実は私の母は、ずーと大阪の船場の生まれなのですけれども、
彼女が小さいころは、女の子は着物を着せても、小さいころは着物は結構引っ掛けるんですよ。
ほんとの日本の建築ですと、ドアのノブとかありませんから、まだいいですけれども、
洋風のお屋敷ですとしょっちゅうドアの部分にね(引っ掛けて)、
びりびり、ということが有るんですけれども、着物は私は好きなんですよね。
洋服だと、キレが布であって切り刻んで、ぴちぴちっと作るじゃないですか。
確かに動きやすくて合理的で、今日もみなさまお洋服が多いですし、
私も普段は洋服ですし、便利なんですけれども、
着物って、何か自立しているような気がするんですよね。
布は四角いまま、できるだけ四角いまま切っていって、身体を合わす。
丸い身体に四角い布をあわして、そして余った所を袖とか、この皺になったところが飾りになる。
お洋服ですと、わざわざ、おリボン付けますけれども、
着物の場合は帯を結んで、便宜上結んで、それが美しい形になるという、
そういった意味では、合理的なんではないかと思っていますが、
それだけに余った部分が多いですので、ちょっと日常の仕草も必要なわけです。
ただ単に、着て走り回っていては、あちこちびりびりとなってしまいますので、
京阪神では女の子がもの心ついて、6歳の6月6日から、
お琴や三味線をする子がいましたけれども、
そういう着物を着た姿が美しいようにと、そしてあまりお転婆しないようにと
舞を習わせるということがございました。
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