投稿日: Oct 28, 2013 5:55:47 AM
新しく開場した歌舞伎座で、このほど芝居見物に出かけ、観てきました。
出し物は、夢枕獏の伝奇小説を歌舞伎化した新作 陰陽師(おんみょうじ)。
九月花形歌舞伎の千秋楽前日の9月24日(火)の夜の部でした。
東京メトロの東銀座駅で下車し出札口をでると、そこはもう歌舞伎座の地下二階フロアーに。
お弁当や、飲み物、そして歌舞伎座のお土産品を扱うお店が並び、
これから、歌舞伎を観ようとする観客が時間待ちでたむろしてなんとも華やいだ雰囲気でした。
夜の部が始まるまでには、しばらく時間があるので、第5代となる新歌舞伎座の建物を、
拝見することにして、館内と概観をじっくりと見学してまわりました。
まずは、新歌舞伎座を概観しよう、外へ出て正面から見上げました。
それがこの写真。
その後、5階の屋上庭園と歌舞伎座ギャラリーへ。
同じような考えの人がたくさんいて、どこも人であふれていました。
屋上庭園には、出雲阿国の桜を移植してあり、新歌舞伎座の名物になりそうです。
屋上庭園を下ると、歌舞伎座の屋根瓦をまじかに見ることができる見学路があり、
ここにも人、人。
瓦を見た後は、歴代の歌舞伎座の座頭や幹部役者の写真と履歴を紹介した
額縁がずらりと並ぶギャラリーを見学。
ここでは、初代の歌舞伎座からの著名なすべての役者に会うことができます。
十代目団十郎、五代目菊五郎、仁左衛門、吉右衛門、
そして先年鬼籍に入った十八代目勘三郎まで、お目にかかることができる。
さて、いよいよ夜の部の開場し、入場すると、私たちの席は
なんと、花道のすぐそばの前から3列目の好位置の席を取っていただいていました。
開演前の歌舞伎座の館内はこんな感じでした。
さて、夜の部は、
新開場記念の新作歌舞伎「 陰陽師(おんみょうじ)滝夜叉姫」でした。
第一幕 都大路 「晴明、百鬼夜行に遇いしこと」よりの段
第三幕 貴船山中「将門復活。最後の戦いと大団円」まで。
出演の役者は、
安倍晴明 染五郎、平将門 海老蔵、興世王 愛之助。
桔梗の前 七之助、賀茂保憲 亀三郎、平維時 亀 寿。
大蛇の精 新 悟、蘆屋道満 亀 蔵、 平貞盛 市 蔵。
雲居寺浄蔵 権十郎、小野好古 團 蔵、源博雅 勘九郎。
俵藤太 松 緑、 滝夜叉姫 菊之助。
ご覧のように、若手総出演の新作舞台でした。
大御所の勘三郎、団十郎亡き後の歌舞伎界を背負って立つであろう顔ぶれでした。
上演時間 は、幕間をはさんで、ちょうど4時間。
「魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する平安の都を舞台に、
謎の怪事件がやがて都を揺るがす恐るべき陰謀へと繋がり、都を闇が覆う時、
一人の男が立ち上がる。その男の名は安倍晴明。陰陽師である―。
一大ブームを巻き起こした夢枕獏の人気小説が、
新開場した歌舞伎座にとって初めての新作歌舞伎として登場します。
歌舞伎ならではの演出や工夫が凝らされた壮大なスケールでおくる話題の新作です。 」
というのが、歌舞伎座の歌い文句でした。
テンポや、せりふを現代風に直しての歌舞伎で、見ごたえはありました。
ただ、大きな不満が残ったのは、下座音楽がナマでないのはなんとも解せない!
あまりにテンポが良すぎるので、ナマでは付いていけないと考えられたのか、
それとも他の理由なのか、知るすべもない。
が、歌舞伎座での歌舞伎として、ナマの下座音楽なしで、
すべて録音の音で処理というのは いただけなかった。
「陰陽師を歌舞伎座でやる必要ないよね。
どこか他の劇場ででも、役者さえ揃えばできるよね。」
という声にもなろう。
新歌舞伎座の装いを楽しんだし、若手陣のこれからの歌舞伎界を背負う意気込みも感じた。
新作が、いずれ時代を超えて、古典になる日もあるか知れない。
そんな舞台には、やはり古典の伝統和楽器をたっぷりと登場させて欲しかった。