17「イギリス文化論」(2021/12/ 7) クリスマス・キャロルを八曲紹介

イングランドの聖誕祭祝歌(Christmas carols)の中から定番中の定番曲を8つを紹介

一曲目

The Twelve Days of Christmas

「クリスマスの十二日間」

作詞作曲者不詳

1780年頃に採録された民謡に基づいてオースティン(Frederic Austin, 1872-1952)が1909年に編曲

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Twelve_Days_of_Christmas_(song)

https://ja.wikipedia.org/wiki/クリスマスの12日

https://homepage2.nifty.com/tori-hide/xmasday53.htm (リンク切れ)

歌詞は昔から何かを象徴すると考えられている。それには諸説あり、はっきりした答えは分かっていないが、一説によると洋梨の木の中の一羽の山鶉(ヤマウズラ)=イエス・キリスト、二羽の雉鳩(キジバト)=『旧約聖書』と『新約聖書』、三羽のフランス雌鶏(メンドリ)=三つの神学的徳(信仰、希望、愛)、四羽の囀(さえず)る鳥=四人の福音書(『新約聖書』最初の四巻)の著者であるマタイとマルコとルカとヨハネ(ヘブ יוחנן , לוקאס‎ , מרקוס , מתי = Mattay, Marqos, Lūqās, Yohanan; 希 Ματθαῖος, Μᾶρκος, Λουκᾶς, και Ἰωάννης = Matthaíos, Márkos, Loukás, kai Iōánnis; 羅 Matthaeus, Mārcus, Lūcās, et Ioannes; 独 Matthäus, Markus, Lukas und Johannes; 英 Matthew, Mark, Luke and John)、五つの金の指環(ゆびわ)=モーセの五書(『旧約聖書』最初の五巻)、六羽の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)=六日間の天地創造(七日目は創造主も休んだので日曜は人間も休む)、七羽の泳ぐ白鳥(ハクチョウ)=七つの秘跡・聖礼典(羅 septem sacrāmentī; 英 seven sacraments)とのことが言われている。

[アニメーション付音声]

https://www.youtube.com/watch?v=b7cSZD1GPuU

[歌詞開始]

1

On the 1st day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの一日目[註1]に愛する人がくれたのは、

a partridge in a pear tree.

洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。[註2]

註1: クリスマスの一日目とは12月25日の基督生誕祭を指し、イギリスでは基督生誕祭の日(Christmas Day)という名で国民の祝日になっている。中華料理店以外の店は朝から全店閉店していて、公共交通機関もほぼ全面ストップする(例外は海外と結ぶ航空機=国際線、それに国際空港と街中を結ぶ路線バス1本)。この日は新聞も発行されない。家族全員が一堂に会して和やかな雰囲気で御馳走(ごちそう)を食べ、日頃は教会に行かない多くの人が喜んで教会の礼拝に参列する。昭和期日本の正月と感覚的に非常に近い。

註2: この訳は意味だけを和訳したものであり、英語原文の a partridge in a pear tree に見られる子音の p 音と二重子音 tr 音の頭韻(とういん: alliteration)、言い換えれば洒落(シャレ)までは訳し切れていない。意味を犠牲にして英語原文の音を訳すと、「()の中のツツ。」とでもなるだろう。

2

On the 2nd day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの二日目[註3]に愛する人がくれたのは、

2 turtle doves[註4]

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註3: クリスマスの二日目とは12月26日のボクシングデイ(Boxing Day)を指し、「(貧者のために)教会の募金箱に献金する日」兼「(日頃世話になっている使用人に)贈り物の入った箱を渡す日」である。この日はイギリスでは国民の祝日になっている。ところで箱に入った贈り物を渡す対象は、日本のお歳暮の文化では習い事の先生や重要な取引先等、自分よりも目上の人だが、イギリスでは正反対である。イギリスでは上流階級や中産階級の金持ちが日頃世話になっている使用人に小さな贈り物を渡し、併(あわ)せて貧者に施(ほどこ)しもする。この日も前日に引き続き公共交通機関はほぼ全面ストップだが、時間限定で細々と営業する店舗(特に全国展開するチェーン店)も二十一世紀に入るとチラホラ出てきた。日本とは大きく異なり、クリスマスツリー(Christmas tree)はまだ撤去しない(撤去するのは例年1月5日のこと)。

註4: 直訳すると、「亀鳩」。

3

On the 3rd day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの三日目[註5]に愛する人がくれたのは、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註5: クリスマスの三日目とは12月27日のことで、特別重要な日ではない。

4

On the 4th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの四日目[註6]に愛する人がくれたのは、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註6: クリスマスの四日目とは12月28日のことで、特別重要な日ではない。

5

On the 5th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの五日目[註7]に愛する人がくれたのは、

5 gold rings,[註8]

五つの金の指環(ゆびわ)、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註7: クリスマスの五日目とは12月29日のことで、特別重要な日ではないが、2017年はこの日が金曜日だったことから、ロンドン証券取引所(London Stock Exchange)はこの日(金曜)から1月1日(月・祝)までを4連休とした。

註8: アメリカ版では 5 golden rings, となっているが、語呂が悪く、盛り上がりに欠ける。

6

On the 6th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの六日目[註9]に愛する人がくれたのは、

6 geese a-laying,

六羽の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)、

5 gold rings,

五つの金の指環(ゆびわ)、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註9: クリスマスの六日目とは12月30日のことで、特別重要な日ではない。

7

On the 7th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの七日目[註10]に愛する人がくれたのは、

7 swans a-swimming,

七羽の泳ぐ白鳥(ハクチョウ)、

6 geese a-laying,

六羽の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)、

5 gold rings,

五つの金の指環(ゆびわ)、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註10: クリスマスの七日目とは12月31日の元旦前夜祭(New Year’s Eve)=日本で言う「大晦日(おおみそか)」を指す。七日前の基督生誕前夜祭(Christmas Eve)と同じ曜日である。大人たちは友人同士で集まって夜通し飲み明かし、新年のカウントダウン(countdown)で盛り上がる。都市部では花火が打ち上がる。

8

On the 8th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの八日目[註11]に愛する人がくれたのは、

8 maids a-milking,

八人の乳搾りの娘、

7 swans a-swimming,

七羽の泳ぐ白鳥(ハクチョウ)、

6 geese a-laying,

六羽の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)、

5 gold rings,

五つの金の指環(ゆびわ)、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註11: クリスマスの八日目とは1月1日の元日(New Year’s Day)を指す。七日前の基督生誕祭の日(Christmas Day)と同じ曜日である。日本同様にイギリスでも国民の祝日になっているが、日本の正月のような華やいだ雰囲気はないが、スコットランドでは元日を「ホグマネー」(Hogmanay: イングランドでの誤った発音は「ホグマネイ」)と称して盛大に祝う。イングランドでもスコットランドでも前夜のパーティーで呑み過ぎて宿酔(ふつかよい: hangover)に苦しみ、「今年こそは深酒(ふかざけ)をやめるぞ!」と新年の誓い(New Year’s resolution)を立てるのも、この日である。

9

On the 9th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの九日目[註12]に愛する人がくれたのは、

9 ladies dancing,

九人の踊る貴婦人、

8 maids a-milking,

八人の乳搾りの娘、

7 swans a-swimming,

七羽の泳ぐ白鳥(ハクチョウ)、

6 geese a-laying,

六羽の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)、

5 gold rings,

五つの金の指環(ゆびわ)、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註12: クリスマスの九日目とは1月2日のことで、特別重要な日ではない。医院(medical practice)や病院(hospital)などは、(その時の曜日にもよるが)この日から通常の業務を開始する所が多いし、ロンドン証券取引所(London Stock Exchange)もニューヨーク証券取引所(NYSE: New York Stock Exchange)も、(その時の曜日にもよるが)この日から通常の業務を開始する。

10

On the 10th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの十日目[註13]に愛する人がくれたのは、

10 lords a-leaping,

十人の飛び跳ねる領主、

9 ladies dancing,

九人の踊る貴婦人、

8 maids a-milking,

八人の乳搾りの娘、

7 swans a-swimming,

七羽の泳ぐ白鳥(ハクチョウ)、

6 geese a-laying,

六羽の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)、

5 gold rings,

五つの金の指環(ゆびわ)、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註13: クリスマスの十日目とは1月3日のことで、特別重要な日ではない。

