2019年8月に、均茶庵は主題の原稿を書き上げた。その後、2020年7月に入って、安藤久次「コケのシンボリズム」(1990)という論考を、日本蘚苔学会会報上に見つけた。この論考で、苔と蘚の語源について、詳しく述べていた。一部、引用したい。均茶庵の悩んだ問題は、遙かに精密に考察済だった。それでは、均茶庵の文は不要ではないかとなるだろうか。そんな冷たい事を言わないでほしい。並べて置く。安藤の論考については、末尾に引用することとした。尚、本稿は長くて眠い。読む方には、まずお覚悟を。 200730 均茶庵
「蘚苔」という漢字は難しい。コケに興味を持つまでは、「苔」の字はまだしも、「蘚」の字は一体何と読んで、どう言う意味なのか、まるで知らなかった。そこで、「苔」と「蘚」と「蘚苔」の由来について、考えてみた。
まず、歴史上ずっと混淆されてきた「地衣」については、久保輝幸(以下「久保」末尾「参考書」を参照。)による詳しい研究があるため、除外した。そして、参考書として、井上浩(以下「井上」)の論文『日本の蘚苔類研究史』(I、II、続)及び、末尾に記載した本を使用した。
現在の植物学上の定義と歴史的な名称の間に大きな異同がある。混同を避けるため、「蘚」には英語のMossを、「苔」にはLiverwortを、「地衣」にはLichenを使う。Mossの語源は、ミズゴケが繁茂している「沼地」で、Liverwortは形が似ている「肝臓」だ。英語の方は、辞書を引けば、苦労せずに分かる。
先ずは、日本語源辞典から取り掛かるのが、王道だろう。所が、何冊見ても「蘚」も「苔」も出て来ない。辛うじて、「こけ」という単語に由来が僅かに書かれているだけだ。Webでも調べまくったが、これと言った回答がみつからない。
まずは、一休みからです。「こけ一覧」 こけ古典ご存知ですか。
指が10本あります。
山東京伝が、『古契の三娼にあらで、こけの残笑とも見たまえかし。』と自叙に述べた名作。
万葉仮名を、今風仮名遣いに改めました。意味が分かりにくければ、下記までお問い合わせください。拙い現代語訳をいたします。 Kokekoko.shonan@gmail.com
吉原 (北郭)
北方有佳人
新鄭江都地 青楼多美人 珊瑚翡翠枕 錦繍鴛鴦茵
懸思武蔵鐙 繍情常陸紳 朝々雲霧契 夜々換良親
深川 (河東)
晋謝安携妓遊東土
おむかひと いちどに聞や ほととぎす
品川 (南駅) *絵は省略です。
家交江河南北岸 心通上下往来船
たそやたそたれかはけふの つまならんあだしうき世に あだし身なれば
210130 追記) 均茶庵