投稿日: May 30, 2019 2:30:47 AM
県境の西国街道、矢掛宿を訪ねて・岡山 5月いろは談義の報告
5月いろは談義(第45回)は、県境の西国街道を訪ねての旅でした。
これまで瀬野川流域、二葉の里七福神巡り、草津の街道めぐり、と3回を重ねた
西国街道の旅は、今回は、県境の西国街道を訪ねて備中矢掛を旅しました。
福山駅の福塩線のプラットフォームに、2両編成の列車が滑り込んでくる。
西向きが1号車、東側は2号車。
府中からの列車は福山駅で折り返し運転となり、この後10時41分発の府中行きとなる。
広島から新幹線でやってきた一行と福山から参加する者が合流し、列車に乗り込む。
7人が向き合って向かい合わせの長椅子席にゆったりと腰掛ける。
車内は常連の乗客ばかりのようで、話し声もなく静かだ。
そこへ新参の観光気分の一団が乗り合わせて、天気模様や
これから行く矢掛の町などてんでに話すので、つい話声は大きく響く。
福塩線は広島県東部の備後地方を流れる芦田川に沿って北上する。
突然車内に、罵声がとどろいた。
「うるしゃーのう!!」
声のほうを振り向くと、向かい座席の4,5人後部あたりで中年男性がこちらに顔を向けている。
仲間内の気安さで大きな声になっていたことをとがめられたか、と一瞬思った。
「音を消せーや!!」と、さらに怒鳴り声が響き、その視線の先を追うと、
どうやら中年男性向かいの座席でスマホの動画サイトを車内に響く大音量で、
見ている女学生に向けられているようだった。
女学生は、男性の声を無視するかのように大音量のままだ。
「自分だけ聞けるようにせーやー!」と、中年男性が追い打ちを掛けると、
女学生はしぶしぶスマホの大音量を消した。
広島では見かけることのない列車内の光景と、
車中に響いた備後弁のなつかしさに、Den10の会の福山出身者は、
互いに首をすくめ、「備後ではよくある日常よ」、とひそひそ声でささやいた。
神辺から井原鉄道に乗り換え岡山県に入ったところで備中矢掛駅に到着する。
駅から歩いて、魚藤(うおとう)が昼食会場。
小田川沿いの古い日本料理のお店で、幕の内弁当をいただいた。
刺身、エビフライ、里芋などの炊き合わせ、で
丁寧なつくりで、味はいうことなしの素敵なランチとなりました。
矢掛宿案内人の三村さんが魚藤に現れ、街並みをガイドしてもらう。
魚藤の建物の中を通り抜け西国街道にでると、すぐそばに本陣が。
矢掛本陣は、見どころ満載で、案内人の三村さんの説明も力がはいり、
われわれ一行のつたない質問にもていねいに答えて、詳しい歴史にまで話は及んだ。
西国街道を経由するのは、四国、九州、そして長州、石州辺りの中国地方で、
江戸時代末期に薩摩藩から幕府に輿入れした天璋院篤姫が矢掛本陣に宿をとった折に、
本陣石井家当主が書きのこした書面など、めずらしい記録や品々が数多く展示され、
江戸の時代へ誘ってくれました。
西国街道の面する矢掛本陣石井家
名残は尽きねど、帰路に就く時間が訪れ、
矢掛名物の薄荷飴(はっかあめ)、天璋院篤姫が大量に買い求めたという柚餅子(ゆべし)など
てんでに、好みのお土産を買い求めて矢掛の町をあとにした。
◇◆ 第45回 邦楽いろは談義 ◆◇
テーマ:「県境の西国街道を行く、矢掛宿・岡山」
開催日: 2019年5月9日(木)
集合場所: 井原鉄道 矢掛駅
集合時間: 午前11時40分
散策コース:町並み案内人のガイドで。(所要時間約1時間30分)