁止するとしている。更には遠くカナダ政府とインド政府と香港行政府も旧宗主国イギリスとの行き来を禁止し、実に世界の40余りの国々が英国便を禁止したが、日本国政府や米国政府は何も反応を示していない(2020年12月22日(火)になって漸(ようや)く日本国政府が方針を表明し、24日(木)以降のイギリス便で日本人以外の入国停止とするとのこと)。一方、記者会見の場で記者から日本国政府の今後の対応について問われた加藤勝信(かとう のぶかつ, b.1955; 東京大学卒)官房長官は、もともとイギリスを「上陸拒否対象国」としていることを挙げ、「感染状況などを見つつ慎重に対応していく」と語る。しかしながら、日本航空(略称 日航; 英称 Japan Airlines; 英略称 JAL; IATA国際略称 JL)と全日本空輸(略称 全日空; 英称 All Nippon Airways; 英略称 ANA; IATA国際略称 NH)は東京羽田空港とロンドン・ヒースロウ空港の間の航空便を飛ばし続けている。(2020年12月20日(日)付と22日(火)付のBBC Newsのオンライン記事と、2020年12月22日(火)付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年12月21日(月) 欧州諸国が英国との行き来の禁止(travel bans)を一時的に課すという緊急事態を受けて、欧州連合(EU: European Union)のフォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen, b.1958; 欧州委員会委員長在任2019-; ゲッティンゲン大学中退、ロンドン経済政治学院中退、ハノーファー医科大学卒)欧州委員会委員長・医学博士・公衆衛生学修士が、オンライン上で緊急会議を招集し、EUで一致した措置(coordinated EU actions)を模索。一方、英国ではジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣が内閣府ブリーフィングルーム(COBR: Cabinet Office Briefing Room; 「内閣府概況説明室」の意)緊急会議を招集。また、日本では菅義偉(すが よしひで, b.1948; 首相在任2020-; 法政大学卒)内閣総理大臣が在京民放TBSの番組の中で、日本国政府の水際対策について、「(英国は)上陸拒否の対象国になっているので、日本に入って来られるのは日本人で英国に住んでいる方とか、一日1人か2人だ。そこは対応できる。さらに厳しくする方向は当然、英国と交渉する。」と説明。しかしながら、この楽観的な発言は立憲民主党(英称 Constitutional Democratic Party of Japan)などの野党から、「もっと多い。事実誤認ではないか。」と指摘したことを受けることになる。この日には、前日(日曜)の英国からの集団脱出の様子が英国人一流の皮肉を込めて表現され、プレイグ・アイランド(Plague Island: 「ペスト渦の島国」の意)がツイッター(Twitter)でトレンドと成る。また、英マスコミの多くが引用した個人ツイート(tweet)としては、ハリエット・クラグソン(Harriet Clugson, 生年不詳)女史の「サイゴンから出る最後の列車。私たちがリーヅ行きの列車に乗ろうと待っている際の聖パンクラス駅の行列。」(Last train out of Saigon. Queue at St Pancras as we wait to board the Leeds bound train.)が拡散され( https://twitter.com/HarrietClugston/status/1340383304143540227 )、ここでも英国流の皮肉が利いている。つまり四十五年前のベトナム戦争(Vietnam War, 1955-75)最末期、1975年4月30日(水)のサイゴン陥落に際して、勝った北ベトナムの共産軍が南ベトナムの首都サイゴン(現在のホーチミン市)に入城する直前に在住アメリカ人や親米派ベトナム人が挙(こぞ)って逃げようとした大混乱に準(なぞら)えている。一方、大手スーパーマーケットチェーン(最大手の Tesco に次ぐ第二位)のセインズベリーズ(Sainsbury’s)は、このまま国境封鎖が続けば葉物や柑橘類(salad leaves and citrus fruit)などといった食料が不足する虞(おそれ)がある指摘。航空需要の先行きにも懸念が広がり、英国航空(British Airways; 略称 BA)の親会社インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG: International Airlines Group)の株価が8%も急落。仏蘭連合のエールフランスKLM(Air France KLM)と独ルフトハンザ航空株式会社(Deutsche Lufthansa AG ドイチェ・フトゥハンザ・アーゲー)もそれぞれ4%超の株価下落となる。一方、トヨタの欧州現地法人は同年(2020年)12月24日(木)から予定していた聖誕祭休暇(Christmas holidays)の操業停止期間を、フランス工場は22日(火)から、英国工場は23日(水)からに前倒しすることを決定。英仏間で円滑な部品調達に支障が生じているためという。この日の夜には、フランス政府のヨーロッパ問題担当の閣僚が、イギリスのジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣とフランス共和国のマクロン(Emmanuel Macron, b.1977; 共和国大統領在任2017-; パリ第十大学卒、パリ政治学院大学院修了、フランス国立行政学院卒)大統領がイギリスからの入国を認める上で必要な対策について近く合意するという見通しを示す。(2020年12月20日(日)付と22日(火)付のBBC Newsのオンライン記事と、2020年12月22日(火)付の毎日新聞の宮原健太記者署名オンライン記事、2020年12月22日(火)付のNHKオンラインの記事と、時事通信社のオンライン記事に依拠)

