0. ごあんない
均茶庵は、米国のNorth Carolina州(NC州。Raleigh市及びDurham市)に、合計約5年間単身赴任した。休日は、専らカヤックに乗ってアパート近くの湖を漕ぐか、あるいは、山を散策して過ごした。その序でに、コケを採集した。引っ越しの度に標本がどこかに消えてしまったが、キャビネットの中には、未だ170個が残っている。主に、2008年に採集したものだ。
NC州に生えているコケは、神奈川県に生えているコケと非常に似通っている。そうは言っても、NC州ではごくその辺に生えているコケでも、神奈川県では殆ど見かけない種が結構ある。こんな種類は、同定するのがちょっと骨折りだし、顕微鏡をのぞく気力も中々起こらない。しかし、もう1年半以上続くコロナで、外出もままならず、時間も持て余し気味だ。それならと、この機会に少々根性を出してみた。
NC州は、米国の東南部に位置しており、南北に241km、東西に901kmと細長い形をしている。緯度が殆ど東京と同じ33.5°~ 36.4°のため、気候は神奈川県に良く似ている。州中部の年間の気温は、0℃~32℃と温暖だ。
州の東は、大西洋に面し、西はアパラチア山脈でテネシー州と境を接する。従って、州東部は殆ど標高0mで、均茶庵が住んでいた州中部は、標高200m以下の平坦な楢・樫・楓(州の花は、ハナミズキ)の丘陵が続く。一方、州西部は、数百m~千数百mくらいの低い山並み(最高峰はMt.Mitchel 2,037m)が南北に続く。
蘚類の同定は、Crum AndersonのMosses of Eastern North America (Columbia University Press. 1981)を参照した。同定誤りがあるかもしれないが、ご容赦いただきたい。
日本では馴染みのない蘚類が多いので、Crum先生の図版 を参照できるようにした。
210830 均茶庵