一見シシゴケBrothera leanaに似ており、うっかりすると見間違えやすい。しかし、亜高山帯以下の山地の地上に生えていることで、杉などの針葉樹の基部に生えているシシゴケと区別できる。詳しくは、葉の断面を見るか、特徴的な無性芽を調べなければならない。色が派手で、良く目立つ。神奈川県では、丹沢及び箱根を中心に、比較的多く分布している。
① 県RDBには、3か所が記録されている。いずれも、土上に生えている。残念ながら、均茶庵は、いずれも確認できていない。{未}
1. 箱根 矢倉沢~金時山 960m {再確認}
追記)2022年3月に、標高965mの土手の上で、小さな群落を確認した。
足柄峠登山ルートが、2019年の台風19号で崩れてしまい、金時山の取り付き付近で通行止めになった。しかも、途切れ途切れにコロナまん防が発令されていた事も重なり、久しぶりの山行きとなった。一方、2021年4月に「はこね金太郎ライン」が開通し、850mにある金時見晴Pから、矢倉沢峠経由山頂まで、一時間もかからずに登れるようになった。山頂を目指すのではなく、登山道のコケを愛でる人間にとっては、いささか、痛し痒しだ。
2. 丹沢 菰釣山頂 1,375m
3. 丹沢山 天王寺尾根~堂平 1,465m
② 丹沢主脈 塔の岳~棚沢の頭 1,447~1,590m {文献記録ナシ}
塔の岳北側直下から丹沢山を経て、丹沢山と蛭が岳の丁度真ん中に当たる棚沢の頭まで、断続的に生育している。登山道の通行部分ではなく、壁になっている土の部分に生えていた。2017年11月及び12月に確認した。しかし、ここから更に北の棚沢の頭~蛭が岳山頂の間、及び、塔の岳から南では、生育が見られなかった。上記①3.の丹沢山天王寺尾根~堂平は、天王寺尾根及び堂平尾根への分枝であり、主脈からは外れているので、こことは場所が異なると思う。
神奈川県では、計4ケ所に分布している。
【野口】campylo曲がる pus足。蒴が曲がった柄から下垂。
【牧野】G. kampylo曲がる
【e-Floras】 G. campylos, curved, and pous, foot, alluding to curved seta
【Smith】meaning bent foot, referring to the arcuate setae.
【Crum】The name alludes to the curved “foot”, or seta, characteristic of the genus.
【秋山】「campylo=湾曲+pous=脚」
【田中】ギリシャ語でkampyloは曲がった、pousは足を意味する。白鳥の首のように曲がったさく柄に由来する。
1.コケここ 蘚類目次に戻る
{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
*写真の拡大は、PCの拡大機能を使ってください。
作成: 180301