結果から言うとハルカの言うことは正しかったらしく、彼女はおくてで処女だった。処女との夜ってはじめてで、俺は最後までできなかった。でも無理やりやったら嫌がられるよな。
俺と付き合うのもOKらしく、あれほど欲しかった女が存外簡単に手に入ってしまって俺は少しガッカリした。もっと拒んでほしかったかな。でもまだ完全にやれたってわけじゃないから。まだ気が抜けない。
「俺のスマホ見ていいから。ハルカのも見せてくれない?」
「いいよ」
ハルカは風が吹くより涼やかに俺にスマホを渡した。なんの抵抗もなかった。
「ロック、かけてないの?」
俺はびっくりしてしまって。なんて防犯意識の低いやつだ。これじゃ危ないと思った。
「俺と同じパターンでいい?」
俺は自分と同じロック設定をハルカのスマホに施すと、解除方法も説明してやった。
「あとこれはGPSアプリな。何かあったら助けに行くから。消さないで」
続いて彼女のスマホに位置情報共有アプリを入れた。これでいつでも互いの居場所を確認できる。安全確保なんて言い訳で、浮気防止のためだった。ハルカは悪いやつではなさそうだったが、何より押しに弱いので。ぱっと連れて行かれたりしたら困る。メッセージアプリの友達登録や会話履歴もざっと見せてもらった。今のところ変な奴はいなさそうだな。というか友達少ないわこいつ……何か地雷を抱えてるのかもしれない。
「俺とID交換しよう」
俺のほうが異常なんだろうという意識は一応あった。ただ目の前でスマホ見られて追跡アプリ入れられて好き勝手やられてるのに、ハルカはいたって涼しい顔をしている。俺のスマホにも興味ないみたいだし。普通の女ならやれプライバシーだ、束縛だと嫌がりそうなものだ。俺の前では黙っててもアプリ切ったり、履歴消したり。でもハルカにはそういう所が一切なかった。もうアホかと思うほど何もない。「秘密」という単語を知らないのではないかと思った。俺が頼めばいつでもどこでも見せてくれる。知的に遅れがあるのかもしれないとも思った。でも同じ大学に入れてるわけだし。一緒に授業を受けてみればハルカのほうが優秀で。俺はこの鷹揚な彼女に激しく嫉妬した。