2020年12月22日(火) イギリスで感染力が強いとされる変異した(mutated)新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染が拡大していることを受け、世界40余りの国々が英国との行き来を禁止するなどの措置を採る中で、英国と欧州大陸を結ぶ物流の大動脈となっているドーヴァー海峡(英 Strait of Dover; 仏 Pas de Calais パドゥカレ=カレー海峡)では物流トラック(lorries)の混乱が続く。パテル(Priti Patel, b.1972; キール大学卒、エセックス大学大学院修士)内務大臣(Home Secretary: 「法務大臣」の訳語もあり)は、英国側だけで少なくとも1,500台のトラックが滞留しているという見方を示した上で、混乱の解消に向けて英仏両国政府が協議を続けると述べる。なお、パテル女史の両親はインド系(ヒンドゥー教徒)のアフリカ人(ウガンダ生)である。そうした中、イングランド南東部ケント州(Kent, England)に在り、六年半余り前の2014年5月15日(金)に廃港済のマンストン空港(Manston Airport; 旧IATA国際記号 MSE)の旧滑走路にトラックを駐車する措置が取られ、その数は同年(2020年)12月22日(火) 6:00には約900台だったが、同日夜までに約2,200台にまで増えている。近くを走る高速道路上では、632台が動けなくなっている。足止めされたトラック運転手の中にはホテルの部屋を確保できた人もいるが、何百人もがホテルに泊まれず、2晩もトラックで車中泊した運転手もいる。英国食品飲料連盟(FDF: Food and Drink Federation)最高責任者(Chief Executive)のイアン・ライト(Ian Wright, 生年非公開)氏によると、国境封鎖で少なくとも4,000台のトラックが影響を受けたという。一方で2020年12月23日(水)付のテレビ朝日の現地取材によると、フランス側のトラックはフランスに戻れなくなることを恐れてカレー港から退散しているという。今後入国が認められたとしても、大量のトラックの滞留が解消するには時間がかかるため、クリスマスにかけて混乱は続き、食料品などの不足が生じるのではないかという見方も出ている。(同日付のNHKオンラインの記事と、2020年12月23日(水)付のヤフーニュースに転載されたテレビ朝日系ANNニュースのオンライン記事と、同転載のハフポスト日本版のオンライン記事に依拠した上で加筆)

2020年12月23日(水) イギリスで感染力が強いとされる変異した(mutated)新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染が拡大していることを受け、日本国政府の加藤勝信(かとう のぶかつ, b.1955; 東京大学卒)官房長官は、午前の記者会見で翌日(2020年12月24日(木))以降、当分の間、イギリスからの新規の入国を拒否するなど、入国制限を強化する新たな措置を実施すると発表。日本に住んでいる日本人や外国人がイギリスに7日間以内の短期出張をした場合は、帰国や入国の際、一定の条件のもとで、免除している14日間の待機を改めて要請するとしている。また、同年(2020年)12月27日(日)から当分の間、日本人の帰国者についても出国前の72時間以内の検査の証明を求めるとしている。(同日付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年同月同日(水) 変異した(mutated)新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の影響で、英国と欧州大陸の物流の大動脈であるドーヴァー海峡(英 Strait of Dover; 仏 Pas de Calais パドゥカレ=カレー海峡)周辺が混乱している問題で、英国政府(Her Majesty’s Government)はトラック運転手(lorry drivers)がウイルス検査で陰性(negative)であれば、フランスへの入国が認められることで英仏間で合意したと発表。検査は新変異種ウイルス(the new variant virus; the new coronavirus variant)についても確認でき、30分ほどで結果が出るとのことで、フランス側もサンプル検査を行なうとしている。英国政府は大規模な検査体制を整える必要があるとした上で、混雑を避けるため、トラックは今の時点ではドーヴァー港へ向かわないよう呼びかけているが、混乱の解消には時間がかかると見られる。この時点で既に世界の50以上の国と地域が英国との行き来の禁止措置に踏み切っている。(同日付のNHKオンラインの記事に依拠)

2020年同月同日(水) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の変異種による感染拡大が続くイギリスで、新たに南アフリカで見つかった別の変異種による感染者が少なくとも2名出ていることが判明。英国政府は一時的に南アからの入国停止措置を実施。過去2週間以内に南アフリカでの滞在歴がある人や、渡航者と接触した人へ自己隔離を要請。(2020年12月24日(木)付のヤフーニュースに転載された英ロイター通信のオンライン記事と、同転載のテレビ朝日のオンライン記事に依拠)

2020年12月24日(木) 連合王国(UK: United Kingdom)と欧州連合(EU: European Union)は自由貿易協定(FTA: free trade agreement)を締結し、ブレグジット(Brexit)の交渉が完了。ボリス・ジョンソン(Boris Johnson, b.1956; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣が、欧州連合(EU: European Union)のフォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen, b.1958; 欧州委員会委員長在任2019-; ゲッティンゲン大学中退、ロンドン経済政治学院中退、ハノーファー医科大学卒)欧州委員会委員長・医学博士・公衆衛生学修士とのトップ会談により、交通や漁業などの分野でも協力関係を維持することで合意に達する( https://www.gov.uk/government/publications/agreements-reached-between-the-united-kingdom-of-great-britain-and-northern-ireland-and-the-european-union / https://www.gov.uk/government/publications/agreements-reached-between-the-united-kingdom-of-great-britain-and-northern-ireland-and-the-european-union/summary-explainer / https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/948093/TCA_SUMMARY_PDF.pdf )。2021年の年明けに関税が復活して経済・社会に混乱をもたらす事態が土壇場で回避される。2016年6月23日(木)のブレグジット国民投票(Brexit referendum)から約四年半をかけてEU離脱を名実ともに完了させた連合王国は今後、「人、モノ・サービス、資本」の自由な移動を保証するEUの単一市場(single market)から抜ける経済的打撃にも直面する。そして選挙公約だったブレグジット(Brexit)を報告すべく、ジョンソン首相はダウニング街10番地(10 Downing Street, City of Westminster, London, UK)の首相官邸から国民へ向けてスピーチを披露( https://sites.google.com/site/xapaga/home/borisjohnsonspeech24dec2020 )し、「我々は新しい、本当に独立した国になる。」と強調。EUの執行機関である欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、ザ・ビートルズ(The Beatles)解散前の楽曲を引用して「長く曲がりくねった道のり(a long and winding road)だったが、われわれはついに合意に達した。合意は公平で、バランスのとれたものだ。合意はイギリスの利益にもかなうと思っており、古くからの友人と新たな関係を始めるうえでの強固な基盤になるものだ。ブレグジット(Brexit)は過去のものとなり、ヨーロッパは前に進み続ける。」と合意を歓迎。英国とEUはFTAを結んだことで、英国がEU加盟国と同等の扱いを受ける移行期間(transition period)が同年(2020年)12月31日(木)の終了後も関税ゼロの貿易を継続する。エネルギーや犯罪捜査などの分野での協力でも合意。同年(2020年)3月から続けてきた交渉では、EU側が英国の海域でフランスやベルギーなどの漁業権継続を求めたのに対し、主権の回復を主張する英国が反発していた。企業間の公平な競争条件を保つ仕組み作りを巡っても、双方は対立してきた。交渉は難航が続き、年内に合意に至らなければ、英国とEUの間で関税が復活し、取引する物品の値段が急激に上がるといった混乱が懸念されていた。英仏の国境には、交渉決裂を想定し、駆け込みで物資を運び込もうとしたトラックが殺到し、しかも新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の影響も重なり未曽有の大混乱が起きていた。今回の合意が発効するには、双方の議会による承認が必要となる。連合王国(UK)と欧州連合(EU)による合意のポイントとしては、「1)自由貿易協定(FTA: free trade agreement)を結び、2021年1月1日(金・祝)以降も関税ゼロの貿易を続けるが、通関手続きは必要となり、双方の境界では混乱も予想される。2)英国とEUの間で公平な競争が担保されない場合は是正措置を講じる。3)気候変動やエネルギー安全保障など共通の課題について協力を続ける。4)EUの漁業が予見可能性を持てるよう、五年半に亙(わた)る漁業権を確保する。この間、EU側の漁船はこれまで通り英国海域で操業できるが、EUが漁獲枠の25%をイギリスに返すとしている。移行期間が終了した後は毎年協議を行なう。」としている。(同日付のBBC Newsのオンライン記事と、2020年12月25日(金)付のNHKオンラインの記事と、2020年12月25日(金)付のヤフーニュースに転載された讀賣新聞の広瀬誠ロンドン特派員・畠山朋子ブリュッセル特派員共同署名オンライン記事に依拠)

