投稿日: Apr 14, 2011 2:15:20 PM
四国香川の金丸座に、歌舞伎を見にいきました。
金毘羅歌舞伎のいまの正式名称は、
琴平町・四国こんぴら歌舞伎大芝居で、今年が二十七回になります。
ついでに、古い名称も表記しておきますと、旧金毘羅大芝居(金丸座)です。
バスで広島を朝8時前に出発、倉敷の老舗旅館で昼食の後、
待望の琴平へ着いたのが午後1時半ごろ。開場は二時半からです。
午前の部が終わって帰る人の群れであふれた、金丸座に通じる石段や道路は、
入れ替わりで、午後の部の入場者がつめかけ、再び溢れかえりました。
金丸座の前の入り口広場には、着物姿の上品な年配者、艶やかな娘さん、
ちらほらと奥さん連れのご亭主も。しかし、やはり圧倒的に女性が多いのです。
金丸座正面で入場を待つ人びと。
歌舞伎を楽しもうとする粋な人たちは早くも列を作って、開場を待っています。
陽気は良いし、場内で食べる食事や飲み物のお店が並んで、
なんとも浮き立つ気分です。
列が動き始め入場ができるようになると、うきうき気分は、もう最高潮です。
二階東桟敷の7番がわたしたちのDen10の会グループの座席です。
(リンク先の歌舞伎いろはのページに7番席が写真に写っています。
最下段のかけすじ説明写真中の二階左から二番目の枡席です。)
仕入れた、飲み物で喉を潤しながら幕の開くのを待ちます。
この日の出し物は、鈴ガ森(鶴屋南北作)、藤娘、そして鯉つかみ。
鈴が森では、幡随院長兵衛と白井権八の粋でいなせなやり取りの
名せりふを、幸四郎と梅玉がたっぷりと聞かせてくれました。
そして、鯉つかみは感動と感激の興奮の坩堝に引き込まれる
なんとも、大芝居そのものでした。
花道を、大きな人の丈ほどもある鯉が登場すると歓声が。
鯉の精と、小桜姫の恋の相手となる志賀之助の二役を染五郎が演じます。
はや抜けの度に、衣装が変わり、顔のつくりが変わる早業の連続。
そして、花道のスッポンにせりあがったかと思うと、
こんどは、するする宙乗りを演じるのです。
Den10の会が占めた座席二階桟敷東の7番は、宙乗りする染五郎が
すぐ間近に見える場所でしたから、額といわず顔と言わず吹きだした
玉の汗のキラキラ輝くひとつぶ一粒が、眼に入ります。
みごとな、染五郎の大芝居に興奮と感動がしばらくは治まらず、
帰りのバスの中でも、当分虚脱感にどっぷりと浸かってしまいました。
心地よい虚脱感は、まさに至福の一瞬をすごした証でした。
これだから、歌舞伎はやめられないのです。