県RDB 2006版では絶IIに区分されていたが、RDB 2019版ではNTに変更された。
植物体は、小さい。生育している様子は、Lejeuneaceaの種そっくりだ。均茶庵が初めて採集した時も、単純にそう思った。腹面を見ると、腹葉がない。ああ、Cheilolejueneaかと考えたが、様子がちょっと違う。腹片がちょっとダサいし、分枝もケビラゴケ型だ。結局、顕微鏡の下で、何度も唸る事になった。慣れると、同定し易い種だ。神奈川県が、北限の産地とされている。
1. 県RDBには、二カ所が記載されている。
1.1 丹沢白石峠 標高 1,280m 樅の倒木 {未}
1.2 湯河原町幕山岩屋道 標高 400m 松の樹幹 {未}
2. 丹沢天王寺尾根 標高 1,330m {未}
「丹沢大山動植物目録(2007)」に記載があるが、2008年以降に発表された論文からは、当地点の記述が消えている。単なる記載漏れだろうか。
3.箱根町 県立恩賜公園 標高 760m {未}
広い園内の6ケ所で確認された。(平岡, 2008)
4. 南足柄 清左衛門地獄池 標高 25m {未}
池は、平成の名水百選に指定されている。滝前の石の上から報告されている。(佐々木, 2009)均茶庵が2019年に行った時には、わからなかった。
5. 箱根駒形神社 標高720m {未}
芦ノ湖の南岸にある古い神社だ。落葉樹樹幹下部から報告されている。(佐々木, 2011)
6. 箱根 湯坂路 浅間山~湯坂山 標高 747m {記録なし}
均茶庵は、桜の樹幹で確認した。当種は、他の蘚苔類に混生している事が多い由だが、
本件は小さなコロニーを作っていた。2019年6月に確認した。
【BFNA】L. radula, scraper, alluding to the flat tip of the perianth occasionally recurved and similar to a scraping iron
【Meagher】Latin radula, a scraper, universally understood to refer to the flattened and truncate perianth, very much like a scraper for removing paint.
【秋山】radula=鍛鉄屑(鉄の切り屑)。鉄の切り屑片のような花被の形をスクレーパーに見立てた。
【Wiktionary】L. radula (“scraper”)
属名は、ラテン語で「scraper」の意味。「the flat tip of the perianth occasionally recurved and similar to a scraping iron」による(BFNA)。種小名は、cavi-は「hollow」、-foliaは「leaved」の意味(A.Radclife-Smith, 1998)