2020年12月27日(日) スイスの地元当局が明らかにしたところでは、アルプス山脈にある高級スキーリゾート地ヴェルビエ(仏 Verbier, Suisse; 英 Verbier, Switzerland)で、新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)対策に基づきホテルでの隔離対象となっていた英国人観光客420人のうち約200人が夜陰に紛れて姿を消したことが判明。同地は例年観光客の21%を英国人が占めるという。感染力が強い恐れが指摘されている新型コロナウイルスの変異種が英国で発見されたことから、スイス政府は渡航規制を敷き、今月14日以降に英国から到着した全員を10日間の隔離対象とする思い切った対策を打っていた。(2020年12月28日(月)付のヤフーニュースに転載されたAFP=フランス通信社と時事通信のオンライン記事に依拠)

2020年12月28日(月) オクスフオッド大学(University of Oxford; 通称 Oxford University)の研究者らが二酸化炭素(CO2: carbon dioxicide)排出削減方法の研究から二酸化炭素をジェット燃料に変える実験プロセスを考案したと発表。同大学の研究ティームの「有機燃焼法」(OCM: Organic Combustion Method)という方法では、クエン酸(C6H8O7: citric acid)と水素(H: hydrogen)を熱してそこに二酸化炭素(CO2: carbon dioxicide)を加え、鉄(Fe: iron)・マンガン(Mn: manganese)・カリウム(K: potassium)を触媒(CAT: catalyst)に反応させることで、ジェット燃料(jet fuel)になる成分を生成することができたとのこと。(同日付の英ロイター通信の日本語版オンライン記事に依拠)

2020年12月29日(火) 英国政府(Her Majesty’s Government)は、新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の一日当たりの新規感染者数が過去最多の53,135人になったと発表。強い感染力を持つ変異種が確認されて以降、ロンドンを含むイングランド南部や同南東部をロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)したが、感染拡大が止まらない。英国の新規感染者は前日(2020年12月28日(月))に初めて4万人を突破したばかりだったが、29日発表の人数は更に約1万2000人上回った。入院者数は第1波に見舞われた今春の水準を超え、医療の逼迫(ひっぱく)も伝えられる。ハンコック(Matt Hancock, b.1978; オクスフオッド大学エクセター学寮卒、ケイムブリヂ大学基督学寮大学院修士)厚生大臣は、「われわれの医療制度は前例のない圧力に直面している」と危機感を表明。英国政府の諮問会議の委員を務めるロンドン大学ユーネヴアセティ学寮(University College London)のアンドルー・ヘイワード(Andrew Hayward, b.1965?; ロンドン大学卒、同大学大学院修了)教授・医学博士(ロンドン大学)は、英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)のラジオ番組で、「英国は極めて危険な新段階に突入しつつある。強い感染力は、過去に効果があった対策が効かないことを意味する」と警鐘を鳴らす。(2020年12月30日(水)付のヤフーニュースに転載された時事通信社のオンライン記事に依拠)

2020年12月30日(水) 英国政府(Her Majesty’s Government)は、オクスフオッド大学(University of Oxford; 通称 Oxford University)と英製薬大手アストラゼネカ社(AstraZeneca)が開発した新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のワクチンを承認したと発表。このワクチンの承認は世界初。五日後の2021年1月4日(月)から接種を始める予定。英国政府は1億回分=5千万人(50m)分を発注。日本国政府も2021年から1億2千万回分=6千万人(60m)分の供給を受ける契約を結んでいる。なお、英国の人口は約6600万人(66m)で、日本は約1億2600万人(126m)。また、同日には英国議会が欧州連合(EU: European Union)との自由貿易協定(FTA: free trade agreement)を賛成521票、反対73票の大差で承認。EU側のミシェル(Charles Michel, b.1975; 大統領在任2019-; ブリュッセル自由大学卒、アムステルダム大学卒)大統領とフォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen, b.1958; 欧州委員会委員長在任2019-; ゲッティンゲン大学中退、ロンドン経済政治学院中退、ハノーファー医科大学卒)欧州委員会委員長・医学博士・公衆衛生学修士は、英議会の審議に先立って合意文書に署名。本来は欧州議会(European Parliament)による批准手続きが必要だが、間に合わないための措置で、欧州議会は翌年(2021年)以降に批准手続きを行なうとする。(同日付のBBC Newsのオンライン記事と、ヤフーニュースに転載された共同通信社のオンライン記事と、同日付の産經新聞の板東和正ロンドン特派員署名オンライン記事に依拠)

