投稿日: May 31, 2016 10:23:2 AM
四国こんぴら歌舞伎の旅の報告です。
すっかり遅くなりました。
このところのこんぴら歌舞伎鑑賞の旅は、
公演開始が午前11時からの第1部の鑑賞がつづいています。
早朝出発して金丸座に到着するともう、入場が始まっていました。
あすは、千秋楽。
その前日の金丸座には、なんとなく浮かれた雰囲気がただよっていました。
金丸座は江戸時代のままの寸法で芝居小屋が作られているため、狭いんです。
現代人には少々窮屈な客席だったのですが、年々改善策が講じられて、
桝席は広さはもとのままですが、席数を6人から5人に減らして、
一人当たりのスペースを少し広くし、そこに座椅子が使えるようになりました。
このお蔭で3時間あまりの舞台を観るのが、ずいぶんと楽になりました。
西桟敷1の私たちの席から見た、客席はこんな感じ(写真下左)でした。
写真では、客席を仕切る「歩み」と呼ぶ15センチばかりの敷き板を通路に、
前掛け姿のお茶子さんが、客を席まで案内しています。
西桟敷1から見た客席 鴈治郎の襲名披露を祝う幕
今回は、四代目鴈治郎の襲名披露公演とあって、
きらびやかに襲名を祝う幕が、浮かれた雰囲気をさらに盛り立てていました。
第二幕だった襲名披露の口上をはさんで、第一幕と第三幕はお芝居で、
いつも歌舞伎を観ていて思うのですが、荒唐無稽な筋書きながら、
義理と人情の世界に引き込まれ、ついほろりとなっているのです。
この日の最初の出し物は、
一、彦山権現誓助剱 (ひこさんごんげんちかいのすけだち)。
豊前国毛谷村に住む百姓が剣術の達人で、この百姓の下に、
許嫁だという女と、母親にせよという女が相次いで来るなど、
荒唐無稽の典型のような筋書き。
無理な筋書きを、さもありなんと思わせながら話を運んでいくのが
太夫の語りと、三味線の伴奏です。
片岡愛之助の好演とあいまって義太夫狂言ならではの魅力あふれる作品でした。
ちなみに三味線は、広島では浄瑠璃ライブでおなじみの野沢松也師匠でした。
義太夫狂言が終わり、第一部の楽しみであるお昼の弁当は、「かべす」。
「かべす」とは、江戸時代から芝居小屋で使われていた言葉だそうで、
「菓子」「弁当」「寿司」の頭文字をとっています。
菓子は定式幕ロールケーキ、弁当は鰆の味噌漬けなど9品、寿司は押し寿司の笹包み。
これが「かべす」
弁当を食べた後の第二幕は、襲名披露口上。
坂田藤十郎、中村鴈治郎、中村扇雀、片岡愛之助、市川中車らが
勢ぞろい、絶妙の口上を披露して、楽しませてくれました。
三幕目は、幸助餅(こうすけもち)
大坂で指折りの餅米問屋大黒屋の幸助(鴈治郎)と、
贔屓にする力士の雷(いかづち)をめぐる人情芝居で、歌舞伎でいう世話物でした。
力士雷を市川中車が好演し、憎々しさと人情味をみごとに見せてくれました。
三越謹製のお昼弁当「かべす」を食べ、
いつものことながら、ビールや酒も旨さもうましで、
たっぷり芝居を堪能し、酒にも満足した芝居見物の一日でした。
~「第三十二回 こんぴら歌舞伎鑑賞の旅」~
◇ 実施開催記録
日時: 2016年4月23日(土) 午前6時50分~午後6時30分(予定)
費用: 29,000円
会場: 香川県中多度郡琴平町 金丸座
人数: 40人、 全行程45人乗り大型貸し切りバス。
主催と共催: NPO法人キラリ会、NPO法人Den10の会