「俺と別れてどうすんの? 一生処女を守れるわけじゃないんだろ? ハルカの性格じゃ絶対無理だよ。俺以外の、もっと押しの強いやつに負けて流されるように、結局体を許すんだろ?」
そんなの、絶対嫌だよ。お前を信じてここまで待った俺が馬鹿みたいじゃん。そんなの、絶対許さない。俺はこれほど殺意がわいたことは生まれて初めてだと思った。俺を裏切ったハルカと、ハルカを抱く未来の男に、激しい殺意を抱いた。
「俺は別れないよ。絶対、別れない」
ハルカの体を持ち上げながら立ち上がると、投げるようにベッドへ転がした。馬乗りになってその目を見つめる。ハルカの目には涙がたまって、澄んだ瞳をより美しく見せていた。お前は悪魔だよ。俺を踊らせて、俺の気持ちを弄んで楽しいか? お前の「お付き合い」は所詮ままごとだ。お前のこと束縛して調べ上げて、ずっと一緒にいてもいいと思ってた俺の気持ちがわかるか? ただの体目的じゃない、結婚して一生そばにいたいとまで思い詰めてた俺の気持ちが、お前にわかるのかよ。
「ごめん、もう無理。やるよ」
ガチャガチャとベルトを外して、上着もシャツも脱ぎ捨てた。
「寝てればいいから。力だけ抜いて」
「うん……」
ハルカは怯えたようにぎゅっと目をつぶった。目から耳にスッと一すじ、涙が落ちて。それから恐る恐る目を開くと、涙ぐみながら俺を見て、つぶやくように言った。
「ごめんね。遼くんの好きなように、して……」
涙に濡れた睫毛が震えて。悲しくて悔しくてエロくて、俺の頭は沸騰しそうに沸いていた。イヴの夜1年以上付き合った彼氏の家に来て別れ話って、無理があるだろ。誰だって我慢の限界だよ。結局乱暴なやり方じゃなきゃお前は手に入らないんだろ? そんなに怯えなくたって殺しやしねえよ。死なんて逃げ道、与えると思うか?
俺はハルカの両手を恋人繋ぎで強く押さえ込んだ。今まで拒んできたこと、後悔させてやる。理性どころか、記憶も飛んでいた。