古今和歌六帖(以下、六帖)と聞いても、ピンと来ない人が多いかもしれない。私撰集だった事も影響しているのだろう。あるいは、万葉集や古今集との重複が結構多いためだろうか。多分、最大の理由は、この歌集が入学試験の問題に出ないためだろう。一方、平安文学研究者の間では、必ず読まなければならない本の一つとされている。
勿論、撰者も、何時ごろ成立したのかも、諸説紛々だ。広く言われている撰者は、紀貫之だ。又、円融、花山、一条天皇の頃に成立したとも言われている。西暦では、976~987年に当てられている。
六帖は、平安文学の書として有名を馳せているのに、何と未だに現代語での完訳が発表されていない。お茶の水女子大学の平野由紀子が「古今和歌六帖輪読会」を主催して、2012~2019年の間に、第四帖まで「お茶の水女子大学E-bookサービス」で公表したのが、殆ど唯一と言える。
六帖は、約4,500首と大量の歌を載せている。上記の通り、その内2,525首の訳文が公表されている。全巻の内コケを詠った歌は、全部で17首に過ぎない。(1首の重複があるため、平野は16首としている。)その内、実に、万葉集との重複が6首、及び、和漢朗詠集・古今集との重複が1首ある。又、コケではなく地衣類を詠った歌が5首あるので、純粋にコケ類を詠った歌は、11首となる。六帖全体の比率から言えば、殆どゼロだ。
残念ながら、半分以上の9首は、第六帖の「草」の部に含まれており、平野による現代語訳が未公表となっている。従って、未公表の部分については、本文で「訳」を省略し、「未」とした。又、他の文献に同一の歌が収録されており、現代語訳があった場合には、流用した。上記「お茶の水女子大学・・・」に記載ない歌については、原文を日文研和歌データベースによった。
六帖では、万葉集など既出の歌集との重複が有る場合には、原則として同じ写真を使うことにした。結果として、使い回しになっている点、ご了承頂きたい。又、「コケ調べ」も省略したので、既出の歌集を参照頂きたい。
六帖には、地衣類が5首あるが、均茶庵は地衣類に不案内なので、コケ調べの的が外れていたら、ご容赦いただきたい。
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