米国のNorth Carolina州には、2度ほど単身赴任をした。緯度的に東京と一緒で、ちょっと気温が高いが、住み心地が抜群に快適な米国中南部の州だ。最初に独立宣言をした13州の一つでもある。
州都のRaleigh市のアパートから、車で30分もかからない場所に、Raleigh市やDurham市などの水源地になっているダム湖Falls Lakeがある。堰堤は低くても、古生層のだだっ広い平原を堰き止めているから、総面積12,000エーカー(48.6 km2)もある。東京ディズニーランドが0.465km2 だから、100倍以上ある。一人赴任の気軽さに、休日になると日本から持参した折りたたみ式のカヤック「ファルホーク」を担いで、朝からでかけた。漕いでも漕いでも、対岸に着かない。時折モーターボートと行き交うだけで、人影も滅多に見ない。新しい隠れ家を次々と発見した。そして、2002年10月~2005年10月の3年間を、自然一杯の中に過ごした。
NC州とはどう言うご縁があるのか、2007年12月にもう一度単身赴任することになった。勝手知った故郷であり、再びファルホークを日本から持ち込んだ。喜び勇んでFalls LakeのホームグラウンドHickory Pointに行くと、何と水が全くない。湖底だった場所には、つむじ風が舞い、あちらこちらに砂埃が上がっている。呆然と湖を眺めた。時折こんなDrought(日照り)があるそうだが、2007年は82年ぶりの大記録だったそうだ。幸いにして、2008年の春までには水位が戻り、カヤックを漕げるようになった。気候変動の影響だとか、水資源の使いすぎだとか、原因には諸説ある。均茶庵が帰国した後も、こんなには酷くないが、時折水位が下がるそうだ。
2019年3月に、AFP通信が、ChileのSantiago近くにある避暑地Laguna Acureoの水が全て涸れてしまったと報道した。12 km2もある湖が完全に干上がってしまった。AFP通信は、「地図から消えた湖」と表現していた。こちらも懐かしい均茶庵のカヌーゲレンデだった。そして、中央アジアでは、アラル海が消滅寸前だそうだし、死海もびっくりする程小さくなってしまったそうだ。21世紀は、湖にとって、受難の時代になってしまったようだ。
作成: 190329
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