飲み会では俺は常にハルカの隣をキープして、でも始終無言で飲んでいた。まあジンジャーエールなんだけど。何かしゃべればいいのに。ハルカは他人の話に微笑むだけで、何の会話もふってこない。俺に興味ないのか。
俺はイライラして山盛りの唐揚げをむさぼった。ハルカはウーロン茶を飲みながら、俺の箸の動きを見るともなく見ていた。
「お前も食えよ」
俺はイライラして、直箸で取った唐揚げを小皿に盛り付けてハルカに押しやった。
「ありがとう」
ハルカはちょっと驚いたように俺の頬を見た。俺が前しか向いてないから、俺の顔は見られないのだ。
「美味しいね」
ハルカは俺に言われたとおり唐揚げをほおばると、嬉しそうに言った。イライラした。なんで言われた通りに食っちゃうんだよ。何か盛られてたらどうするんだよ。飲みかけのグラスを空けずにトイレに立つのも嫌だった。戻ってきて座ると、また何の疑いもなくそのグラスに口をつけて。なんでつゆほども疑わないんだよ。危なっかしいんだよ。俺がいい奴だって保証はあるのか? 世の中には危険がいっぱいだってのに……。
俺は唐揚げとサラダとフライドポテトと鍋と、とにかく元を取ろうとやたらに食った。取り分けられたハルカの鍋の具が必ず俺に回されて。
「ありがとう」
皿を渡すたび、ハルカは微笑んで俺に礼を言った。