「そーなんだ」
ヒューは「ハアー」とまた大きなため息を一つつくと、
「いるんだよね、姉さまみたいな人」
自分のベッドから立ち上がって私の隣にドシンと腰掛けると、足を組んで座りました。
「姉さまみたいな、大金持ちで世間知らずで親の後ろ盾もない女って、間違いなく金目当ての悪い男に騙されるんだよね。甘いセリフにコロッとやられて、結婚したら即愛人作られて死ぬまで顧みられない人、腐るほど見たよ」
ヒューの説明があまりにも的を射ているので、私はさらにしょんぼりして何も言うことができませんでした。まるで私の未来を予言するかのようです。
「可哀想な姉さま! いっそ貧乏な田舎娘だったほうが内面を見てもらえる分良かったのかもね。まあ姉さまみたいにボンヤリした女じゃ、やっぱり悪い男に騙されて捨てられるのがオチだろうけど」
そう、なんだ……私は恵まれすぎて、何もしてこなかったから。ヒューのような努力家で頭の良い人から見ると、本当にダメなのでしょう。ヒューはすっかり元気をなくした私の肩を抱き寄せると、優しく頭を撫でてくれました。
「大丈夫だよ! 僕が姉さまにぴったりの人、見つけてきてあげるから」
私の耳元で囁くように、笑って言います。
「その代わり、僕の言うこと何でもきくって約束してね。悪いようにはしないから」
「うん」
私はいつもの癖でついヒューの提案に頷きました。ヒューは昔から私が何か困るたびに、私にとって最善の解決策を必ず用意してくれます。私の周りはこういう優秀な人ばかりなので、私はつい頼って、自分からは何もしなくなってしまい……こうやっていつまでも周りのせいにしているからダメなのでしょうね。
「さあ、もう寝よ!」
ヒューは私をギュッと抱きしめると、そのままベッドに横になってくれました。ああ、懐かしい……ヒューがまだレイクロード家に来たばかりの頃、あまりにも不安そうだったのでこうやって私が抱きしめて二人で眠っていたなと思いながら、今は私よりずっと大きく、逞しくなったヒューの胸で私はスヤスヤ眠りました。