11

On the 11th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの十一日目[註14]に愛する人がくれたのは、

11 pipers piping,

十一人のバグパイプを吹くパイパー、

10 lords a-leaping,

十人の飛び跳ねる領主、

9 ladies dancing,

九人の踊る貴婦人、

8 maids a-milking,

八人の乳搾りの娘、

7 swans a-swimming,

七羽の泳ぐ白鳥(ハクチョウ)、

6 geese a-laying,

六羽の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)、

5 gold rings,

五つの金の指環(ゆびわ)、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註14: クリスマスの十一日目とは1月4日のことで、特別重要な日ではない。

12

On the 12th day of Christmas my true love sent to me

クリスマスの十二日目[註15]に愛する人がくれたのは、

12 drummers drumming,

十二人の太鼓(たいこ)を叩(たた)く鼓手(こしゅ)、

11 pipers piping,

十一人のバグパイプを吹くパイパー、

10 lords a-leaping,

十人の飛び跳ねる領主、

9 ladies dancing,

九人の踊る貴婦人、

8 maids a-milking,

八人の乳を搾る娘、

7 swans a-swimming,

七羽の泳ぐ白鳥(ハクチョウ)、

6 geese a-laying,

六羽の卵を産む鵞鳥(ガチョウ)、

5 gold rings,

五つの金の指環(ゆびわ)、

4 calling birds,

四羽の囀(さえず)る鳥、

3 French hens,

三羽のフランス雌鶏(メンドリ)、

2 turtle doves

二羽の雉鳩(キジバト)、

and a partridge in a pear tree.

そして洋梨の木の中の山鶉(ヤマウズラ)一羽。

註15: クリスマスの十二日目とは1月5日のことで、クリスマス最後の日である。この日の夜は十二夜(Twelfth Night)と呼ばれている。ここで初めてクリスマスツリー(Christmas tree)を撤去する。翌日の1月6日のイングランド教会(Church of England)及び聖公会(Anglican Church)で言う顕現日(けんげんび: Epiphany)=カトリックで言う公現日(こうげんび: Epiphany)と併せて、基督(キリスト)誕生を聞きつけて祝いの贈り物を渡しに来たという東方の三賢者(the biblical Magi; the Three Wise Men; Three Kings)の到着を祝う。南欧や南米のカトリック文化圏では、この1月6日の公現日こそが子供たちにプレゼントを渡す日となっている。

(原田俊明訳)

【参考】

英国のクリスマス

クレヴィア・タイムズ No.13

在ロンドン 山下めぐみ

執筆時期・発表時期ともに不明

https://www.crevia-times.com/live/13/

二曲目

We Wish You a Merry Christmas

直訳 「望むはあなたに楽しいクリスマスを」

ウィキペディア日本語版の邦題 「おめでとうクリスマス」

作詞作曲者不詳

インターネット上の情報ではチューダー朝(the Tudor dynasty, 1485-1603)の十六世紀(1501-1600年)にその起源を求めるウェブサイトが多いが、証拠が無いため信憑性は疑わしい。十九世紀(1801-1900年)初頭の1822年、1823年、1833年に刊行されたキャロル本でも、二十世紀(1901-2000年)の1928年にオクスフオッド大学出版局(OUP: Oxford University Press)によって刊行された決定版 The Oxford Book of Carols (『牛津版キャロル本』)にも収録されていない。日本では1990年代に東京ディズニーランド(TDL: Tokyo Disneyland)のテレビCMで有名になった。

https://en.wikipedia.org/wiki/We_Wish_You_a_Merry_Christmas

https://ja.wikipedia.org/wiki/おめでとうクリスマス

[歌詞付音声]

https://www.youtube.com/watch?v=g-OF7KGyDis

[歌詞開始]

1

We wish you a merry Christmas,

望むはあなたに楽しいクリスマスを、

We wish you a merry Christmas,

望むはあなたに楽しいクリスマスを、

We wish you a merry Christmas,

望むはあなたに楽しいクリスマスを、

And a happy New Year.

そして幸(さち)ある新年を。

REFRAIN

[サビの部分]

Good tidings we bring

良き知らせを運ぶよ

To you and your kin.[註1]

あなたとご家族に。

We wish you a merry Christmas

望むはあなたに楽しいクリスマスを

And a Happy New Year.

そして幸(さち)ある新年を。

註1: やや古風な普通名詞 kin を英和辞典で調べると、「親族、近親、一族」といった訳語が載っている。古風な単語なので語感的にはむしろ「ご一門」が一番近いが、「良き知らせを運ぶよ / あなたとご一門に」では語呂(ごろ)が良くないので、ここでは your kin を敢()えて「ご家族」とした。

2

Oh, bring us some figgy pudding,

ねえ、持ってきてよ、イチジク入りプディング[註2]を、

Oh, bring us some figgy pudding,

ねえ、持ってきてよ、イチジク入りプディングを、

Oh, bring us some figgy pudding,

ねえ、持ってきてよ、イチジク入りプディングを、

And bring it right here.

それをここに持ってきてよ。

註2: イチジク入りプディングとは、十六世紀(1501-1600年)のイングランドにまで遡(さかのぼ)ることができ、毎年12月25日に食べるクリスマス・プディング(Christmas pudding)の一種のこと。伝統的には、切り分ける前に火酒(brandy)をかけて火をつけ、火が消えるのを待つ。イチジク(fig)はギリシアやトルコや遠く中東で多く栽培されていて、冬が長くて暗く寒いイギリスの人々にとっては南国や東方世界への憧れを搔()き立てられる。英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)のウェブサイト( https://www.bbcgoodfood.com/recipes/851637/figgy-christmas-pudding )にレシピ(recipe)が載っている。

REFRAIN

[サビの部分の繰り返し]

Good tidings we bring

良き知らせを運ぶよ

To you and your kin.

あなたとご家族に。

We wish you a merry Christmas

望むはあなたに楽しいクリスマスを

And a Happy New Year.

そして幸(さち)ある新年を。

3

We won’t go until we get some,

立ち去らないよ、いくらか貰えるまでは、

We won’t go until we get some,

立ち去らないよ、いくらか貰えるまでは、

We won’t go until we get some,

立ち去らないよ、いくらか貰えるまでは、

So bring it right here.

だからそれをここに持ってきてよ。

REFRAIN

[サビの部分の繰り返し]

Good tidings we bring

良き知らせを運ぶよ

To you and your kin.

あなたとご家族に。

We wish you a merry Christmas

望むはあなたに楽しいクリスマスを

And a Happy New Year.

そして幸(さち)ある新年を。

4

We all like our figgy pudding,

うちらみんな好き、イチジク入りプディングが、

We all like our figgy pudding,

うちらみんな好き、イチジク入りプディングが、

We all like our figgy pudding,

うちらみんな好き、イチジク入りプディングが、

With all its good cheer.

元気の源(みなもと)さ。

REFRAIN

[サビの部分の繰り返し]

Good tidings we bring

良き知らせを運ぶよ

To you and your kin.

あなたとご家族に。

We wish you a merry Christmas

望むはあなたに楽しいクリスマスを

And a Happy New Year.

そして幸(さち)ある新年を。

(原田俊明訳)

三曲目

Joy to the World

直訳「世に喜びを」

邦題「もろびとこぞりて」

『旧約聖書』「詩篇」第96章及び同第98章11~12節ならびに『旧約聖書』「創世記」第3章17~18節(Psalm 98, 96:11-12 and Genesis 3:17-18 from The Old Testamenthttps://ja.wikisource.org/wiki/詩篇(口語訳)#第96篇 / https://ja.wikisource.org/wiki/詩篇(口語訳)#第98篇 / https://ja.wikisource.org/wiki/創世記(口語訳)#第3章 )に基づき、

英人アイザック・ワッツ(Isaac Watts, 1674-1748)作詞

元独人・帰化英人ヘンデル(独 Georg Friedrich Händel; 英 George Frideric Handel, 1685-1759)の原曲に基づき

米人ローウェル・メイソン(Lowell Mason, 1792–1872)編曲(1836年)

https://en.wikipedia.org/wiki/Joy_to_the_World

https://ja.wikipedia.org/wiki/もろびとこぞりて

[歌詞付音声]

https://www.youtube.com/watch?v=PNy2CEklxA4

[歌詞開始]

1

Joy to the world! The Lord is come;

世()に喜(よろこ)びを! 主(しゆ)が來(きた)れり。

Let earth receive her King;

地()に其王(そのわう)を迎(むか)へさせよ。

Let every heart prepare Him room,

なべて心(こゝろ)は其王(そのわう)に場()を與(あた)ふべく用意(よぅい)せよ、

And heaven and nature sing,

そして天地(てんち)が歌(うた)ふべく、

And heaven and nature sing,

そして天地(てんち)が歌(うた)ふべく、

And heaven, and heaven, and nature sing.