2020年同月同日(水) 英国政府(Her Majesty’s Government)がロンドンなどのイングランド南東部で実施中の事実上のロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)を翌日(2020年12月31日(木))からイングランド中部や北部などに拡大すると発表。同国政府は変異株の感染拡大が続いていることを理由に挙げていて、大都市のバーミンガムやマンチェスターを含む中部や北部などの広域が第4段階(Tier 4)=「自宅待機」(Stay at Home)に指定される。これは、最も危険度が高く、生活必需品を扱う商店以外は営業禁止となり、不要不急の外出が認められない。連合王国(UK: United Kingdom)全人口の約85%が住むイングランドの8割弱(almost eighty per cent)の人口がロックダウンの状況下に置かれることになる。同国政府によると、英国のこの日の新規感染者数は5万と23人(50,023)で、新たな死者数は981人。(2020年12月31日(木)付の毎日新聞の服部正法ロンドン特派員署名オンライン記事に依拠)

2020年12月31日(木) 23:00(EUの事実上の首都であるブリュッセルの中央欧州時間では24:00、日本標準時では元日8:00)、欧州連合(EU: European Union)との従来の経済関係が一時的に維持されるとした「移行期間」(transition period)が終了。四年半前の2016年6月23日(木)のブレグジット国民投票(Brexit referendum)から予想以上の紆余曲折を経て、連合王国(UK: United Kingdom)と、スペイン王国と陸続きで隣接する英国海外領土(BOT: British Overseas Territory)ジブラルタル(Gibraltar)はEUから名実ともに離脱する。

2021年1月2日(土) 本来なら2回受けなければならない新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のワクチン接種(vaccination)について、感染の急拡大を受けてまずは1回、より多くの人に打つことを優先する方針に英国政府(Her Majesty’s Government)が変更。イギリスの保健当局は前年(2020年)12月30日(水)、新変異種ウイルス(the new variant virus; the new coronavirus variant)による感染が急拡大していることから、より早く、より多くの高齢者などへの1回目のワクチン接種を優先することを各地の医療機関に通達していた。前年(2020年)12月8日(火)に既に接種が始まっている米ファイザー社(Pfizer)と独バイオンテック社(BioNTech: 一部の英マスコミと日本では誤って「ビオンテック」だが独本国ではバイオンテック)が共同開発したワクチンの2回目の接種は、これまで1回目から「3週間後」としていたが、「最大で3ヶ月後」と方針を変更。この措置を受けて、既に2回目の接種の予定を伝えられている人も延期されるとされる。ファイザー社は、「安全性と有効性が確認できない」と反発するも、英国の保健当局の見立てでは、今回のスケジュール(schedule: イギリス発音でシェデュール)変更で2倍以上の数の人々に部分的免疫(partial immunity)を付け、重症化、つまり入院の必要性を下げる戦略とのこと。なお、二日後の同年(2021年)1月4日(月)から接種が開始されることになっているオクスフオッド大学(University of Oxford; 通称 Oxford University)と英製薬大手アストラゼネカ社(AstraZeneca)が開発したワクチンについても、同様に2回目は「最大で3ヶ月後」とされる。また、同日(2021年1月2日(土))には英国政府が新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者が過去最多の57,725人に上ったと発表し、前年(2020年)12月29日(月)から5日連続で5万人を超えたことを認める。英国内の広範囲でロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)を実施しているが、変異種の拡大に歯止めがかからない。累計感染者は250万(2.5m = two and a half million)人を超えた。特に首都ロンドンを抱えるイングランド南部は深刻で、直近一週間で新規感染者数が33%増加した。大ロンドン市(Greater London Council)のカーン(Sadiq Khan, b.1970; 北ロンドン大学=現在のロンドン・メトロポリタン大学卒)市長=パキススタン移民二世の労働党党員=は前日(2021年1月1日(金・祝))に市内の全ての小学校が年末年始の休暇後も当面閉鎖される予定だと発表。(2021年1月2日(土)付のヤフーニュースに転載されたテレビ朝日系ANNニュースのオンライン記事と、2021年1月3日(日)付のヤフーニュースに転載された共同通信社のオンライン記事に依拠した上で加筆)

2021年1月4日(月) オクスフオッド大学(University of Oxford; 通称 Oxford University)と英製薬大手アストラゼネカ社(AstraZeneca)が開発した新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のワクチン接種(vaccination)が世界に先駆けてイギリスで開始される。英国では四週間弱前の前年(2020年)12月8日(火)に接種が開始された米ファイザー社(Pfizer)と独バイオンテック社(BioNTech: 一部の英マスコミと日本では誤って「ビオンテック」だが独本国ではバイオンテック)によるワクチンに次ぐ二例目となる。

2021年同月同日(月) 新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染拡大が収まらない中、スコットランド自治政府(Scottish Government)は、島嶼部(とうしょぶ)を除くスコットランド本土で、少なくとも1月が終わるまで(until the end of January)=つまり2021年2月1日(月)が来るまでは(until February)、事実上のロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)=自宅待機(stay at home)を命じる。状況次第で終了期限は延期される。しかもそのロックダウンはその日の24:00に開始されるとのこと。その期間は学校も閉鎖されるが、オンライン授業が可能な限り奨励される。一方で、20:00に英国政府(Her Majesty’s Government)のジョンソン(Boris Johnson, b.1956; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣も英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)を通じてビデオメッセージ( https://www.bbc.com/news/uk-55538937 / https://www.youtube.com/watch?v=rQopV_NlYNc )を発表し、感染拡大が収まらない中、前年(2020年)3月と11月に続く三度目の事実上のロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)=自宅待機(stay at home)をイングランド全域に命じる。しかもそのロックダウンは四時間後の24:00に開始されるとのこと。スコットランドと異なり期限については明示していないが、2月中旬になるだろうと見られている。(同日付のBBC Newsのオンライン記事に依拠)

