みんなが眠るお墓の前に
ある花束が供えられました
「お友だちからだわ」
女の子はそっと出てきて
喜んで受け取ります
「よかったねえ」
おばあさんは微笑んで
同じように喜びます
「綺麗だね」
おじさんはまぶしそうに
目を細めて笑います
「みんなにあげる」
女の子は花束から
花をひとつずつ配ります
三十人に配ると
花はなくなってしまいます
女の子が困っていると
天使さまが
白い花を下さいました
みんなの手に渡して
三百五十人分下さいました
貧しいものすべてに
花をわけて下さいました
「私たちにも下さいな」
他のお墓からも頼むので
天使さまは笑って
花を咲かせて歩かれました