細くてあたたかい腕に包まれて。抱きしめられているのだとわかるのに時間がかかった。ハルカは俺の隣に座ると、細い腕で俺の頭をかかえるように、そっと抱き寄せた。
「なんで……抱きしめたりするんだよ。今すぐ逃げてよ。また襲いたくなっちゃうよ、俺……もう、耐えられないよ……」
熱い涙がハルカの胸を濡らして。泣いているのは俺の方だと気づいた。
「……俺は、ハルカに泣いてほしいわけじゃないんだよ。笑ってほしかったんだよ。俺に抱かれて、俺の胸で気持ちいいって笑ってよ。俺を愛してるって言ってよ」
俺を愛して、受け入れてよ……。
熱い涙がボロボロ流れて。こんなに泣いたのはいつ以来か思い出せないほどだった。このまま別れれば俺も楽になれるかもしれないのに。やっぱり絶対、別れたくなくて。これで終わりにしたくなくて。
「気持ちよくなるには、時間がかかるんだよ。終わりじゃなく、ここを始まりにしたいんだよ。サイテーな始まりだろうけど……」
もっと俺を知ってよ。もっと俺とケンカして、傷ついてよ。体で俺を覚えてよ。こんなんじゃ全然満足できないんだよ。もっとハルカを知りたいし、ハルカに俺を知らせたいよ。
バージン捧げてほっとしたって顔してる彼女に心底腹が立っていた。俺と寝るのがそんなに苦行なの? ハルカをもっと気持ちよくしたいし、君を気持ちよくできるただ一人の男になりたいのに。このまま忘れ去られるくらいなら、嫌われても記憶に残ったほうがずっとマシだよ。他の誰かに抱かせるくらいなら。俺がやるよ。
「キス、するよ」
唇に触れるか触れないかのキスをして。ハルカにゆっくり自分の頬を摺り寄せた。互いの体温を感じ、目を閉じて。囲われ絡めとられたのは俺の方かもしれないと思った。