2021年1月5日(火) 島嶼部(とうしょぶ)を除くスコットランド本土とイングランド全域(つまり人口僅少のスコットランド島嶼部とウェールズと北アイルランドを除く連合王国内の全地域)で事実上のロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)=自宅待機(stay at home)が開始される。実に三度目の事実上のロックダウン(lockdown: 「都市封鎖」の意)となる。前年(2020年)11月5日(木)に始まった二度目のロックダウンが前年(2020年)12月2日(水)に解除されたばかりでの措置。前回のロックダウンで対象外だった休校措置も実施。ジョンソン(Boris Johnson, b.1956; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣は、四週間前の前年(2020年)12月8日(火)から英国内で始まった新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)のワクチン(vaccine)を約130万(1.3m = one point three million)人が接種したと発表。一方、同日発表された新規感染者は60,916人で、初めて6万人を超える。数値は八日連続で5万人超えとなり、ウイルス変異種の拡大が続いている。ジョンソン首相は記者会見で、首都ロンドンを含むイングランドでは80歳以上の23%がワクチンを接種したと説明。介護施設や病院の職員、高齢者ら優先度の高い全ての対象者が同年(2021年)2月15日(月)までに接種できるよう計画を進めていると語る。(2021年1月6日(水)付のヤフーニュースに転載された共同通信社のオンライン記事に依拠)

2021年1月6日(水) イギリス国内で新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)による死者が新たに1,041人確認され、1日あたりの新型コロナウイルスによる死者が初めて一千人を超える。新規感染者は62,322人で、前日からの増加幅としては、大規模なウイルス検査を始めてから最大となる。(2021年1月7日(木)付の BC日本語版のオンライン記事に依拠)

2021年1月7日(木) 前年(2020年)11月にロンドン帝国大学(UCL: University College London)中心の研究グループが、日本で開発された関節リウマチ(arthritis)の薬「トシリズマブ」(tocilizumab)と同じ仕組みの「サリルマブ」(sarilumab)という薬を新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)で集中治療室(ICU: intensive care unit)に居る重篤患者(critically ill Covid-19 patients)に投与して効果を調べたところ、前者(トシリズマブ)では死亡率が最大で8.5%(但し、TBSの報道では24%)抑えられ、後者(サリルマブ)についても同様の効果が得られたと発表( https://www.imperial.ac.uk/news/211514/arthritis-drugs-reduce-mortality-time-icu/ )。いずれの薬でも、集中治療を受ける期間が約一週間(但し、英国厚生省のツイッター投稿 https://twitter.com/DHSCgovuk/status/1347214335253368834?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1347214335253368834%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.imperial.ac.uk%2Fnews%2F211514%2Farthritis-drugs-reduce-mortality-time-icu%2F では「10日」、NHKの報道では「10日ほど」)短くなったという。イギリスの発表では言及されていないが、前者(トシリズマブ)は、「アクテムラ」(Actemra)の名で開発され、NHKの報道によると大阪大学(英称 Osaka University; 本部在大阪府吹田市)の岸本忠三(きしもと ただみつ, b.1939; 大阪大学卒、米ジョンズ・ホプキンズ大学留学)元総長・特任教授・名誉教授・医学博士(大阪大学)らのグループと中外製薬(英称 Chugai Pharmaceutical Co.; 本社在東京都中央区)が開発した関節リウマチの薬で、免疫が暴走して自分の細胞を攻撃してしまうサイトカインストーム(cytokine storm)という現象を抑える効果があると期待されている。研究の詳細は、医学専門のmedRxivのウェブページ( https://www.medrxiv.org/ )で公開される( https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.01.07.21249390v1 )。この結果を受けて、英国政府(Her Majesty’s Government)は重症患者にトシリズマブとサリルマブを使うよう推奨する方針を示し、ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣がこの日の記者会見で発表( https://www.youtube.com/watch?v=4FExg5POHJU 14:55-15:24 of 52:15)。(2021年1月7日(木)付のロンドン帝国大学のライアン・オヘア(Ryan O’Hare)記者署名記事と、2021年1月11日(月・祝)付のNHKオンラインと、同日付のヤフーニュースに転載されたTBS系JNNニュースのオンライン記事 https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4170975.html / https://news.yahoo.co.jp/articles/ac1f644a5210f5caf506c6a977b6b6c545b64b00 に依拠)

2021年1月8日(金) 大ロンドン市(Greater London Council)のカーン(Sadiq Khan, b.1970; 北ロンドン大学=現在のロンドン・メトロポリタン大学卒)市長=パキススタン移民二世の労働党党員=が、「このウイルスは制御不能です。国民健保は医療崩壊の危機に晒(さら)されています。」(This virus is out of control. The NHS is at risk of being overwhelmed.)などとビデオメッセージを出し、本来なら大規模なテロ事件などが発生した際に出される重大事態宣言を発出(declares major incident)。大ロンドン市内の病院には、約7千人のコロナ患者が入院していて、前年(2020年)12月30日(水)からの一週間だけで、およそ30%も増加したという。この状態が続けば、今後数週間で病院の収容能力の限界に達すると見られている。(2021年1月9日(土)付のヤフーニュースに転載された日本テレビ系NNNニュースのオンライン記事に依拠した上で誤訳を修正し加筆)