そして天(てん)、天地(てんち)が歌(うた)ふべく。

2

Joy to the earth! The Saviour reigns;

地()に喜(よろこ)びを! 救世主(きゆぅせいしゆ)が君臨(くんりん)す。

Let men their songs employ;

人々(ひと/\゛)をして自(みづか)らの歌(うた)へと傾注(けいちゆぅ)せしめよ。

While fields and floods, rocks, hills, and plains

その間(かん)には野()も大海池沼河川(たいかい ちせう かせん)も岩山(いわやま)も丘(おか)も平原(へいげん)も

Repeat the sounding joy,

繰返(くりかへ)し喜(よろこ)び響(ひゞ)き渡(わた)る、

Repeat the sounding joy,

繰返(くりかへ)し喜(よろこ)び響(ひゞ)き渡(わた)る、

Repeat, repeat the sounding joy.

繰返(くりかへ)し繰返(くりかへ)し喜(よろこ)び響(ひゞ)き渡(わた)る。

3

No more let sins and sorrows grow,

もはや罪(つみ)も哀(かな)しみも起(おこ)らず、

Nor thorns infest the ground;

苦(くる)しみの棘(とげ)は地面(ぢめん)に蔓延(はびこ)らず。

He comes to make his blessings flow

主(しゆ)は來(きた)る、祝福(しゆくふく)を迸(ほとばし)らせんが爲(ため)に

Far as the curse is found,

災(わざは)ひがあらん限(かぎ)り、

Far as the curse is found,

災(わざは)ひがあらん限(かぎ)り、

Far as, far as, the curse is found.

災(わざは)ひがあらん限(かぎ)り、限(かぎ)り。

4

He rules the world with truth and grace,

主(しゆ)の世()を統()べるは眞理(しんり)と恩寵(おんちよぅ)を以(もつ)て、

And makes the nations prove

そして諸々(もろ/\)の民(たみ)どもに證(あかし)を齎(もたら)さん

The glories of His righteousness,

主(しゆ)の正義(せいぎ)の榮光(えいくゎぅ)の證(あかし)を

And wonders of His love,

そして主(しゆ)の愛(あい)の奇蹟(きせき)の證(あかし)を

And wonders of His love,

そして主(しゆ)の愛(あい)の奇蹟(きせき)の證(あかし)を

And wonders, wonders, of His love.

そして主(しゆ)の愛(あい)の奇蹟(きせき)の、奇蹟(きせき)の證(あかし)を

(原田俊明譯)

【参考】日本語版

「讃美歌」(1931年版)112番の歌詞

1

諸人(もろびと)擧(こぞ)りて 迎(むか)へまつれ

久(ひさ)しく待()ちにし 主(しゆ)は來()ませり

主(しゆ)は來()ませり 主(しゆ)は、主(しゆ)は來()ませり

2

鐵(くろがね)の扉(とびら) 打()ち砕(くだ)きて[註1]

捕虜(とりこ)を放(はな)てる 主(しゆ)は來()ませり[註2]

主(しゆ)は來()ませり 主(しゆ)は、主(しゆ)は來()ませり

註1: 日本基督教団讃美歌委員会編1954年改訂版では、「惡魔(あくま)の人牢(ひとや)を 打()ち砕(くだ)きて」。

註2: 同改訂版では、「捕虜(とりこ)を放(はな)つと 主は來ませり」。

3

此世(このよ)の闇路(やみじ)を 照()らし給(たま)ふ

妙(たへ)なる光(ひかり)の 主(しゆ)は來()ませり

主(しゆ)は來()ませり 主(しゆ)は、主(しゆ)は來()ませり

4

萎(しぼ)める心(こゝろ)の 花(はな)を咲()かせ

惠(めぐ)みの露(つゆ)置()く 主(しゆ)は來()ませり

主(しゆ)は來()ませり 主(しゆ)は、主(しゆ)は來()ませり

5

平和(へいわ)の君(くん)なる 御子(みこ)を迎(むか)へ

救(すく)ひの主(ぬし)とぞ 譽()め稱(たゝ)へよ

譽()め稱(たゝ)へよ 譽()め、譽()め稱(たゝ)へよ

四曲目

The First Noel” or “The First Nowell

直訳「最初の聖誕祭」

邦題「牧人(まきびと)ひつじを」

作詞・作曲者不詳

題名に使われているノエル(仏 Noël; 英 Noel; Nowell)とは、フランス語で「基督生誕祭」「聖誕祭」「クリスマス」を表す単語である。英語の言い回し Merry Christmas! (りークスマス)をフランス語では Joyeux Noël! (ジョワイユゥノ)と言う。この曲の歌詞(lyrics)は『新約聖書』「ルカによる福音書」第2章6~16節(Gospel According to Luke 2:6-16 from The New Testament https://ja.wikisource.org/wiki/ルカによる福音書(口語訳)#第2章 )に基づく。旋律(melody)はイングランド西部地方に十七世紀(1601-1700年)以前から伝わっているもので、ウィリアム・サンヅ(William Sandys, 1792–1874: 苗字が誤って「サンディーズ」と読まれることが多いが、y が黙字= a silent letter であるため、正しくは sands =「砂」の複数形と同音)が1833年に世に発表して広まった。イギリスのみならずアメリカでも根強い人気がある。

[動画集]

ケイムブリヂ大学国王学寮合唱隊(Choir of King’s College Cambridge, or King’s College Choir, University of Cambridge)の合唱

ウィルコックス(Sir David Willcocks, 1919-2015)編曲版

https://www.youtube.com/watch?v=1mItWsC8RtM

米国テキサス州出身の五人組 ペンタトニックス(Pentatonix: 「五つの音階」の意)の歌唱

https://www.youtube.com/watch?v=0u5UvnKlCTA

山崎製パン(ヤマザキ)テレビCM クリスマスケーキ「その笑顔のために」篇(2018年11月~12月に同社公式ウェブサイトと在京民放キー局で放映)

松たか子(まつ たかこ, b.1977)こと、本名 佐橋隆子(さはし たかこ, b.1977)と、子役の山崎莉里那(やまざき りりな, b.2012)と、姓名不詳子役1名が出演

高橋薫子(たかはし のぶこ, 生年非公開)歌唱

https://www.yamazakipan.co.jp/stylebook/tvcm/christmas2018.html (リンク切れ)

https://www.youtube.com/watch?v=-weSDmwGSPM

https://www.yamazakipan.co.jp/stylebook/tvcm/christmas2019.html

[歌詞開始]

1

The First Noel the angel did say

最初(さいしよ)の聖誕祭(せいたん さい)に天使(みつかひ)言()ひけり

Was to certain poor shepherds in fields as they lay;

と或()る貧(まず)しき羊(ひつじ)飼()ひどもに野原(のはら)にて

In fields as they lay, keeping their sheep,

野原(のはら)にて橫(よこ)たはりて羊(ひつじ)どもを飼()ふ者達(ものたち)に、

On a cold winter’s night that was so deep.

或()る寒(さむ)き夜()の更()けゆきぬ折(をり)に。

Noel, Noel, Noel, Noel,

ノエル、ノエル、ノエル、ノエル、

Born is the King of Israel.

生(うま)れ出(いで)しはイスラエルの王(わう)。

2

They looked up and saw a star

彼(かれ)らが見上(みあ)げて目()にするは星(ほし)ひとつ

Shining in the east beyond them far,

輝(かゞや)ける東(ひんがし)の空(そら)遠(とほ)く、

And to the earth it gave great light,

そして大地(だいち)へと其()は與(あた)ふ大(だい)なる光(ひかり)を、

And so it continued both day and night.

そして其()は斯()く續(つゞ)く晝(ひる)も夜()も。

Noel, Noel, Noel, Noel,

ノエル、ノエル、ノエル、ノエル、

Born is the King of Israel.

