投稿日: Aug 15, 2017 6:33:43 AM
たくさんのご来場、ありがとうございました。
夏に舞う 雪・津軽公演が終了ーーー。
すばらしい公演となり、たいへん好評でした。
「夏に舞う 雪・津軽」公演は、
7月23日(日)開演し、盛況のうちに終了しました。
たくさんのご来場をいただき、ありがとうございました。
本願寺広島別院 共命ホール(広島市中区寺町)が公演会場でした。
本川(大田川)に真夏の日差しが照りつけ、
川の水温も上昇するかと思えるような暑いさなかでの公演でしたが、
会場には、着物を召してご来場の女性の姿があちらにも、こちらにも。
なごやかな雰囲気のなかに、華やぎの香りがたっていて、
みなさんの伝統芸能への深い思いがあふれた公演会場となりました。
開場時刻を早めて入場開始
来場者がつぎつぎと訪れて、共命ホールのロビーは
開場前の午後1時30分には、はやくも窮屈な様相となりました。
このため、開場を早めて開扉し入場が始まりました。
地歌舞をしげしげと眺めたい人たちは前のほうから、
瞬く間に席は埋まり、150人の観客で開演を迎えました。
「津軽じょんがら節」 津軽三味線:黒澤博幸
黒澤博幸が力強い撥さばきで、「津軽じょんがら節」を披露し、
存分に津軽三味線の迫力と、繊細な音色を会場に響かせました。
3、「 雪 」
上方の地歌の代表「ゆき」に、後の世に舞を振り付けしています。
江戸時代の天明~享和のころ大阪で活躍した盲人の音楽家で、
自らも三味線を弾いた峰崎勾当の作曲です。
音もなく雪の降りしきるなかを、ひとりの女人が山道をたどります。
道ならぬ恋。
年若き女人の恋人は、その恋を成就するため罪を犯してしまうかもしれない。
舞:古澤侑峯 津軽三味線:黒澤博幸
2、津軽じょんがら節
つづいては、みなさまご存知の「津軽じょんがら節」。
本願寺広島別院での「夏に舞う 雪・津軽」公演の
模様を写真でご覧いただきながらお伝えします。
1、最初の舞台は、「雪奉り」
黒澤博幸の篠笛と、魂を揺さぶる津軽三味線が、会場をまず圧巻します。
東北に雪をあらわす言葉は多くあり、雪に神聖を求め、
跡隠し雪(あとかくしゆき)は大師講に降る雪で、この夜、
家々を回る大師様の足跡を隠すために雪が降るなどと、言い伝えています。
東北人の黒澤が、神聖な雪をモチーフに作曲した「雪奉り」は、
雪を崇めるではなく、恐れるではなく、猛吹雪を奉る速いテンポの曲です。
対してゆったりとした御殿舞を修めた古澤が、
黒澤の速い津軽三味線に寄り添って、雪奉りを舞いきりました。
「雪」 地歌舞:古澤侑峯
その恋を断ち切るために、尼寺に向かう女人。
山の端には、茜色の雲が恋の残り香のようにかかっておりました。
花も雪も振らえば 清き袂かな。
美しい花も雪も払って、なお清く生きようとする女人の心栄え。
古澤侑峯が、清く生きる女人の心意気を、しっとりと舞いきりました。
4、津軽三味線即興演奏
津軽三味線は、ジャズと同じで即興でその場の雰囲気を見て演奏します。
即興演奏 津軽三味線:黒澤博幸
黒澤博幸は、即興で津軽三味線3曲を演奏しました。
最初の演奏のあとは、軽妙な黒澤のお話がつづきます。
津軽三味線の皮は犬の皮だ、との紹介に始まって、
最近は、津軽三味線の皮に旭化成の人工皮を使っている。
「では、ニセモノではないか。安心してください。
演奏している私は、ホンモノの演奏者です。」
と、笑いを誘うと、緊張していた会場の雰囲気がいっきにほぐれました。
津軽三味線の生い立ちへと、黒澤は話を進め、
まだ160年と歴史は浅く、1857年(安政4年)に津軽三味線が始まる。
と、続けます。
津軽三味線の発祥の地、金木町に秋本二太郎が誕生。
父は、渡し舟の船頭、母は瞽女(ごぜ)。
目が見えないので、3人一組で縄で縛って一緒に行動した。
16歳のとき、二太坊と名乗り、坊さま界の頂点に立った。
そして、伴奏楽器である三味線を独奏楽器に替えた。
二十歳になり結婚する。相手はイタコだった。
二太坊は演奏を研究していて、イタコ修行を勧められ、
そこで津軽三味線の振りを会得した。
5人の弟子が来た。初代の高橋竹山は孫弟子。
二太坊の最後の直系の弟子が、
昭和の津軽三味線の神様といわれる白川軍八郎で、
三橋美智也の師匠になる。
「さて、みなさまをいっきに、恐山にお連れしたい。
麓にあるタマズのおしまさんという女性の歌で、
金木地方で大事にしている、念仏歌を聴いていただきたい。」
念仏歌と、津軽じょんがら節の即興演奏を2曲続けて演奏し、
会場の観客を黒澤の世界に引きこんで、持ち時間を閉めた。
「念仏歌と津軽じょんがら節」即興演奏 黒澤博幸
5、古道成寺
最後は「古道成寺」。地歌舞は古澤侑峯。
地歌舞に寄り添って黒澤が音を紡ぎ、名手の舞です。
黒沢博幸が持つ楽器は津軽三味線ですが、
ここでの奏法は三弦演奏で、ピックを持った演奏もまじえ、
津軽三味線の演奏との違いをくっきりと際立たせていました。
思いを寄せた僧安珍に、裏切られた少女清姫が激怒のあまり蛇身に変化し、
道成寺で鐘ごと安珍を焼き殺す女の執念を描く、起伏の激しい地歌舞です。
地歌舞:古澤侑峯 地歌舞「古道成寺」 三弦:黒澤博幸
地歌舞には珍しい所作の大きな舞で、
たおやかな舞のなかに秘めた、女の壮絶な執念と悲しさが繰り広げられる舞台に、
会場を埋めた150人の観客は、ぐいぐいと引き込まれくぎ付けとなりました。
激しい女の執念を舞った地歌舞で、
夏に舞う 雪津軽 公演は、みごとに終了いたしました。