2021年1月14日(木) 大学病院外科医による引退外科医殺人未遂事件が発生。この日の未明の4時台前半、「バプラス」こと、英国整形・再生・美容外科医師協会(BAPRAS: British Association of Plastic, Reconstructive and Aesthetic Surgeons)元会長で、ノッティンガム大学病院国民健保信託(Nottingham University Hospitals NHS Trust)の整形・再生・火傷外科課・学科(Department of Plastic, Reconstructive and Burns Surgery)の元課長・学科長(教育機関でもあることから「学科長」の訳語も入る)であり、前月(2020年12月)に引退したばかりで、イングランド中部地方(English Midlands)のノッティンガム州ハラム村ハラム丘(Halam Hill, Halam, Nottinghamshire, England)在住のグレイアム・パークス(Graeme Perks, b.1955)医師=65歳が、同大学病院の元部下で、近在のサウスウェル町ランドシーヤ路(Landseer Road, Southwell, Nottinghamshire, England)在住のジョナサン・ピーター・ブルックス(Jonathan Peter Brooks, b.1964 or ’65)医師・容疑者=56歳に自宅に押し入られ、胸と腹を刃物で刺される。被害者のパークス医師は即死を免れるも瀕死の重傷を負い、ノッティンガム州内の女王医療センター(Queen’s Medical Centre)に搬送され治療を受け、その後も生死の境をさまよう。ブルックス容疑者はパークス医師が家族と住む資産価値80万ポンド(£800,000)≒約1億1250万円(JPY112,500,000)の旧牧師館(an old vicar’s house)に放火を試みるも未遂に終わり、器物損壊、不法侵入、傷害、殺人未遂、放火未遂などの容疑で逮捕される。ブルックス容疑者は五年近く前の2016年にノッティンガム大学病院で「不正を内部告発した(had whistleblown)ために窓際族に追い込まれた(had been sidelined)」と声高に主張してノッティンガム(Nottingham, Nottinghamshire, England)の労働裁判所(employment tribunal)に訴えていたが、「小児患者のすぐ隣で子供に対する性犯罪者たち(英 paedophiles; 米 pedophiles)の火傷治療をしている」などという主張は事実に尾鰭(おひれ)を付けている(stretched the truth)として却下され、裁判費用17万ポンド(£170,000)≒約2400万円(JPY24,000,000)の支払いを命じられていた。ブルックス医師は控訴したが、2019年に先の決定が確定したのだった。そのため同大学病院の上司だったパークス医師に私怨(しえん: personal grudge)を抱いていたことが今回の事件の動機として考えられる。(2021年1月15日(金)付のザ・サン紙The Sunのロブ・パティソン(Rob Pattison)記者・ダニエル・ハモンド(Daniel Hammond)記者共同署名オンライン記事と、2021年1月16日(土)付のBBC Newsのオンライン記事に依拠)

2021年1月19日(火) イギリスで新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の死者が新たに1,610人確認され、一日あたりの死者数としては今次パンデミック(pandemic: 「世界的感染拡大」の意)開始以降最多となる。それまでの最高値は同年(2021年)1月13日(水)の死者1,564人だった。新型ウイルス検査で陽性(positive)判定が出てから四週間(28日)以内に死亡した人の数は91,470人となる。同日(2021年1月19日(火))の新規感染者は33,355人であり、ピークとなった同年(2021年)1月8日(金)の68,053人の半数未満だったにも拘(かか)わらず、死者が増えたということは、それだけ致死率が上がった(has a higher mortality [rate])可能性がある。(2021年1月20日(水)付のBBC日本語版のオンライン記事に依拠)

2021年1月22日(金) ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣が首相官邸(10 Downing Street)の記者会見(press conference)で、英国内で確認された新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の新変異株(the new variant; the new mutated strain)について、従来株よりも感染力が強い(is more infectious)だけでなく、「より高い致死率と結びつく可能性がある」(may be associated with a higher degree of mortality)と発表( https://www.youtube.com/watch?v=iCrHEK_00Gk )。しかしながら、英国で接種が進められているオクスフオッド大学(University of Oxford; 通称 Oxford University)と英製薬大手アストラゼネカ社(AstraZeneca)の共同開発によるワクチンと、米製薬大手ファイザー社(Pfizer)と独バイオンテック社(BioNTech: 但し、日本ではドイツ語の通常発音に拘った結果として誤って「ビオンテック」)の共同開発によるのワクチンについて、両者とも新変異株に対して有効であろうと期待されている(are both expected to work against the variant)。英政府のヴァランス(Sir Patrick Vallance, b.1960; ロンドン大学聖ゲルギオス学寮卒)首席科学顧問は、存在するデータは僅(わず)かだとしながらも、新変異株は従来株より致死率が三割(thirty per cent)以上高い可能性があると指摘する。ヴァランス顧問によると、60歳の男性一千人が従来株に感染して死亡するのは10人前後だが、変異株では一千人中13~14人程度が死亡するという。違う年齢層でも同様に、リスクの相対的な増加が見られるとのこと。(2021年1月23日(土)付のヤフーニュースに転載されたAFP=フランス通信社日本語版のオンライン記事と、同日付のBBC Newsのオンライン記事に依拠)

2021年1月26日(火)夕刻、ジョンソン(Boris Johnson, b.1964; 首相在任2019-; オクスフオッド大学ベァリオル学寮卒)内閣総理大臣が首相官邸(10 Downing Street)の記者会見(press conference)で、英国内のコロナ死者数が10万人の大台(100,000 milestone)を超えたと発表( https://sites.google.com/site/xapaga/home/borisjohnsonspeech26jan2021 )。死者10万162人(100,162 deaths)となり、ヨーロッパで初めて10万人を超えたという。(2021年1月27日(水)付のBBC Newsのオンライン記事 https://www.bbc.com/news/uk-55814751 と、BBC日本語版のオンライン記事 https://www.bbc.com/japanese/55821225 に依拠)

