投稿日: Nov 29, 2013 9:25:9 AM
京都市左京区にある光雲寺で、「源氏舞ふたたび」の舞台を観ることになりました。
11月9日(土)、広島からDen10の会の3人が出かけ、
京都に着いたのは、紅葉にはまだすこし早い時期でした。
開演まで時間があったので、京都市営バスに乗り光雲寺へ向かいました。
京都駅から銀閣寺行きの路線バスに乗ったのですが、さすが観光地京都と感じました。
紅葉には少し早いとはいえ、観光シーズンの土曜日とあって京都駅からすでに満員状態。
始発が京都駅とあれば満員は当然だとしても、驚かされたのは乗客の乗り降り具合でした。
三十三間堂あたりで車内の半分くらいの人が降りたのですが、
そこから乗り込む人がたくさんいて、車内はふたたび満員状態になり銀閣寺へと向かいます。
清水寺あたりでも、祇園知恩院付近でも、そして岡崎公園付近でも、
著名な観光地に近いバス停に着くたび、同じ光景が繰り返されたのでした。
バス停に着くたび多勢の乗客が下車し、同じくらい多勢の人が乗車してバスは走るのです。
短い区間を多勢の乗客が乗り降りする、実に効率のいいバス運行になっていると感心じました。
千年の都の歴史を持つ観光地ですから、見どころがたくさん有るからというだけでなく、
京都市営バスのある制度が、乗客を短区間の乗車と下車に誘導していました。
片道区間のバス料金は区内均一の220円ですが、一日乗車カードという制度があって、
同じ日に何回乗っても500円のパスポートを売り出していて、
観光客はこの一日乗車カードを使って、何度も乗り降りして、
著名な観光地めぐりをしているような印象でした。
効率のいいバス運行は、経営面の好循環だけではなく、
バスを利用してお寺巡りをする観光客の利便性にも貢献してるでしょう。
バス待ちの乗客は来たバスに乗ればよい。満員で乗れないことが無いから、
効率よく自分の目指す観光地を巡れる。
満員で通過されて次のバスを待つイライラも無く、安心してバスでお寺めぐりを楽しめる。
利便性の高いバス運行になっていると、感心したしだいです。
さすが名だたる観光地のバスと、感心している間に目的地のバス停宮ノ前町に着きました。
会場の光雲寺は、左京区の白河通りからすこし哲学の道のほうに寄った東山の麓にありました。
光雲寺の前に立つと、そこは見覚えのある風景でした。
何年か前に、はじめて古澤侑峯の法然院での地歌舞を観るために足を運び、
宿泊した日韓燐善会館が光雲寺の奥手にありました。
なんと、因縁のある地の光雲寺で、こんどは「源氏舞ふたたび」を観ることになったのです。
写真で会場の光雲寺と、本堂の客席と演奏の出演者、源氏舞の模様をご覧ください。
演奏と語りの出演者5人 本堂が公演会場、こちらに客席
これが 光雲寺 後方は東山 演目は、源氏舞「葵上」と「野宮」。
出演は、源氏舞を古澤侑峯。
語りは、人村朱美、蒲生君平。そして、尺八と謡をドイツ生まれのウベ・ワルター。
創作楽器を、ギター奏者の吉田靖Yasuski、また小鼓が大蔵流の森本裕紀(もりもとゆうき)でした。
これまで、私が観た地歌舞公演との一番の違いは、多彩な演奏者の登場でしょう。
語りの二人は、女性の人村朱美が源氏物語のストーリーテラー(つまり紫式部)となり、
男性の蒲生軍平は光源氏となって、源氏物語の一節をそれぞれ語り、
観客の目の前に、源氏物語の舞台を繰り広げ進行させるのでした。
それに、吉田靖の創作楽器が柔らかな金属質の不思議な音色で、
古澤侑峯の舞う源氏舞の底流のように、音の泡粒を湧き出していくのです。
ウべ・ワルターが尺八のか細い音色と、謡いで時折入ります。
さらに、森本裕紀の小鼓が加わり、3人の奏者が、それぞれの音を紡ぎだし、
心象や情景を浮かび上がらせては、クライマックスへと誘う演奏でした。
けっして舞を乗り越える音ではなく、すべて源氏舞に仕える音たちでした。
多彩な演奏者たちが舞に寄り添い、かそけく奏でる繊細な音楽でした。
語りが入り、小鼓が入り、謡が入ったからでしょうが、
古澤侑峯が能にひとあし歩み寄った印象を持った源氏舞の公演でした。