県RDBでは、2個所記載されている。更に2007年の『丹沢大山動植物目録』で1ケ所が追加されており、県内の記録では、合計3ケ所となっている。
同属のT.tricolorムジナゴケと同様に、顕微鏡で見ると、葉身細胞の壁に沿って小さいパピラが密にならんでいるので、同定し易い。しかし、T.tricolorよりはるかに小さく、外見はまるで似ていない。西日本では、決して珍しいコケではないが、残念ながら、均茶庵は、県内では未だ見た事がない。
① 丹沢白石沢 標高800m {未}
白石沢は、神奈川県では珍しい石灰岩(大理石)が見られる場所だ。ここで少量報告されている。(平岡・他, 1997) 均茶庵は、何度も白石沢のルートを登っているが、残念ながら未だ遭遇していない。
白石沢は、神奈川県では珍しいコケが沢山報告されている。例えば、コメリンスゴケ、フジノマンネングサ、カサゴケモドキ等々だ。2018年9月30日に台風24号が猛威をふるったので、どんな風になっているか、10月半ばに用木沢出合~白石沢~加入道山(海抜610m~1,418m)を歩いてみた。何とまあ凄まじい事に、登山道は崩れ落ち、木道橋は流されていた。大木が何本も倒れていた。登山道に沿って、真っ白な岩が剥き出しになっていた。まさか、大理石の露頭を踏みしめ乍ら登るとは、思ってもいなかった。幸運な機会と言うべきか。しかし、ツルツル滑って、何度も転げた。
勿論、コケ的にも悲惨な状況だった。山頂に辛うじてコウヤノマンネングサの群落を見つけただけだった。植生が回復するまでには、若干時間がかかるかもしれない。
2019年は、10号・15号・19号と、2018年にもまして大型の台風が繰り返し来襲した。多分一段とすさまじい姿になっている事だろう。
② 丹沢権現山 標高850m {未}
丹沢には、権現山が二個所ある。当地は、通称 箒沢権現山と呼ばれている、標高1,138mの山を指し、もう一つの標高1,018mの世附権現山とは異なると思われる。箒沢権現山は、上記白石沢に近い。当山は、登山道の崩落が激しいため、2007年以降は管理されておらず、登山道も閉鎖となっている。
③ 丹沢菰釣山 標高1,370m {未}
『丹沢大山動植物目録』(2007年)で、生育の報告がなされている。菰釣山は、山梨県側からの登山道が整備されているが、神奈川県側からはアクセスが大変だ。2019年に山梨県の山伏峠から登ってみたが、見つからなかった。尚、菰釣山からは、神奈川県内では比較的珍しいコケの生育が、数多く報告されている。
④ 丹沢畦が丸 標高1,250m{記録なし}
均茶庵は、2022年5月に畦が丸山頂の僅か下(善六のタワより)で、採取した。付近の樹幹には、比較的濃厚に分布していた。畦が丸には何度も登っているが、生育を確認したのは、これが初めてとなる。
【野口】足がざらざらする。蒴柄の形状
【Meagher】 trachys, rough and pous, foot, alluding to the markedly papillose seta
【秋山】「trachys=粗なる+pus=足」 蒴柄に乳頭状突起があることから
【野口】足がざらざらする。蒴柄の形状
【Meagher】 trachys, rough and pous, foot, alluding to the markedly papillose seta
【秋山】「trachys=粗なる+pus=足」 蒴柄に乳頭状突起があることから
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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