県RDBでは、国のRDBのカテゴリー外に設けた「注目種」6種に、分類している。注目種の内容については、137c.1.02 Climacium dendroidesフソウソウを参照いただきたい。コウヤノマンネングサは、全蘚苔類の中でも、均茶庵が一番好きな種だ。品格がある。
コウヤノマンネングサは、一般的にはそれほど珍しいわけではなく、神奈川県の山地部である大山・丹沢・箱根では、ごく普通に見られる。フロウソウが水辺近くの湿った草陰を好むのに対して、コウヤノマンネングサは、林の下のやや日陰が好きだ。
物の本によると、昔高野山でコウヤノマンネングサを乾かして、水中花としてお土産にしていたそうだ。和名は、この高野に由来する。実際、水の中に放り込んでおくだけで、2年程度は間違いなく育つ。但し、まるで枯れ木のように育ち、あの野生の優雅さはまるで無くなってしまう。
箱根の2個所にしか見られないフロウソウと異なって、ごく普通に生えている。その分、扱いが疎かになったのかもしれない。何と均茶庵のファイルをいくら探しても、写真が見当たらない。コケを探しに改めて丹沢に登ってみても、そんな時に限って、中々出くわさない。机の上のポットに収まっている水中花が恨めしい。そんなわけで、この写真には思いの外エネルギーを要してしまった。
広く各地に生育しているので、2012年5月に箱根芦ノ湖の西岸を歩いた際の分布地図のみを添付し、県全体の分布地図は割愛する。実は、この時はオオカサゴケ Rhodobryum giganteumの生えて居る環境に興味の中心があった。コウヤノマンネングサが、偶々同じような環境に生育していたため、序でに記録しておいた。116.9.01オオカサゴケを参照して欲しい。
【野口】 階段状。新植物が一茎ずつ、次々にできてくる所。
【牧野】G. kimax階段。内縁歯に孔が沢山一列に並び階段様に見えるから。
【e-Floras】G. klimakion, small stair or ladder, alluding to broad perforations of endostome segments united by transverse tissue resembling rungs of ladder
【Smith】meaning staircase, referring to the appearance of the endostome processes.
【Crum】The name refers to broad perforations which give the endostome segments a ladderlike appearances
【秋山】「klimax=階段」 毎年仮軸分枝で伸びる地下茎の様子からか?
【田中】階段を意味するギリシャ語のklimaxが 語源。さく歯の形態に由来する。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
*写真の拡大は、PCの拡大機能を使ってください。