丹沢・大山は、神奈川県西部山岳地帯の中心部だ。フィリッピンプレートの付加体で出来た山地で、凝灰岩を中心に、陥入した閃緑岩(トーナル岩)と片岩やホルンフェルスなどの変成岩からできている。脆くて崩れやすい。県の最高地はこの地域にある。そうは言っても、蛭が岳の標高 1,673mを頭に、1,600mを超える山は4座しかない。
① 鍋割山頂 標高 標高 1,272m {再確認}
頂上にある鍋割山荘の鍋焼きうどんが、登山者の間で有名だ。簡単に登れる丹沢という事でも、人気がでている。但し、この頃は救難ヘリを時々見るようになった。山荘周辺の灌木林に、オオミツヤゴケが密生している。2010年5月、2012年6月及び10月、2016年4月、2017年10月と、繰り返し確認している。又、生育地を標高1,260-1,340mとしているが(平岡, 2007)、均茶庵の踏査では、鍋割山頂から三の塔に連なる小丸1,341m・大丸 標高 1,386mなどの鍋割山稜では確認できなかった。
② 塔の岳表尾根 烏尾山 標高 1,136m {文献記録ナシ}
頂上に当る烏尾山荘の周りが狭い平地となっている。この端の方に、灌木が生えており、少量張り付いている。2017年6月に確認した。
③ 塔の岳表尾根 三の塔 標高 1,205m {文献記録ナシ}
烏尾山から大きく傾斜のある斜面を下り、もう一度登るとこの峰に着く。距離的には大したことは無いのかなと思いつつ、この標高差には苦しむ。山頂から見る景色は、富士山と塔の岳を振り返り、丹沢の絶景と言える。2017年6月、山頂周辺の灌木に、少量の生育を確認した。
④ 塔の岳山頂 標高 1,491m {文献記録ナシ}
2017年6月に、塔の岳山頂の灌木の幹に、小さな塊を見つけた。蒴が着いていなかったため、カラフトツヤゴケE.scabridensの可能性も検討した。葉上部がなだらかに丸くなり、急に葉尖となること、葉の寸法が小さいことなどから、E.conchophyllusと判断したが、もう一つ自信がない。当種であれば、神奈川県内では最高標高での生育地となる。又、これまでの所、オオミツヤゴケ産地の最北限でもある。
大山地域では、均茶庵は生育を確認できなかった。丹沢では、色々なルートから登ったものの、僅かにこの4ケ所のみを確認した。しかも、勢いよく生育しているのは、鍋割山頂だけだった。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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