小田原の山安は、文久3年創業の、干物専門の老舗だ。鯵、えぼ鯛、魳、𩸽、金目、烏賊、鯖、鰯丸干し、鰈、秋刀魚、赤魚、鯥・・・。一体何種類あるんだろう。均茶庵は、もっぱら『訳アリ』を買う。お値段は安いが、美味しい。販売員のお姐さんに聞いてみたら、「多分傷があるんでしょう。」と言うだけで、通常品との差は良く分からない。均茶庵の朝ごはんの一品として、絶対欠かせない定番になっている。
7つある販売店の内、二宮店は丹沢や箱根から茅ヶ崎に戻る道筋にあたる。山に登った帰りに、序に寄っている。のぶえちゃんから、「冷凍庫が空になっちゃったわよ。」と、強い要請をうけただけでは、安易に行かない。何しろ、代金は均茶庵のポケットから出る。あくまでも、山からの帰りに、たまたま寄る事を原則としている。
県内のツガゴケの産地は、箱根畑宿から報告された一件のみだ。標高400mの「畑宿バス停の上流には清流マス釣り場ができている。バス停そばの林道沿いの、水の湧き出ている水場」に、しっかりと群落を作っていたとのことだ。(2005, 佐々木)県RDBも、本報告を敷衍している。これ以前には、箱根大平台で記録されているが、再確認はできていない由だ。(同)
ツガゴケは、西日本では比較的豊富に見られるが、神奈川県では非常に珍しい。清水が流れるような場所の岩の上に、一見すると苔類のようなコケがへばりついている。Hookerialesは、どちらかというと可愛くて人形のような外見をしたコケが多いが、ツガゴケだけは、ちょっと異類だ。べちゃっとした感じで、余り気持ち良くない。但し、顕微鏡をのぞくと、大きな均整のとれた細胞が並んでおり、ほっとする。
均茶庵は、箱根の芦ノ湖近辺には、散策とカヤックを漕ぎに時々行くが、畑宿には、殆ど行った事がない。道路が狭いし、寄木細工の里で有名なため、いつも人がいる。箱根石畳は、ハイキングの人との挨拶が忙しい。
しかし、2018年8月になって、やっと重い腰を上げた。丁度冷凍庫の干物の在庫が切れてしまった。夏休みに遊びに来る子供たちと孫たちとその親たちの朝ごはん用に、『湘南の』干物を仕入れなければならない。孫と子を正面に出されると、「納豆があればいいじゃないか。」とはいかない。まるで抵抗力がなくなる。今回は、干物を買う道すがら、畑宿~須雲川に入った。
均茶庵は、畑宿バス停から、箱根旧街道石畳と清流マス釣り場、弁天山清流公園及び、飛龍の滝までのハイキング道路を歩いてみた。残念ながら、ツガゴケには全く出会わなかった。そもそも、清流の湧き出ている場所は、マス釣り場に行く道路沿いに二個所あっただけだ。しかも、すぐそばに災害工事用の丸石が、うず高く積み上げられていた。もしかすると、ツガゴケはもう滅びてしまったのかもしれない。尚、論文の採取場所が果たして上記の場所かどうかは確定できていない。{未} 添付した写真は、2015年12月に、岡山県で採取した標本を使用した。
【野口】 disticho 二列の phyllum 葉。葉は二列ではないが、扁平に着生する。
【Meagher】distichos, in two rows, and phyllon, leaf, alluding to the apparently distichous, but in fact complanately flattened, arrangement of the leaves
【秋山】「di=2+stichus=列+phyllum=葉」 扁平で二列に見える葉序から.
【田中】2列の葉を意味する。
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{文献記録ナシ} 均茶庵が生育を確認。文献記録が見当たらない。
{再確認} 均茶庵が生育を確認。文献記録あり。
{未} 均茶庵は生育を確認できていないが、文献記録あり。
*引用文献及び略語については、「コケの参考書」をご覧ください。
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