「母さんとずっと一緒にいたい」という 娘の願い短冊に書き
「今はもう動かない」時計の意味を 言い換えたくて増えていく語彙
「書くものはほとんど私の体臭」と 仰るあなたを感じたくなり
言うことをきかないほうが普通だね 私と違う人間だもの
私の間違いでした。 自分の物差しで人を見ていました。
夜更かしをした 眠りたくなかった 明日がこなければいいと思った
太古から変わらぬ営みと思えば 哀しいような可笑しいような
何気なくチラシの裏に描いた絵が 忘れられない一枚になり
鳥一羽閉じ込めること 花一輪摘み取ることもできぬ優しさ
何一つつぶやかず「いいね」だけを押す 垢のほうがフォロワー多い
昔かいたもののほうがずっと良かった 感性も年をとるのね
何か良いニュースはないか調べても 世界の終わる足音ばかり
君が幸せならそれだけでよかった なんて、かっこ悪い嘘ばかり
スライムやシャボン玉液作りに 大活躍のPVAのり
毎日亡くなる多くの人々のことを思って 祈るほかなし
来年は皆で笑ってお花見が できますように桜に祈る
空みたい海みたいなカーテンを ひいて僕らはシーツを|游《およ》ぐ
離れても年をとってもお互いに 所帯をもっても君は友だち
残りもの捨てられなくて食べている ぼくのおなかのやさしい脂肪
恋人を待つかのように公園で 遊び友達待ちわびる君
永遠にこの幸せが続くよに 願って描く創作同人
自分のこと認めてくれる人が数人いたら 人生上出来
あのひとは もうしんだんだとわかる いま 娘の5歳を祝いながら
描きかけの落書きばかりたまってく 光輪を負う天使ばかりが
一日中遊んだくせに20時から だるまさんがころんだをする君
一部でも一瞬でも一生でも 何かを伝えようとして描く
自分だけのために作ったものを 好きになってもらえたら奇跡
みんなの「大好き!」を披露する宴 競争が協奏して響く
「したこと」を親は数える 「してもらえなかったこと」を子は数える
「なんか変な木だな」とでも思うのか アリが一匹私を登る
好きすぎて評価も批判も怖くて 投稿できない作品があり
「白髪染め おすすめ」などと検索す まだある髪に感謝をしつつ
時期外れ三密避けた墓参り あの日もこんな青空だったね
異世界に親しめるほど若くなく 日常ものが私の癒し
ありがとう愛してくれてありがとう 私とともに歩いてくれて
私を倒そうとする君だけが 真の理解者のような気がして
用も済み各駅停車に揺られてる 電車に乗ってる時間が好きだ
東から涼しい風の吹く夜に 君と結んだ星を見ている
一日に映画を一本ずつ観たら 私も何か変われるかしら
久しぶり水族館に行ってみる イルカとシャチとマイワシの群れ
日焼けした子供たちの笑い声 市民プールに夏の花咲く
音楽もラジオも聴かず運転す 走行音だけを友として
友だちと自由に遊ばせられぬ事 親として最もつらい事
すぐモノを欲しがるこども 本当に欲しいものは手に入らなくて
「きっと永遠がどっかにあるんだと」 探していたね私たちも
自立とは程よく誰かを頼ること 一人に頼りすぎないこと
暑かった今日も一日頑張った 生き抜いたことを褒めたい夏だ
鈴虫の鳴き声きいてほっとする 酷暑も少しずつ去ってゆく
抱きしめてふれあうだけのキスをして それより先はしたくなかった
死ぬ時を見たくなくて生き物を 飼えぬ私を笑って下さい
LOFTよりドンキが性に合っている 頭ん中もごちゃごちゃしてる
君をぎゅっと抱きしめて「よくがんばったね」と言う そんな人でありたい
目が覚めて隣に好きな人がいる そんな幸せ夢見てただけ
40年困り続けた日常に アスペルガーの診断がつく
オバサンでいるのが面倒くさくて もういっそおばあちゃんになりたい
綺麗で哀しくて空しくてエロい そんな話が書きたいのです
紅葉の落ち葉が好きだ 生き抜いた赤や黄色がサクサク鳴って
今日もまた虚構の中で見る人を 傷つけたりなだめたりしている
空想なら何を想ってもいい 頑張ったから疲れているんだ
何もかも昔に戻れたらなどと 無理なことはわかっているのに
歌声に一つと同じものはなく 人の歌唱を聴く楽しさよ
神なんて胡散臭いと思うのに 君に会うためあの世を信ず
異世界で幸せに暮らしているかも しれないなどと願う午後だ
異世界で幸せに暮らしているなら 私のことも忘れたかしら
ほんとうに頑張ったなとおもうんだ ここまで生きてこられたことに
息をするように物語を紡ぐ 生きていたこと証するよに
十年前君と選んだ炊飯器 薄型テレビも寿命を迎え
捨て猫を飼えるのも愛 前の子を思い出して飼えないのも愛
義理いいね義理のブクマが気になって 僕はそこには向いてなかった
十年後二十年後がわからない しあわせになる未来が見えず
泣き笑い思い出だけが人生だ ゲームアプリと何が違おう
配信者生き様自体遺書のごと 声と姿を遺していって
梅雨空のこの雨音を古代(いにしえ)の 私もこうして聞いたのかしら
もうダメだ限界だと思った時 突破口は開けるらしい
あと十年この体がもてば良い そう思えれば多少はラクだ
盆正月人が休んでいるときに 働く者に私はなりたい
次の世は草になりたいあの方の 足元に生う草になるんだ
運悪く遺体となって帰宅した 君への思い「ありがとう」だけ
二十一世紀でも隠者になりたい 小さな部屋で静かな暮らし
星々は神の神経細胞で 我々は想像物なのかも
この星も限りあるから美しい 咲き散る花も虫も私も
脳よバグれ脳よバグれ私にも 主の訪れを見せて下さい
できるだけ加工しなさい全世界に ホントのキミがバレないように
汚さない傷つけないし自由なの 人は空想に救われている
もう二度と愛するものを見つけまい 逢えば別れがつらくなるから
土建屋は自分では決して住まない 建物のため穴を掘る掘る
洒脱さも軽みも要らぬ短歌には 恨みつらみを詠みこめば良い
安らかに死ねる権利が欲しいのさ 経済発展にはならずとも
この空を高く自由に飛翔せよ 親は踏みつけ超えていくもの
迷っても同居介護はしなさるな 独りで死ぬ覚悟はできている
「なぜ生む」と問うなよ友よ信じたのだ 君なら僕を超えてくれると
救命に連絡されず死んだ後 通報される装置がほしい
死に様よ生き様となれ望まない 生のくびきは断るつもり
氷河期は昔のことさ良かったよ あんな悲劇はもう起きないんだ
我々は一部の生き残りに過ぎぬ 多くの仲間が散っていった
J-POP、マンガ、ゲームも全盛で 思い出だけが輝いていた
少しくらい親らしいことできたかな テーマパークに君を連れてく
付き添いで乗り物に乗り目を回し 守ってくれた人を思い出す
父親がいればもっと買えただろう もっと回れただろうと思い
君がいた町君と乗ったあの列車 君の声が耳から消えない
一人ではできないことをするたびに 君が守ってくれたと思う
新しい誰かを探す気になれず 死んでしまった君が恋しい
いつまでも園児のように泣いている 私を迎えに来て下さい
おじさんになった君が見たかった おじいさんの君も見たかった
「幸せになってもいいよ」「ありがとう」 でも君がまだ忘れられない