生(うま)れ出(いで)しはイスラエルの王(わう)。

3

And by the light of that same star

そして同(おな)じ星(ほし)の光(ひかり)で

Three wise men came from country far;

三賢者(さんけんじや)が遠方(ゑんぽぅ)遙々(はる/\゛)來(きた)れり。

To seek for a king was their intent,

王(わぅ)を求(もと)むが其目的(そのもくてき)、

And to follow the star wherever it went.

そして其星(そのほし)が何處(いづこ)へ行()かうと其()に從(したが)ふことゝ。

Noel, Noel, Noel, Noel,

ノエル、ノエル、ノエル、ノエル、

Born is the King of Israel.

生(うま)れ出(いで)しはイスラエルの王(わう)。

4

This star drew nigh to the northwest,

此星(このほし)は北西(ほくせい)へと近(ちか)づき、

O’er Bethlehem it took its rest,

ベツレヘム上空(じやぅくぅ)にて休(やす)めるや、

And there it did both stop and stay

停止(ていし)して不動(ふどぅ)と成()りぬ、

Right over the place where Jesus lay.

將(まさ)にイエススの橫(よこ)たはれる處(ところ)の上(うへ)で。

Noel, Noel, Noel, Noel,

ノエル、ノエル、ノエル、ノエル、

Born is the King of Israel.

生(うま)れ出(いで)しはイスラエルの王(わう)。

5 (多くの場合に省略される)

Then entered in those wise men three

それから入()るは其等(それら)賢者(けんじや)の三名(さんめい)

Full reverently upon their knee,

溢(あふ)れんばかりの恭(うや/\)しさもて跪(ひざまず)き、

and offered there in his presence

其處(そこ)で捧(さゝ)げしは彼()[註1]の面前(めんぜん)にして

Their gold, and myrrh, and frankincense.

黃金(こがね)と没薬(もつやく)[註2]と乳香(にゆぅかう)[註3]也(なり)。

Noel, Noel, Noel, Noel,

ノエル、ノエル、ノエル、ノエル、

Born is the King of Israel.

生(うま)れ出(いで)しはイスラエルの王(わう)。

註1: 生まれたばかりのイエス基督を指す。

註2: 中東に多く自生するムクロジ目(the order Sapindales)カンラン科(the family Burseraceae)コンミフォラ属(the genus Commiphora)の各種樹木から分泌される赤褐色の植物性ゴム樹脂(a natural gum or resin)。他にミルラとも訳される。中東では古くからこの樹脂の塊を焚いてお香(incense)としたが、殺菌作用を持つことから、鎮静薬や鎮痛薬としても利用している。

註3: 中東に多く自生するムクロジ目(the order Sapindales)カンラン科(the family Burseraceae)ボスウェリア属(the genus Boswellia)の樹木から分泌される芳香性樹脂(an aromatic resin)のこと。中東では古くからこの樹脂の塊を焚いてお香(incense)とし、香水(perfumes)などに使用する香料の原料として利用している。

6

Then let us all with one accord

そして我等(われら)は心(こゝろ)を一(いつ)にして

Sing praises to our heavenly Lord;

歌(うた)ふとしやぅ、我等(われら)が天(あま)なる主(しゆ)を稱(たゝ)へて、

That hath made heaven and earth of naught,

天地(てんち)を無()から創(つく)られし主(しゆ)を、

And with His blood mankind hath brought.

其血(そのち)を以(もつ)て人類(じんるい)を世()に齎(もたら)し給(たま)ふた主(しゆ)を。

Noel, Noel, Noel, Noel,

ノエル、ノエル、ノエル、ノエル、

Born is the King of Israel.

生(うま)れ出(いで)しはイスラエルの王(わう)。

(原田俊明譯)

【参考】日本語版

「牧人(まきびと)ひつじを」(讃美歌103番)

津川主一(つがわ しゅいち, 1896-1971)作詞

1

牧人(まきびと)ひつじを 守れるその宵(よい)

たえなるみ歌は 天(あめ)よりひびきぬ

喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

2

仰げばみ空に きらめく明星(あかぼし)

よるひるさやかに 輝きわたれり

喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

3

その星しるべに みたりの博士ら

メシヤを尋ねて はるばる旅しぬ

喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

4

くすしき光の 導くまにまに

博士はまぶねの 主イエスにまみえぬ

喜びたたえよ 主イエスは生まれぬ

五曲目

Ding Dong! Merrily on High” or “Ding! Dong! Merrily on High

直訳「ディンドン! 陽気に天高く」

別訳「ディンドン!といと高きところでほがらかに」

別訳「ディンドン空高く」

邦題1「ディンドン鐘が鳴る」

邦題2「ディンドン!と高いところで」

羅典(ラテン)語原詞作詞者不詳

ウッドウォード(George Ratcliffe Woodward, 1848–1934)英訳詞

作曲者不詳

旋律(melody)はフランスから伝わったもので、トイノ・アルボー(Thoinot Arbeau, 1519-95)という筆名を用いたジュアン・タブゥロ(Jehan Tabourot, 1519-95)という聖職者がフランス・ルネサンス期の社交ダンスを蒐集(しゅうしゅう)して1589年に刊行した Orchesographie et traicté en forme de dialogue par lequel toutes personnes peuvent facilement apprendre & practiquer l’honneste exercice des dances (直訳 『對話形式のオルケゾグラフィ及び論文、それによりて全員が舞踏の實直なる運動を容易に學習し練習できるなり』、略称 『オルケゾグラフィ』)という書籍に載ったのが初出であり、曲の題名は « Branle de l’Official » (「ブはォンル・ドゥロフィシヤル」: ルネサンス期フランス語で「王室のブランル」の意)だった( https://www.youtube.com/watch?v=dSzs4XLiUmI )。ブランル(実際は「ブはォンル」のように発音)とはフランス舞踏の一種である。この旋律には羅典(ラテン)語の題名“Glōria in Excelsīs Deō” (グローりア・インエクスチェルスィース・デオー: 「至高の神への譽(ほまれ)」の意)が付き、いつの頃からか羅典(ラテン)語で歌われるようになったが、二十世紀(1901-2000年)に入り、イングランド教会の聖職者であるウッドウォード(George Ratcliffe Woodward, 1848–1934)が英語版の歌詞を付けたことで人気が出た。但し、英語版でも各連で繰り返し歌われる Glōria, Hōsanna in excelsīs! (グローりア、ホーサンナ・インエクスチェルスィース!: 「譽(ほまれ)よ、至高のホーサンナ!」の意)の箇所だけは羅典語の儘(まま)になっている。1924年にケイムブリヂ大学出版局(CUP: Cambridge University Press)によって刊行された The Cambridge Carol-Book: Being Fifty-two Songs for Christmas, Easter, And Other Seasons (『剣橋版祝歌本 聖誕祭(クリスマス)、復活祭(イースター)、その他の季節のための五十二の歌』)に掲載されたのが印刷物での英語版歌詞の初出。

http://www.xmas-carol.com/song/dingdong.htm

https://en.wikipedia.org/wiki/Ding_Dong_Merrily_on_High

https://www.carols.org.uk/ding_dong_merrily_on_high.htm

https://www.oldielyrics.com/christmas/ding_dong_merrily_on_high.html

http://www.worldofchristmas.net/christmas-carols/ding-dong.html

[楽譜]

ヤマハ・ブラジル提供

http://br.yamaha.com/pt/music_education/home-congresso-sn/material-estudo/images/official_branle_arbeau.pdf (リンク切れ)

[動画]

ケイムブリヂ大学国王学寮合唱隊(Choir of King’s College Cambridge, or King’s College Choir, University of Cambridge)

https://www.youtube.com/watch?v=6J_2tKCwu7Q

[歌詞開始]

1

Ding dong! merrily on high,

ディンドン! 陽気に天高く

In heav’n the bells are ringing:

天上で鐘が鳴ってるよ。

Ding dong! verily the sky

ディンドン! いと高き御空(みそら)が

Is riv’n with angels singing.

天使たちの歌声で割れ裂()けんばかり。

Glōria, Hōsanna in excelsīs!

グローりア、ホーサンナ・インエクスチェルスィース!(譽(ほまれ)よ、至高のホーサンナ[註]!)

Glōria, Hōsanna in excelsīs!