2021年1月27日(水) 2:00 GMT(= 日本標準時では11:00)の時点で全世界の新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)感染者数が1億21万6403(100,216,403)人となり、1億(100m = 100,000,000)人の大台を遂に超えたと私立ジョンズ・ホプキンズ大学(JHU: Johns Hopkins University; 在米国メリーランド州ボルティモア市)が発表。地域別では南北アメリカ大陸が4000万人超(over 40m = over 40,000,000)と全体の四割(40%)余りを占めていて、感染者が最も多いアメリカ合衆国では、過去一週間の平均で1日当たり約17万(approx. 170,000)人の感染者が新たに確認されている。コロナ感染者数世界一のアメリカで2543万4766(25,434,766)人、2位のインドが1067万6838(10,676,838)人、3位のブラジルが893万3356(8,933,356)人、4位のロシアが371万6228(3,716,228)人、5位のイギリスが370万268(3,700,268)人。また、コロナ死者は全世界で215万4967(2,154,967)人。コロナ死者数は、世界一のアメリカで42万5038(425,038)人、2位のブラジルが21万8878(218,878)人、3位のインドが15万3587(153,587)人、4位のメキシコが15万273(150,273)人、5位のイギリスが10万359(100,359)人。イギリスの総人口が日本の2分1強しかないことを考慮すると、日本でたとえれば20万(200,000)人がコロナ死したような様相を呈している。ちなみに日本のコロナ死者は上記のジョンズ・ホプキンズ大学のデータ( https://coronavirus.jhu.edu/data/mortality )によれば、5,193人である。イギリスでは人口10万人中(/100K pop. = per one hundred thousand population)実に148.48人がコロナ死しているが、日本は4.10人である。したがってイギリスは日本の約36.2倍も危険な状況に置かれていることが分かる。(同日付のNHKオンラインの記事に依拠した上で加筆)

2021年2月25日(木) イングランド北西部のリヴァプール大学(University of Liverpool)が、「ザ・ビートルズ: 音楽産業と遺産修士課程」(The Beatles: Music Industry and Heritage MA)を大学院に同年(2021年)9月に開設すると発表( https://www.liverpool.ac.uk/study/postgraduate-taught/taught/beatles-ma/overview/ / https://www.liverpool.ac.uk/music/study/postgraduate-taught/the-beatles-ma/ )。ビートルズの音楽産業への影響とその遺産について未来志向の観点から学ぶもので、世界中から学生を募集するという。なお、同じマージーサイド州(Merseyside)に在りながら上記のリヴァプール大学よりもランクの低いリヴァプール希望大学(Liverpool Hope University)は、既に十一年半前の2009年9月から「ザ・ビートルズ: ポピュラー音楽と社会修士課程」(The Beatles: Popular Music and Society MA)を大学院に開設している( https://www.postgrad.com/liverpool-hope-university-department-of-music-the-beatles-popular-music-and-society/course/ )。港町リヴァプールはザ・ビートルズの4人、つまりジョン・レノン(John Lennon, 1940-80)、ポール・マッカートニー(Sir Paul McCartney, b.1942)、ジョージ・ハリスン(George Harrison, 1943-2001)、リンゴ・スター(Ringo Starr, b.1940)こと、本名 リチャード・スターキー(Sir Richard Starkey, b.1940)が生まれ育った場所として世界的に知られている。(同日付の BBC News のオンライン記事と、2021年3月1日(月)付のヤフーニュースに転載された Ovo オーヴォのオンライン記事に依拠)

2021年2月27日(土) イングランド南西部のデヴォン州エクセター市(Exeter, Devon, England)内で、ドイツ軍が第二次世界大戦(the Second World War; World War II, 1939-45)中に投下した約1,000キログラムの不発弾(UXO or UO: unexploded ordnance; UXB: unexploded bomb)が爆破処理される。ナチス・ドイツの帝国議会議長や空軍大臣や副首相を務めた肥満型のヘルマン・ゲーリング(Hermann Göring, 1893-1946)になぞらえて、「ヘルマン爆弾」(Hermann bomb)と呼ばれていた。英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)によると、不発弾は砂400トンが入った箱に詰められて爆破され、半径約5マイル(約8キロ)にも爆発音が聞こえるほどの衝撃だったとのこと。周辺の2,600世帯のほか、現場近くのエクセター大学(University of Exeter; 通称 Exeter University)の寮生1,400人に対しても避難命令(evacuation order)が出されていたが、爆破で飛び散った破片(debris)が建物のガラス窓や壁を損傷し、一部の世帯は数日間帰宅できなくなる。(2021年2月28日(日)付の BBC News のオンライン記事に依拠した上で加筆)

2021年3月8日(月) 豪州生まれで二ヶ月前の同年(2021年1月)にロンドン大学ユーネヴアセティ学寮(UCL: University College London)学長(President and Provost)に就任したばかりのマイケル・スペンス(Michael Spence, b.1962; 豪州シドニー大学卒、オクスフオッド大学聖キャサリン学寮大学院修了)哲学博士(オクスフオッド大学)=59歳が、UCLで開催される自由討論(Free Speech)でホロコースト(Holocaust or Shoa: ナチス・ドイツによるユダヤ人大量殺戮)否定論者も参加することを容認する発言をしたことで、ネット上で“炎上”。同学長は、「ホロコースト否定論者を決して迎え入れるようなことはありません」と謝罪して前言を撤回。(2021年3月21日(日)付のヤフーニュース個人の学術研究員 佐藤仁(さとう ひとし, 生年非公開)署名記事に依拠)

2021年4月1日(木) 英国空軍(RAF: Royal Air Force)がアメリカ合衆国宇宙軍(USSF: United States Space Force)に倣(なら)って宇宙司令部(United Kingdom Space Command)を正式に創設( https://www.gov.uk/guidance/uk-space-command / https://www.raf.mod.uk/what-we-do/uk-space-command/ )。その理由として、「この急速に進行する作戦領域に於ける敵対者どもからの脅威は実在し、今ここに在る。もし我々が宇宙に於ける作戦遂行のやり方と、宇宙を他の領域と統合するやり方と、同盟国や協定国の持つ宇宙での能力と統合するやり方を理解しないなら、我々は競争力を失ってしまう。」(The threat from adversaries in this rapidly evolving operational domain is real and it is here now. If we fail to understand how to operate in space, integrate space with all domains and integrate with Allies’ and Partners’ space capabilities, we lose our competitive edge.)としている。

