2014年11月に、アルゼンチンの北部の町Saltaから、チリのAntogafasta行きのバスに乗って、アンデス山脈を越えた。目が痛くなるほど、空はどこまでも青い。1時間も眠ったろうか。窓の景色は、まるで変りない。暫くして、又、まどろんでしまった。目が覚めると、再び砂漠だった。
人口約5,000人のオアシスSan Pedro de Atacamaは、地域の交通と観光の中心になっている。高度2,407mのアタカマ砂漠の真ん中にある。スペイン植民地時代は、ペルー副王国がチリを征服するための拠点だった。その後、長らくボリビア領だった。アドベが続く街並みは、ひたすら静かで、時の流れを忘れる。このままずっとハンモックに揺られ続けていたい。
車で1時間くらいの所に、Laguna Miscantiがある。生き物は、フラミンゴと人間だけだ。湖に着くまでは、古代の海が干上がった砂漠が続く。写真で灰色に見えるのは、塩だ。もし真っ白だったら、そして、湖に好き勝手に入れるのだったら、今大人気のボリビアSalar de Uyuniと言う事になる。但し、灰色の方が一般的だし、どこにでもある。それに、ここはボリビアと違って、環境汚染にうるさい。均茶庵がうっかり規制線を越えてしまったら、遠くの方からGuarda Parqueパークレンジャーが、警告の笛をならした。見ていた。
旅から戻ると、例外無く考えるようになってしまった。もう一度ここに来る機会は、あるのだろうか。もう一度、この空の青さの中で飛び跳ねてみたい。そして、空気の薄さに、よろけてみたい。しかし、70歳は、重い。
1996年5月にチリとアルゼンチンの国境にあるLaguna del Mauleをカヤックで渡り、湖畔で一人キャンプした時もそうだった。ここは標高2,160mだ。チリの首都Santiagoから、南へ250kmのアンデス山中にある。火口湖の入り口まで、年に数か月しか通じない道路を、オフロード車で走った。「必ずもう一度来よう。」近くの小高い丘に登って、石を並べて、自分の名前を書いた。数え切れないほどの星と、南十字星と、二つのマゼラン星雲を眺めながら、ピスコ酒を飲んだ。ピューマの遠吠えが、心地よく響いていた。日本人でこの景色を見たのは、均茶庵だけの筈だ。それから、20年以上経ってしまった。未だ行っていない。
San Pedro de Atacama。もう一度ここに来る機会は、あるのだろうか。
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