山地に行くと、割と良く出くわす。ひょろっと伸びたコケが、大きな群落を作っている。顕微鏡で見ると、葉の鞘の部分に長い毛があるので、すぐに判別できる。
均茶庵は、北は大雪山の黒岳から、乗鞍、日光、大台ケ原・・・とあちらこちらでお目にかかっている。所が、神奈川県に来ると、様子ががらりと変わる。箱根の駒ヶ岳(標高1,300 m)、神山(標高1,390 m)及び冠が岳(標高1,409 m)の2か所の合計4か所でしか生育が確認されていない。(2006, 平岡・他)『箱根の蘚苔目録』(1984, 生出)には、この他元箱根と箱根が記録されているが、県RDBには記載されていない。箱根美術館のコケ庭に生えているとの記載もあるが(1996、高木・他)、2019年10月現在、均茶庵は確認していない。庭は標高600mの低い場所にあるし、環境状況から見ても、既に消滅しているのではないかと思える。勿論、RDBには記載されていない。RDB発行以降は、新産地での生育が確認されていない。
上記三山の内、神山と冠が岳は火山情報発令により、2015年6月から入山禁止となっているので、今からでは調べようがない。又、駒ヶ岳は、ロープウエー駅のある山頂のみ入山が許可されており、ロープが張られたハイキング路が設定されている。均茶庵は、一回りしてみたが、残念ながらフウリンゴケは見当たらなかった。実に、幻のコケとなってしまった。こんな事なら、早く標本を採取しておけば良かったと悔いる事しきりだ。{未}
神奈川県で標高1,300mを超えるのは、箱根以外では丹沢山系のみだが、生育は報告されていないし、均茶庵も未だお目にかかっていない。
従って、写真は県外の万座温泉(標高1,800m)で採取した標本を使用した。
【野口】Bartramiaに似ている
【e-Flora】 Genus Bartramia and G. -opsis, resembling
【秋山】Bartramia 属に似ていることから
参考 127.1 Bartramia タマゴケ
【野口】 人名
【牧野】 北米の植物学者William Bartram, 1739-1823, に因む
【e-Floras】 for John Bartram, 1699-1777, Pennsylvania botanist, horticulturist, and explorer
【Smith】named after John Bartram (1699-1777), an early N. American botanist
【Crum】Named for John Bartram of Pennsylvania, who corresponded with Linnaeus and Dillenius.
【秋山】Bartram 氏の名前から(アメリカ人の E.B.Bartram とは別人)
【田中】アメリカ人の植物採集家のJhon Bartramの名前が語源
【均】Williamは、Johnの息子。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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