グローりア、ホーサンナ・インエクスチェルスィース!(譽(ほまれ)よ、至高のホーサンナ!)

註: ヘブライ語で「救ひ給へ」を意味する ホーシーアー・ナー(הוֹשִׁיעָה נָּא; hoshia na)の短縮形 ホーシャ・ナー(הושענה; hosha na)のギリシャ語音写ホーサンナ(ὡσαννά; hōsanná)に由来する。イエス(Jesus Christ, c.AD4-30?)がエルサレム(Jerusalem)に入城したとき、救い主を待ち望む民衆が棕櫚(しゅろ)の葉を振りながら叫んだ囃子詞(はやし ことば)。キリスト教では元来の意味が失われ、感極まった際に放つ気分の高揚や神を称賛する言葉となった。英語では更に音が転訛(てんか)してしまい、ホウザェナ = /hoʊˈzænə/ と発音される。

2

E’en so here below, below,

低き低き此処(ここ)でも

Let steeple bells be swungen,

尖塔の鐘を揺らそうではないか、

And “Io, io, io!”

そして「イョ、イョ、イョ!」と

By priest and people sungen.

司祭と民(たみ)をして歌わしめようではないか。

Glōria, Hōsanna in excelsīs!

グローりア、ホーサンナ・インエクスチェルスィース!(譽(ほまれ)よ、至高のホーサンナ!)

Glōria, Hōsanna in excelsīs!

グローりア、ホーサンナ・インエクスチェルスィース!(譽(ほまれ)よ、至高のホーサンナ!)

3

Pray you, dutifully prime

どうか本分を守って準備しておいてくれ

Your matin chime, ye ringers;

朝の祈りの鐘を、鳴らし手たちよ。

May you beautifully rime

美しく一致呼応して歌ってくれますように

Your evetime song, ye singers.

夕べの祈りを、歌い手たちよ。

Glōria, Hōsanna in excelsīs!

グローりア、ホーサンナ・インエクスチェルスィース!(譽(ほまれ)よ、至高のホーサンナ!)

Glōria, Hōsanna in excelsīs!

グローりア、ホーサンナ・インエクスチェルスィース!(譽(ほまれ)よ、至高のホーサンナ!)

(原田俊明訳)

六曲目

“Once in Royal David’s City” (1848)

直訳「かつてダビデ王の都市に」

邦題「ダビデの村に」

セシル・フランシス・アレグザンダー(Cecil Frances Alexander, 1818-95)作詞

ヘンリー・ゴーントレット(Henry Gauntlett, 1805-76)作曲

https://en.wikipedia.org/wiki/Once_in_Royal_David's_City

[動画]

ケイムブリヂ大学国王学寮合唱隊(Choir of King’s College Cambridge)による演奏(2018年収録)

https://www.youtube.com/watch?v=mv8kG31cSr4 (6:07-9:02end of 9:02)

[歌詞開始]

1

Once in royal David’s city,

かつてダビデ王の都市に

Stood a lowly cattle shed,

立てるは卑(いや)しき家畜小屋[註]

Where a mother laid her Baby,

そこに母親が橫たへたのが赤子(あかご)也(なり)、

In a manger for His bed:

飼葉桶(かひばおけ)を赤子の寝床とし、

Mary was that mother mild,

マリアがその優しき母親、

Jesus Christ, her little Child.

イエス基督(キリスト)は其(その)母親の小さき子なりき。

註: 日本では屡々(しばしば)「厩(うまや)」や「馬小屋」などと訳されるが、欧米人の感覚ではむしろ牛や羊の小屋としているため、ここでは中立的に「家畜小屋」と訳した。

2

He came down to earth from heaven,

其御方(そのおかた)は降りて來られた、地へと天から、

Who is God and Lord of all,

其()は神なる御方で万物の主(しゆ)、

And His shelter was a stable,

そして其御方が住みかとせるは家畜小屋。

And His cradle was a stall:

そして其御方が揺篭(ゆりかご)とせるは小屋のひと仕切り。

With the poor, and mean, and lowly,

貧しき、さもしき、卑(いや)しき者らと共に、

Lived on earth our Saviour holy.

低き地に住まはるは我等が救世主、聖(ひじり)なる哉(かな)。

3 (省略)

And through all

そして其御方(そのおかた)の

His wondrous childhood

奇蹟(きせき)の如(ごと)し子供時代を通じて、

He would honour and obey

其御方が尊重し從ひ、

Love and watch the lowly mother

愛し見守るは卑(いや)しき母。

In whose gentle arms He lay.

その優しき両腕に其御方は抱かるゝ。

Christian children all should be

基督(キリスト)敎徒の童(わらは)なら皆(みな)斯()くあるべし、

Mild, obedient, good as He.

柔和にして、よく從ひ、善良にならんこと、其御方の如(ごと)し。

4 (省略)

For He is our childhood’s pattern;

といふのも、其御方(そのおかた)は我等(われら)が子供時代の手本なるがゆゑ。

Day by day, like us, He grew;

日に日に我等と同樣に其御方は育ち、

He was little, weak, and helpless,

小さく弱く無力で、

Tears and smiles, like us He knew;

涙と微笑(ほゝゑ)みを我等と同樣に其御方も知りぬ、

And He cares when we are sad,

そして我等が悲しき時には氣に掛け、

And he shares when we are glad.

そして我等が嬉しき時には分かち合ふ。

5

And our eyes at last shall see Him,

そして我等の眼()が遂(つひ)に目にするは其御方(そのおかた)、

Through His own redeeming love;

其御方自らの贖(あがな)ふ愛を通して。

For that Child so dear and gentle

といふのも、その幼子(おさなご)は髙貴にして優しく、

Is our Lord in heaven above:

いと髙き天に居()られる我等が主(しゆ)なるがゆゑ。

And He leads His children on

そして主は自らの子どもたちを上の方へと導き給(たま)ふ、

To the place where He is gone.

其御方が行つて仕舞(しま)はれた處(ところ)へと。

6

Not in that poor lowly stable

貧しく卑(いや)しき家畜小屋でなく、

With the oxen standing by

共に牛どもが立てる家畜小屋などでなく、

We shall see Him, but in heaven

我等が其御方(そのおかた)を目にするは、天界にて

Set at God’s right hand on high;

神の右手に座して居()られる御姿は天髙く。

When like stars

その時には星たちの樣(やぅ)に、

His children crowned

神の子らは煌(きら)びやかなる冠(かむり)を被(かぶ)り、

All in white shall be around.

皆(みな)白装束(しろしやぅぞく)で周(まは)りに居()る也(なり)。

(原田俊明譯)

七曲目

Hark! The Herald Angels Sing

直譯 「聞()け! 傳令(でんれい)たる天使(みつかひ)らが歌(うた)ふのを」

邦題 「天(あめ)には榮(さ)え」または「天(あめ)には栄(さか)え」

ウェスリー(Charles Wesley, 1707-88)原詞

ホワイトフィールド(George Whitefield, 1714-70)他改作

メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn Bartholdy, 1809-47)[註1]作曲