2021年4月9日(金) 王婿(おうせい: Prince Consort: 「女王の夫」の意)のエディンバラ公フィリップ殿下(Prince Philip, Duke of Edinburgh, 1921-2021)が満100歳の誕生日まであと2ヶ月ほどで薨去(こうきょ)( https://www.bbc.com/news/uk-11437314 )。同殿下は半世紀余りに及ぶ失言歴(しつげん れき: history of gaffes)で悪名(あくみょう)高かった。同殿下の失言・暴言の中でも有名なものを後期授業資料( https://sites.google.com/site/xapaga/home/princephilipgaffes )で紹介する。

2021年7月26日(月) 株式会社トリドールホールディングス(英称 TORIDOLL Holdings Corporation; 本社在東京都渋谷区)の子会社として讃岐(さぬき)うどん店をチェーン展開する株式会社丸亀製麺が、ロンドンのシティ特別区(the City of London)内のリヴァプール街駅(Liverpool Street station)附近に初出店。今後は英国を足掛かりに欧州各地で饂飩(うどん)の浸透を図るという。欧州に多いビーガン(vegan: 「完全菜食主義者」の意)向けに動物由来の食材を一切使わない新メニューを加えている。上述のトリドールホールディングスの杉山孝史(すぎやま たかし, b.1978?; 慶應義塾大学卒)執行役員兼海外事業本部長は、「英国で(2021年7月19日(月)に)コロナ規制が大幅に緩和され、出店に適したタイミングだ。今後外食需要の回復を見込んでいる。」と時事通信の取材に語る。かけうどん1杯が3ポンド95ペンス(£3.95)≒約600円で、ロンドンの飲食店物価としては破格に安い値段設定である。なお、フリーランスジャーナリストの山口健太(やまぐち けんた, b.1979; 学歴不詳)氏によると、トッピングとしてイカ天や玉子天を追加すると1,050円、緑茶を頼むと1,500円弱となり、セットで800円程度のマクドナルドよりはやや高い水準である。ロンドンの一風堂で最も安いラーメンが11ポンド50ペンス(£11.50)≒約1,750円、CoCo壱番のチーズカレーは10ポンド(£10.00)≒約1,500円で、付け合わせやドリンクを頼むと2,500円程度はかかる。三井住友フィナンシャルグループの株式会社日本総合研究所(英称 The Japan Research Institute, Limited; 英略称 JRI; 本社在東京都品川区)調査部マクロ経済研究センター所長の石川智久(いしかわ ともひさ, b.1974?; 東京大学卒)氏によれば、海外の首都クラスの都市の飲食店でランチは2,000円前後が当然であり、ラーメンなどが数千円で売れているのが現状であり、日本の外食産業の海外進出が本格化していることの背景には短期的には国内での価格の安さ、中長期的には人口減少があるとのこと。(2021年7月27日(火)付のヤフーニュースに転載された時事通信社のオンライン記事に依拠)

2021年10月 ケイムブリヂ大学(University of Cambridge; 通称 Cambridge University)を構成する31学寮(31 constituent/residential colleges)の一つであるルーシー・カヴェンディッシュ学寮(Lucy Cavendish College, Cambridge)が共学化。願書受付は2020年9月から( https://www.lucy.cam.ac.uk/college-community/making-difference/history )。なお、同大学の31学寮のうち、男子の受け入れを拒否しているのはマリー・エドワーヅ学寮(Murray Edwards College, Cambridge)とニューナム学寮(Newnham College, Cambridge)の2つだけとなる

2022年9月1日(木) イギリスの男子専用全寮制パブリックスクールであるハロウ校(Harrow School: 創立1572年)が岩手県安比高原の9万平方メートルの敷地にハロウ インターナショナルスクール安比ジャパン(Harrow International School Appi, Japan)を開校する予定。英本国では男子校だが、日本では男女共学にするとのこと。なお、中華人民共和国(People’s Republic of China)内には同種の学校が既に8校も開校しているという。(2019年10月24日(木)付のIST: The International School Times の村田学編集長署名オンライン記事と、2020年9月19日(土)付のヤフーニュースに転載された朝日新聞社AERAdot.の木下昌子記者署名オンライン記事に依拠)

2023年9月1日(金) イギリスの元男子専用で現在は男女共学の全寮制パブリックスクール(public school: 私立名門校)であるラグビー校(Rugby School: 創立1567年)が東京都心から電車で30分の場所に男女共学のラグビー校ジャパン(Rugby School Japan)を開校する予定。7歳から13歳までの男女計750人の生徒を、通学と寄宿の双方で受け入れるという。この日本校はラグビー校にとって海外進出2校目に当たり、1校目は六年前の2017年に東南アジアのタイ王国(Kingdom of Thailand)に開校したラグビー校タイランド(Rugby School Thailand)である。2歳から18歳までの男女が通うタイ校の生徒は、タイ人と非タイ人がおよそ半々だという。2019年10月24日(木)時点での報道発表(press release)では2022年9月開校としていたが、新型コロナウイルス(new coronavirus; novel coronavirus; WHO国際名称 Covid-19)の感染拡大に伴ない、一年延期を2021年3月12日(金)に発表していたhttps://www.rugbyschooljapan.com/assets/pdf/RSJ%20Spring%20Update%202021.pdf )。(2021年4月5日(月)付のヤフーニュースに転載された朝日新聞社 AERA.dot のオンライン記事に依拠した上で加筆)

2026年 日立製作所(英称 Hitachi, Ltd.; 本社在東京都千代田区)の技術により、設計速度=時速400キロ(400km/h)、営業運転速度=時速360キロ(360km/h)の高速鉄道(新幹線: イギリスでの商標名は High Speed)をロンドン・バーミンガム間(London-Birmingham)に走らせる予定。

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