オオミツヤゴケは、山地の開けた明るい場所を選び、木の幹あるいは枝に生育する。植物体は、蒴が豊富に付き、卵形~球形である事、及び、葉の先端が急に細く尖る事などから、野外でもツヤゴケ属の他の種から容易に判別できる。蒴がついている期間も長い。やや離れた距離から見ても、生育が分かり易いため、登山道を歩きながらの調査が可能だ。
その上、環境省の絶滅危惧種II類及び神奈川県の絶滅危惧種I類に指定されているため、先輩方のこれまでの調査で生育を確認した場合には、間違いなく文献に残っていると判断した。オオミツヤゴケは、東アジアの固有種でもある。実にうってつけだ。
所が、CiNiiやらJ-Stageやらあるいは、Google scholarなど色々な資料を調べてみたものの、思いの外手に入る文献資料が少ない。コケに関わっている人口がまだまだ少ないためだろうか。それに、資料を検索しても、素人の均茶庵が、コケを保管している機関に直接出向いて、あれやこれや聞くのも困難だ。それなら、神奈川の山を均茶庵が自分で登って、直接調べてみようと決めた。結果として、標高700m以上の、アクセス可能な代表的な山を概ね踏査した。登山道ごとに複数回登っている。
県内では、文献上7ケ所の産地が報告されている。この内、4ケ所で生育を再確認した。又、文献上報告がない場所12ケ所で生育を確認した。これだけでは楽しくないので、山登りを伊豆まで広げる事とした。但し、南伊豆は当初の登山予定に入ってなかったので、取りあえずは文献調査だけにした。季節が良くなったら、温泉を兼ねて改めて登ることにしたい。何しろ、均茶庵の家からは、ちょっと離れていて、日帰りが難しい。
伊豆では、文献上6ケ所が報告されており、この内、2ケ所で生育を確認した。又、文献上報告がない場所1ケ所で生育を確認した。
全部で6回程度に分けて連載して行きたい。飽きなければ、根気よく読んで欲しい。飽きれば、PCの電源を切って、ビールで気分転換でもして欲しい。
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