決して変わった種ではなく、他県に行けばごく普通に見られる。所が、神奈川県では非常に珍しい。タチヒラゴケは、専ら石灰岩性の岩上に育つ。そして、神奈川県には、丹沢の白石沢と山北町の尺里を除いて、石灰岩地がない。しかも両地ともに強い変性を受けて、大理石になっている。
県RDBには、相模原市(旧藤野町)柏木沢のみを記載しているが、発刊の時点で既に「消滅可能性」としている。当所以外に、生育地が3ケ所ある。
① 伊勢原市日向浄発願寺跡 標高340m {未}
神奈川県きっての名刹であり、木食寺として長い伝統を持っている。それ以上に、「男の駆け込み寺」として名を馳せている。明治時代までは、殺人以外の罪人がこの寺に駆け込むと、刑を免除された。
しかし、1938年の山津波で堂宇が倒壊し、現在は広い敷地に基礎しか残っていない。寺の奥の院参道混交林下の崖岩上に生育をしていた由だが、(佐々木, 2006)均茶庵は確認できなかった。
② 小田原市 入生田 標高約100m {未}
箱根登山鉄道入生田駅から、西の方に向かい、金峯山修験本宗妙力寺に行く林道は、鬱蒼としたスジダイに覆われている。この林道沿いのコンクリート上から報告されている。(佐々木, 2009)均茶庵は、未だ確認していない。
③ 相模原市 石老山顕鏡寺 標高358m {文献記録ナシ}
神奈川県では、非常に有名な真言宗の古刹だ。寺が立地する石老山は、ハイキングコースとしても人気がある。お寺の入口にイチョウの大木がある。根元に近い樹幹に、びっしりと生育していた。2017年7月に確認した。偶々住職が境内にいたので、「真言宗なのにどうして顕教寺なのですか。」と、馬鹿な質問をしてしまった。よく考えてみたら、一文字違っていた。
【野口】外観がHomaliaに似ている
【e-Floras】Genus Homalia and G. adelphos, brother, alluding to similarity
【Crum】The generic name refers to a close (or brotherly) relationship to Homalia.
【田中】Homaliaの似ている事を意味する。
参考 155.7 Homalia ヤマトヒラゴケ
【野口】 平たい
【e-Floras】 G. homalos, even or level, alluding to strongly complanate leaves
【Smith】meaning flattened, from the complanate leaves
【Crum】The name refers to flattened stems and branches with strongly complanate leaves.
【秋山】「homalia=広がった,扁平な」 左右に扁平に広がる葉の様子から
【田中】平らになるを意味するギリシャ語のhomaliaが 語源。葉が 平らになっていることに由来する。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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作成: 180315