ルイスさんのアドバイスを聞かれたゼオラさんは、私に髪を隠すスカーフではなく、顔も隠せる黒いヴェールを被せて下さいました。それに合わせたコーディネートもして下さって。私は肌を露出しない服装で外出許可を頂きます。
「神秘的で可愛いね」
ゼオラさんは私のヴェール姿が気に入られたのか、嬉しそうに仰いました。
「リテは何を着ても可愛い」
そうやって褒めて下さるので、私は照れて恐縮してしまいます。ゼオラさんは利き手である左手を空けておかれたほうがいいそうなので、私はゼオラさんの右腕につかまるようにして歩かせて頂きました。
「私はやはり見張りましょう」
分身さんはそう仰るとパッと白いフクロウに姿を変えられて。上空から私たちを見守って下さいました。
「ゼオラ、結婚おめでとう!」
ゼオラさんのご自宅は静かな住宅街の一角にありました。お家を出てしばらく歩かれると、道行く方々が口々にゼオラさんへお祝いを仰います。
「その子が強奪した嫁さんかい」
「ついに身を固めたか」
「この町にもミサイルが降るかねえ」
「俺が護ってるんだから平気だよ」
ゼオラさんは皆さんともお知り合いなのか、嬉しそうにお言葉を返されます。町の至るところに色とりどりのバラが咲いていて。さり気なく手入れされ、美しく咲き誇っていました。
「この町は俺が作ったんだ」
ゼオラさんが前を見て歩かれながら何気なくそう仰るので、私はびっくりしてしまいました。
「俺って王族の末裔でね。土地があったから病院建てたんだ。薬物治療専門の病院ね。退院してもまた薬やっちゃう人もいるから、そういう人たちの自助グループや働く場所も誘致して。この町はそういう場所なんだよ」
「すごいですね……」
私が感動してうなずくと、ゼオラさんは少し苦笑なさいます。
「俺もヤク中だったからね。この国には結構多いんだよ」
ゼオラさんは母国を愛し、憂いておいでなんだと私は思いました。私は中毒から回復されて病院まで建てられたゼオラさんを心から尊敬致しました。
「そんなに敬わないでよ。俺の依存体質は変わってないからさ。やっと君を手に入れたから、これからは君に依存するだけだし」
ゼオラさんはそう仰って私の左手をギュッと握って下さいます。
「この町には特に見どころもないからなあ。聖堂にでも行ってみる?」
「はい」
ゼオラさんがそう誘って下さるので、私はうなずいてお任せしました。途中、白フクロウになられた分身さんもゼオラさんの左肩にとまられて。ゼオラさんは分身さんと無言でコミュニケーションを取られると、そのままお歩きになりました。