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2011年8月、藤沢市浜見山の交差点の信号が、赤に変わった。少々の渋滞の中で、均茶庵も、愛用の20年もののミヤタちゃり『フォーリオ』を停めた。いつもと変わりない風景だが、何か街路樹が気になる。見慣れたコケの他に、ちょっと変わった株がついている。この辺りで生えているのは、ヒナノハイゴケVenturiella sinensis、サヤゴケGlyphomitrium humillimum、コモチイトゴケPylaisiadelpha tenuirostrisと相場が決まっている。しかし、何となく均茶庵を呼ぶ声が聞こえる。僅かしかない株を採って、持ち帰った。信号は、2~3回変わっていた。
顕微鏡で見ると、まるで特徴のない塊が、突然変化した。糸くずのような植物体の葉の背面には、細胞の真ん中に明らかにパピラがある。中肋も太い。断面を見ると、厚壁の細胞が、中肋一面に散っている。「へ~、Leskeaだ。こんな所にも、生えているんだ。」コシノウスグロゴケと確認した瞬間だ。{文献記録ナシ}
それから8年後、冬の寒さに外出を控えている無沙汰に、神奈川県のコケのチェックリストを眺めた。何と、1件しか記載されていない。鎌倉の御成・弁谷・佐助から報告があった。(生出・他、1985)県内でも非常に珍しいと分った。その後に発表された論文も調べてみたが、全く見当たらない。{未}
居ても立ってもおられず、浜見山の交差点にちゃりした。今回は、ブリジストンのトランジットに変わっていた。(フォーリオは、大切にしまってある。)しかし、時間が経ちすぎていたのか、常連の3種以外には、まるで見当たらなかった。
【野口】人名
【e-Floras】for Nathanael Gottfried Leske, 1751-1786, botanist of Leipzig
【Smith】named after a German professor, Nathaniel Gottfried Leske (1751-1786).
【Crum】The genus was named for Professor Gottfried Leske of Leipzig.
【秋山】ドイツの植物学者 N. G. Leske 氏の名前から
{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。