ウィルコックス(Sir David Valentine Willcocks, 1919-2015)編曲

https://en.wikipedia.org/wiki/Hark!_The_Herald_Angels_Sing

https://ja.wikipedia.org/wiki/天には栄え

註1: 元ユダヤ教徒・改宗プロテスタント・ルター派のドイツ人作曲家メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn Bartholdy, 1809-47)は1847年11月4日(木)に満38歳と9ヶ月の若さで病死したが、生前ユダヤ教からプロテスタントのルター派に改宗していたので、当人の感覚では普通のドイツ人だった。ところが歿後八十六年の1933年に天下を取った国家社会主義ドイツ労働者党(NSDAP: Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei; 英訳 National Socialist German Workers’ Party)=蔑称(べっしょう)「ナーツィース」(Nazis)=日本語で「ナチス」から見て、メンデルスゾーンは「ユダヤ人」(独 ein Jude アインユー; 英 a Jew ジュウ)だった。改宗しようがしまいが、ナチスから見ればユダヤ人なのである。ドイツ音楽史からメンデルスゾーンの名が消し去られ、その楽譜は焚書(ふんしょ: 独 Bücherverbrennung ビュッヒャーフェアブれンヌング; 英 book burning ブクブァーニング)の被害に遭った。1933年5月10日(水)の首都ベルリン中心部の歌劇場広場(独 Opernplatz オーペるンプラッ; 英 Opera Square オップらスクウェー)に於()ける焚書(ふんしょ)が特に悪名(あくみょう)高い。ナチス時代(1933-45年)のドイツでメンデルスゾーンの曲は演奏禁止・放送禁止となった。1945年にナチス・ドイツが僅(わず)か十二年で崩壊したため、メンデルスゾーンの名は再びドイツ音楽史に復活したが、メンデルスゾーンはそのような断絶が無い英国でこそ愛されている作曲家である。現にヴィクトリア女王(Queen Victoria, 1819-1901; 在位1837-1901)とそのドイツ出身の夫アルバート公(Albert, Prince Consort, 1819-61)は、メンデルスゾーンの音楽が大好きで、一度ならずバッキンガム宮殿にメンデルスゾーンを招いて直接会見したほどだった。ヴィクトリア女王夫妻は日頃からドイツ語で会話することが多かったことから、メンデルスゾーンともドイツ語で会話した可能性が高い。メンデルスゾーンは英国と相性が良く、人生で十回も訪英していて、十回の滞在期間を合計すると20ヶ月にも及ぶ。20歳で英国を初訪問する前の17歳の時点でメンデルスゾーンは既に、シェイクスピア(William Shakespeare, 1564-1616)の喜劇 A Midsummer Night’s Dream (邦題 『真夏の夜の夢』または『夏の夜の夢』, 1595年か’96年頃の執筆)への序曲ホ長調 作品番号21 (A Midsummer Night’s Dream Overture in E major, Op.21)を作曲している( https://www.youtube.com/watch?v=Rrq9rrlC2bQ )。その十六年後の1842年にはメンデルスゾーン33歳で同喜劇への付随音楽 作品番号61 (Incidental Music, Op.61, for A Midsummer Night’s Dream )を作曲し、演奏会や録音藝術では上記の序曲の直後に演奏される( https://www.youtube.com/watch?v=njdTB6HxTj8 / 0:27序曲開始 / 13:23諧謔(るツォ)開始 / 27:15夜想曲(ノットゥるノ)開始 / 33:05結婚行進曲開始 / 38:07道化師たちの踊り開始 / 39:44ドイツ語歌唱付フィナーレ開始)。その中でも「結婚行進曲」(独 „Hochzeitsmarsch“ ホーホツァイツるシュ; 英 “Wedding March”ウェディングマー)は大きな人気を博した( https://www.youtube.com/watch?v=0Oo4z37OUEI )が、メンデルスゾーン歿後十年二ヶ月三週間の1858年1月25日(月)にはヴィクトリア女王(Queen Victoria, 1819-1901; 在位1837-1901)の長女ヴィクトリア王女(Victoria, Princess Royal, 1840-1901)の結婚式(プロイセン王室 = 後のドイツ帝室への嫁入り)でメンデルスゾーンの「結婚行進曲」が使用された。その八十九年後、メンデルスゾーン歿後百年でもある1947年11月20日(木)にはウェールズ女大公エリザベス王女(Elizabeth, Princess of Wales, b.1926)= 後の女王エリザベス二世(Elizabeth II, b.1926; 在位1952-)の結婚式でも件(くだん)の「結婚行進曲」が使用された。メンデルスゾーンはスコットランド滞在中に着想を得て、有名な「フィンガルの洞窟」作品番号26 (Fingal’s Cave, Op.26)=別名 ヘブリディーズ序曲 作品番号26 (The Hebrides Overture, Op.26)( https://www.youtube.com/watch?v=GVhmZUdETDo )や、交響曲第三番イ短調 作品番号56 (Symphony No.3 in A minor, Op.56)=通称「スコットランド」交響曲(“Scottish” Symphony)全四楽章(https://www.youtube.com/watch?v=PoHooMaTZcU )という傑作を作曲した。他に交響曲第四番イ長調 作品番号90 (Symphony No.4 in A major, Op.90)=通称「イタリア」交響曲(“Italian” Symphony)全四楽章( https://www.youtube.com/watch?v=_HX_jF1_Tgc )やヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品番号64(Violin Concerto in E minor, Op.64)全三楽章( https://www.youtube.com/watch?v=Pmj7nCRYNs4 / 0:32第一楽章開始 / 13:18第二楽章開始 / 21:13第三楽章開始)も非常に人気が高い。メンデルスゾーン最後の大作であるオラトリオ 『エリヤ』 作品番号70 (Elijah, Op.70; 英 エライジャ; 独 リアース)は、バーミンガム三年毎音楽祭(Birmingham Triennial Music Festival)の一環としてバーミンガム市庁舎(Birmingham City Hall)で1846年8月26日(水)午前に初演された。英人指揮者チャールズ・ヘイズルウッド(Charles Hazlewood, b.1966)氏が解説する The Birth of British Music: Mendelssohn The Prophet (直訳 「英国音楽の誕生: 預言者メンデルスゾーン」)という題名の番組が2015年に英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)によって制作・放映された( https://www.youtube.com/watch?v=CP_Q0B9d32I )。つまりメンデルスゾーンは今や恰(あたか)も英国の作曲家のような位置づけなのである。

[動画1]

ケイムブリヂ大学国王学寮礼拝堂(King’s College Chapel, Cambridge)に於ける2011年12月24日(土) 基督生誕前夜祭(Christmas Eve)礼拝でのライブ収録

https://www.youtube.com/watch?v=A_iLXNSIaYc

(5番まである中の3番まで)

[動画2]

大ロンドン市に囲まれたシティ特別区に在る聖パウロ主教座聖堂(St Paul’s Cathedral in the City of London)に於けるライブ収録(二十世紀末頃)

https://www.youtube.com/watch?v=LDPwNPAV6tA

(5番まである中の3番まで)

[動画3]

英人気女性歌手ジュリー・アンドルーズ(Dame Julie Andrews, b.1935; 日本では誤ってアンドリュース)による1973年クリスマス・スペシャル

https://www.facebook.com/JulieAndrewsOnline/videos/10156008421019628/

(5番まである中の1番のみ)

[歌詞開始]

1

Hark! the herald angels sing,

聞()け! 傳令(でんれい)たる天使(みつかひ)らが歌(うた)ふのを

“Glory to the new born King,

「新(あら)たに生(うま)れし王(わぅ)に榮(さか)えを、

Peace on earth, and mercy mild,

地には平和(へいわ)、優(やさ)しき慈悲(じひ)を、

God and sinners reconciled!”

神(かみ)[註2]と罪人ども[註3]は和解せり!」と。

Joyful, all ye nations rise,

喜(よろこ)びに滿()ち、なべて諸國民(しよこくみん)よ立ち上がれ、

Join the triumph of the skies;

加(くは)はれ天の勝利(しょぅり)に、

With th’ angelic host proclaim,

天使(みつかひ)らと共(とも)に宣言せよ、

“Christ is born in Bethlehem!”

「基督(キリスト)がベツレヘムに誕生(たんじやぅ)せり」と。

Hark! the herald angels sing,

聞け! 傳令(でんれい)たる天使(みつかひ)らが歌ふのを、

“Glory to the new born King!”

「新(あら)たに生(うま)れし王(わぅ)に榮(さか)えを!」と。

註2: この場合の「神」とは、戦国時代の日本語で言う天主樣(てんしゅさま)、中文で言う上帝(Shàngdì)のことであり、一神教の唯一絶対の神を指す。

註3: この場合の「罪人ども」とは、刑法犯・犯罪者のことではなく、原罪(げんざい: original sin)を背負って生まれた者、即(すなわ)ち人類全体を指す。

2

Christ, by highest heaven adored;

基督(キリスト)、いと髙(たか)き天(てん)にて崇(あが)めらる、

Christ, the everlasting Lord;

基督(キリスト)は永遠(とは)の主(しゆ)、

Late in time behold him come,

定(さだ)めの時(とき)に來(きた)るを見よ、

Offspring of a virgin’s womb.

處女(しよじよ)の胎內(たいない)に宿(やど)りし子を。

Veiled in flesh the Godhead see;

人(ひと)の血肉(けつにく)に覆(おほ)はれた神(かみ)の實在(じつざい)を見よ、

Hail th’ incarnate Deity,

讚(たゝ)へよ、受肉(じゆにく)された神的存在を、

Pleased as man with man to dwell,

人(ひと)の間に喜(よろこ)んで住()まはる

Jesus, our Emmanuel.

