典型的な老人殺しのコケだ。大きさが数mmしかない。花眼には、まるで見えない。蒴を付けた状態で、やっと存在を確認できる。それも、蒴柄の曲がり方を見て、コシッポBlindia japonicaあるいはススキDicranella heteromallaと違うと、やっと分かる。目を凝らしていると、あっと言う間に頭がクラクラしてしまう。
神奈川県では、大きく分けて、3か所で報告されている。報告者の目の良さに感心するとともに、今の均茶庵には決して真似ができない。報告地は、いずれも低地だ。
① 横浜市 {未}
県RDBに記載されている。栄区上郷町及び金沢区能見台から報告されている。(河済, 2005)何れも、凝灰岩の上に生育していた由。鎌倉市と境を接しており、横浜自然観察の森あるいは能見台森として、整備されている。
② 湯河原町幕山公園 標高280~380m {未}
県RDBに記載されている。ハイキングコースとして、季節には訪れる人も多い。幕山南面380m、新崎川沿いの林道275m及び岩屋道に生育している由。(平岡・他, 2005)何れも、岩の上で確認されている。
③ 小田原市入生田 {再確認}
小田急線入生駅を降りてすぐの所にある山神神社(さんじんじんじゃ)の祠から報告されている。(佐々木, 2009)祠は、凝灰岩でできており、数基ある。神社の森で、少し木陰になった場所に生えている。
均茶庵は、2012年6月に、大山祇命に二拝二拍手し、少量だけ採取させて頂いた。併せて、一休みを兼ねて、コンビニ弁当のお昼ご飯をいただいた。標本に霧を少しかけると、蒴柄がぐにゃぐにゃに曲がった。家で、葉の先端部分断面を顕微鏡でのぞくと、紛れもなく2細胞層になっていた。但し、時間が経ってから蒴を調べたので、時既に遅く、全て粉のように折れていた。
【e-Flora】 G. kampylos, bent, and stele, pillar, alluding to curved seta
【Smith】Meaning bend handle, referring to the arcuate setae.
【Crum】The name, meaning a curved pillar, refers to a cygneous seta (curved like the neck of a swan)
【田中】曲がったを意味するギリシャ語のkampylo, 柄を意味するギリシャ語のsteleonが 語源。弓形のさく柄に由来する。
ハクチョウゴケ Campylostelium saxicolaも、併せて参照いただきたい。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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