西曆2016年 4月 7日(木) 日本アマゾンのレビュー、『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』

章立ては雑誌記事の題名を直訳して欲しかった

投稿者 原田俊明

投稿日 2016/4/7

形式: 新書

http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4166610244/ref=cm_cr_arp_d_viewopt_srt?ie=UTF8&showViewpoints=1&sortBy=recent&pageNumber=1

「ゴースト・トランスレーター?」と題した先行レビューがあるが、確かに聊かやっつけ仕事のような和訳文が目についた。しかしこのレビューでは個々の章立ての題名について苦言を呈したい。

第1章

[現行] ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る

は良しとするが、片仮名が若干うるさい気もするので、

[修正案] ドイツが欧州大陸を牛耳る

とした方がすっきりする。

第2章

[現行] ロシアを見くびってはいけない

[修正案] ロシアは我々を常に驚かせる

第3章

[現行] ウクライナと戦争の誘惑

は良しとしよう。

第4章

[現行] ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス

[修正案] ユーロ圏とその破壊的な論理を打破できる唯一の国、それはフランス

第5章

[現行] オランドよ、さらば

[修正案] グッバイ、オランド!

[修正理由] トッドの雑誌記事の題名(Goodbye Hollande!)は、明らかに2003年公開のドイツ映画 『グッバイ、レーニン!』(原題とフランス公開時の題名ともに Good Bye, Lenin!)の捩(もじ)りであり、1929年発表の長篇小説 『武器よさらば』(原題 A Farewell to Arms; 仏題 L’Adieu aux armes)の捩りでは断じてない。なお、映画 『グッバイ、レーニン!』では、「ベルリンの壁」崩壊時の東ドイツ社会がユーモアとペーソスを込めて描かれていて、一種のオスタルギー(Ostalgie: 東ドイツ時代を懐かしむこと)作品となっている。訳者は欧州で大ヒットしたこの映画を知らなかったのだろう。

第6章

[現行] ドイツとは何か?

[修正案1] フランスはドイツではない、と言ってもドイツ嫌悪症的というわけではない

[修正案2] フランスはドイツではない、と言っても嫌独的発言には当たらない

第7章

[現行] 富裕層に仕える国家

[修正案] 「旧世界の債務を無効にしよう!」 市場と結びついた寡頭支配層に国家が仕えていると「確信的預言者」トッドは確約する

第8章

[現行] ユーロが陥落する日

[修正案1] ユーロが転落する日

[修正案2] ユーロの落日