イエスス、我(われ)らのインマヌエル[註4]

Hark! the herald angels sing,

聞け! 傳令(でんれい)たる天使(みつかひ)らが歌ふのを、

“Glory to the new born King!”

「新(あら)たに生(うま)れし王(わぅ)に榮(さか)えを」と。

註4: ヘブライ語で「我らと共に居る神」の意。

3

Hail the heaven-born Prince of Peace!

讚(たゝ)へよ、天(てん)に生(うま)れし平和(へいわ)の君(くん)を!

Hail the Sun of Righteousness!

讚(たゝ)へよ、正義の太陽を!

Light and life to all he brings,

光と生命(いのち)を皆に齎(もたら)し、

Risen with healing in his wings.

主(しゆ)の癒(いや)しの翼(つばさ)として立ち上()がれり。

Mild he lays His glory by,

優(やさ)しく主(しゆ)の榮光(えいくゎぅ)は在()り、

Born that man no more may die,

生(うま)れし人、もはや死なず、

Born to raise the sons of earth,

地の人々を起こさんとて生(うま)れ、

Born to give us second birth.

新(あたら)しき生命(いのち)を我らに與(あた)へんが爲(ため)に生(うま)れん。

Hark! the herald angels sing,

聞け! 傳令(でんれい)たる天使(みつかひ)らが歌ふのを、

“Glory to the new born King!”

「新(あら)たに生(うま)れし王(わぅ)に榮(さか)えを」と。

4 (多くの場合に省略される)

Come, Desire of nations, come,

來(きた)れ諸國民の煩惱(ぼんなぅ)よ、來(きた)れ、

Fix in us Thy humble home;

我らの內(うち)に汝(なんぢ)のあばら屋を据()えよ、

Rise, the woman’s conquering Seed,

立ち上がれ、女の征服せる種(たね)よ、

Bruise in us the serpent’s head.

我らの內(うち)に惡魔の化身(けしん)たる大蛇(おろち)の鎌首を擊()ちつけよ。

Adam’s likeness, Lord, efface;

アダムの似姿(にすがた)を、主(しゆ)よ、擦(こす)り消()し給(たま)へ、

Stamp thine image in its place.

汝(なんぢ)の姿を代(かは)りに刻印(こくいん)されよ。

Second Adam from above,

天(あま)からアダムを支持し、

Reinstate us in Thy love.

汝(なんぢ)の愛を我らの內(うち)に復舊(ふつきぅ)されよ。

Hark! the herald angels sing,

聞け! 傳令(でんれい)たる天使(みつかひ)らが歌ふのを、

“Glory to the new born King!”

「新(あら)たに生(うま)れし王(わぅ)に榮(さか)えを」と。

5 (多くの場合に省略される)

Adam’s likeness, Lord, efface,

アダムの似姿(にすがた)を、主(しゆ)よ、擦(こす)り消()し給(たま)へ、

Stamp Thine image in its place:

汝(なんぢ)の姿を代(かは)りに刻印(こくいん)されよ、

Second Adam from above,

天(あま)からアダムを支持し、

Reinstate us in Thy love.

汝(なんぢ)の愛を我らの內(うち)に復舊(ふつきぅ)されよ。

Let us Thee, though lost, regain,

我らに汝(なんぢ)を、ひとたび失(うしな)ふも取り戻(もど)させよ、

Thee, the Life, the inner man:

汝(なんぢ)、生命(いのち)、內(うち)なる人間(にんげん)、

O, to all Thyself impart,

あゝ、汝(なんぢ)自身に授(さず)けよ、

Formed in each believing heart.

各々(おの/\)の神を信ずる心の內(うち)で形づくられて。

Hark! the herald angels sing,

聞け! 傳令(でんれい)たる天使(みつかひ)らが歌ふのを、

“Glory to the newborn King!”

「新(あら)たに生(うま)れし王(わぅ)に榮(さか)えを」と。

(原田俊明譯)

八曲目

O Come, All Ye Faithful” (羅典(ラテン)語の原曲は “Adeste Fideles”)

直譯 「いざや來(きた)れ、なべて信心(しんじん)深(ぶか)き者(もの)」

邦題 「神の御子(みこ)は今宵(こよい)しも」

羅典(ラテン)語原詞作詞者不詳

オークリー(Frederick Oakeley, 1802-80)英譯詞

ウェイド(John Francis Wade, 1711-86)作曲と傳承さる

https://en.wikipedia.org/wiki/O_Come,_All_ye_Faithful

https://ja.wikipedia.org/wiki/神の御子は今宵しも

http://gavvie.tripod.com/adeste.html

https://www3.cpdl.org/wiki/index.php/Adeste_fideles

[参考]

羅典(ラテン)語原詞

https://www.hymnsandcarolsofchristmas.com/Hymns_and_Carols/NonEnglish/adeste_fideles.htm

[動画1]

大ロンドン市ウェストミンスター区に在るウェストミンスター寺院(Westminster Abbey, City of Westminster, London)に於ける2013年12月24日(火)ライブ収録

https://www.youtube.com/watch?v=l1wHyMR_SCA

[動画2]

英人気女性歌手ジュリー・アンドルーズ(Dame Julie Andrews, b.1935; 日本では誤ってアンドリュース)による1973年クリスマス・スペシャル

https://www.youtube.com/watch?v=GdJ6ZdHaFvg

(6番まである中の1番と5番のみ)

[動画3]

英人気女性歌手ジュリー・アンドルーズ(Dame Julie Andrews, b.1935; 日本では誤ってアンドリュース)による1987年クリスマス・スペシャル「ザ・サウンド・オヴ・クリスマス」(「クリスマスの音」の意)より

https://www.youtube.com/watch?v=h5RAAeTbmck (38:37-39:56 & 51:09-51:58 of 53:52)

(6番まである中の1番のみ)

[動画4]

羅典(ラテン)語原詞で歌い始め途中からドイツ語版に切り替えて歌唱するベルギー人テノール歌手、ヘルムート・ロティ(Helmut Lotti, b.1969)による1997年クリスマス・スペシャル(ウィーンでのライブ)

https://www.youtube.com/watch?v=czHhwU0wO-M

[歌詞開始]

1

O come, all ye faithful, joyful and triumphant!

いざや來(きた)れ、なべて信心(しんじん)深(ぶか)き者(もの)、喜(よろこ)びと勝利(しょぅり)に滿()ちて!

O come ye, O come ye to Bethlehem;

いざや來(きた)れ、いざや來(きた)れ、ベツレヘムに。

Come and behold Him

來(きた)れ、そして見()よ其人(そのひと)を、

Born the King of Angels:

生(うま)れ給(たま)ふた天使(みつかひ)らの王(わぅ)なり。

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

Christ the Lord.

主(しゆ)たる基督(キリスト)を。

2

God of God, light of light,

神(かみ)[註1]の中(なか)の神(かみ)、光(ひかり)の中(なか)の光(ひかり)、

Lo, he abhors not the Virgin’s womb;

見()よ、その人(ひと)は處女(しよじよ)の胎内(たいない)を厭(いと)はず、

Very God, begotten, not created:

まさしく神(かみ)が生(しやぅ)じせしめるは創造(そぅぞぅ)と異(こと)なれり。

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

Christ the Lord.

主(しゆ)たる基督(キリスト)を。

註1: この場合の「神」とは、戦国時代の日本語で言う天主樣(てんしゅさま)、中文で言う上帝(Shàngdì)のことであり、一神教の唯一絶対の神を指す。

3

See how the shepherds summoned to His cradle,

見()よ、其人(そのひと)の揺()り籠(かご)へと招集(せうしふ)された羊飼(ひつじか)ひたちが如何(いか)にして、

Leaving their flocks, draw nigh with lowly fear;

羊(ひつじ)の群()れを殘(のこ)し、卑(いや)しき怖(おそ)れの刻々(こく/\)迫(せま)り至(いた)るを。

We too will thither bend our joyful footsteps;

我(われ)らもまた其處(そこ)喜んで自(みづか)らの歩()を進(すゝ)めん。

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

Christ the Lord.

