起きたら明るくて、頭が少し混乱していた。朝、じゃない、昼か……? ハルカはもうベッドから出ていて。こたつに座って、ぼんやり外を見ている。俺は裸の上半身だけを起こして。すべてはもう戻らないのだと悟った。
「ごめん……痛かった、よな」
謝ったって仕方がなかった。やってしまったんだ。どうしてきっぱり別れてやれないんだろう。どうして俺はここまで、この人に執着してしまうんだろう。こんなに苦労せずやらせてくれる女なんて山ほどいるじゃないか。ハルカなんて、顔も体も大したことないじゃないか。どうして。
ハルカの背は心なしか小さく見えた。一晩で痩せた……? まさかな。俺が貸した男物のスウェットのせいかもしれない。ハルカはゆっくり振り向くと、少し笑った。産後の母親のような感じを俺は受けた。年の離れたいとこが生まれてお見舞いに行った時の叔母さんが、こんな目をしていたと思った。
「私こそ、ごめんね。遼くんにずっとつらい思い、させちゃって……」
ハルカの目が涙で潤んで、俺は抱きしめてやりたく思った。でも泣かせたのは俺なんだ。加害者は、俺。
「ごめん……」
もう、終わりなのかな。俺は無言で、脱ぎ散らかした服を着た。
「病院行こう」
今日何曜だったかな。あまり遅くなると医者が閉まってしまう。産婦人科か? そもそも何て言って受診したらいいんだろう。彼氏に強姦されましたって……? 何をしてもハルカを傷つけるような気がして、ベッドに座ったまま動けない。
「大丈夫だよ、そんなに痛くないから」
ハルカは照れたように笑うと、うつむいて膝を抱えた。もっと二人で幸せになりたかったな。もっと、幸せにしたかった。この人につらい体験をさせただけの男に、俺はなっちゃうのかな。好きな女と付き合って、イチャイチャして、ラブラブで。そんなどこにでもいる、ありきたりな二人になりたかっただけなのに。俺はどこで間違ったの? 全部俺が悪かったの? 好きな女を抱きたいと思うのは、そんないけないことなの? 俺はどうすればよかったの……? 教えてよ、ハルカ。