投稿日: May 24, 2018 10:8:1 AM
高舞台で舞楽の開始を待つ観客
午前9時50分、かすかになびく海風を押し分けて、竜笛が舞楽の幕開けを告げました。
鉦、鼓、笙などリズミカルに奏でる雅楽にあわせて舞楽、振鉾(えんぶ)のはじまりです。
舞楽の最初に舞われる儀式的な舞曲で、舞台を清める舞だそうです。
左楽房から舞楽装束をまとった舞手が登場し、本殿に向かって天地の霊に祈りをささげ、
高舞台に待機すると、次は右楽坊から登場し清めの舞を披露しました。
このあと舞楽は、萬歳楽(まんざいらく)・延喜楽(えんぎらく)・蘭陵王(らんりょうおう)
・納曽利(なそり)とつづき、最後は長慶子(ちょうげいし)の雅楽演奏で終わりました。
5月いろは談義(40回)は、宮島厳島神社に伝わる舞楽の鑑賞会でした。
厳島神社は推古天皇が即位した年に建立され、その日にちなんで、
毎年、遥拝式が行われ舞楽が奉納されています。
その日をめがけて厳島神社に参拝し、古式豊かな雅楽と舞楽を観る、
40回目のいろは談義でした。
宮島桟橋に午前9時20分集合し、厳島神社に昇殿。
修学旅行でしょうか小学生、中学生らしき一団が参道も回廊も埋めていました。
舞台となる本殿前の高舞台はすでに大勢の参拝者が取り囲み、
やがて始まる舞楽を今や遅しと待ち構えていました。
立ったままで舞楽を観るのかな、と少し不安になっていたところ、
木製の折りたたみ式の長椅子を、神官が運び込んで設置して、
舞台正面に4列の観客席ができあがり、運よく座って観覧することができました。
厳島神社高舞台に表示された演目名は陵王となっていました。
朱の大鳥居や回廊よりも鮮やかな赤い舞楽装束をまとい、
黄金色の鳳凰の面をかぶり蘭陵王が登場すると、高舞台は最高に華やぎました。
この儀式のように見える演奏者のぞろぞろ歩き移動には訳があるそうで、
舞楽の種類には2種類があり、種類ごとに使う楽坊が決まっているそうです。
インドや中国から伝わった舞楽は「左舞(さまい)」と呼ばれ、
朝鮮半島から伝わった舞楽は「右舞(うまい)」と言い、
「左舞」は「左楽房」にて演奏、「右舞」は「右楽房」にて演奏するんだそうです。
舞楽鑑賞の初心者には、こんなことも目新しい発見でした。
ちなみに、右楽房とは本殿から海(鳥居)の方向を見たとき右手にある楽坊です。
さて、舞楽のこの日のメインエベントはやはり蘭陵王(らんりょうおう)でしょう。
萬 歳 楽
奉納する演目が一曲終わると、雅楽の演奏者は左楽房から右楽坊に移動する。
平舞台をぞろぞろ歩いて、移った右楽坊で次の曲目を演奏するのだ。
袍(ほう)と呼ばれる平安時代の上着の裾(すそ)を後ろに長く引いて舞うのですが、
軽々とした身のこなしで、みごとにさばきながらの舞をみせてくれました。
何度か大きく右に、左にと飛び跳ねる所作がじつにしなやかで、
まるでスローモーションの映像を見ているような感覚を覚えるほどでした。
舞楽をじっくり鑑賞した後は、ふじたやのアナゴ飯、
そして折から開催中だった大聖院での辻村寿三郎人形展に足を運び、
ここで白河法皇と平清盛に対面し、盤双六の縁を感じました。
さらに、大聖院の本堂地下の真っ暗闇の中にある西国四十八ケ所巡りをして
ご利益をたくさんいただいて帰路につきました。
多彩な文化に触れて実りの多い、こころ豊かになる宮島での一日でした。
蘭 陵 王
約千四百年前、中国の北斉の国王だった蘭陵王長恭(ちょうきょう)が、
周の大軍と戦い大勝して勇名を轟かせた武勲を称え作られたと舞と伝えられています。
戦勝をたたえる舞とあって派手な所作で観客を魅了します。
第40回邦楽いろは談義(5月)
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厳島神社で舞楽に親しむ
日時:2018年5月18日(金) 午後9時00分~正午過ぎごろまで
会場:廿日市市宮島町1-1 厳島神社 高舞台
テーマ: 厳島神社で舞楽に親しむ ~推古天皇遥拝式~
参加費:300円(昇殿料)。 交通費、食費は各自で負担
開催日時と集合場所
開 催 日: 2018年5月18日(金)
集合場所: 廿日市市宮島町 宮島桟橋前の広場
集合時間: 午前9時15分
参加人数: 6人