主(しゆ)たる基督(キリスト)を。

ウェストミンスター寺院主任司祭(Dean of Westminster)ジョン・ホール(John Hall, b.1949)師の言葉(3:03-3:55):

Dear friends in Christ, as we meet this night to celebrate the birth of Christ, let us pray that God will bless this crib that all who worship His son born of the Virgin Mary may come to share His life in glory. God our Father, on this night your son Jesus Christ was born of the Virgin Mary for us and for our salvation. Bless this crib, which we have repaired to celebrate His holy birth. May all who see it be strengthened in faith and receive the fullness of life He came to bring, who is alive and reigns with you and the Holy Spirit. One God, world without end. Amen.

基督(キリスト)を信じる友よ。私どもが今宵(こよい)[註2]集まりましたのは基督の生誕を祝うためですので、神がこの飼い葉の桶(おけ)[註3]を祝福し、処女マリアから生まれた神の息子を拝(おが)むすべての人が栄光に包まれた神の生命を一緒に見ることができますようにと祈りましょう。我らが父なる神よ、今宵(こよい)其方(そなた)の息子イエス基督が処女マリアから我らのために、そして我らの救済のために生まれました。この飼い葉の桶を祝福し給(たま)え。それを私どもは聖なる誕生を祝うべく修復しました。それを見る者全員が信仰の更(さら)なる力を与えられ、基督が齎(もたら)した生命の充足を受けられんことを。基督は生きていて其方(そなた)と我らが精霊と共に君臨しているのです。ひとつの神、終わりなき世界。アーメン[註4]

註2: 「今宵」とは、基督生誕前夜祭(クリスマス・イヴ)を指す。

註3: イエス基督が生まれたときに寝かされた「飼い葉」と呼ばれる馬の餌(えさ)用の牧草の桶のことで、「馬槽(うまぶね)」または「馬草(まぐさ)桶(おけ)」ともいう。英語では manger (メインヂャー)というが、偶然にもフランス語の動詞で「食べる」を意味する manger (マォンヂェー)と同綴りである。

註4: 「アーメン」とは、ヘブライ語で「まさにその通り」「そうでありますように」を意味する。

4

Child, for us sinners poor and in the manger

子()よ[註5]、我(われ)ら罪人(ざいにん)ども[註6]は貧(まず)しく飼()ひ葉()の桶(おけ)の中(なか)に居()て

Fain we embrace Thee, with awe and love;

進(すゝ)んで我(われ)らは汝(なんぢ)を抱擁(はうよぅ)す、畏敬(いけい)と愛(あい)を以(もつ)て。

Who would not love Thee loving us so dearly?

是程(これほど)我(われ)らを愛(あい)す汝(なんぢ)を愛(あい)さぬ者(もの)など居()るものか。

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

Christ the Lord.

主(しゆ)たる基督(キリスト)を。

註5: この場合の「子」とは、神の子、イエス基督(キリスト)を指す。

註6: この場合の「罪人ども」とは、刑法犯・犯罪者のことではなく、原罪(げんざい: original sin)を背負って生まれた者、即(すなわ)ち人類全体を指す。

5

Sing, choirs of angels, sing in exultation,

歌(うた)へ、天使(みつかひ)らの聖歌隊(せいかたい)よ、歡喜(かんき)して歌(うた)へ、

Sing, all ye citizens of Heaven above!

歌(うた)へ、なべて天髙(てんたか)き良民(れぅみん)らよ!

Glory to God, glory in the highest:

神(かみ)に榮(さか)えあれ、最髙位(さいかぅい)に榮(さか)えあれかし。

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

Christ the Lord.

主(しゆ)たる基督(キリスト)を。

6

Yea, Lord, we greet Thee, born this happy morning;[註7]

げに主(しゆ)よ、我(われ)らは汝(なんぢ)を迎へん、此(この)幸(さち)ある朝(あさ)に生(うま)れ出()で。

Jesus, to Thee be glory given!

イエススよ、汝(なんぢ)に榮(さか)えは授(さず)けられん!

Word of the Father, now in flesh appearing!

父(ちゝ)なる神(かみ)の御言葉(みことば)は、今(いま)や血肉(けつにく)を帶()びて現(あら)はれん!

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

Christ the Lord.

主(しゆ)たる基督(キリスト)を。

註7: 正しくはこの歌詞だが、英国放送協会(BBC: British Broadcasting Corporation)が誤って下記の別バージョンである Almighty God, our heavenly Father, の字幕を出してしまう。

または

6

Almighty God, our heavenly Father,[註8]

全知全能(ぜんち ぜんのぅ)なる神(かみ)よ、我(われ)らが天(てん)なる父(ちゝ)よ、

We have sinned against You;

我(われ)らは其方(そなた)に對(たい)して罪(つみ)を犯(おか)した。

Word of the Father, now in flesh appearing!

父(ちゝ)なる神(かみ)の御言葉(みことば)は、今(いま)や血肉(けつにく)を帶()びて現(あら)はれん!

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

O come, let us adore Him,

いざや來(きた)れ、我(われ)らをして其人(そのひと)を拜(おが)ませよ、

Christ the Lord.

主(しゆ)たる基督(キリスト)を。

註8: BBCが誤ってこの字幕を1行だけ出すが、正しくは上記の別バージョンの Yea, Lord, we greet Thee, born this happy morning; にすべき。

ウェストミンスター寺院主任司祭(Dean of Westminster)ジョン・ホール(John Hall, b.1949)師の言葉(8:25-8:33):

In the name of the Father and of the Son and of the Holy Spirit, amen. The Lord be with you.

父と息子と精霊(せいれい)の名に於()いて、アーメン[註9]。主(しゅ)があなたと共にありますように。

註9: 註4でも述べたように、「アーメン」とは、ヘブライ語で「まさにその通り」「そうでありますように」を意味する。

(原田俊明譯)

【比較参考】

西曆1980年代のチャリティーソングを二曲紹介

https://sites.google.com/site/xapaga/home/charitysongs1980s

サンタの歴史:聖ニコラウスが今の姿になるまで

ギリシャから北欧を経て世界に広まったサンタクロースの歴史

米ナショナル・ジオグラフィック誌(National Geographic)日本語版

ブライアン・ハンドワーク(Brian Handwerk: 「手技」を意味するドイツ語の「ハントヴェるク」)記者署名記事

日本語訳: 高野夏美(たかの なつみ)

2017年12月19日(火)

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/121800491/

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/121800491/?P=2

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/121800491/?P=3

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/121800491/?P=4

英ジョンソン首相、8歳からの手紙に返信「サンタが素早く出入りすればリスクない」

TBS系JNNニュース

2020年11月25日(水)

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4135817.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/5ba5d1ccf75972be6bf84a8d363e241274d1b5fe

https://news.yahoo.co.jp/articles/5ba5d1ccf75972be6bf84a8d363e241274d1b5fe/comments

サンタ感染「リスクなし」 英首相、8歳の子に返信

共同通信社(東京新聞と山陰中央新報と佐賀新聞に転載)

2020年11月26日(木)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/70590 (リンク切れ)

https://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1606340243449/index.html (リンク切れ)

https://www.saga-s.co.jp/articles/-/604491

Twitter @BorisJohnson

2020年11月25日(水) 18:56

https://twitter.com/BorisJohnson/status/1331537117084856320

https://twitter.com/BorisJohnson/status/1331537117084856320/photo/1

https://twitter.com/BorisJohnson/status/1331537117084856320/photo/2

Monti (aged 8) wrote to me asking if Father Christmas will be able to deliver presents this year 🎅🎁🎄 [改行] I've had lots of letters about this, so I have spoken with experts and can assure you that Father Christmas will be packing his sleigh and delivering presents this Christmas!

モンティ君(8才)が私に聖誕祭神父(=サンタクロース)が今年プレゼントを配ることができるのかどうか問う手紙を書いてきた。[改行] このことについて多くの手紙を受けているので、私は専門家たちと話をしていて、君に確約できるよ。聖誕祭神父(=サンタクロース)が自分の橇(そり)に荷物を詰めていて、今年の聖誕祭(クリスマス)にプレゼントを配っているだろうと!

Why I Avoid CHRISTMAS in Japan

(なぜ僕が日本でクリスマスを避けるのか)

Abroad in Japan (日本で在外)

在日イギリス人ユーチューバー クリス・ブロード(Chris Broad, b.1990)

2020年12月31日(木)公開

https://www.youtube.com/watch?v=Pp6ggz_uwWE