2009年に、佐々木によって小田原市入生田で採集された標本は、2011年に到り、コバノイクビゴケDiphyscium perminutumと改めて確認された(佐々木)。コバノイクビゴケは、県内での初見となる。又、2005年に平岡・他が報告した標本は、誤同定として、2006年に平岡・他が訂正報告している。上記により、県内での確認は、合計3ケ所となった。
1. 南足柄市地蔵堂 標高500m {未}
地蔵堂から約15分ほど金時山に登った所に、内川にかかる落差23mの滝がある。この滝は、金太郎が産湯を使ったとの伝説を持ち、流れ落ちの所にかかる夕日が見事な事から、夕日の滝と呼ばれている。キャンプ場が作られており、夏は林間学校の子供たちで賑わい、真冬は、水垢離の修行僧を見かける。
この滝の岩の上に生育していたとのこと。(2006, 平岡・他)均茶庵は、夏も冬も何度も遊んでいるが、残念ながら、未だお目にかかっていない。カシミール・クマノゴケは、水濡れのする場所を好み、又、植物体が非常に小さい。
2. 伊勢原市浄発願寺奥の院 標高300~310m {未}
日向川沿いに、ふれあいの森に向かう途中、1608年創建と伝わる古刹浄発願寺がある。実は、この堂は、1938年の山津波で崩壊した後、再建されたものだ。元々の寺院跡は、更に数百m登った場所にある。今は、寺の土台や塀の跡のみが残っている。奥の院と称している。
この杉落葉林下の石像の台座標高305m、及び、混交林の石像の背面標高310mで生育を確認したとのこと。(佐々木, 2006)日向山や鐘が岳を巡るコースが、簡単なハイキングコースとなっているため、均茶庵も何度となく訪ねているが、残念ながら未だ当種を見かけたことがない。
3.湯河原町鍛冶屋(ししどの窟) 標高535m {未}
岩屋下の細流水沿いの石垣から報告されている。(平岡・他, 2005年)2006年版のRDBには記載されていなかったが、2019年版で追加された。均茶庵は何度も訪ねているが、残念ながら見かけていない。岩屋から流水を導く樋の場所が変更になったようであり、植生の移動があったのかもしれない。クマノゴケ Theriotia lorifolia も参照。(220609 追記)
写真は、平凡社からとった。
【他】Named in honor of Dr. Edward C. Theriot, Director of the Texas Natural Science Center (Univ. of Michigan)
【秋山】フランスの蘚苔類学者M. I. Theriot 氏の名前から.
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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